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2015年7月21日

【藤井聡】今こそ、「超インフラ論」を

FROM 藤井聡@京都大学大学院教授

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●●長崎の「軍艦島」は「日本のアウシュビッツ」にされてしまうのか?
月刊三橋の今月号のテーマは、「歴史認識問題」です。
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv.php

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「大阪都構想」の住民投票が終わって、もう二か月。あれから、安保法案問題、ギリシャ危機、中国株暴落など、実にいろいろなニュースが目まぐるしく飛び交い、都構想の議論は、何か「遠い昔」の話に思えてきます。

しかし、日本と世界を覆う「問題の構図」も何も変わっていません。

そもそも「都構想騒動」が起こってしまったのは、偏に、失われ20年といわれる「長引くデフレ不況」のために国民の不満が蓄積されていたからです。

そんなデフレ不況からわが国が脱する事ができなくなっているのはもちろん、「緊縮」の思想が、財政当局を中心として日本を覆い続けているからです。

そしてその「緊縮」思想を裏付けているのは、何あろう、小さな政府と市場至上主義を標榜する

「新自由主義」

です。

つまり、「都構想」における言論戦とは、とどのつまり、「新自由主義」あるいは、それを基軸とした「新自由主義・全体主義」との戦いの中の一つの「局地戦」に過ぎなかったわけです。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/05/19/fujii-143/

こうした視座で考えれば、「都構想騒動」という現象は、今日の日本経済全体の閉塞状況や、ギリシャ危機、中国バブル崩壊という諸現象と、全く同じ根を持つものだったという実態が見えて参ります。

つまり、それらバラバラに見える諸現象は、グローバルに展開している新自由主義・全体主義現象という「巨大な渦巻き」を構成する「無数の渦」の一つに過ぎなかった訳です。

そもそも中国のバブル崩壊もギリシャ危機も、新自由主義が世界で幅を利かせていなければ、生ずるはずもないものでした。

今日のわが国日本も、小さな政府と市場至上主義を標榜する「新自由主義」さえなければ、適切な財政政策が展開されてとっくの昔にデフレ脱却を果たし、今頃GDPは900兆円前後になっていたはずです(たとえば、98年からの成長率としてたった年率「3%」を想定するだけで、今年は860兆円になっていたはずです)。

ですから、もしもデフレ脱却が早期に叶っていたのなら、外交状況も安全保障問題も、今とは全く異なった様相を呈していたに違いないのです。つまり「新自由主義」の思想勢力さえ無ければ、今日の日本と世界の様相は、全く異なったものとなっていたのは明らかです。

だとすると、日本と世界の混乱を少しずつでも改善していくためには、(これまで様々な形で何度も繰り返してきたように)「新自由主義」の考え方を世界の実態と調和する「考え方」へと転換していくことが何よりも大切なわけです。

。。。。では、「新自由主義」の考え方の本質とは何なのかと言えば、それは煎じ詰めて言うなら、

「机上の空論(厳密に言うなら数学)による、現実の切り捨て」

というもの。
https://www.youtube.com/watch?v=22Ad0Ouhlqo

http://www.amazon.co.jp/%E5%9C%9F%E6%9C%A8%E8%A8%88%E7%94%BB%E5%AD%A6%E2%80%95%E5%85%AC%E5%85%B1%E9%81%B8%E6%8A%9E%E3%81%AE%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E7%A7%91%E5%AD%A6-%E8%97%A4%E4%BA%95-%E8%81%A1/dp/4761531665

こうした流れを変えるには、人々のものの考え方の「焦点」を、規制やイノベーションだけが俎上に載せられている

「机上」(ヴァーチャル世界)

から、実際に人々が活動し、交流し続けている、

「現実の空間」

に向けさせねばなりません。

そんな現実の空間とはすなわち、「都市」や「地域」、そして「国土」等と言われる地理空間です。が、それらは結局は、「自然」に手を加えて

「インフラ」

をつくることでできあがった地理空間です。

ですからもしも人々の意識を、都市や国土といった「現実の地理空間」に向けさせることができるなら、人々は机上の空論で言われるルールや規制のみならず、道路や鉄道などの

 「インフラ」

に、必然的に注意を向けることとなります。

逆に言うなら、人々がもしもインフラ論をまじめに考えることができるのなら、人々の意識は自ずと、それが埋め込まれた「現実の地理空間」に向けられることになります。結果、人々の目には、机上の空論にしか過ぎない新自由主義的な考え方などは、バカバカしいものにしか見えなくなっていくことになります。

例えば、実際、新幹線をしっかり整備している国ほど成長率は高く、そうでない国ほど、低成長を余儀なくされている、という現実がありますが、
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=677765748991038&set=a.236228089811475.38834.100002728571669&type=1&theater

これは、交通インフラが充実した国は、社会的、そして、経済的な国民同士の交流が高度化し、結果、より大きな国力を手に入れるに違いない、というかつてマルクスやリスト、クーリーやゲーテといった、近代黎明期前後の知識人達によって繰り返し主張されてきた社会科学理論を裏付ける実証データです。

より具体的に言うなら、道路や新幹線を語ることは、「地域創生」「強靭化」を論ずることのみならず、「生産力」を論ずることでもあり、しかも、「需要の刺激策」を論ずることでもあります。したがって、それは必然的に、日本の「経済成長戦略」を論ずることでもあり、「デフレ脱却」の重要な一手となります。

そうである以上、道路や新幹線は単に財出増につながる話なのでなく、「税収を増やす」ことに直結するのであり、したがってそれは「財政再建」の議論となっていたのです。

つまり、道路や新幹線を語ることは、新自由主義者がどれだけ欲しがっても20年にわたって結局手に入れることに失敗し続けてきた、「成長」と「財政再建」、そして「強靭化」さらには「地方創生」の全てを一挙に手に入れる方途を考えることなのです。

むしろ、それらを手に入れられなかったのは、インフラ論「だけ」をきれいに排除して、議論を組み立てようとしたからです。扇は「要」が無ければ開かないように、経済と社会の発展を期するにおいてインフラ論を排除し続けているようでは、成功するはずなどなかったのです。

こうした当たり前の「インフラ」にまつわる事実と論理の理解が、人々の間で浸透していくことがあれば、人々の意識は自ずと「机上」から「現実空間」に向けられていくこととなり、その帰結として、

「新自由主義の思想勢力の弱体化」

が、自ずと、達成されていくこととなるでしょう。

つまり、実証的かつ理論的かつ具体的かつ理性的な「インフラ論」は、新自由主義に対する強力な「武器」に他ならないのです。

・・・

実際、昨今では大変喜ばしい事に、少しずつではありますが、着実に、世界中で広まりつつあります。

すなわち、マルクスやスミス、リストやクーリー、そして、ゲーテらが、交通インフラが経済力、国力を規定すると論じた18世紀から前盛期までの時代のみでなく、21世紀の今日においても、ジェフリーサックスからも、
http://www.project-syndicate.org/commentary/promote-sustainable-development-economics-by-jeffrey-d-sachs-2014-11
IMFからも
http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2014/02/pdf/c3.pdf
インフラの質こそが、経済成長を決定することが指摘されています。

インフラと言えばとかく「無駄だ」「利権だ」「シロアリだ」と叫び続けてこられましたが、これからはそうした旧来型のインフラ論を「超」えた、『超インフラ論』こそが、私たちの国、日本の未来を切り開くために、強く求められているのです。

ついては是非、新自由主義を乗り超え、今日の閉塞状況を打ち破るためにも、

『超インフラ論』
http://amzn.to/1JIB755

ご一読いただけますと、幸いです。

[メルマガ発行者よりおすすめ]

強制徴用で騒ぐ韓国が仕掛けた罠とは?
月刊三橋の今月号のテーマは、「歴史認識問題」です。
https://www.youtube.com/watch?v=vGLmma-WA14&feature=youtu.be

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【藤井聡】今こそ、「超インフラ論」をへの10件のコメント

  1. 「中四国・大交流圏」形成構想と大大阪。 より

    参議院選挙区の改正で合区となる島根:鳥取選挙区と徳島・高知選挙区の地元の皆さんの無念の心情を思うと、これらの地域の衰退と過疎化を傍観してきた国の政策の無力さに空しさを感じる。地域の自立性の崩壊は、日本国の崩壊に繋がる。特に、中四国の崩壊は、それと密接に結び付く大阪圏の崩壊へと連鎖する。早急に、山陰・山陽・四国を縦横に連結し、大阪圏に繋げる方策が必要である。大阪の政治も、早急に、空しい緊縮主義の「都構想」から離れて、インフラの再構築の叫びの先頭に立つべきである。また、成長戦略が「カジノ」頼みだけでは、真面な政策とは到底言えない。中四国を巻き込んだ、全国を俯瞰した成長戦略を大阪から始めるべきである。新自由主義者の威嚇に怯えて、「沈黙の螺旋」に陥ることは、座して国の亡びを待つことになるだろう。

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  2. 拓三 より

    いつまでPBの黒字化に拘るんやろな。PB黒字化して経済成長する事は、ドイツがしてる様に他国の経済を奪い取る事を意味するんやけど、世界中が需要縮小し始めたのにどっから需要取ろうとしとんねん。残りわずかなぺんぺん草取ったら最後の印象で恨み買うだけやで。はっきり言うて、この20年の戦いに負けたんでせ。日本がやった事は、「猿蟹合戦」の親蟹と同じ様に、柿を育てただけで実を食べる事が出来なかったのです。そして自分が育てた柿をブツけられ死んでしまったのです。南無阿弥陀仏………..しか〜し、我が国日本国には、2000年を超える縄文杉の様な立派な柿の木があります。約20年放ったらかしにされてきましたが、まだまだ実は付けます。なんせ他国が欲しくて欲しくて、どうにかしてまでこの柿の木を奪い取ろうとするのですから。一刻も早く、水、肥料をやり、折れかけた枝は添え木をし、栄養を奪う様な雑草、雑木は排除し、色々手を加えて、立派な実を育てる事こそ日本がやるべき事であります。ただし、せっかく作った実を猿(他国)に取られない様に。

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  3. ななし より

    道路って大事ですよね。箱根に行くと実感します。今でこそ、オフシーズンが無いなんて言われてますけど昔は「石がゴロゴロしてて何もないから」強羅って名付けられる程荒れた土地だったそうです。実際行ってみると、箱根登山鉄道は勿論、道路が細やかに整備されていて、バスも豊富に走っています。「箱根町」だけど、全然田舎じゃないです。あんなに良いモデルケースがあるんだから、全国から地方自治体の職員が視察に来ても良さそうな物なんですけど…。

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  4. ねこ より

    交通網の整備の意義についてですが、歴史的昔は、交通網=情報網、でしたが、今は情報網が切り離されましたね、そのため交通網の意義がちょっと目減りした、というのはありますか?なにせ情報を制する者は世界を制する、とばかりに、携帯会社など勢いはすごいようですね、インフラ整備にも、そういうところからいっぱいお金を出してもらいたいです(^人^)

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  5. 日本晴れ より

    >インフラと言えばとかく「無駄だ」「利権だ」「シロアリだ」と叫び続けてこられましたが、これからはそうした旧来型のインフラ論を「超」えた、『超インフラ論』こそが、私たちの国、日本の未来を切り開くために、強く求められているのです。藤井先生の言う通りだと思います。新自由主義と財政均衡至上主義による机上の空論よりもそっちの方が日本の未来を切り開くと思います。しかし未だにインフラ論は無駄、新自由主義こそが成長に繋がるといったのが保守界隈やメディアでもまだ見受けられます。そこは断じて違うと言っていく必要がまだまだあると思います。

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  6. docholiday より

    >「大阪都構想」の住民投票が終わって、もう二か月。あれから、安保法案問題、ギリシャ危機、中国株暴落など、実にいろいろなニュースが目まぐるしく飛び交い、都構想の議論は、何か「遠い昔」の話に思えてきます。都構想はもう一度、問題点を整理する必要があります(メディアはやらないだろうが)。あんな杜撰なもので大阪がよくなるという幻想を徹底的に炙り出さなければなりません。橋下の片棒を担いだメディアや言論人たちの責任は重大です。そ奴らは、いまだに橋下恋しやを奏でています。>つまり、「都構想」における言論戦とは、とどのつまり、「新自由主義」あるいは、それを基軸とした「新自由主義・全体主義」との戦いの中の一つの「局地戦」に過ぎなかったわけです。都構想騒動では、橋下自身はそうした思想的背景を持っていたかどうかは不明ですが(何せ自分の考えは無く、すべて何処かから借りてきた概念の寄せ集めに過ぎないから)、今まで表に出にくかったものが、都構想で一気に噴き出た気がします。先週の「正義のミカタ」でも、スポーツ評論家と称する玉木正之が無責任な言辞を連ねていました。公共事業は高いほどよい、随契がおかしいとかゼネコンがどうとかお決まりのパターンです。オリンピックを無事開催しようなどという気はさらさら感じられなかった。こういうのが、日本中にうじゃうじゃいるということですね。われわれは厳しい中、この日本を守るためそういう勢力と戦っていかなければならないのでしょう。

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  7. 學天則 より

    藤井先生、大阪ではいよいよ、総合区の在り方を巡った第2ラウンドが始まりました。橋下さんと維新側は総合区を都構想を将来導入する踏み台としてしか考えていない様です。というか、はなから大阪会議と総合区を潰し、再び都構想の導入を行うつもりだったのでしょうね。このままだと市長選で合区論という極めてあふぉらしい土俵があふぉ市議たちによって設定されてしまいます。あほらしい事で争った大阪都構想の焼き直しであり再現です。住民の意見を吸い上げ市の予算に反映させるために、24の行政区という、きめ細かい地域性を否定する合区論はこれは形を変えた劣化、都構想であり、大阪市の解体です。先生はユニークかつ聡明な方ですので、皆まで話す必要もないと思われます。現状を分析されて問題ありと思われましたら、というか問題有り過ぎだと思いますが、必要でしたら西田議員、三橋氏ともども、早めのご参戦をお願い申し上げます。市議が主体性の無いあふぉばっかりでご迷惑ばかりかけて誠に申し訳ない。

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  9. robin より

    インフラの充実は物質面でのコミュニケーション(交流)の高度化で、ソフト面での高度化とは言語、文化によるものだろうか。お金とは交流のためにあるもの。

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  10. 新自由主義を打ち破れ。 より

    新自由主義者の心情。自分の損得に忠実であれ。これに徹底すべし。絶対に他人を助けるな。絶対的無駄である。自分のエゴが神であり、弱者の願いは、キリギリスの叫びに過ぎない。友情も連帯も協力も、伝統も慣習も古典もお金の無駄。弱い産業は、それがどんな意味があるとしても、消滅させろ。損だから。国も皇室も地域も自治体も、主権も自治も無駄。損だから。どこで暮らしても、なに人でも、勝ち組は勝ち組、敗者は敗者。それだけ。得になるなら、親でも国でも何でも売ります。

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