From 藤井聡@京都大学大学院教授
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●●憲法9条は日本の誇りなのか? 国家の危機の原因か?
月刊三橋最新号のテーマは「激論!憲法9条〜国家の危機に備えるために」
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都構想を巡っては、様々なフレーズやスローガンが、喧伝されています。
ここでは、それらを、少なくとも筆者が認識している客観的な情報に基づいて、一つずつ、その妥当性を考えてみたいと思います。
【1】「大阪都で二重行政を解消し、豊かな大阪を作る」
報道では、定期的な各メディアが都構想の賛否についての世論調査を有権者を対象に行っていますが、その結果を見れば、おおよそ、賛否拮抗しているというのが、現状の様です。
賛否の比率は、調査によってまちまちですが、一貫して、賛成の理由のトップに挙げられているのが、
「二重行政の解消」
です。例えば、NHKの最新の調査によれば、賛成派の実に「三分の二」の方々が、二重行政の解消を、賛成理由にあげています。
http://satoshi-fujii.com/150412-2/
その背景にはもちろん、都構想を推進する方々が、その点を繰り返しアピールしてこられたことがあります。例えば、今、有権者を対象としたCMにて、
「大阪都で二重行政を解消し、豊かな大阪を作る」
というスローガンが日々、喧伝されています。
https://www.youtube.com/watch?t=10&v=hvQlxalrDTs
しかし、当方が知る限りの客観的情報に基づけば、どれだけ考えましても、「二重行政の解消」で豊かな大阪を作るほどの豊富な財源は、生まれてこないことは明白です。なぜなら、よくよく調べてみれば、大阪に削れるような無駄な二重行政は、ほとんどない、ということが既に公的な議会の場で、大阪市役所が公表しているからです。
既に『大阪都構想(9) 二重行政・解消という「幻想」』
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/03/24/fujii-135/
にて指摘しましたので、繰り返しとなりますが、改めて説明しますと以下の様になります。
(1)そもそも全国で20もある政令指定都市で、「二重行政解消のために都構想を!」という議論は全く起きていない以上、「都構想による二重行政解消論」それ自身の信憑性はにわかに信じがたい。
(2)実際、かつて年間4000億と言われた二重行政解消効果だが、その後議会と行政で何度も精査が繰り返され、今日では、「1億円」程度であることが、大阪市役所が試算した結果から明らかになっている。
(3)なぜそうなったのかと言うと、かつて二重行政だと言われていた図書館、体育館、水道等は、いずれもよくよく調べてみると「無駄な二重行政」はほとんど見当たらず、効率化できる余地がほとんどなかったから。
(4)そして、橋下市長もこうした推計結果を受け、昨年7月には、「僕の価値観は、財政効果に置いていない。」という、実質的に、「二重行政の解消」で豊かな大阪を作るほどの豊富な財源は、生まれてこないことを認めた、とも解釈できるような発言をしている。
これらを踏まえますと、「大阪都で二重行政を解消し、豊かな大阪を作る」というスローガンの信憑性は極めて乏しいとしか言いようがない、と筆者は考えます。
(なお、「大阪都」という言葉もこのスローガンの中に使われていますが、この言葉も、誤解を招く表現だという指摘も可能です。)
http://satoshi-fujii.com/150412-5/
【2】「大阪府の財政、赤字を黒字化」
さらに、先に紹介したTVCMでは、
https://www.youtube.com/watch?t=10&v=hvQlxalrDTs
「大阪府の財政、赤字を黒字化」
という言葉が、喧伝されています。
これだけ目にすれば、誰もが、ここ最近の政治で「財政が改善」したかのように認識するのは避けがたいと思われますが、そうした認識は完全に「事実と乖離」しています。
こちらのグラフからも明白な通り、現大阪市長が大阪府知事に就任してからというもの、大阪府の借金が増えるスピードは「二倍」になっているのが事実なのです。
http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/wp-content/uploads/2015/03/tokoso/7jijitsu2/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%896.jpg
そして、その結果、大阪府は、財政が悪い自治体に与えられる不名誉な「起債許可団団体」に指定されてしまっているのです。つまり少なくとも、このスローガンが暗示し得る「橋下府政で財政改善」という「イメージ」は事実と異なる間違いであり、虚構としか言えないのです。
(※ なお、「大阪府の財政、赤字を黒字化」という言説の虚構性については、例えば、下記にて解説されています。
http://www.nnn.co.jp/dainichi/rensai/lookingforward/130603/20130603031.html)
【3】 「総務大臣が大阪都構想を認めた」
この言説は、例えば「総務大臣が認めている大阪都構想」という名称の下記サイト等で、非オフィシャルな形で流布されています。
http://togetter.com/li/806296
また、それに関連する言説として、次の様なフレーズも公言されています。
「大阪都構想の設計図は完成した。制度としてはこれで全く問題ない。総務大臣から特段問題なしとの意見を受けた。」
https://twitter.com/t_ishin/status/554577822727950336
このフレーズを素直に読めば、総務省、総務大臣が、都構想の「中身」をチェックしたところ、問題なし、という判断が下された、と解釈するのではないかと思います。
しかし、実態はそうではなく、大臣は、大阪市から提出された「書類に不備がなかった」という趣旨を語っているに過ぎず「都構想の中身」についてチェックした訳ではありません。
http://satoshi-fujii.com/150412-3/
すなわち総務大臣は、ご自身のHPにて、
『今回の「総務大臣意見」は、協定書案の内容について「特段の意見はない」ことを述べるものであって、いわゆる「大阪都構想」の是非について述べるものではない』
https://www.sanae.gr.jp/column_details708.html
と明言しておられるのです。
繰り返しますが総務大臣は、さながら、そうした誤解をあえて避けるかのように『いわゆる「大阪都構想」の是非について述べるものではない』と言明しておられるのです。したがって、「総務大臣が大阪都構想を認めた」とは到底、言えないのです。
【4】「都構想に対して専門家からは批判は出なくなった」
この趣旨のフレーズは、例えば、次の様な格好で、先に紹介したフレーズとともに使われています。
『大阪都構想の設計図については、総務大臣から特段問題なしとの意見が出てからは、専門家からは批判は出なくなりました。騒いでいるのは身分を守りたい大阪市議会議員と素人のみ』
https://twitter.com/t_ishin/status/554574891853160448
しかし、学者の世界では、賛成派はほとんどおらず、反対派が圧倒しているのが現実です(無論、大臣見解が公表された後にも反対派の書籍は出版されています)。
http://satoshi-fujii.com/150409/
しかも、都区制度専門家である「東京都の関係者」は、概して大阪都構想に対して批判的です。
曰く『十八年間、東京の都区制度を取材し続けてきた一人として、大阪で都区制度を導入しようとする試みは、滑稽でしかなかった。』
http://satoshi-fujii.com/150408-3/
『東京23区の区長の中で大阪都構想に賛成の声は聞いたこともない。』
http://satoshi-fujii.com/150412-4/
すなわち、これら発言や事実を踏まえれば、都区制度について詳しく知る、東京都の関係者や学者たちは、概して大阪都構想に対して批判的だと言わざるを得ないように、筆者には思えます。
【5】「ワン大阪」
最後に、都構想で頻繁に使われているフレーズに『ワン大阪』というのが、あります。これは、「大阪市と府の境を無くして大阪を一つにする」、というイメージを喚起するためのフレーズです。
そして、「ワン大阪」を実現するための「協定書」をつくり、その賛否を問う投票をしましょう、と言われています。
では、実際、その「協定書」の中身を、その書類により忠実に視覚的に表現しようとすると、次の様にならざるを得ないものと、筆者は考えます。
http://satoshi-fujii.com/150410/
こうした行政改革で出来上がるものが「ワン大阪」とは到底解釈できない、とお感じになる方は決して少数ではなかろうと、筆者は考えます。
・・・・
人間の判断において、ムードや虚構が大きな意味を持つことは、避けがたい事実です。
しかし、私たちの未来、子や孫の未来を決定する「政治的判断」においては、そうした内容を伴わないムードや虚構の影響力を最小化し、冷静な理性や論理に基づいて判断市無ければならないのは、何人たりとも否定できない真実です。
本稿の指摘が、そうした冷静な理性的、論理的判断に貢献することを祈念したいと思います。
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「豊かで格差のない日本」を残したいなら、、、
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4月号のテーマは、憲法9条。もうすぐ憲法記念日。そして、今年は戦後70周年。
いま改めて「戦後日本とは何か」を問い直せます。
【藤井聡】都構想を巡る「フレーズ」「スローガン」にはご注意を。への16件のコメント
2015年4月14日 6:33 AM
さいとう様 お返事下さってありがとうございます。 大阪の皆さんが、故郷の運命を変えるかもしれないような、大変な判断を迫られていらっしゃる事、こんなに重い内容を決める事を求められている事が、気がかりでなりません。心配しております。 大阪の皆さんが、きっと正しい判断をされると信じております。 大阪に幸運がありますように!
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2015年4月15日 6:51 AM
メイ様そうなんですよ!政令市なんて手足の指ほどあるのに、他で2重行政なんて聞いたことがない大阪特有の問題が何かあるのか、とか、その解決には市解体が答えなのか、とか色々考え、最近ちょっと反対に傾いています今週末まで今少し考えます藤井先生、情報提供ありがとうございました!
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2015年4月16日 12:16 PM
維新の会の主張の一つは、「二重行政があるから(府と市の意見が合わないから)政策が進まない」という事のようですが、それは、多様な意見を認めない、という事ではないでしょうか。 それぞれにお考えもあるでしょうし、立場の違いや、利害が絡む事もあり、意見が分かれる事はむしろ当然ですし・・だからこそ話し合いや調整を根気よくしていく必要があると思います。とても大変な事であると拝察致しますが、自治体の長となられた方にはそれを采配して頂くしか無いのでしょう。 「府市の意見が合わない」という、どこにでもある当たり前の状況ですのに、話し合いの努力を捨てて、市の権限を奪ってしまうのは、乱暴すぎると感じますし、危険な発想だと感じます。 申しにくい事ではございますが、話し合いの場を運営していく力量に疑問符がついてしまうのではないでしょうか。
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2015年4月17日 10:58 AM
(現)西区の住人です。大阪『都』構想については発表以来自分なりに考えてきた中で、藤井先生のブログには大変勉強させられました。有難うございます。現時点、正直賛否を決めかねている状態です。大きく悩むところは(他の住民たちも同じ?)、現大阪府が公債費比率が18%を超える起債許可団体であり、大阪市はまだ15%を切る状態で比較的恵まれていることを出発点として、1:都構想に賛成した場合のメリット 1−1 大阪府の財政状況が好転する(制限団体への転落防止) 1−2 大阪市民は市のことのみ考えるのでなく、府全体の底上げが可能かもしれない都構想に賛成すべき?2:都構想に賛成した場合のデメリット 2−1 ハルカスや御堂筋整備など、市が集中的に投資してきた事業はなくなる? (府が代わって実施するのか、そんなことに金は使わないのか??) 2−2 確実にランニングコストは増えるが、見合うだけの効果(税収、観光客招致など)は?・・・・あたりで悩んでいます。維新の言うことを無条件に信じるほど無邪気ではないつもりですが、かと言って、前掲の府・市の現状を変える方策も自民等反対勢力から聞こえてきません。当分悩みは続きそうです駄文、失礼しました
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2015年4月18日 9:02 PM
ここに来て、藤井教授らしくない筋の悪い揚げ足取りですね。大阪都妄想は既に宗教であり、批判では無理だと思います。民主党の時と同じなのであると思えばあるのです。STAP騒動を思い出してくださいませんか?大衆は学習なんてできませんよ。手を変え品を変え、死ぬまで騙されるのです。ならばこちらも、ある事を前提に騙すのが得策だと思います。ないけど皆さんがあるというなら念のためにこれやりますこれやってなかったらないでしょ。みたいな提案が欲しいですね。
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2015年4月20日 7:35 PM
効果額が1億円といっているのは市役所ではなく、「反対」している市議会の意見ですよね。市役所の大都市局のシミュレーションでは2700億円という試算をされていたとおもいますが。上記が真実ならこの記事は明らかな情報・印象操作にあたりますので、その場合は訂正の記事出された方が良いですよ。市議会≠市役所ですから。また他の政令都市との違いとしては予算や府の大きさ、横浜市と神奈川のように役割分担ができていない、それが何十年も続いていてそれを改善する具体的な対策が今までの大阪ではでてこなかった背景を忘れてはおりませんかね。こんな瀬戸際に立たされても、今まで失敗してきた政党はまともな対案がだせないような状況です。改善される余地があるなら都構想なんて話でてきませんよ。
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2015年4月22日 3:59 AM
私は都構想の賛否を論じる前に、現在の体制がどうなのかを冷静に判断したいだけです。?はこの記事で行政の試算で1億円という具体的な数字を出されていますのでOKです。??に対して藤井氏からの具体的事実や見解+客観的な数字は出てきておりますでしょうか?その部分の藤井氏の文言を教えていただきたく
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2015年4月22日 12:59 PM
3、政令都市という権限をもっていることで得られる経済効果。これは私の言った事であり、その事を含め藤井氏に対しての批判をする時点で、かえる氏の冷静さ、かつ平等差、に問題あり。 以上
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2015年4月23日 4:04 PM
全てにおいて言及なさっています?が??をはるかに上回るとおっしゃっています橋下氏の公権力(かっては人気タレント)に比べれば、京大教授なんてちっぽけなものです
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2015年4月24日 9:29 AM
ご指摘感謝です。私の問題意識は、賛成/反対派ともに自分の都合の良い点しか言わないという昨今の論調に対して、国民の税金が入っている京大という組織の教授という肩書で言論している藤井氏には、そこらへんの反対派がやっているような揚げ足取りのような反論ではなく、様々な視点での冷静な事実分析と総合的な解釈をしてほしいと思っています。例えば二重行政という言葉を冷静に定義し、事実と学者ならではの知見をまず示して、総合的に意見を述べてほしい。例:橋下氏の問題意識となっている二重行政を語る上では次の論点は必要になる?府と市で無駄になっている点の損失?権限が重なる部分で方向性がバラバラの部分の経済損失?政令市という権限を持っていることで得られる経済効果これらを冷静に学者としての視点で知見を示し、例えば総合的に?が??を上回るためそもそもの問題認識に難ありとか??が?を上回るが、現在の仕組みで対策可能とかそんなことも論じずに税金の入っている京大の教授の肩書で、(本まで出して)言論している姿勢に問題がある。肩書を外しての政治活動であれば全く問題なし市民としては冷静な判断材料が欲しいだけで、京大教授という方にはそれを期待したい。
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2015年4月25日 10:54 AM
2 権限が重なっている部分の方向性の違い。つまり政令指定都市の権限を批判する内容ですね。これは方向性が同じであれば、経済効果が出たかもしれないが、それよりも政令指定都市の権限、集中投資が出来たおかげで、経済効果が生まれた事の方が大きいのではないか、という解釈もできます。かえる氏は政令都市制度を廃止した方がいいとお思いなのですか?
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2015年4月26日 3:51 AM
すでにどちらも言及はされてますね。方向性を合わせるために、大阪市の政令指定都市として権限を放棄して、5つつの区に分割する意味は?都市設計をしたことのない大阪府庁に、大阪市の設計を任せる合理性は?行政を一重にしたところで、適材適所、人材、ノウハウがミスマッチなら経済効果どころではないです。効率が悪いヵ所があるなら改善すればよい。しかし、人材やノウハウは一度失うと将来に継続する損失になる。それから、23区民がどう感じているかなんて、何のために聞くんでしょうか?そもそも東京は日本で一番栄えている都市なのに。そして、東京が何故栄えたのかは、すでに藤井先生が言及済みですね。
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2015年4月26日 2:44 PM
学者としての主張が偏っていると思う点その1二重行政という言葉には二つの意味があると思う。?同じ施設などの重なり合い?権限が重なっている部分の方向性の違い?は数字でも測りやすくまさに無駄といわれるところ?うまく方向性を合わせてやっていれば、経済効果は出たかもしれないのに、うまくできていないようなこと。ただこれは表面上は損や無駄としては出てこない。ある政治家が?が少ないとだけ主張するのは仕方ないと思うが、学者として?に対する見解がないのは非常に残念。その2東京の関係者のくだりについて、権限を持つ人や利害関係のある都区関係者の言葉しか載せていない。重要なのは東京都の区民がどう感じているか。フレーズに反論しているだけといえばそれまでであるが、学者として、なぜそこに言及しない??京大の学者は他人の揚げ足取りするだけでよいのか?反対の立場ということは理解できるが、学者らしく様々な視点を論じたうえで主張してほしい。
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2015年4月27日 4:59 PM
https://www.youtube.com/watch?v=Dg1Tu2-dA-A橋下市長は街頭プレゼンで、「協定書(動画内では設計図と呼んでいます)の中身について市民は理解する必要はない。けど、市議会は協定書の中身にケチをつけてくる。」と述べています。投票をする大阪市民は、協定書の中身について納得いくまで理解した方がよいですし、市議会が協定書の中身に指摘をするのも間違ってはいないはずです。(どのような指摘をしたのか、というのは別の問題としてありますが。)しかも、協定書を作りはじめたときは、「完成後にいくらでも指摘してよいので、今は黙って作らせてくれ。」といったことを TV で発言をしていたのを覚えています。このとき、完成後には手のひらを返すのではないかと思いましたが、予想通りになりました。協定書を設計図と呼び「車の設計図を見て車は買わないでしょ」というのは、強引です。技術設計書と行政システムは違います。かたや相手は物理法則で、かたや相手が人や社会です。車を開発するプロジェクトの運営体制図に例えるなら、まだ分かります。しかし、プロジェクトの運営体制も分からずに、プロジェクトに参加するエンジニアはいません。その後示されている各種の数字も、有効求人倍率はリーマンショック後の数字との比較なのが作為的です。これだと上がっていない方がおかしいです。しかも大阪より有効求人倍率の高い地域の数字は書かれていません。また、大阪は人口が減っていて、かつ完全失業者数はあまり減っていないはずです。とてもアピールできるほどの成果には見えません。地価の上昇についても、円安などの影響から三大都市圏は上昇傾向だったはずです。また大阪は、大阪駅の改装やあべのハルカスの開業などの影響もあるはずで、橋下市長&松井知事の手柄とは、とても言えない状況だと思います。指標を間違えているようには見えず、明らかに意図的に数字を都合よく見せて、世論を誘導している姿にしか見えません。少し調べるだけでも、胡散臭さしか感じなくなります。
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2015年4月27日 11:30 PM
いつも勉強させていただいております。ありがとうございますm_ _m大阪の二重行政については、100万人あたりの公立大学、図書館、公立病院の病床数、などで見ると、この見方が妥当であれば、というのはあろうかと思いますけれども、東京や関西圏の府県と比べても軒並み下位圏にあり、むしろ相対的に不足傾向にあるのではないかというようなデータも見かけたように思います。いずれにせよ、藤井先生のご議論を拝見させていただいておりますと、二重行政の解消というのも大阪都構想のお題目としてはいささか説得力に欠けるものであろうという感想を否めません。より多くの大阪の有権者の皆様に大阪都構想についての藤井先生が展開されていらっしゃるようなまっとうな議論が広がることを願います。
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2015年4月28日 9:04 AM
推進派の言い訳が自分で自分のクビを絞めている事に気随ていないのが哀れで気の毒であります。例えば、「大阪が発展出来ないのは、行政の仕組みが原因だ。だから東京みたいにするんだ。」まずこれを理解して下さい。今度は、2200億流出に対し、「2200億は絶対に流出しない」と断固ならぬ異常な反論を展開しています。可笑しいですよね、東京特区が政令指定都市と仮定するならば、莫大な自主財源が流出しています。是非はともかく。しかし大阪市の自主財源は維新によると全く外には流出しないそうです。つまり、東京特区は莫大な予算があるお陰で是非はともかく特区並び市町村、もしくは近隣の県をも助けている事になります。しかし大阪市は財源が小さいので、他の市町村を助ける事はできません。2200億が流出しないと言う事はそう言うことです。と言うことは、都構想というものは東京都の様になれず、大阪市(政令指定都市)の権限を奪うだけであって、政令指定都市の持たない、和歌山、奈良、滋賀の様にするという事になります。ここで最初に言った事を思い出してほしいのですが、「大阪が発展出来ないのは行政の仕組みが原因だ」ならば、和歌山、奈良、滋賀は発展していなければならない事になります。維新の言う都構想は、和歌山、奈良、滋賀、になる事です。
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