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2025年7月16日

【三宅隆介】憲法の上に条約、そしてアメリカ_日本の主権は今も奪われている

From 三宅隆介@川崎市議会議員

令和7年6月19日、私は川崎市議会において、志を同じくする無所属の議員と共に、ある意見書案を提案いたしました。

それは、地方自治法第99条に基づき、地方議会が国に対して意見を具申できる制度を活用したもので、日本の将来に深く関わる重要な提案であったと自負しております。

その内容は、「大日本帝国憲法を復元し、現行憲法を無効とした上で、新たな憲法を制定していただきたい」というものでした。

憲法とは本来、国家の主権が発動されて初めて、その正当性が担保されるものです。

ところが、現行憲法は、我が国が主権を喪失したまま連合国に占領されていた時代に、連合国軍総司令部(GHQ)の主導のもとで制定されたものです。

そのような憲法に法的な正統性があるわけがありません。

多くの方からは「改正すればよいのではないか」という声もいただきます。

しかし、占領下で定められた枠組みの中でいくら改正を繰り返しても、それはあくまでマッカーサーの描いた枠の内側でもがいているに過ぎず、現行憲法を「最高法規」として崇め続ける限り、私たち日本国民は、いつまでも「隷属国民」の立場から抜け出すことはできません。

たとえば、その象徴ともいえるのが、「横田空域」の存在です。

東京・横田基地を起点とし、神奈川、埼玉、群馬、栃木、福島、新潟、長野、山梨、静岡の1都9県にまたがる広大な空域が、今なお米軍の管理下に置かれています。

この空域では、日本の民間機や自衛隊機でさえ、米軍の許可なしには自由に飛行することができません。

羽田空港に着陸する旅客機が千葉県側を大きく迂回しているのは、この空域の制限によるものです。

驚くべきことに、このような重大な制限には、我が国の憲法にも国内法にも根拠がありません。

その法的な支えとなっているのは、「日米地位協定」や「日米合同委員会における合意」といった、いわゆる条約や国際的な取り決めなのです。

つまり、現行憲法が「最高法規」とされているにもかかわらず、実際にはその上に条約が存在し、さらにその上に米国という国家があるという、いびつな主従関係が現実のものとして存在しているのです。

そもそも、米国という国は、条約と国内法が矛盾した場合には、国内法を優先させるという原則を明確に持っています。

合衆国憲法第6条は「条約も合衆国の最高法規である」と定めておりますが、それはあくまで連邦法と整合性がある場合に限られ、矛盾する場合には国内法が優先されるという立場を、同国の最高裁判例も支持しています。

したがって、米国においては条約が自国の主権を脅かすことはありえず、日本が米国と締結した条約は結果として日本にとって不平等な内容にならざるを得ないのです。

TPPやFTAといった経済連携協定も、こうした条約優先構造の中で締結され、日本に不利な条件が組み込まれやすいという構造的な問題を抱えています。

こうして日本では、憲法よりも条約が優先されるという構造こそが、不平等の温床となっているのです。

日本の食料自給率が深刻なまでに低下しているのはなぜか?

それは、「MSA協定」という戦後の軍事援助に関する条約が存在しているからです。

日本の国土が外国人により際限なく買収されているのはなぜか?

それは、「GATS協定(サービス貿易に関する一般協定)」という条約があるからです。

今の憲法を「最高法規」として認め続ける限り、私たちは未来永劫、「属国の民」として生きるしかありません。

そして、こうした主権の空洞化を放置すれば、やがて日本は中華人民共和国の勢力圏に組み込まれ、「日本人自治区」となってしまうような未来すら現実味を帯びるのです。

それは決して杞憂ではなく、経済・軍事・情報といった多方面から静かに進行している現実なのです。

だからこそ、私たちが川崎市議会で提出した意見書案は、極めて重大な意義をもつ提案だったと確信しています。

しかしながら、残念なことに、自民党、立憲民主党、公明党、国民民主党、共産党、日本維新の会といった既成政党は、ことごとくこの提案に反対の立場を取りました。

この事実は、もはや既成政党の枠組みでは、日本の主権と尊厳を回復することは不可能であるという現実を示しています。戦後体制の中で利益を得てきた政党たちは、その構造から脱する意思を持ち得ないのです。

私は、この国の主権と誇りを取り戻すために、これからも声を上げ続けてまいります。

私たち自身の手で、真に自立した日本を築くために。

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【三宅隆介】憲法の上に条約、そしてアメリカ_日本の主権は今も奪われているへの3件のコメント

  1. 利根川 より

    >>しかしながら、残念なことに、自民党、立憲民主党、公明党、国民民主党、共産党、日本維新の会といった既成政党は、ことごとくこの提案に反対の立場を取りました。>>

     元々、自民党は独自憲法を制定することを目標に結党された政党だったような気がしますが…まあ、本格的に存在意義がない政党になってきたということなのでしょうか。他の党はともかく、自民党は反対したらダメでしょうに(苦笑い
     第二次大戦以降、様々な国が独立を果たしてきましたが、独立した国々はきちんと自国の憲法を制定しているということなので、日本もアメリカが制定したものを流用し続けるのではなく、

    「日本はこんな国!」

    というのを示せるような独自憲法があるといいですね。
     ただ最近まで「政治の話はタブー」みたいな空気があって、憲法どころか政治系の話題に触れるだけでも「変な奴扱い」みたいなところがあったので、まずは国民がしっかりこうした話題を(喧嘩せずに)普通に話せる環境をつくることが重要だと思います。民主制で政治の話がタブーってさぁ…
     それから、正直、参議院選挙で注目されている分野って

    ・経済・物価対策
    ・食料自給率
    ・外交

    こうした分野で、憲法に注目している人はそう多くない印象です。議論が深まっていないというのはこういうことなんじゃないでしょうか。
     あと、今の状況だと必ず財務省が、

    「国の財政支出はGDPの3%を超えてはならない!」

    とか、余計な文言をスルッと混ぜてきそうなので国民の分断を招くことも相まって現時点での憲法制定はよしておいた方がいい気がします。
     とはいえ、誰も種をまかなければ議論などいつまで経っても起きないので、

    「令和7年6月19日、私は川崎市議会において、志を同じくする無所属の議員と共に、ある意見書案を提案いたしました。」

    こうした活動は大変ありがたいと思います。
     

    現場の悲鳴を聴こう 緊縮財政がいかにインフラ整備を阻んでいるのか [三橋TV第458回]三宅隆介・三橋貴明・高家望愛

    三宅さんは、まだ高家さんが相方を務めていた時代に登場された方でお久しぶりな感じが致します。お元気そうで何よりです。

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      1. 利根川 より

        TBSの太田光さんと参政党・神谷宗幣代表のお話を聞きました。

        神谷代表「私は現在の憲法が最悪のもので全部変えろとかそんなことは言っていません」

        神谷代表「保守の人と結構ケンカになるんだけど、憲法9条がなかったら日本はけっこう(関係のない)対外戦争に連れ出されてますから」

        神谷代表「憲法9条を盾にいろんな戦争への参加を断ってきた」

        神谷代表「日本人の知恵だったと思うんですよね」

        目から鱗でした。どちらかと言うと憲法9条って国防にとってマイナス要素だと思っていました。勉強になりました。話をすることって重要なんですね。しかし、右と左だとどうしてもけんか腰になるので、話をするの自体が面倒で面倒で…、、、政治の話がタブー視されるってこういうことね(苦笑い

         
        太田さん、神谷代表、ありがとうございました。

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  2. 利根川 より

    【徹底討論】真のエリートとは? 「社会を恨む」インテリの歪んだ思考/アメリカで始まっている「反・新自由主義」改革とは?/Part4(中野剛志・施光恒・古川雄嗣・岩尾俊兵)

    中野さん「保守系にとって法律とか憲法ってすごく大事、秩序そのものであり規範だから、でも、法律では共同体という曖昧なものは条文に書いてないよね。」

    民主制は「みんなの範囲」が決まらないと話し合いは始まらないので、共同体が重要。

    古川雄嗣さん「部活動を思い出せ!」

    部活動みたいに気のいい連中と楽しくやれれば最高なんでしょうけれど、2000年前後あたりから再び左右の衝突が激しくなってきて、リアルグラディエーターみたいになっちゃてる例もあるんですけど、、、正直、近寄りがたい。攻撃性むき出しの現場で身体感覚とか共同体とか言われても難しいんじゃないでしょうか(苦笑い
     たぶん、一度現場でガッツリやりあっちゃうと部活動とは違って永久に「敵」になっちゃいそう。

    岩尾俊兵さん「エリートは根本的に社会を恨んでる」

    岩尾俊兵さん「遊ぶこともできずひたすら勉強を詰め込まれて」

    岩尾俊兵さん「何の意味があるか分からないけど、この苦しみを耐え抜いていい大学にはいれば、いい思いができるんだと」

    岩尾俊兵さん「この苦行をこなしてない奴らなんか知るか!みたいな」

    岩尾俊兵さん「苦行をした俺たちの仲間だけはいい思い出来るんだ、みたいな感じでやっちゃう」

    以前から何度も言うように、努力をすると社会に対して復讐を始めてしまうくらいなら努力なんてしてくれなくていいから(真顔

    「エリートとは、自分自身に自分を超える義務を課すこと」オルテガ・イ・ガセット

    その定義で言うと、財務官僚は社会のために厳しい義務(財政黒字化)を己に課しているわけで、まさにエリートなんでしょうけれど、彼らが頑張れば頑張るほど日本経済はぶっ壊れていくわけで、、、エリート要らないなってなりそう。

    「あと5分サウナから出ないで我慢出来たらエリート」中野剛志

    この定義におけるエリートなら大歓迎です。
     憲法について議論するには「みんな」でやらないといけないわけですけども、今回の参議院選挙もそうですが、かなり激しくやりあっている人も見受けます。選挙が終わって「はい、ノーサイド」とすんなりいくものなのか。

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