日本経済

2019年11月4日

【三橋貴明】特別会計とルサンチマン・プロパガンダ

From 三橋貴明

【今週のNewsピックアップ】

安倍政権は「医療の余裕」すら破壊する
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12540580903.html

財務省のルサンチマン・
プロパガンダに騙されない
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12541177738.html

珍しく「特別会計」の話をしましょうか。

なぜ、三橋が「特別会計の闇」とやらに
ついて語らないのかと言えば、
別に闇でも何でもないためです。

何しろ、財務省のホームページに
詳細が載っています。
https://www.mof.go.jp/budget/topics/special_account/index.html

ちなみに、

「特別会計の中身は国会議員ですら知らない」

「国会で審議されることすらない」

と、いかにもなことを言う人がいますが、
バカバカしい限りです。
特別会計は一般会計と同じく、
普通に国会で審議され、可決さています。

ちなみに、予算書が分厚く、
国会議員が目を通さないという問題は
あるかも知れませんが、
それは「国会議員側の問題」であり、
しかも一般会計も同様に膨大です。

2018年の一般会計予算だけで、
1000ページ(!)を越えます。
特別会計は500ページ超でした。
https://www.bb.mof.go.jp/hdocs/bxss010bh30.html

特別会計とは、そもそも「特別」ではなく
「別会計」なのです。

例えば、年金財源は国税と保険料という
ことになっています。
一般会計の歳入は、税収と税外収入だけです。

というわけで、別会計を作り、歳入側を
「保険料+税収(一般会計からの組み入れ)」
として、会計処理をしているのです。
https://www.mof.go.jp/budget/topics/special_account/31tokubetukaikeinosaisyutu.pdf

特別会計が「闇が!」と思われる理由の
一つは、額が389兆円と大きいためだと
思いますが、内、
約103兆円は単なる国債借換、
約90兆円は会計間の資金移動、
87.5兆円が国債の償還、
借換の基金ということで、
別に「支出」されているわけでは
ありません。

さらに、約70兆円が社会保障支出、
約20兆円が地方交付税、
12兆円が財投債などで、
残りが6.1兆円。
https://www.mof.go.jp/budget/topics/special_account/6.1tyouennnnoutiwake.pdf

6.1兆円は、各官庁が独自財源などで
「食料安定供給(農水省)」、
「エネルギー対策(経産省)」、
「雇用安定事業(厚労省)」
といった行政サービスを提供しています。
つまりは「支出」されています。

各事業の中身は、以下で見れます。
https://www.mof.go.jp/budget/topics/special_account/kaiji_link.htm

特別会計に「闇」など存在しないのですが、
ここまで説明しても、以下の反発をする人が
いるのではないでしょうか。

「例えば農水省が食料安定供給のために
 特殊法人を作り、そこに官僚が
 天下っている。けしからん!」

いや、ちょっと待って。
退職した官僚に「再就職するな」とは
言えませんし、しかも何十年も農水省で
培った経験、知識、ノウハウを、
国民の食料安全保障を確保するために、
特殊法人に「再就職」したうえで
活用してもらう。

これの、何が問題なのでしょうか? 
むしろ、農政と全然関係ない分野に再就職
される方が、国家にとって損失でしょう。

また、勘違いをしている人が多いですが、
財務省は特別会計が嫌いです。
理由は、自分の所管外であるため、
緊縮路線を採れないためです。

というわけで、財務省は特別会計の
一般会計化を推進しています。

09年には、ガソリン税などを財源とし、
国交省が道路を建設していた
「道路特定財源」が一般会計化されました。
結果、国交省は財務省に頭を下げなければ、
道路一つ作れなくなってしまいます。

14年には、
社会資本特別会計が一般会計化され、
公共事業を「大きく見せかける」ために
使われたのはご承知の通り。

例えば、財務省が、

「自分の所管外の特別会計を潰すため、
 特別会計が【悪】であるとの印象を
 広めたい」

と考えたとして、三橋ならば、

「特別会計には闇がある。
 官庁が特殊法人を作り、そこに官僚が
 天下っている。けしからん!」

との情報をメディアで大々的に
発信することでしょう。

すると、ルサンチマンに溢れた日本国民が
「そうだ!特別会計廃止するべき!」
と叫びだし、財務省はまんまと
「財務省以外の官庁」が所管している
予算の権限を奪取できる。

09年の道路特定財源の一般会計化の
際には、まさにこの種のルサンチマン
手法が使われました。
(マッサージチェア、覚えていません?)

財務省は年末の診療報酬改定に向け、
「国民負担を抑制する」という名目で、
診療報酬の引き下げを進めています。

財務省が本気で国民負担抑制など
考えるはずがありません。
国民負担を抑制したい省庁が、
消費税を推進するはずがありません。

財務省は、診療報酬引き下げという
緊縮財政を、「国民 対 医療関係者」の
構図に持ち込み、対立を煽ることで
実現しようとしているのです。

この手のルサンチマン・プロパガンダに
煽られないで下さい。
診療報酬を引き下げ、
医者を困窮させたところで、
国民の負担は抑制されません。

国民のルサンチマンを煽り、
互いに争わせることで、緊縮財政や
レント・シーキングを実現する。
過去二十年以上、
日本で延々と続けられている手法です。

ネット上で「特別会計の闇!」と
騒がれている背後も、実に怪しいので、
今回に限り「特別会計」について
解説しました
(個人的にはどうでもいいのですよ)。

◆【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※特別コンテンツ「MMTポリティクス
 第三回」が視聴可能となりました。
※11月5日から
 上島嘉郎先生と三橋貴明の対談
 「自虐史観はなぜ始まり、深刻化したのか」
 がご視聴頂けます。

◆ビジネス社
「国民を豊かにする令和の政策大転換」
が刊行になりました。
https://amzn.to/2ZadNvr

◆経営科学出版
「知識ゼロから分かるMMT入門」
が刊行になりました。
https://38news.jp/38MMT/MT_TV/

◆週刊実話 連載
「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」
第343回 グローバリズムという疫病
なお、週刊実話の連載は、以下で
(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
http://wjn.jp/

◆メルマガ 週刊三橋貴明
Vol545 二つのインフレ
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
実質所得が伸びるデマンド(需要)プル型
インフレに対し、コストプッシュ型
インフレはどうなのか。
インフレについて
正しい知識を身につけて下さい。

◆メディア出演

三橋TV、続々リリースされています。

三橋TV第156回
【日本国民の敵
 日経新聞の久保田啓介編集委員】
https://youtu.be/29i_vLenzpc
三橋TV第157回
【外為市場・国債市場から
 政府をコントロールする「奴ら」】
https://youtu.be/MfOovT0GKxQ
三橋TV第158回
【ロシアのデフォルトから学ぶ
 国際金融資本のやり口】

10月28日(水) チャンネル桜
「Front Japan 桜」に出演しました。
【Front Japan 桜】防災投資で国富と
我々の銀行預金が増える!?
/ ペンス副大統領の対中演説第2弾
/ 日本の基幹産業が目指す近未来
~東京モーターショー2019[桜R1/10/28]
https://youtu.be/h-oZKb3fgKw

◆三橋経済塾

令和元年11月16日(土)
三橋経済塾第八期 第十一回対面講義
申込の受付を開始致しました。
https://members8.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=752
ゲスト講師は青木 泰樹先生(京都大学
レジリエンス実践ユニット・特任教授)
でございます。

◆チャンネルAJER 
今週の更新はありません。

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【三橋貴明】特別会計とルサンチマン・プロパガンダへの2件のコメント

  1.  今現在、「目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室 【戦略編】」(著・中野剛志)を読んでいる。

     【基礎知識編】を読み終わってから気づいたのだが、

     「ふるさと納税」という名称は国民が勘違いすると思う。

     「ふるさと献金」が正しいのでは・・・?

     先日も大阪のラジオ番組で「ふるさと納税は自治体の財源のために使われている」(税金は「財源確保の手段」)と言っている在版キー局のアナウンサーがいた。

     MMTを勉強すれば、「地方交付税」も名称が変だと思う。

     「これも中央省庁のミスリードなのか?」と勘繰ってしまう(笑)。

    返信

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  2. たけちゃん より

    あれ?
    なんとなく何時もの三橋先生の政策批判では無いような、、、
           財務省を叩きながらも
    今日のビッグブラザーにも同じ記事を書いて、、、
    年金特別会計の使途や高級官僚の定年前の肩叩き退官の言い訳の為の特殊法人は明らかに可笑しいと思いますが、、、、

    返信

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