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2014年3月22日

【言問吾妻】電気自動車で脱原発?

From 言問吾妻@作家&経世論研究所研究員

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●三橋貴明の無料Video「韓国経済の悲惨な現状」
http://www.youtube.com/watch?v=cJ5ZkH04hwE

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みなさんおはようございます!
似非ケインジアンの言問吾妻です。
お恥ずかしい話ですが、一般理論はまだ読んだこと無いんですよね。
手元にはあるんですが、、、

さて、今日は前回の後半に続き電力のお話です。

「太陽光・風力をはじめとする再生可能エネルギーは原発の代わりにはならない。」
という事は、三橋先生が早くから指摘していたことですが、最近は欧州の再生可能エネルギーの推進政策の問題点が色々なメディアで報じられるようになってきました。

全く的外れな日本の「ドイツの脱原発を見習え」論
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39824
脱原発の欧州各国はすでに限界 再生可能エネルギー依存の結末は「電気料金アップ」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7319
独電力大手、脱原発で打撃=火力採算悪化、危機的状況に
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201403/2014031500224&g=int

再生可能エネルギーは不安定で、ベース電源には成り得ないということですね。

そんな不安定な再生可能エネルギーの弱点を補うべく、蓄電池に熱い視線が注がれています。
不安定なエネルギーも、一旦電池にためれば平準化できるということです。

しかし、それには何十万、下手すれば100万円以上する蓄電池を全ての家に据え付けなければいけません。
それはなかなか難しいですよね。

因みに、今の日本の政策(FIT)では、蓄電池にためて自分で使うよりも電力会社に買い取らせた方が(倍以上!)儲かるため、蓄電池は 絶 対 に 普及しません。

ほんと悪質ですよ、FITは。

そこで、言問吾妻は考えました。
電気自動車が普及すれば何とかなるんじゃないかと。。。

以下、1日の電力を賄うのに何台の電気自動車が必要かという単純な計算です。

日本の電力需要(2012年度)
8515.9億kWh/年
23.3億kWh/日
http://www.fepc.or.jp/library/data/demand/2012.html
日産リーフ(電気自動車、リチウムイオン電池):24kWh
http://ev.nissan.co.jp/LEAF/
1日の電力を賄うのに必要なリーフは
23.3億 _ 24 = 9721万台
日本の自動車保有台数:7678万台(乗用車+軽自動車)
http://www.airia.or.jp/number/

うーん、、、日本の自動車保有台数を上回ってしまいましたね。

ガス火力も併用するということで、1日の電力需要の3割を賄えればいいとしても

9721万台 _ 0.3 = 2916万台

だいぶ減りましたが、これでもまだ新車販売台数6年分くらいです。
日産リーフ以外買っちゃダメ!という法律を作ったとしても6年かかるということです。
やはりこのアイデア、無理があるのでしょうか。

諦めるのはまだ早いです。電気自動車は日産リーフだけではありません。
もっと大容量の蓄電池を積んだ電気自動車を普及させればいいのです。

世界最大級の電池容量を誇る電気自動車。それは、、、

これだぁっ!!
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304380304579405862994658876.html

”テスラ モデルS”

電池容量は85kWh、日産リーフの3.5倍です。

テスラ モデルSで上記計算をやり直すと、1日の電力需要の3割を蓄電池で賄うには

23.3億_0.3_85=822万台

おおっ、何か見えてきましたよ!日本の自動車保有台数の11%弱です。
さあみなさん!テスラ モデルSを買いましょう!日本の明るい未来のために!

え?いくらかって?

・・・933万円

はい、高いですね、買えないですね。
消費税(8%)だけでも75万円(マジかよ、、、)

というわけで、やはり再生可能エネルギーへシフトする道は険しそうですね。
再生エネルギーを普及させて脱原発!と仰る方は、皆がテスラ モデルSを買えるくらい所得が上がる方策も一緒に考えていただきたいものです。

2回連続でアメ車の宣伝をしてしまいました。これでは親米派のそしりを免れないですね。
オバマと会談は望みませんが。

注) 本コラムの趣旨は真っ当なエネルギー政策の推進を望むもので、電気自動車の社会的意義を否定するものではありません。
また、代表的な電気自動車として日産リーフを、ハイエンドの電気自動車としてテスラ モデルSを取り上げましたが、日産自動車、テスラモーターズの取り組みに疑問を差し挟む意図は無く、両社の先進性と情熱に心から敬意を表します。
充電所が普及したら私も乗りたいです、電気自動車。

PS
三橋貴明がアベノミクスの成長戦略を無料ビデオで解説。
いますぐ、下記のリンクをクリック!
http://www.youtube.com/watch?v=Gdo9CzUvhhk&list=UUza7gpgd6heRb8rH4oEBZfA

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【言問吾妻】電気自動車で脱原発?への2件のコメント

  1. 日本財布論、改め、日本連帯保証人論 より

    >お恥ずかしい話ですが、一般理論はまだ読んだこと無いんですよね。私もです。しかし、それを恥じる必要もないでしょう。 われわれが、「現実」という書物を通じて「一般理論」に説かれている摂理を読みとくこと、それをこそケインズ卿は草場の陰で望んでいるはずなのだから。>再生エネルギーを普及させて脱原発!と仰る方は、皆がテスラ モデルSを買え>るくらい所得が上がる方策も一緒に考えていただきたいものです。それって、コストを度外視すれば、現行の技術でもやれない事もない、ということを意味しませんか。それならば、前途は明るい。それは、とりもなおさず、「原理的には可能」ということが、理論的に実証されている事を意味するのですから。かてて加えて、レファレンス実装まで既にあるとなれば、それは、もう、至れり尽せりではないですか。それに比べれば、コストの問題などは、時間が解決してくれる問題で、取るに足らない。むしろ、われわれは、「原理的に不可能」なものについてのみ、正しく絶望すべきなのです。永久機関だとか、停止判定アルゴリズムだとか。。。

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  2. 友遊 より

    そもそも原発と電気自動車はセットのものなのです。三菱のアイミーブと富士重工のプラグイン・ステラは東京電力が開発を依頼した電気自動車を市販したものです。狙いは余っている夜間電力の利用です。原発は夜間だけ止めることできませんからね。ついでに言うと原発の夜間電力を使い揚水発電も・・・これは一度、発電してダムの下に落ちちゃった水をポンプでもう一度、ダムの上に揚げて、翌日の日中にまた落下させて水力発電するというのも予定されてました。無限に繰り返せるのです(アズガバンの囚人参照)ポイントは夜間電力の利用です。ですのでリーフでもテラスでなくても家庭用の低価格な蓄電池があれば、それで翌日の昼過ぎぐらいまでの電力が賄えれば電力問題のかなりの部分がOKなんです。それで、安い電池はどうなる。まだ表目には出てませんが・・・日本の技術を信じて大丈夫そうです。

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