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2013年6月5日

【東田剛】財政出動の矢は失速か

From 東田剛

————————————————————

●月刊三橋最新号「国土強靭化と公共事業の大問題」の配信は、
6/10申し込みで終了します。

http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_2013_05_toLP.php

※来月の月刊三橋では、電力自由化やメガソーラービジネスに絡んだ、
とんでもない問題を取り上げました。
日本のインフラを使って、中国が、、、

————————————————————

最近、色々と気になるニュースが多いですが、重要度の高いものから順に簡潔に論じてみるので、読者の皆さんも
一緒に考えてみて下さいね。

まず、北朝鮮問題。
先週、飯島勲参与はズラをかぶるべきだと指摘しましたが、本当にかぶっていたという疑惑が持ち上がりました。
これが問題のシーン。
http://www.yomiuri.co.jp/zoom/20130521-OYT9I00990.htm
要するに、金環日食と同じ現象ですな。天地明察。

次は、TPP。
中国がTPP交渉参加を検討と報じられました。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130531/chn13053113390001-n1.htm
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0530&f=business_0530_088.shtml

中国は(日本と違って)メリットとデメリットを綿密に検討するそうですから、参加しないとは思いますが、それよりも重要なのは、これは、アメリカが中国を排除する意図がないことを示しているということです。
米中首脳会談を前に、両国の協力関係の構築を演出しているのでしょう。
とすると、もしかしたら、今後、中国が飲めるような形の「米中FTA」の動きも出てくるかもしれません。

最後に、アベノミクス。
財政健全化が「第四の矢」になるそうです。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS28043_Y3A520C1EA2000/

とすると、やっぱり、財政出動の矢が失速して、金融緩和(異次元緩和)を中心にデフレ脱却を目指すことになりそうです。
なんだか嫌な予感がするので、改めてマクロ経済政策を巡る議論を整理してみました。

「マンデル・フレミング理論によると、財政出動は金利上昇による通貨高で効果がなくなる。だから財政政策よりも金融政策で、インフレ期待に働きかけるべきだ」という主張があります。
どうも、アベノミクスは、この路線に向かいつつあるようです。

このマンデル・フレミング理論というのは、色々と問題が多いのですが、要は「金利上昇が嫌なら、中央銀行が国債を購入すればいいでしょ」と反論すればすむ話です。

<参考>
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-15.html

しかも、金利を上げるのは、財政出動だけではありません。
金融緩和によってインフレ期待が高まり、株価が上昇した場合でも、マネーが債券から株式に流れて、金利が上がります。
実際、アメリカの量的緩和ではそうなったし、最近の日本でも同じ現象がみられましたね。

とすると、金融緩和でも、金利上昇による通貨高が起きることになります。

もちろん金利上昇は資金需要が出てきた兆候なんだし、為替相場を決める要因は他にも色々あるので、心配する必要はないという反論はあり得ますよ。
でも、そう言うなら、財政出動によるマンデル・フレミング効果も心配する必要はなかったような気が・・・。

むしろ異次元緩和で心配すべきは、次の二つです。

一つ目は、インフレ期待の上昇で金利を上げ、国債の大規模購入で金利を下げるという矛盾です。

財政出動で金利が上がった場合は、下げたければ金融緩和で下げるという手があります。
しかし、金融緩和によるインフレ期待で金利が上がった場合は、どうやって下げるのでしょう?
金融政策一本だけで、インフレと低金利という二つの目的を達成することは、できないんじゃないでしょうか?

<参考>
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE94Q00C20130527

二つ目は、中央銀行が市場の期待をうまく操作できなくなる危険性です。

例えば、最近の株式市場の乱高下は、バーナンキFRB議長の議会証言が引き金となりました。
バーナンキは、単にこれまでの方針を継続すると証言しただけでした。
ところが、市場はFRBが資産買い入れの縮小を準備していると勝手に深読みしたのです。
もっと悪いことに、こうして起きた市場の混乱が、この勝手な深読みに信憑性を与えてしまったようです。
これが最近の株式市場の乱高下の原因の一つです。

<参考>
http://jp.reuters.com/article/jpUSpolitics/idJPTYE94U05320130531?pageNumber=3&virtualBrandChannel=0&sp=true

バーナンキが、市場の期待をうまく操作できなくなっているようです。
だとしたら、これはヤバいかも。

慰安婦を巡る橋下市長の発言と同じで、いったん不信や誤解が広がると、何を言っても聞いてもらえなくなってしまいます。
量的緩和政策の先輩であるFRBがこうなっている以上、日銀も同じ轍を踏まないとは限りません。

この問題、現実の動きを観察しながら、引き続き考えてみる必要がありそうです。
皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

PS
アベノミクスの財政出動、そして国土強靭化は、
このまま失速してしまうのか?

アベノミクスのこの先を見通す意味でも、

まずは国土強靭化で何が行おうとし、
何が妨げになっているかを知ることは、とても重要なこと。

これが中途半端に終わるのか、バッチリ実行されるかで、
アベノミクスへのの評価や投資判断なども変わるはず、、、

月刊三橋「国土強靭化と公共事業の大問題」の配信は6/10申込で終了予定。
お申込みは、お早めに。

http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_1980_2013_05/index.php

PPS
一年前に出た本ですが、再度、読み返して、現状と照らし合わせてみましょう。
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【東田剛】財政出動の矢は失速かへの10件のコメント

  1. ロディ より

    >金融緩和でも、金利上昇による通貨高が起きることになります。なぜ、金融緩和や財政出動が円高圧力になるのですか?金融緩和も財政出動も、ともにより多くのマネーを市場に供給することになりこれらの政策を実行したならば円安に向かうはず。現にアベノミクスにおいて過去最大の予算や大胆な金融緩和をしており、現在円安方向に動いている。 この点、説明をしていただきたいのですが。

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  2. 梅雨 より

    ”安倍総理の講演後株価急落したニュースではしきりに「第三の矢の踏み込みが足りない」などとエコノミストが言ってましたが絶対違うと思います。「新鮮味がない」と言ってる人もいるみたいですね。第三の矢って構造改革みたいなもんに見えますよ。どっちみち全然新鮮味なんてないですけどね。”この部分、激しく同意です。なぜマスメディアは、第三の矢ばかりを進めようとするのか、、、、そうだ。スポンサーに媚を売るためか。目の前の利益を追い、長期的な視点に立てない。国家全体のために何が正しいのか考えない。ああ情けない。

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  3. とみちゃん より

    思い切った財政出動、国土強靭化路線を全面的に押し出せないのは、何故なのでしょうね?構造改革、緊縮財政は明らかにデフレ促進策であるのに、それでもそれを推し進めようとするのは、国民のためというより、アメリカの機嫌を損ねたくないという思惑があるからとしか思えません。デフレ促進策を第3の矢と称して、景気が良くなるための手段だとするのは、国民を欺いていると言われてもしかたがないのではないでしょうか。日本人は、何かを判断するとき、その行為をすると自分が人から怒られるか、怒られないかで判断するようになっているのではないでしょうか?その行為が、自分や他者にとってどのような価値を持つのかというよりも、いかに批判されないのかということのみに、判断の基準を置いているとしか思えません。日本人全体の器がどんどん小さくなっているとしか思えません。

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  4. はっちゃん より

    最初の写真怖かったです。でもかなり気に入りました!ところで「第四の矢」ですか・・ 完全に第二の矢と矛盾しますね。日経は相変わらずこんな事嬉しそうに書くんですね。「日経読んでる」=「賢い学生」みたいなコマーシャルやってますけど、自分の子供は(20年後ぐらいですが)騙されないように教育しとかねばと思います。実は2〜3年前まで(会社で)日経とってました。半分義理みたいなもんですが、何か新聞も取らないとと思い。もともと腹立つことが多かったですが「TPP開国論のウソ」の広告載せなかった件で取るのやめました。新聞販売店の〇〇さん、色々誤解されてたようですがあなたが悪いわけじゃありません。しかしやめた理由は差し障りのないウソついてました。すいません。僕は夜のニュース番組をちょっと見るぐらいですが、なんとしても第二の矢を無視したいみたいですね。なぜ財政出動があんなに嫌いなのか。「売国奴に告ぐ」とか藤井先生の「コンプライアンスが日本を潰す」などにかなりのヒントがあったと思います。本当にこの疑問って大きなテーマというか、問題の本質に思えてなりません。こういった人達は金融政策だけはやるんですよね。安倍総理の講演後株価急落したニュースではしきりに「第三の矢の踏み込みが足りない」などとエコノミストが言ってましたが絶対違うと思います。「新鮮味がない」と言ってる人もいるみたいですね。第三の矢って構造改革みたいなもんに見えますよ。どっちみち全然新鮮味なんてないですけどね。それを「本丸」などといって構造改革路線丸出しにしたから株価が下がったように見えました。僕は株買ったりしない素人ですから単純でアホなこというかもしれませんが、仮に僕自身が株を買う人だったら「列島強靭化で10年間200兆円か・・デフレ脱却すると日本で商売する企業はこれから儲かるよね。今のうち買っとこ」と思い、6月に安倍講演聴いたりして「雲行き怪しくなってきたな。結局デフレのままと違うの?」などと思うかもしれません。テレビに出てくるどこかの「チーフエコノミスト」なる人って賢そうに見えるし、いかにも「現場の市場関係者の代表」って感じなんですが「改革が足りない」は間違いなくおかしいと思います。

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  5. 名前はまだ無い より

    優先順位が間違ってる(笑)。まあ髪の毛というのは人間の尊厳に関わる問題ですが。。。失速というか、もともと民主党が地方に移管した予算を付け替えたり社会保障費を削減して行くのが『機動的な財政政策』なのだと思っています。安倍総理は衆院選挙前から財政規律を守ると何度もおっしゃっていますし総理就任後にも国会で「財政支出を続けることはできない」ともおっしゃっています。何より『骨太の方針』(この名前嫌いだなあ)は間もなく正式に発表されるのに国土強靭化はまだ会議を設置する法案が出ただけでしょう。意図は明らかです。甘利大臣も「十年間で200兆の公共事業というのは誤解です」と丁寧に説明されています。安倍さんは経済を分かっていないわけでも新自由主義を信じ込んでしまっているわけでもないと思います。分かった上で政治家として新自由主義を選ぶんでしょう。それで日本の文化や伝統が刈り取られる結果になっても仕方が無いと。そもそも『美しい国』というのも誰もが英語を使える多文化共生の社会のことだと思いますし。そういえばアベノミクスの仕掛人と言われる山本幸三先生が野中広務先生や仙谷由人先生とともに訪中されたようですね。公明、共産も含めて50人ほどと。まさにオールジャパンという感じですね。クール(寒い)ジャパンですかね。毎日糞暑いのに。

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  6. widelight より

    最初の画像に笑ってしまいながら読み進めると、全く笑えない話でした…。折角アクセルを吹かして行こうとしたところに、コドライバーの誤情報で急ブレーキを掛けようとしている といったところでしょうか。これで景気回復はされず、ドライバーである総理はじめ自民党が「ほらやっぱりだめだった」と批判を受け、コドライバー側の財務・経産省や竹中らやマスコミがほくそ笑むんですね。なぜかそっち側に自称交渉上手な甘利とかも回ってそうな気がしますが。

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  7. たけし より

    一度疑心暗鬼に陥った者に対しては金融緩和という餌をちらつかせたところで簡単に信用してくれるものではないと思います。財政出動という現実(リアル)を見せつけないかぎりデフレ脱却は不可能では。期待を高めることと不安を取り除くことは別ものと考えた方がいいかもしれません。

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  8. 真田清秋 より

    やはり、安部総理は、新自由主義イデオロギーに冒されていますね。経済音痴と言って差し支えないでしょう。 しかも、長所と見られている保守主義の理念も浅はかで、ウンザリですね。国土強靭化の財政出動も、実際は、民主党政権と比べて、1兆円も増えていないんですね。前年増は、0.3%で、あと20兆円財政出動しなければ、名目GDPはたいして拡大しないでしょう。 藤井先生が心配です。ホームページも塞がれているし、言論の自由を封殺されているようで、、、、。 しかし、ここでへこたれる訳には絶対にいきません。あなたがおっしゃった、エドマンド・バークの「国家とは、過去と現在と未来を繋ぐパートナーシップだ。」を肝に銘じて頑張って参ります。 お身体ご大切に、今後共宜しくお願い致します。

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  9. ごうだたけし より

    ご紹介の倉島原さんのところから引用>?「財政拡大無しに金融緩和だけいたずらに繰り返しても、経済成長には結びつかない(少なくとも今の日本経済はそのような状況にある)」ことは、1990年代後半以降の日本のマクロ経済統計によって実証されている。これに対するマネタリストの反論は、マネタリーベースの絶対量の増加ではなく、増加率だ!…最近、アメリカもEUも調子悪いみたいだけどwどうしてもマネタリストは、グローバル化とデフレを関連付けたくないようです。円安になって助かった企業がたくさんあるようで、金融緩和が不必要であるとは思っていません、が、自民党さん、今までは参院選が控えていて難しいところもあるだろうから、金融先行も仕方ないかなと思っていますが、参院選後は、「財政主導・金融フォロー」ということで間違いなくよろしくお願いします。

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  10. キングカズ より

    おはようございます。本業は金融ですが、食品の小売関係の企業にも関係しています。日々の仕事の実感としてコメントさせていただきますね。その会社では売上ほぼ横ばいが続いていたのですが、3月ごろを境として増加基調(前年比+3%程度)になってきました。しかしながら販売商品の平均単価の下落傾向には歯止めがかかっていない状況です(つまり安いから販売個数が増加し売上が改善基調、という状況です)。実感としては、揚水式発電のダムで、最上流のダムの放水は始まったけれど(異次元緩和)、次のダムの放水はまだ(財政出動による所得上昇)という感覚です(抽象的ですみません)。さらにいうと、ここもとの円安で原価上昇圧力がものすごいのですが、?金利・為替の乱高下によりリスクヘッジの方法や設備投資の見通しがとっても立てにくい、?メーカーからの値上げ要請をどう消化するか(価格転嫁するか、海外を含めた安い商品に切り替えるか、自社で吸収(人件費カット・・)するか)、といった非常に厄介な問題が引き起こされています。百貨店の上層階だけがにぎわう様な政策(金融緩和)のみならず、市中に資金が行きわたることが必須と思うのですが、その観点から財政均衡を目指す・消費税増税などはもってのほかであるのに加え、金融政策に頼りすぎることによる将来の不確実性の上昇は、企業の設備投資意欲を減退させその他の政策の効果を減殺してしまうように思えてなりません。抽象的なお話ですみません。

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