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2013年5月27日

【三橋貴明】法人税の大問題

From 三橋貴明

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【今週のNewsピックアップ】
●法人税減税を考える
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●ザ・レント・シーキング
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11536126502.html

メガソーラ─のビジネスと、法人税減税には、一つ共通点があります。それはもちろん、新たに付加価値を生み出すのではなく、既存の付加価値のパイ(=所得のパイ)に政治を利用して企業や投資家が入り込み、所得の一部を頂戴するという構図になっている点です。

法人税の場合、企業が稼いだ所得の一部が政府に回らず、企業にそのまま純利益として残ることになります。もちろん、政府は「企業の財産を増やしてやろう」などというつもりで法人税を減税するわけではなく、

「法人税を減税し、企業に余裕が出たならば、設備投資をして国内の雇用を創出してくれるだろう」

という期待の下で、減税政策を打つわけです。ちなみに、経団連会長などが、

「法人税を減税しなければ、外国に移転せざるを得ない」

などと、脅迫じみたことを言いますが、別に日本の大企業の実効税率は他国と比較しても高いわけではありません。経団連会長が言っているのは、

「俺たちの財産を増やしてくれなければ、出ていくぞ」

と言っているのも同然なので、まさしく脅迫です。

グローバリズム、特に「資本移動の自由」が確立した世界では、企業はどこの国に投資をしても構わないわけです。というわけで、

「法人税を引き下げて、外国企業の投資を呼び込み、経済成長をする」

というスタイルが何となく流行りました(アイルランドなど、典型)。とはいえ、別に日本は外資に不自由しているわけではありません。それどころか、国内の余裕がある企業までもが国内に投資をせず、内部留保で貯めこむか、対外直接投資を増やしています。要するに、日本国民の雇用が創出されていません。

日本企業が国内の設備投資を増やさない(未だにマイナスが続いています)理由は、もちろんデフレで投資をしても儲からないためです。デフレで儲からず、国民の人件費が相対的に高い日本に、少々法人税を引き下げたところで外資が投資をするはずがありません。理由は、儲からないためです。

そもそも、繰り返しになりますが、政府が法人税を下げる理由は国内の設備投資を増やしてもらうためであり、内部留保という企業の財産を増やすためではありません。ましてや、外国人投資家の配当金を増やすために、国民に犠牲を強いる法人税減税を実施するわけではないのです。

経団連の会長さんは、政府が法人税を引き下げた場合、国内の設備投資に使ってくれるでしょうか。恐らく、面と向かって聞けば、

「当然だ」

と答えるのではないでしょうか。ならば、全面的な法人税減税ではなく、設備投資減税でいいわけです。今回の安倍政権の景気対策には、設備投資減税は盛り込まれています。

結局のところ、政府の政策は「国内の付加価値(GDP)を増やす」ことを目的に実施されるべきなのです。設備投資が新たに増えれば、もちろん国内の付加価値が増えます。この大元を理解していれば、メガソーラにせよ、法人税減税にせよ、

「その政策が現在の日本にとって適しているか、否か」

が誰にでも理解できると思うわけでございます。

PS
来月の月刊三橋では、電力問題を入り口にメガソーラービジネスの
レント・シーキングについて取り上げています。きわどいオフレコ話が炸裂しています。
しかも、中国に持っていかれては、、、

http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_2013_05_toLP.php

PPS
↑面白いビデオなので、試しに見てください。

PPPS
このビデオを見てもらいたかったので、
「国土強靭化」の100円お試しを延長することにしました。

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【三橋貴明】法人税の大問題への2件のコメント

  1. より

    法人税減税とは減税しただけ天下りさせろと国に入るはずの税金を合法的に着服することですか?

    返信

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  2. 梅雨 より

    需要とは消費ですよね。なぜデフレギャップがあるのに消費税を減税しないんですか。消費税を減税すれば、消費が増える。それは需要が増えることに等しいと思うのですが。三橋さん、どうか日本の経済を良くしてください。変な輩が得するような世界をぜひ変えてください。

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