From 藤井聡
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●月刊三橋最新号は、「国土強靭化と公共事業の大問題」です。
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_2013_05_toLP.php
※来月の月刊三橋では、電力自由化やメガソーラービジネスに絡んだ、
とんでもない問題を取り上げました。 日本のインフラを使って、中国が、、、
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「国土強靱化」というと、まさかの災害の時の「強靱性」の話であって、「平時」の時には、あまり影響ないんじゃないかと。。。お考えの国民は多かろうと思います。
例えば、「津波堤防」は、100年に一度の大津波の時には役に立つかもしれないが、「平時」の経済成長なんかには、あんまりカンケ─無いなぁ、というイメージをお持ちの方は多かろうと思います。
もちろん、堤防の上でコンビにやったり、アミューズメントパークつくったりなんかできませんから、成長なんかにゃぁ何にもカンケーねぇな感じがするのも、当然だと思います。。。。
がしかし(!)
実際に、国土強靱化と経済成長には、深い繋がりがあるのです。
このメルマガでも、その「繋がり」については何度かお話したこともありましたが(免疫力=レジリエンスがない経済主体は亡び、それがある主体だけが生き残る;強靭化投資がデフレギャップを埋め、「アベノミクス第二の矢」効果をもたらす、等)、今日は、これまでとは少し違う角度からお話しましょう。
・・・・少々歴史的に過ぎるお話で恐縮ですが、人類の発展は「戦争」への対策と深い関連性があったという事は、しばしば言われることです。
例えば古代ではいち早く石ではなく青銅をもった部族が、青銅ではなく鉄を持った部族が勝ち残ったように、より強力な武器を手に入れることができた王族や民族や国家が、中世、近世、現代と勝ち残ることができたのが、人類の歴史です。
だから、人類の歴史の中で、全ての部族、民族、国家は、新しい武器の開発・導入に躍起になりました。さもなければ、生き残れないのですから、当たり前ですね(逆に言うと、それができない民族は「淘汰されてしまうわけですから、世界は、「結果的」に、武器の開発・導入にそれなりに熱心な民族だけで埋め尽くされることになる、ということになるわけですね)。
では、そんな「武器」の開発は、それぞれの国の「平時」の経済活動に全く影響を及ぼしていなかったのかというと…..決してそんなことはありません!
鉄ははじめは武器中心に使われたのかもしれませんがその後、生活のあらゆる所に使われるようになります。鉄砲技術は、鍛冶屋達の技術力を飛躍的に向上させ、さらに精密な機械を作る原動力になります。最初は、簡便な基地を作るために使われたコンクリート技術は、現代文明を支える全てのインフラを作りあげる素材となりました。そして、近現代の超高度な兵器の技術は、今日の超高度な情報社会を生み出し、今日もなお、その発展を導いています。
。。。。つまり、「兵器開発」は、人類の技術の発展=イノベーションに多大なる貢献を果たし続けてきたのです。
ここで、言うまでも無く「軍事技術」は「有事」に使うものであって、「平時」に使うものではありませんが、その一点においてそれは、「防災技術」と極めて類似した意味を持ちうるものなのです。
そう考えるなら、防災に真剣に取り組むことは、我が国に「イノベーション」をもたらす重要な契機となりうる可能性が考えられます。
ましてや、我が国はいわゆる「平和憲法」を持つ(!?)国であり、しかも、世界一の「天災国家」である事を考えるなら、イノベーションを考える上での「防災」の相対的重要性は、他のど国よりも格段に巨大である、と言うこともできるでしょう。
例えば今、堤防に関しては、地震時においてのみ「せり上がる」高性能の津波堤防の開発が研究されています。
津波のない国には、そんな技術を作ろうなんて動機は一切ないわけですから、いわばこれが、我が国が独自で進めている研究開発です。そしてそれは、海洋大国日本の、海底開発技術に大いに貢献しうる可能性を秘めています。
ひょっとするとそこで生み出された様々な要素技術は、我が国の「救世主」とも言われる新エネルギー・メタンハイドレートの開発に貢献することとなるかもしれません。
あるいは、防災のための無人機械、いわゆる「防災ロボット」は、様々な過酷な条件下で作業可能な新型ロボットの開発が今、進められています。そこで開発された様々な要素技術もまた、技術立国日本の技術力を、次のステージにジャンプアップさせるための巨大な潜在力を秘めています。
つまり、(大学勤務の私めが申し上げるのも恐縮ですが 笑)、単なる「知的好奇心」だけで、いろんな研究開発を行うのも大変結構かとは思いますが、どうせ同じ研究開発をやるなら、マジで国家の存亡に直結する危機である戦争や大災害を見据えながら「命がけ」で本気で取り組む研究開発の方が、実り多い成果が生まれ、かえって、平時にも役立つ副次的効果が様々に生まれてくる。。。ということがあり得るわけです。
まぁ、何にしても、成長戦略の中で「イノベーション」を重視するなら、
「必要は、発明の母」
という格言を、しっかりと思い出さなければならない、ということですね。
地域や国家を壊滅させかねない「天災」的有事についての「防災」対策、というものは、
地域や国家を壊滅させかねない「軍事」的有事についての「防衛」対策、というものに
匹敵するくらい、やらなきゃならない「必要」なことなのですから、
それは、様々な「発明=イノベーションの母」になりえる訳です。
いわば、防災こそ命の母A。。。。ってだけじゃなくて、発明の母色クロバーZだ!、ってことですね
そんな視点も含めながら、我が国の社会、経済、そして国土の強靭化がオールジャパンで抜本的に展開され、強く豊かな日本が実現する近未来を。。。。皆で構想いたしましょう!
では、また来週!
PS
ひさかたぶりに、新著を出版します!
今回論じた「強靭化」と「経済」の関係「だけ」を、中野さん、柴山さんたちと、
じっとりねっとりと議論しつつ、編集いたしました書籍です。ご関心の方は、是非、
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マスコミが言わない不都合な真実とは
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_2013_05_toLP.php
【藤井聡】防災はイノベーションの母への1件のコメント
2013年5月28日 1:58 AM
防災と「イノベーション」は大いに関係があるのに、あまり主張する方がいらっしゃらないので(とりあげられないだけ?)、新鮮な視点でした。「イノベーション」と叫ぶ人に限って、国土強靭化、公共事業に反発する人が多いような印象があります。この風潮をぶち破っていただきたいです!
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