FROM 三橋貴明
【今週のNewsピックアップ】
●アンチ・プロパガンダ 前編
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11433591435.html
●アンチ・プロパガンダ 後編
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11434403447.html
●続 アンチ・プロパガンダ
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11437188310.html
予想はしていましたが、安倍新政権の正しいデフレ対策のパッケージ、すなわち「金融緩和」「財政出動」「成長戦略」の三本の矢を「同時に放つ」アベノミクスに対するプロパガンダが激しくなって参りました。先日のNHKの番組で、麻生財務大臣が解説していらっしゃいましたが、我が国がデフレから脱却するためには、日銀の金融緩和のみでは不十分です。(日銀の金融緩和が『絶対に必要』なのは言うまでもありませんが)
日銀が通貨を発行し、銀行の国債と交換する。結果的に、銀行の日銀当座預金に「金利を生まないお金(※実際には今は極微小の金利がつくのですが)」が貯まったとして、それが民間企業に「借り入れ」られなければ、物価には何の影響も与えません。何しろ、物価とは「投資(設備投資、公共投資、住宅投資)」と「消費」の価格なのです。銀行にお金が供給されたとしても、投資もしくは消費として使われなければ、物価が上昇するはずがないのです。
というわけで、麻生財相が説明されていた通り、現在の日本では銀行に供給されたお金を、「企業が借り入れ、投資に使いたくなる」環境を創らねばなりません。そのための財政出動(公共投資など)と成長戦略というわけです。
また、中小企業に対しては、担保不足などの理由から、銀行側は「貸し出しに回せるお金があっても、貸し出さない」という傾向が実際に見られます。中小企業にも潤沢に資金が回るようにするためには、「仕事」を造らなければならないのです。まさしく、政府が「仕事」を造る財政出動が、いずれにせよ必須という話でございます。
反アベノミクスを展開する人達は、主に二つに分かれます。一つ目は、とにかく「日本経済が成長する」ことが嫌であるため、「金融緩和」と「財政出動」の双方を批判する人達です。彼らの言い分は、例えば、
「量的緩和を拡大しても、企業が借りないから、金融政策はムダ!」
「公共事業に代表される財政出動は、国の借金を増やすだけだからムダ!」
を「同時に」主張するという類のものです。
「いやいや、ちょっと待て。量的緩和だけでは企業への貸し出しに回らないからこそ、財政出動を同時に行うんだろ。それに、建設国債を日銀が買い取れば、政府の負債、君たちが言う『国の借金』は実質的には増えないぞ。しかも、金融政策と財政出動で名目GDPが成長していけば、政府の税収が増えるので、財政はむしろ健全化するぞ」
と反論したくなるわけですが、彼らはそんなことは百も承知です。彼らは、とにかく日本の経済成長が許せないので、聞く耳を持ちません。彼らに対しては、上記の「正しい論旨」をしつこくぶつけ、両者の言い分を見ている「国民」に、どちらが正しいのかを判断してもらうしかありません。
二つ目の「反アベノミクス」は、もちろん構造改革論者、規制緩和論者、新古典派経済学者たちという「反公共事業」派、「反財政出動」派です。こちらの方々も、なかなか厄介でございます。彼らはとにかく「国家の事業」が大嫌いなので、デフレ対策としての金融緩和の重要性は認めつつ、
「公共事業を増やしてもムダだ! 規制緩和で企業の投資意欲を高めるのだ!」
と攻めてきます。挙句の果てに、竹中氏のように「政府のインフラ資産を民間に払い下げて〜」と、レント・シーキング丸出しの主張を展開し、とにかく政府の公共事業拡大を防ごうとしてくるのです。
安倍政権の内閣参与や経済諮問会議のメンバーには、上記の構造改革論者が複数人含まれています。我々は朝日新聞に代表される「とにかく日本の経済成長は嫌!」という自虐主義者と、竹中氏に代表される構造改革論者の双方を相手取り、二方面作戦を強いられることになるわけです。
衆議院選挙で勝利したとはいえ、我々の戦いは「未だ勝利ならず」というのが現実なのでございます。というわけで、三橋はしばらく「反グローバリズム」「反構造改革」「反新古典派経済学」の書籍を続けて出していく予定になっております。
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【三橋貴明】反アベノミクスへの3件のコメント
2013年1月1日 12:41 PM
三橋さんは「アベノミクスで超大国日本が復活する」という本を出版しながら、反アベノミクスですか?ちょっと滑稽ですね。やはり、自分の本を売るために、みんなが聞きたいことを言い放題ですね。
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2013年1月2日 11:50 PM
>「正しい論旨」をしつこくぶつけ、両者の言い分を見ている「国民」に、どちらが正しいのかを判断してもらうしかありません。「先ず隗より始めよ」という故事がありますが、今、国が会社・企業にまず求めるべきもののヒントがあると思います。アベノミクスの成果により、会社・企業に利益が生まれます。それを、まず何に投じるべきでしょうか。『隗』の部分を、今まで耐え抜いてくれた真面目な社員・従業員と置き換える事ができないでしょうか。まず好転して生じた利益を社員・従業員に優先してくれた事実と、実際に給料が増えたという事実の体験は非常に効果的であり、その明るい話が噂になり、家族から始まりより周囲に広まれば、更に大きな効果があると感じます。偏向的な報道が、いくら何を言おうが、為替相場・株価の好転の事実、会社・企業に働く真面目な国民の報われた体験は、くつがえす事ができないものです。「国民」に、どちらが正しいのかを判断、そして、政治と国民が向かうべき道を共有し進むためにも「先ず隗より始めよ」という言葉を心に刻んでほしい。
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2013年1月3日 11:58 AM
いつも興味深く拝見させて頂いてます、ありがとうございます。お蔭様で政治と経済が面白くなりました、一人でも国民が関心を寄せることは大切なことだと今更ながら思っています。 ご努力に感謝します、 三橋さんにおかれてはお仕事が楽しいと思われますので、ヒイヒイと言われながらうれしさがにじみ出てますよね。マスコミ・世間一般にデフレとインフレのいわゆる レジームチェンジ の認識が一般に欠けてますよね。 あまりそのチェンジが必要とも説かれていないし・・・・。 今回の政府内に アベノミクス に抗う思考の持ち主がおられるのも私にはある配慮があるのではないかとも深読みしてますが、密かに当たりますようにと思うばかり・・・・・。 2013年にも真底の大活躍をされますように。 ご健康を大切に。
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