政治

日本経済

2022年1月27日

【藤井聡】 今や国民はコロナによる健康被害でなく「コロナにかかりやがったな!?迷惑だろ!(怒)」という社会的制裁に怯えて自粛しつつある。政府はコロナに対する毅然とした理性的対応を。

From 藤井聡@京都大学大学院教授

オミクロン株が今大流行。現時点で一日あたり7万人を超える新規感染者数を出しています。

ただしこの数字は「氷山の一角」に過ぎません。

例えば当方の知り合いレベルで(もちろん、それが一体誰かはここでは伏せたままお話し差し上げますが)既に3つの家族が集団感染し、11名がオミクロンの症状を出しているのですが、その内PCR検査を受けて正式に陽性認定を受けているのは3名だけです。

それ以外の発症者は皆、明らかにオミクロンであろうと認識しながら、PCR検査を受けず自主隔離を行うかこっそりと日常生活を続けているようです。

だから実際の陽性者数は報道数値の数倍~十数倍程度に上るわけです。

なぜ彼等がPCR検査を受けないかと言えば、陽性であるという事になれば彼等の職場や学校が、閉鎖されたり取引停止になったりするからに他なりません。

家族が陽性だということだけなら、「濃厚接触者」扱いとなり、必ずしも閉鎖や取引停止にはならないから、上記の11人中8人はあえてPCR検査を受けないのです。

というより、万一40度近い高熱が一週間も10日も続くならPCR検査を受けようともするでしょうが、その11人中8人ともいずれも、軽い咳や軽い熱が出た程度で、その症状も翌日や翌々日になれば無くなると言うような極めて軽い風邪症状なので、PCR検査を受けるかどうかを考えている内に無症状となってしまったわけです。

つまり彼等は今、コロナによる健康被害よりも、「コイツはコロナになりやがった!」という社会的制裁を恐れて検査を受けず、自主隔離したり日常生活を続けているのです。

……というか、中には、職場の上司に相談したところ「わかったわかった、熱が下がったらまた出てきてね」なんて会話をしているケースもあるほどです(ちなみにそれは、当方が関わる組織の話ではありません)。

以上は当方の知り合いレベルの話ですし、重症化されている方も中にはおられることはおられるのだと思いますが、集計データを見ても重症者数、死者数は、これまでのコロナのそれらと比べると圧倒的に少ない水準にあることは、公知の事実となっています。

だからこそ、イギリスでは新規感染者が20万人を超えても、フランスでは50万人を超えても、行動規制をかける事も無く、イギリスにおいてはマスクすらしなくてもいいという程までに行動規制緩和をかけて、粛々とオミクロンが過ぎ去るのを待っているのです。

だとすれば、これほど馬鹿馬鹿しい話はありません。

ホンネでは殆ど誰も怖いとも何とも思っていないコロナを、タテマエでヤバイもの扱いしなければならないということであらゆる活動が停滞しているのですから。

今回のオミクロン騒動で、日本経済は第五波の時以上に激しく冷え込む事は間違いありません。何と言っても、第五破の時の感染者数よりも圧倒的に多い数の感染が広がっており、今やもう、誰もが容易く罹ってしまうような状況にあり、そして、コロナそれ自身が怖くなくても、コロナに罹って社会的制裁を受けてしまうことを恐れ、その恐怖のためにより激しく行動を抑制しつつあるからです。

そういう意味で、このオミクロン騒動は、日本の非合理性を、より鮮明に浮き彫りにする事例となっている訳です。

我が国政府がもう少し毅然と、2類から5類相当に感染症の指定を変えておけば、世間全体が過剰に「コロナに罹ること」に怯えてしまうことは回避できたのではないかと考えると、返す返す悔しい思いを致します。

ちなみに岸田総理は、参議院選挙まで5類への指定見直しをする積もりは全くない、とのことです。

岸田内閣は、何もしないことで日本をさらに地獄へと突き落とす暴挙を繰り返すわけです。

返す返す、残念です……。

追伸1:残念と言えば……小池知事さえ、まん防を出さなければ、ここまで最悪の事態には陥らなかったわけですが……是非、下記もご一読ください。
『小池氏は感染を抑えるためでなく「注目をされる」ためだけに“まん防”を出したがっている、文字通り最低最悪の知事である。』
https://foomii.com/00178/2022011601000889789

追伸2:さらに残念と言えば、地震対策についても、政府・気象庁は極めて残念な対策を続けています……こちらも是非、ご一読ください。
『南海トラフ地震・首都直下地震の予兆としての「トンガ沖噴火」や「日向灘地震」 ~気象庁の「無関係だ」コメントは鵜呑みにしてはいけない~』
https://foomii.com/00178/2022012413591990116

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【藤井聡】 今や国民はコロナによる健康被害でなく「コロナにかかりやがったな!?迷惑だろ!(怒)」という社会的制裁に怯えて自粛しつつある。政府はコロナに対する毅然とした理性的対応を。への2件のコメント

  1. コロナは票とカネになる より

    国民の皆様におかれましては

    コロナを決して侮ることなく
    老若男女を問わず
    何度でも気のすむまで
    ワクチン接種をなさり

    鬼畜コロナに対する警戒心と
    敵愾心を永遠に持ち続けられるよう

    心から祈念いたす
    今日この頃でございます。。。

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  2. 大和魂 より

    藤井先生のお気持ちもお立場も十分に理解できますが、しかし我々は先人から続く歴史的背景からも、きちんと学習し体現するべきと考えてます。

    そこでとりわけ我々が自覚するべきは昭和後期から平成時代の凋落と同じく、単体の事柄を安易に判断して来たから無益の無様な危機的状況に直面しているわけで、簡単になりますが我々世代は米ソ冷戦終結から湾岸戦争に至り9.11を経由してアラブの春から話題の流行り病のコロナも北京五輪もウクライナも台湾問題等の経緯を目撃してますから、めんどくさくても厳しいようですが公的立場にあるなら同時進行を想定した解決策を探るべきで愚直に深謀遠慮して来たプーチン大統領を見習うべきかと思いますがね。

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