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2012年12月26日

【東田剛】日米同盟という経済政策

FROM 東田剛

安倍総理は、日米同盟の強化を掲げています。中国や北朝鮮との問題が深刻化している以上、当然の方針と思います。

ところで、日米同盟の強化とは、具体的には何をやるのでしょう。

まず間違いないのは、第一次安倍内閣が取り組んでいた集団的自衛権の行使容認でしょう。これは正しい方針と思います。日米同盟の強化は、あくまで日本の防衛力を強化する形で行われなければなりません。

しかし、ここで、やっぱり心配になるのは、TPPの件です。TPP推進論者は、日米同盟強化のためにTPP参加が必要だと言っていたからです。

でも、日米同盟の強化のためには、何でもかんでもアメリカの意向に従い、経済的利益を差し出さなければならないというのならば、「アベノミクス」なんかも、やめといた方がいいですね。

第一に、アベノミクスによる円安は、輸出拡大と製造業の復活による雇用創出を掲げるアメリカの戦略に真っ向から反するからです。

第一次安倍内閣当時のブッシュ政権は、円安・ドル高を容認していたので、円安による輸出拡大が可能でした。しかし、リーマン・ショックで状況は大きく変化し、現在のオバマ政権は、ドル安を志向しています。
第一次安倍内閣と第二次安倍内閣とでは、アメリカの戦略はまったく違うのです。

第二に、アベノミクスによる財政出動は、滞留するマネーを内需拡大に振り向け、貯蓄過剰を是正します。しかし、これまで、デフレによる日本の過剰貯蓄こそが、超過債務国アメリカをファイナンスしてきたのです(藤井聡先生の『維新・改革の正体』に出てきた「日本財布論」ですな)。
ですから、もし、日本がデフレを脱却したら、米国債の買い手が減り、米国債の金利が上昇し、アメリカの財政が悪化する恐れがあります。

このように、アベノミクスは、本質的に、アメリカのご機嫌を損ねる政策なのです。

そこでアメリカのご機嫌を直そうとして、TPPに参加したとしたら、どうなるでしょうか。

アベノミクスで創出した需要や雇用は、TPPによる制度変更や外国企業の参入によってアメリカに漏出します。
あるいは、競争激化のデフレ圧力で、賃金が上がらなくなります。
そうしたら、せっかくアベノミクスを講じても、その目的であるデフレ脱却は、難しくなるでしょう。

要するに、アメリカの経済面での意向に反しないで、日本のデフレ脱却を成し遂げることなど、できないのです。
年次改革要望書などのアメリカの要求と、日本のデフレ不況がほぼ時期を一にしているのは、偶然ではありません。

例えば、親米派が大好きなジョセフ・ナイ先生は、日本にTPPへの参加を促しています。そのナイ先生は、九○年代前半、アメリカ政府内の外交政策に関する会議の席で、こう唱えたそうです。

「日本を今後も自主防衛能力を持てない状態に留めておくために、アメリカは日米同盟を維持する必要がある。日本がアメリカに依存し続ける仕組みを作れば、我々はそのことを利用して、日本を脅しつけてアメリカにとって有利な軍事的・経済的要求を呑ませることができる」(伊藤貫『自滅するアメリカ帝国:日本よ、独立せよ』pp63-4)。

日米同盟は、日本に自主防衛能力を持たせず、アメリカに有利な経済的要求を呑ませるためのものなんですって。

もし、そんな日米同盟の強化のために、TPPごときも拒否できないというなら、デフレ脱却も、国防軍の創設も、憲法改正も、最初からあきらめた方がいいですね。

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