政治

2020年4月24日

【施 光恒】エリザベス女王の演説から学ぶこと

From 施 光恒(せ・てるひさ)@九州大学

こんばんは~(^_^)/(遅くなりますた…)

コロナ禍、長引きそうですね。
一刻も早く収束してほしいものです。

ところで、少し前ですが、4月5日に英国のエリザベス女王が国民に向けて、テレビ演説を行いました。現在94歳とご高齢の女王がクリスマス以外に国民へのメッセージを送るのは極めて異例だったそうです。エリザベス女王が、コロナで苦境に陥った国民のことを思う気持ちの表れでしょう。

「「団結し打ち勝つ」英エリザベス女王が異例のテレビ演説」(『NHK ニュースウェブ』2020年4月6日 配信)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200406/k10012370051000.html

このテレビ演説は、新型コロナウィルスから人々を守ろうとする医療従事者の献身を称え、また国民の協調に感謝し、さらなる団結を呼びかけるものでした。全編にわたってすばらしいものでしたが、特に次の一節に感銘を受けました。

***
…私たちは皆一緒にコロナと闘っています。もし私たちが団結して毅然として立ち向かえば、この危機を克服できます。ですので、皆さんに安心していただきたいのです。

そしていつか、この困難をいかにして乗り越えたのか皆が振り返り、誇りに思う日が来ることを願っています。私たちの後の世代の人々は、この世代の英国人も他のどの世代の英国人にも負けず劣らず、とても強かったと述べるでしょう。

自制心や、もの静かだが快活な精神、強い連帯意識といったものは、いまなお我が国民の特徴です。私たちが私たち自身に感じているこうした自尊心は、単なる過去の一部ではなく、私たちを方向付け、現在と未来を形作っていくものなのです…
***

エリザベス女王が国民に向けて発したメッセージとは、英国人を勇気づけ、鼓舞するものです。

英国人とは、いつの時代も自制心をもち、連帯し、明るさを忘れず困難に立ち向かっていく強い国民である。そして、我々にもそうした血が流れている。誇りをもとう! 過去の、そして将来の英国人も、我々を見ているぞ。それを忘れず自分たちを律しよう! 先祖や子孫に恥ずかしくないよう、我々も団結してがんばろう!

そう呼びかけるものだと言えるでしょう。

日本にも、英国に負けず劣らず、数々の困難を乗り越えてきた歴史があり、それを可能にした国民の美徳が存在します。他者を思いやる心、協調性、勤勉さ、自己犠牲の精神、愛国心、団結心などです。

ですが、自分たちの先祖や子孫の目を意識し、恥ずかしくない態度を取ろう、過去に培われてきた美徳を継承するように努め、現在の世界で奮闘し、将来世代にそれを伝えていこう、といったような言説は、少なくとも近年はあまり耳にしません。

戦争に負け、その後の情報戦にも敗れたからかもしれません。その結果、すっかり自虐史観に慣れてしまったからかもしれません。あるいは、戦後の誇りだった「経済一流」の日本の土台が近年、揺らぎ、自信を失ったからかもしれません。

ただ、理由はどうあれ、私は、こういう言説は大いに大切だと思います。今回のエリザベス女王の演説が多くの英国人を鼓舞し、結束を促したように、我々も、いや、どの国の人々も各々自国についてのこういう言説に勇気づけられるのではないでしょうか。

日本でも、この種の言説がふつうに語られるようにしなければ、結果的に、日本人は堕落し、結束力がなく、苦難に弱い国民になってしまうのではないか。

エリザベス女王の演説を聞いて、そのように感じました。

最後は何か感想文のようになってしまいました。

長々と失礼しますた…
<(_ _)>

関連記事

政治

【佐藤健志】主体性のない発想の帰結

政治

【佐藤健志】朝日新聞の〈ヤーコフ化〉

政治

【三橋貴明】ネーデルラント連邦共和国の勝利

政治

【佐藤健志】ワイズ・ファイティングと「不戦勝の誓い」

政治

【三橋貴明】2018年 戦争へ向かう世界

【施 光恒】エリザベス女王の演説から学ぶことへの7件のコメント

  1. たかゆき より

    お言葉ですが、、

    > 過去の、そして将来の英国人も、我々を見ているぞ。それを忘れず自分たちを律しよう! 先祖や子孫に恥ずかしくないよう、我々も団結してがんばろう!<

    上記は 小生の 大嫌いな感性

    なさりたければ パチンコだろうと
    三密だろうと なされば 宜しいかと、、

    人目やら 恥を知れやら 
    小生は 屁とも おもいません

    ちなみに 小生
    人混みは 大嫌い 宴会も会議も会合も苦手

    生まれてこのかた 自粛最高の 毎日です

    が、、、

    上から 「べし」と言われると
    それが
    〔適当・勧誘〕の意であろうと

    やだね と 反応してしまう
    天邪鬼 で ございます ♪

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  2. 麦粒 より

    こんばんはー。
    小学校からやり直さなければいけないのなら、小学校からやり直せばいいだけなんですよねー。まずは各界各層のリーダーから。まずは自分から。

    ゆうちゅうぶ
    ORO9_KMVy44
    hjoj0XfUFZg

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  3. 大和魂 より

    英国と言えば階級社会の差別国家ですよね。
    なので、エリザベス女王も含めた英国王室は、所詮は英国経済による傀儡でしかない訳ですよ!ならば、それこそ庶民を欺いた存在でしかないわけで、わたくしには、そんなのどうでもよいクズでしかないこと!なぜなら、英国王室は、ピューリタン革命以降、健全で独立した王室では、ないからです。それでいて、近頃は特定の馬鹿だけで世界政府を画策しようとするゴミ屑の楽園は、もうバレバレなんだよ!だから、ハリー王子が王室かの離脱をしたわけ!なにがロイヤルなんだか…。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

      1. イギリス王室はドイツ系 より

        エリザベス女王自体がドイツ系
        王族は昔はフランス系で今はドイツ系

        最初は跡継ぎじゃなかった第二王子の父親が
        次男ならいいかーと
        貴賎結婚的な英国の伯爵令嬢と
        結婚を許可されただけで
        あとはこの王朝はドイツ人の血しか入ってない
        だから結構叩かれてる

        イギリスは無茶苦茶だった
        奴隷って身分制度では無かったが
        実際には奴隷以下の状態
        そんなのが続いたから
        イギリスの大衆食文化は殆ど無くなって
        フィッシュアンドチップスやウナギパイだけにw
        自分で食事を作る文化すら消滅

        子供も強制労働させられ
        貴族の邸宅の煙突では煙突掃除の子供が
        死亡した。
        身よりのない白人の孤児の子供を、
        アメリカやカナダなどの植民地に送りこんで
        過酷な労働をさせた

        それがイギリス王室です
        血塗られてる

        返信

        コメントに返信する

        メールアドレスが公開されることはありません。
        * が付いている欄は必須項目です

  4. リグス より

    感動的な演説ですが、あくまで現状では、そんなに深刻な災厄だろうかという疑問です。ウイルスは変異するので今後は不明としても、現状インフルや交通事故に遭う確率より低く、重症化は主に高齢者、持病がある人。

    私は持病は無いとは言え、60近いので重症化する可能性はあります。また、未知なのでもっと危険なのかもしれませんが、過剰な恐れはそれこそ社会に深刻なダメージがあると思えます。

    今のマスコミのコロナ禍一色の報道を見ていると、過剰に国民の恐怖を増幅しているように見えます。マスクにしても、咳一つしていない人が使用するのはほぼ意味がない事です。0.1マイクロメートルのコロナはマスクで予防は出来ず、使用する必要が無い人が買ってしまうため、医療介護など必要な人に届かなくなっています。

    無症状の人がつける意味は唾液などの飛沫を防ぐ事ですが、一人で買い物に行き会話をしないのなら、室内であってもつける必要はない感じもします。

    少し前にワイドショーでコロナ禍以降よく登場する医師が、「マスクを健康な人がする意味は、やはりしないよりは確率が下がるから」と説明していましたが、おそらくこの発言は検証は全くしていない、私のような素人でもできる発言です。

    確率が下がるなら、どれくらい下がるか数値で示さなければなりません。そりゃあマスクをした方が下がる事は下がるでしょう。しかし、90%が85%に下がっても有意といえるでしょうか?

    本文とはあまり共通点のないコメントですが、コロナ狂騒曲があまりに騒々しいので愚痴ですw

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

最新記事

  1. 日本経済

    【三橋貴明】パズルを解く選挙

  2. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】立民・維新の「食料品だけの消費減税」は,まっ...

  3. 日本経済

    【三橋貴明】日本人はどこから来たのか?

  4. 日本経済

    【三橋貴明】「低所得者 対 高所得者」のルサンチマン・...

  5. 日本経済

    【三橋貴明】付加価値税という世界的詐欺

  6. 日本経済

    【三橋貴明】鳥は三匹しかいないわけではない

  7. 日本経済

    【三橋貴明】混迷の政局

  8. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】小泉八雲『日本の面影』の読書ゼミを本日開催....

  9. 日本経済

    【三橋貴明】石破を引きずりおろす手法がない

  10. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】なぜ,『石破茂という恥辱』という特集号を編纂...

MORE

タグクラウド