政治

2020年3月28日

【平松禎史】「霧につつまれたハリネズミのつぶやき」第六十七話:『最悪の想定から最善を導く覚悟のススメ』

From 平松禎史@アニメーター/演出家

 

30年つづく緊縮財政と消費増税路線、様々な改革・規制緩和と小泉政権以来のグローバリズムが集合した安倍政権下の7年間で、日本経済はボディブローを受けつづけてフラフラになっていた。国民生活の土台が豆腐のように脆くなっていたのです。
そこにCOVID-19感染災害がやってきた。政府の発言から、10%消費増税による大幅な景気後退が消え失せ、現今の経済衰退は「全部コロナウイルスのせい」と言わんばかりだ。
そのくせ、1月23日付けで在中国日本大使館に送った春節への祝辞で、更に多くの中国人訪日客が訪れることを楽しみに、と書き、感染者を招き入れた水際対策以前の失敗は、スッキリ無視している。
後手後手、中途半端、逐次投入と、戦に負ける方法を忠実になぞっているのです。

そもそも、みづからの経済政策の間違いを認めていないのだから、甘すぎる被害想定も、少なすぎる景気対策も、平時の延長であればむべなるかなと言わざるを得ません。

ボクは、2月28日のブログで、最悪を想定して対策を打たねば被害は深化かつ長期化してしまうと書きました。

WHOが推定した症状の割合を使用して、日本国民全員が感染した場合の数を出してみた。
軽症82%…重症15%…重篤3%…死亡率(2月14時点で日本の場合)0.4%です。
参考資料、【識者の眼】「新型コロナウイルス感染症はSARSに類似(2)─インフルエンザに比べはるかに重い疾患」菅谷憲夫
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14034

最悪の想定と言いながら、計算しやすく端数を端折ったのは失敗でしたが、数字は以下の通りです。

・約1億2千万人が感染するとして、症状の内訳は
 軽症:約9900万人 重症:約1800万人 重篤:360万人 死者:約48万人

これが最悪の想定です。
重症者が1800万人にもなれば医療現場は全く対応できないため、治療されずに重篤化してしまう人の増加で、亡くなる人は0.4%じゃ済まない。実際、日本の死亡率は現在2.8%です。2月からじわじわ上がっている。

イタリアで死亡者数が多いのは、EU・ユーロ圏で緊縮財政を強制されて病院病床数を削減した影響があるのではないかと考えます。調べてみると、千人当たりの病床数は日本の四分の一程度です。日本でもこの30年間で保健所と病床が削られてきました。欧米との違いは、医師・看護師が平時から不足していたことです。これが今後重症化の増加と死亡率に響いてくるでしょう。
日本で感染が増えないのは、検査が消極的なのを横におくとして、伝統的に清潔好きで冬場はマスクをする人が多く、挨拶でも接触をせず、ハグもキスもしない習慣が幸いしているのではないかと思う。外国でも挨拶の接触は国によって度合いが違うというけども、満員電車の密集空間ではほとんど喋る人がいないなど、日本ほど接触を避ける国民性を持つ国は少ないのではないか。

感染者の母数が少ないとしても、医療現場の疲弊は深刻です。公費を投入して緊急の医療施設を建設し、所得補償をして離職している元医療従事者に復職してもらう必要があると考える。日本の場合医師不足も深刻で、こちらは簡単には増やせない。しかし、軽中度の患者であれば看護師で対応できて、重症化を避けられるのではないか。看護師が離職する理由の上位は、「人手不足で仕事がきつい」「賃金が安い」「休暇がとれない」だ。どれも、政府が所得保障をすればある程度改善でき、増員できるのではなかろうか。
https://bowgl.com/nurse-hortage-of-workers/

検査を強化して患者が増えると医療崩壊が起きるなどと反対する人がいるが、政府が役割を果たせば完璧とは言えなくとも重症以上を減らす環境を作れるだろう。政府に責任負う覚悟があればできるはずなのだ。

休業休校、イベントの中止・延期・縮小の判断も、責任逃れの感が強い。
「大規模」なものは慎重な判断を、と言うが、数が示されていない。これでは、どこからが大規模なのか判断できず、結局は「全部中止だ」と過剰自粛が起きてしまう。自粛しても開催しても批判されてしまい主催者と利用者が分断されてしまいます。こうなると、感染災害が収束したあとにも禍根を残し、経済被害が長期化します。
政府に責任を負う覚悟がないからだ。

規模を明確にすれば、中止判断を強いられる側としては政府に補償を求めるでしょう。それが嫌なのだ。

あくまで政府はふわっとした指針しか出さず、判断は自治体に、民間に、国民にさせる。被害は自己責任、というわけです。

大変わかりやすい「無責任国家」ですね。

経済被害を中心に据えた対策としては、安藤裕議員とその議連「日本の未来を考える勉強会」と自民党有志議員で提出した提言書を実行すべしと考えますが、これが最大の最終提言だとは思いません。

先日、安藤議員と佐藤健志さんの間でちょっとした論争がありました。双方、最大の対策をすべしというところでは一致しています。ただ、佐藤さんとしては最悪を想定した感染被害と経済被害の両方を認識しているのか問うたのでしょう。提言は緊急の経済対策として出していることも承知の上だと思います。
佐藤さんが示したブルッキングス研究所の最悪の想定では58万人の死亡だそうだ。
https://news.yahoo.co.jp/byline/iizukamakiko/20200306-00166303/
日本の全人口が感染した場合で、死亡率0.45%で計算したものです。WHOの0.4%より少し高い。ボクが計算した数字は、感染確認者数をやや甘めに1億2千万人にした。1億2千6百万人で計算すれば、研究所の数字とほとんど同じになります。ブルッキングス研究所のものも、最悪想定としては極論ですが、日本の実際の死亡率は、約2.8%ですから3,528,000人の死亡となります。想定としては無視するわけにいきません。特に、東日本大震災に見舞われた国の国民としては、です。

個人的には、去年10月の消費増税の時点で、安藤議員と勉強会のメンバーには、自民党を離党してでも戦う覚悟を持っていただきたいと思っていました。同時に、党内から政府を動かして政策転換させたい心持ちも重要で、理解できるものです。
ただ、消費増税の結果が最悪の深化を示し、その上やってきたウイルス災害を受けてもなお、緊縮財政を基本とした諸政策を改めないのなら、本当に袂を分かつ時だと考えざるを得ないのです。3期生までが「安倍チルドレン」として当選した過去はこの際どうでも良いでしょう。そう覚悟を決める時が訪れているのです。政界の論理に染まりきっていない若手にこそ、硬直した政治を変える可能性があるはずです。

欧米諸国は厳しい外出禁止措置を決行しています。もちろん出入国規制も厳しい。規制と同時に日本の10倍から数十倍の政府支出で損失を補償する財政支援も決断している。
しかし、欧米では日本よりも早くから入国規制をしイベントなどの禁止も打ち出していたにもかかわらず、感染の急拡大が起きています。一日の増加数は6万人を超えており、世界平均の死亡率だと一日で2580人が亡くなる計算ですが、概ねそうなっています。増加率は衰えていないので一日で10万人の増加、一日で4300人の死亡になるまで1週間かからないでしょう。2週間後には10万人が亡くなっている可能性があるわけです。2月頃言われていた「4月ピーク説」はもはや絶望。いつピークに達して減りはじめるのかまったくわかりません。世界的かつ長期的な感染状況で、一旦減りはじめた国がまた増えはじめるぶり返し現象も起きる。中国ではじまっているのがそれでしょう。

この状況でも、日本だけは大したことにならない、と考えるとすれば危機感が薄すぎると考えます。

経済面では、感染災害以前からその都度「ありえない想定」で、推測した最悪が次々破られていく。最悪の更新が止まらないのが現実です。日本の感染被害が諸外国より軽く済んだとしても、桁違いの大打撃が波及する。

東京でも感染拡大が起きています。しかも経路のわからない孤発例が十数人あり、クラスターを発生させている可能性もある。https://note.com/syasukaw/n/nbf0f6d4886e7
地域封鎖をしなければ、感染被害が関東を中心に太平洋ベルト地帯や上越方面に拡大していきます。道路鉄路の整備が感染を拡大させる皮肉な状況となる。
これまでの経過からすると、顕著な増加が起きてから対処したのでは、もう遅い。

政府が聞き入れそうな提言、平時の政治手続きを想定した規模では、もはや甘すぎると考えます。
日本の感染被害は欧米よりずっと小さいはずだ、という考えは希望的観測にすぎません。
消費増税で1998年から自殺者が一万人増えて高止まりした状況を基準に、感染被害はずっと軽いだろうと考えるのも禁物です。リーマン・ショック期を底にして「緩やかな回復基調」と言い続ける政府と変わらなくなってしまうからです。

もし、財務省がしぶり、政府も消極的なのだとしたら、たとえば300兆円まで引き上げて要求しなければ必要な規模にならないと考えます。できそうにない要求をしても無視される…と心配するなら、これも政府の姿勢と変わらないじゃないですか。
各党は提言をアップデートしなければならないと思います。実行させるあらゆる政治手法を取る必要がある。「これでよし」は全く通用しません。

国民を守るのが政治の役目だとすれば、硬直した政治の枠から脱却する覚悟が必要だ、と考えます。

もちろん、国民に覚悟が必要なのです。

○コマーシャル
ボクのツイッターとブログです。
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【平松禎史】「霧につつまれたハリネズミのつぶやき」第六十七話:『最悪の想定から最善を導く覚悟のススメ』への2件のコメント

  1. 大和魂 より

    三十年という時間を要しても軌道修正すら出来ない我が国の政治は落第の象徴であり、その政治の安定は、馴れ合いで腐敗を意味する職務怠慢でしかない事が証明されたと。そこに、ヤレそれと、つけ込む、みにくいルサンチマンで改革を叫び国家を撹乱させる、口先だけのゴミ集団が関西に誕生した。しかも、そのバックボーンもタカリを背景とした腐敗した国際政治からの産物によるお金を次々と投入して世の中を乱すクソ!まあ、怖いもの知らずのわたくしには、ゴミ掃除しかないと!

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  2. たかゆき より

    春節 来来

    「コロナとは長い戦いになる」 とか

    ソウリ オマエが 言うか、、、

    黒鹿信者の方々を

    コロナ大明神により

    浚渫 排排 ♪

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