欧州

2018年8月27日

【三橋貴明】安藤裕衆議院議員との対談

From 三橋貴明

【今週のNewsピックアップ】
財政基準と国民の安全
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12399985693.html
CPI及び安藤裕議員との対談の件
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12400206799.html

イタリアのジェノバで高速道路の
高架橋が崩落した事故を受け、
サルビーニ内相が、

「財政基準を守ることが
国民の安全よりも重要なのか、
国民は自問すべきだ。
私はそう思わない」

と、発言しました。

まさに、身につまされる言葉です。

政府の目的は、国民を豊かに
安全に暮らせるようにする
「経世済民」であり、
利益ではありません。

政府はNPOであり、
営利法人ではないのです。

それにも関わらず、「財政基準」という
概念ばかりが強調され、
政府までもが企業のように
「黒字=利益」を出すことが
善であるかのごとく、
世界各国は緊縮財政に邁進。

結果、ジェノバの悲劇が起きました。

今後も、日本を含む
世界各国で起き続けるのでしょう。

元々、政府の財政赤字拡大を
否定する財政均衡主義は、
古典派経済学、新古典派経済学が
発祥です。

特に、ノーベル経済学者の
ジェームズ・M・ブキャナンなどは、
政府の財政拡大
(いわゆるケインズ主義)
を毛嫌いし、

「政府が財政拡大や通貨発行
(中央銀行の国債買取)できないように、
財政均衡を憲法に書くべきだ」

と、主張。

ドイツなどは、実際に
財政均衡を憲法で明文化しています。

なぜ、ブキャナンに代表される
新古典派の経済学者が
財政拡大を毛嫌いするかというと、
もちろん「インフレーション」を
問題視しているためです。

政治家は、有権者の投票で選ばれます。

ということは、
有権者の意向に沿わなければ、
当選できません。

有権者は身勝手です。

マクロ経済環境を無視し、有権者は
「地元での公共事業拡大」
「社会保障拡大」を求めます。

政治家が有権者におもねり、
財政を拡大し、金利上昇を受けて
中央銀行に国債を買い取らせると、
「インフレが止まらくなるだろ!」
という”ストーリー”なのです。

うん、それはまあ、
そういう時期もあるでしょか。

でも、今は「デフレでしょ!」
という話なのでございますよ、
ブキャナンさん
(2013年に亡くなりましたが)。

デフレであるにも関わらず、
ブキャナン式の財政均衡主義が
まかり通り、なかなか修正されない。

理由はもちろん、デフレや緊縮財政が、
レント・シーカー(政商)たちが望む
「公的サービスの民営化、ビジネス化」
にとって都合がいいためです。

日本がデフレから脱却し、
名目GDPが順調に増えていくと、
税収も増加します。

すると、公的インフラの維持や
社会保障の拡大が「普通に可能」
になってしまうため、

「もはやインフラ維持は官では不可能だ。
民営化し、効率化しなければ!」

「このままでは健康保険制度は破綻する。
自由診療を増やし、民間の
医療保険ビジネスを解禁だ!」

といった、レント・シーキングが
説得力を持たなくなってしまうのです。

現在の日本の緊縮財政継続には、
財務省の緊縮至上主義に加え、
レント・シーカーたちの
「ビジネス上の都合」があるのです。

そんなことは、安倍政権が推進する
「グローバリズムのトリニティ」
を見ていれば、誰にでも
理解できるはずです。

というわけで、2012年の
総選挙から骨太の方針2018までの
五年と六か月について、安倍政権の
経済政策を振り返り、この状況を受け
「我々がどうするべきなのか?」
を考えるヒントになるであろう動画、

【〈月刊三橋特別対談〉
三橋貴明×安藤裕衆院議員
『経世済民を実現せよ!
日本を救う安藤提言』】
がリリースになりました。
https://pages.keieikagakupub.com/ma_talk/

本動画は視聴が8月末まで
となっておりますので、
是非お早めにご覧ください。

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【三橋貴明】安藤裕衆議院議員との対談への3件のコメント

  1. komiyet より

    安藤ひろしオフィシャルホームページの財務省とのやり取りは必見ですね。

    お笑い番組より大笑いしました。

    生身の政治家の質問に

    財務省の幹部はマニュアルの棒読み。

    嘘がばれた時のマニュアルがあるんだという証拠みたいな動画ですね。

    東大卒のエリートって本当は馬鹿なんだなってのがよーくわかる動画でした。

    こんなバカに財布を預けていたら、経済衰退するよ。

    テレビ新聞を見ているような、傍観者に期待をしない。

    知ってしまった自分たちが、自分たちに出来る正しいことをコツコツやる。

    知行合一。知ってしまった人は行動するほうがいい。

    何もしないで滅びるのを待つより、

    何かに挑戦して博打をする方がいい。

    きっかけはどこにでも転がっているってわかる動画でした。

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  2. 神奈川県skatou より

    今日、とある省庁の概算要求を見て、戦後も終わるのかなと感慨深くなりました。そして、そのときに我々国民はなにを信じ、何を目指し、なにを守るのか。

    筋道の正しい話はいつかきっと多くの人の心にたどり着くはずで、このビデオの話も、今はごく少数が賛同する話だとしても、きっと、と信じております。

    自分は日本国民はそうとう賢いと思っています。
    でも、余計な知識が、毎日のようにテレビ新聞から流し込まれ、分かっているのに気づかない、間違ったステレオタイプに安住してしまう。
    テレビ新聞がいうのだから正しいのだろう。
    なんとか大学の先生がテレビで言うから正しいのだろう。

    でも本当は防災のための公共投資が大事なのは知っている。だれかに刷り込まれて、国家と家計の同一視をトレスしているだけ。

    動画のような、伝えやすいコンテンツの充実、拡散、そして、みな権威に弱いものですから、国立大学の教授とか、そんな箔で飾れば、あんがい節目が変わる程度のもののような気がします。

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  3. 加藤淳一 より

    予想以上の質でした。
    現在展開中の総裁選に安藤提言への姿勢を評価基準として盛り込むべきですね。

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