日本経済

2025年11月3日

【三橋貴明】政府債務対GDP比率の引下げ

【今週のNewsピックアップ】
堂々とPB黒字化目標を破棄せよ!
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12941629470.html
財務官僚は悪人か? 
単なるバカか?
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12942205713.html

高市早苗総理大臣は、
所信表明演説で、
プライマリーバランス
(基礎的財政収支、以下PB)
については言及せず、

「成長率の範囲内に
債務残高の伸び率を抑え、
政府債務残高の対GDP比を
引き下げていくことで、
財政の持続可能性を実現し、
マーケットからの信認を
確保していきます。」
と、語りました。

ほとんどの政治家や国民が
忘れてしまっている
(あるいは最初から知らなかった)
のですが、
そもそもPB黒字化目標は、
政府債務対GDP比率を
引き下げるために導入されました。

政府債務対GDP比率は、
「=政府債務÷名目GDP」
で計算されます。
これを「引き下げましょう」という発想で、
PB目標が始まりました。

【プライマリーバランスと
政府債務対GDP比率】

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/image-12941629470-15704794641.html

既発債については、
これは借り換えされます。
つまりは、既発債については
気にしなくていい。

国債利払費は、
確かに政府の財政負担になりますが、
名目GDPの成長率が
利払費を上回っている限り、
政府債務対GDP比率が
下がっていきます。

問題は、
二十一世紀初頭(※小泉政権期)の日本は
デフレで、
名目GDPが
成長していなかったことなのですよ。
何しろ、
GDPデフレータが
マイナス化していましたので、
実質でプラス成長になったとしても、
名目GDPは伸びない。

となれば、
政府債務対GDP比率が
上昇していく。

そうなると、
「名目GDPのマイナス分以上に、
政府債務残高を
引き下げるしかない」
となりますので、
国債費(既発債と利払費)を除いた
政府の財政収支(これがPB)を
黒字化しなければならない。
というレトリックが
主張されたのでございます。

要するに、
問題は名目GDPが成長しない
「デフレーション」だったのです。
デフレ期に
政府債務対GDP比率を
引き下げようとすると、
PBを黒字化するしかない。
という発想でPB黒字化が追求され、
政府は緊縮財政を推進し、
結果的にデフレが続き、
名目GDPが成長せず、
政府債務対GDP比率が
むしろ上昇していく、
という愚かしい結果になりました。

今後、
「政府債務対GDP比率の
安定的な引き下げ」のみを
財政目標にすると、
何しろサプライロス型インフレに
陥った日本は、
GDPデフレータがプラス化している。
実質GDPが成長しなくても
(これは情けない話ですが)、
物価上昇により
名目GDPは拡大していく。
結果、政府債務対GDP比率は
勝手に下がっていくのです。
というか、下がってきています。

【日本の政府総債務残高対GDP比(%)】

http://mtdata.jp/data_96.html#Gross

冒頭の高市総理の所信表明演説は、
「成長率の範囲内」というのがミソで、
「実質GDP成長率」とは
言っていないのです。
さらには、
債務対GDP比の引下げを
語っていますので、
成長率は「名目GDP」で
良いわけですね。

となれば、
GDPデフレータが
プラス化した現在、
財政目標は
「すでに達成されている」という話に
なるのでございます。

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【政府債務対GDP比率の引下げ】
https://foomii.com/00305/20251101102612144897

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「政府債務対GDP比率の引下げ」
http://www.mag2.com/m/P0007991.html

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なぜアフリカは
資源が豊富なのに貧困が続くのか?
格差拡大の裏にあの国がいます。
[三橋TV第1085回]三橋貴明・菅沢こゆき
https://youtu.be/KYqtWhAdQiM

高市政権の政策を解説!
意外にまともな政策に紛れた
財務省の思惑とは?
[三橋TV第1086回]三橋貴明・菅沢こゆき
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高市政権の安全保障政策がすごい。
スパイ防止法、メガソーラー規制、
外国人土地購入規制規制が進みます。
[三橋TV第1087回]三橋貴明・菅沢こゆき
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移民と人口、そして経済成長
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核武装は安上がり?
なぜ日本では核武装がタブー視されるのか?
(村井友秀×三橋貴明)
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財務省敗北?
高市総理が完全勝利するためのシナリオを
解説します。
【11/2までの限定公開】
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◆三橋経済塾
10月18日(土)、
三橋経済塾第十四期第十回対面講義を
配信いたしました
https://members14.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=2493
ゲスト講師は峯村健司先生でした。
11月以降の予定は以下の通り。
https://members14.mitsuhashi-keizaijuku.jp/

 第十一回 11月15日 大場一央先生
(早稲田大学非常勤講師)

 第十二回 12月20日 堀茂樹先生
(慶應義塾大学名誉教授・仏文学者)<New!

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【三橋貴明】政府債務対GDP比率の引下げへの5件のコメント

  1. 利根川 より

    「マーケットからの信認を確保」

    これ、数日前のサンジャポで河野太郎さんも言ってましたね。

    河野太郎さん「市場の信認を損なわないためにも、これ以上、”赤字国債”を発行してはならない」

    三橋さんが嫌っている「赤字国債」という言葉もバッチリ使っていました。自民党は相変わらずみたいですね(苦笑い
     自・維合意文書には消費税(維新案の食料品のみ)が書いてありましたが、高市総理の所信表明演説では消費税のことは触れられていなかったのでかなり心配です。というか、消費税のことについては触れたくないのだろうなと言うのがひしひしと感じられます。野党が騒がなかったらガソリン税暫定税率の廃止もなかったかもしれません。

    元官僚 木下としゆきさん
    「ガソリン税の暫定税率廃止が決まったのは良かったのですが、報道を見ると、代わりの財源を探すそうです。これでは減税になりません。
    税収の増加分で賄うとするのかと思ったのですが。」

    「特に気になるのが、『インフラ保全を念頭に1年後をめどに安定財源の確保を目指すことで合意した』とのこと。」

    三橋さんも懸念していた通り、「財源探し(増税)」が活発化しているということで、大丈夫かいなと。

    自称保守「まだ高市政権は何もしていないのに批判するな!」

    決まっちゃってからひっくり返すのは至難の業です。消費税もそれで困っているわけでね。懸念があったら誰に遠慮することもなく口に出しますよ。というか、本来は「愛国」だとか「保守」だとか「反グローバル」とか言ってる保守層が口うるさく言わないといけないことでしょうに…
     
    安藤裕さん
    「外国人による土地や企業の買収に関することや移民に対する方針など私と近い考えの部分も多いので期待しているところですが、今の所、いままでの自民党の枠を超えるものではないなと」

    わたしもそのように思っています。
     
    「失われた30年」

    これが繰り返されないようにお願いしたいところです。
     安藤さんのお話によると、自民党の先生方は大変勉強熱心で、講師を呼んで頻繁に勉強会が催されるのだそう。

    金持ちの親にカネを出してもらっていい大学に行って海外でMBAとって、くだらない会社を立ち上げて3年ほど回してM&Aで売却し、自分だけは創業者利益で美味しい人
    「どうも、講師です!稼げてない奴は稼げないような職業にしがみついているのが悪い!皆、俺みたいに努力して稼げる職業に就けばいい!」

    自民のアホ政治家
    「すばらしいお考えです!やっぱリスキリングですよね!」

    その方針(リスキリング)でやってきたわけですが、どうなったのかというと、、、

    現場
    「社会に必須の職業であるエッセンシャルワーカーの人手が不足してブルシットジョブ界隈で人余りになっちゃってるんですけど」

    こうなったわけだ(苦笑い
     運送や介護といったエッセンシャルワーカーは社会にとって無くてはならない職業です。しかし、そういった社会に必須の職業に限って給与や待遇面で不遇だったりもします。
     親としては、いくら社会のためになる職業だと言われても、自分の子供が

    ”経済的理由で結婚もあきらめるような人生”

    を送ってほしくないので、厳しい経済状況の中、教育費を捻出してなるべくいい大学にやって子供をブルシットジョブに就かせるわけだ。皆がそれをやった結果、エッセンシャルワーカーが足りなくなり、その穴を埋めるために外国人を引っ張ってきて働かせているわけですね。こんなもの、全然持続可能じゃないわけですよ。
     ちなみに、安藤裕さんはこうした講義を見て

    安藤さん「だめだこりゃ」

    と思ったのだそう。そりゃそうだ、仮に国民全員が講師さんの言うような努力をしてエッセンシャルワーカーから何らかのブルシット・ジョブに就いたとしよう。誰がエッセンシャルワーカーを担うんだっていう。こんな破綻した理論を何の疑いもなく受け入れてきたポンコツ議員達。その枠内でしか今の所うごいていないということなので、不安しかないというわけです。
     ちなみに、ブルシット・ジョブの定義は、、、

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    ブルシット・ジョブとは、被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態である。とはいえ、その雇用条件の一環として、本人は、そうではないと取り繕わなければならないように感じている。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    こういうものだそうで、ブルシット・ジョブの典型が主流派経済学者です。なにせ、本人たちが認めてしまっていますから。

    主流派経済学者達の意見

    ポール・クルーグマン
    「主流派マクロ経済学の大部分は、良くて華々しく役に立たなく、悪くすれば完全に有害」

    ロナルド・コース
    「今の経済学は宙に浮いていて、現実世界で起きていることとはほとんど無関係になっている理論体系である」

    ミルトン・フリードマン
    「経済学は現実の経済問題を扱うのではなく、難解な数学の一部門にますます近ずいている」

    ワシリー・レオンティエフ
    「専門的な経済学の学術誌の各項は数式で埋め尽くされている。そうした数式は一見もっともらしいが完全に恣意的な仮定から、明確に述べられているが見当違いの理論的結論に読者を導いていく」

    ブルシット・ジョブである主流派経済学の影響下から自民党が足抜けできるのかというとかなり難しいのではないかなあと。失われた40年にならなきゃいいけど…

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      1. 利根川 より

        ついでに、三橋TVで超重要なお話があったので、報道関係の方には是非とも目を通しておいていただきたいなと、、、

        核武装は安上がり?なぜ日本では核武装がタブー視されるのか?(村井友秀×三橋貴明)

        ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
        村井さん「感情論ではなく、事実を是非皆さんにご理解いただけたらと思います」

        村井さん「私のバックグラウンドは防衛大と言う所で30年間、軍事史を教えておりました」

        村井さん「ですから、安全保障とか軍事に関してはそれなりの知識を皆さんにご提供できるのではないかと考えております」

        三橋さん「日本では核武装について議論すら許さないというような変な風潮があると思っておりまして」

        三橋さん「例えば、核武装は安上がりですと、これ事実だと思うんですけど、どう考えても」

        三橋さん「それで、様々な背景とかを説明していったところで政治家の方々だと切り抜かれて批判されることに」

        三橋さん「例えば、通常兵器で中華人民共和国と軍事バランスとるとなると、毎年何十兆円という規模の軍事費が必要になっちゃいますよね」

        三橋さん「ただ、核兵器を使った場合は異なる局面が落とすれるという、こういう議論すら許さないというのは本当に問題だと思います」

        三橋さん「さらには核武装について語るとすぐに感情論に持っていくんです」

        三橋さん「まず初めに、なんで日本ってここまで核武装の議論がタブー化しているんですかね?」

        村井さん「日本と言うのは世界で唯一、原子爆弾の被害を受けたという意味で極めて特殊な国である、これは間違いない」

        村井さん「原爆に対する、もしくは核兵器に対する非常に否定的な感情がある、これは当然だと思います」

        村井さん「ただ、核政策、核兵器を考えるときに核兵器に反対している皆さんにぜひ考えていただきたいのは」

        村井さん「相手を説得するとき、外国の人達を説得するときに、感情では説得できないんですね」

        村井さん「やっぱり事実、科学的な根拠、そういうものを基準にして議論をしないと相手を説得することはできない」

        村井さん「自己満足ではいけないと思うんですね」

        村井さん「本当に核兵器をなくしたいという方針があるのだったら根拠に基づいて、どうしてダメなのかということを説得しないといけない」

        三橋さん「日本は世界で唯一の被爆国です、というので核兵器を全否定するという繋がりが正直私にはよくわからない」

        三橋さん「日本て専守防衛というのをうたってはいますよね、防衛について」

        三橋さん「核兵器ってお互い撃たないので、ある意味、専守防衛に最も適しているんじゃないかな、ぐらい思ってるんですけど」

        三橋さん「これって事実ですよね?」

        村井さん「あのですね、今おっしゃったことを踏まえて少し話をしたいと思うんですけど」

        村井さん「たとえば『核兵器はコスパがいい』という意見があって、どうなんだと」

        村井さん「核兵器を使用した場合にどれくらいコストがかかるのかと言う論文がたくさんあって」

        村井さん「一般的には言われているのが、一平方キロに展開している100人の敵、これを殲滅するのにどれくらいかかるのかと」

        村井さん「通常兵器を用いた場合2000ドル、核兵器を用いた場合は800ドル、化学兵器を用いた場合は40ドル、生物兵器を用いた場合は1ドル」(2025年11月時点)

        村井さん「というのが、一応の目安となっております」

        村井さん「ですから、こういう事実をまず知って、それから議論しないといけないかなと」

        村井さん「それから、アメリカの国際政治学者の中で懸念されているのが、」

        アメリカの国際政治学者『核兵器は非常に恐ろしい兵器。広島長崎で皆分かった。だからそれ以降、核戦争はないんだ。ということは世界中の国が核兵器を持てば戦争はなくなる』

        村井さん「こういう極端な意見もあるんですね」

        村井さん「国際政治学者の中でもいろんな意見があって、これは少数派の意見ですけど」

        村井さん「こういう議論に正確に反論できないと核廃絶の道は進まないと思います」

        三橋さん「現実問題として核兵器を既に持っている国があるわけじゃないですか」

        三橋さん「日本なんかは(核保有国に)囲まれてると言ってもいいと思います」

        三橋さん「この状況で核を廃絶しましょうと言って、いったいどの国が言うことを聞いてくれるのかなと」

        三橋さん「懸念と言うか、絶対に核を放棄するなんてことあり得ないんじゃないかと私は思ってしまうんですけど」

        村井さん「核兵器を持っている国はどういう戦略で核兵器を持っているかと」

        村井さん「核兵器を持っている国と言うのは核兵器が必要だと思って持ってる」

        三橋さん「そりゃそうです(笑」

        村井さん「どういう理論になっているか、これを是非ご理解いただきたいと思うんですけど」

        村井さん「たとえば、日本と中国と比べて、日本が核兵器を持った場合、中国は日本の国土の25倍も広い国で人口も10倍あって」

        村井さん「核戦争になった場合、日本には戦略的重心性もないため日本が勝つ見込みは全くないと」

        村井さん「だから、相手を中国と考えた場合、核戦略と言うのは意味がないんだという議論があるんですね」

        村井さん「世界で核兵器をどの国が持っているかと言うと、アメリカやロシアや中国と言った大きな国だけではなく、イギリスやフランスといったほぼ日本と同じ規模の国も持っている」

        村井さん「彼ら(日本と同等の規模の核保有国)はどういう理屈かと言うと」

        村井さん「例えば、フランスはドゴールの時代に『アメリカは信用できないから自分の国は自分で守る』という戦略を作りました」

        村井さん「冷戦時代、ロシアは3万発の核兵器を持ってる、フランスは数百発」

        村井さん「数百発のフランスと数万発のソ連が戦争して勝てる確率は0%です」

        村井さん「じゃあ、なんで持ってるんですか?」

        村井さん「フランスのシナリオは、こういうものだったんですね」

        村井さん「フランスはソ連を攻撃するつもりはないので、ソ連がフランスを攻撃するだろうと」

        村井さん「そうすると、ソ連の核攻撃能力から言ってフランスの国力の90%を破壊される。完全にフランスは死ぬ」

        村井さん「これが第一段階で、」

        村井さん「その後、フランスは原子力潜水艦に積んだ核兵器を持っていましたので、フランスが完全に破壊されても大西洋のどこかに居るフランスの原子力潜水艦から反撃する」

        村井さん「そうすると、ソ連の国土の15%を破壊する」

        村井さん「戦争の結果は、フランスは90%破壊されて、ソ連は15%破壊される」

        村井さん「フランスが負けなのかというと、フランスの考え方はそうではない」

        村井さん「これは両方負け」

        村井さん「フランスは死ぬ。だが、ソ連も片腕を切り落とされる」

        村井さん「もし、ソ連の指導者が合理的な指導者なら片腕を切り落とされるのが分かっていてあえてフランスにケンカを売るのか?」

        村井さん「これがフランスの核戦略の基本構造なんですね」

        村井さん「イスラエルなども同じような考えだと思いますが、小さな国が核戦略で国を守るというのは、自分が勝つ戦略じゃないんです」

        村井さん「自分は全滅するかもしれないけど、相手もただでは済まさないという戦略なんです」

        村井さん「この点が北朝鮮が言ってるのは全く違うんですよ」

        村井さん「北朝鮮は自分たちは核兵器をもってアメリカに勝つと言ってるんです。これは絶対無理です」

        村井さん「だから、北朝鮮の核兵器は抑止力ないんです」

        村井さん「核兵器を抑止力とするには『自分は死ぬんだ、でもお前も道連れにするぞ』そういうシステムなんです」

        村井さん「じゃあ、日本が核兵器で国を守りますといった時に、(フランスと)同じシステムにならざるを得ないんですよ」

        村井さん「核兵器で日本を守りますとなった場合、核兵器を使う時は日本は死ぬんですと、でも相手も道連れですと、そういう戦略を国民が支持するかどうか(笑」

        村井さん「という話なのですよ」

        三橋さん「シャルルドゴールというのは比較的タカ派な方で安全保障についてもアメリカはあてにならないから核武装と」

        三橋さん「その上でフランスがかなりやられてしまってもソ連にも手痛い目を見せるぞと、そういうことで核武装に走ったと思うんですけど」

        三橋さん「それってフランス国民が支持していたんですか?」

        村井さん「そうです」

        村井さん「ドゴールの政策は、当時のフランス社会党も比較的力があったフランス共産党も全て支持した」

        村井さん「それは現在も同じです」

        村井さん「フランスの社会党はフランスを守る基礎は核兵器だと」

        村井さん「全般的な国民の支持があるから相手にとって抑止力になる」

        村井さん「抑止力と言うのは3つポイントがあって『自分が相手を抑止できる軍事的能力がある』『それを使う覚悟がある』『能力と覚悟があることを敵が知っている』」

        村井さん「日本が核兵器で国を守ると言った時に、問題は相手が日本人はいざとなったら核兵器を使うガッツがあるかどうか、あると信じるかどうかなんですよ」

        村井さん「今の日本の状況では日本人はそんな根性ないだろうと、相手がそう思ったらたとえ核兵器を持っていても抑止力にはならない」

        三橋さん「核兵器って一つの兵器としては破壊力が極めて大きいじゃないですか」

        三橋さん「中国は日本よりもはるかに大きい国ですけども、例えば北京や上海といった重要な都市がありますよね」

        三橋さん「そこに対して日本が核兵器を向けるというのではダメなんですか?」

        村井さん「中国では毛沢東の時代、どういう風に言っていたかと言うと」

        村井さん「中国は広い国で8割が農村」

        村井さん「中国共産党というのは農村から出てきた」

        村井さん「元々、都市に基盤を置いていない」

        村井さん「だから、たとえアメリカの攻撃で数千万の人が死んでも、都市を破壊されても、農村で共産党は生き残る」

        村井さん「だから、アメリカの核攻撃にあっても共産党は負けないと言っていたんです」

        村井さん「ただ、今の中国はそういう中国じゃなくなっていますので、核攻撃…というか戦争そのものに対する脆弱性が非常に高くなっている」

        村井さん「なにしろ、いま中国が使っている石油の6割は輸入に頼っていますし、GDPの3割以上が対外貿易ですので、戦争に対する脆弱性は非常に高くなっています」

        村井さん「ちなみに、対外貿易に対する依存度は日本の方が中国より低いんですね」

        村井さん「だから、そういうことを考えると中国と言う国は戦争に対して非常に脆弱な国になりつつあるということに」

        三橋さん「台湾有事が生じて、そこにアメリカが参戦すると中国は日本の米軍基地を攻撃すると思いますが」

        三橋さん「その場合、日本は個別的自衛権発動ということになって核を持っている中国に対してどう向き合っていくのか」

        三橋さん「あるいは、米軍が参戦しなかった場合は日本は台湾を見捨てるんですかと」

        三橋さん「習近平が台湾は中国の一部で、そこへの干渉は内政干渉にあたるので(核兵器含む)あらゆる手段を使って反撃すると言った場合」

        三橋さん「日本は事実上、主権を失う事態になる可能性が濃厚だと思うんですが」

        村井さん「中国が台湾を武力攻撃するかという話ですね」

        村井さん「日本の中国研究者が言っている意見はですね、私の主観では2027年までに中国が台湾を武力攻撃すると考えている人は1割」

        村井さん「攻撃すると言っている人は中国共産党は非常に攻撃的な悪い政権だからと、そう言ってるんですね」

        村井さん「残りの1割の人は絶対攻撃しないと。なぜ攻撃しないといえるのかと言うと中国共産党は良い人たちだからと」

        三橋さん「アハハハハ(笑」

        村井さん「こんな人いまは1割だけど、私が学生の時はこういう先生が9割だったんですよ、大学では」

        村井さん「残りの8割中4割の人は攻撃しないだろう、なぜならば中国共産党の正当性は経済にあるからだと」

        村井さん「戦争すれば必ず経済に大打撃を与えて、それは共産党の正当性を棄損するからと」

        村井さん「残りの4割の人は『(台湾戦争)するかしないかは簡単に勝てるかどうかにかかっている』と」

        村井さん「もうちょっと正確に言うと、中国共産党が絶対に守ると言っている核心的利益、何かと言うと、」

        村井さん「一番トップは政権の維持なんですよ」

        村井さん「政権の維持にプラスになると思ったら(台湾を)攻める」

        村井さん「政権の維持にマイナスになると思ったら(台湾を)攻めない」

        村井さん「プラスになるかならないかは戦争のコストなんです」

        村井さん「コストが大きいと思ったらやらない、小さいと思ったらやる」

        村井さん「だから、中国が台湾を責めるという事態を避けたいと思ってるなら”中国が戦争をした時のコストを上げる”」

        村井さん「中国が嫌っているアメリカとか日本の軍事力が上がる。そうすると、中国は戦争のコストが上がるので戦争しないで世論戦とかハイブリッド戦で台湾をとろうとする」

        村井さん「こういう構造になっていると」

        三橋さん「中国の戦争に対するコストを上げるというのならば、それこそ日本の核武装と言うのが最も安上がりな印象を受けたんですが、いかがですか?」

        村井さん「日本が核武装すれば安上がりかと言うと、兵器のシステムから言うとそうなるかもしれませんが」

        村井さん「日本は日本と言う国なので、経済、それから社会、いろんな側面があって総合的に考えないといけない」

        村井さん「例えば、今、日本が核武装をするという決定をするとどうなるのかと言うと」

        村井さん「日本が加盟している核拡散防止条約を離脱することになります。そうすると、当然のことながら制裁を受けることになります」

        村井さん「それと国連などの制裁対象国になる可能性もある。いろんな意味で経済的に大きなマイナスになる可能性がある」

        村井さん「そのコスト/ベネフィットのバランスなんですね」

        村井さん「もう一つ私が付け加えたいのは、核兵器というのは敵の大事なポイントを破壊する能力があるんです」

        村井さん「ポイントに当てようとすると正確にそこに当たらないと駄目なんです」

        村井さん「でも、(昔は)そんな能力はなかったから『だいたいその辺』に落として、それでも(ターゲットを)破壊しようとすると大きな破壊力が必要になるんです」

        村井さん「数キロ離れた所に着弾しても敵の大事なポイントを破壊しようとすると数十キロの範囲で破壊する兵器が必要だったわけです」

        村井さん「それは核兵器しかなかったんです」

        村井さん「ところが、今は技術の進歩によってピンポイントにターゲットを攻撃できる」

        村井さん「ですから、大きな破壊力が無くてもかつての核兵器と同じ効果が期待できる兵器があるんです。それは核兵器ではない」

        村井さん「そういう核兵器と同じ効果がある通常兵器を日本が保有したら、それは核兵器と同じ抑止効果があって、しかも、核兵器を保有する制裁も受けずに済む」

        村井さん「そちらの方が私は合理的だと思います」

        三橋さん「ピンポイントで攻撃できて中国側が防げないというのを相手にわからせるということですね」

        村井さん「はい、そういう兵器は可能なんです」

        村井さん「それだったら相手も『日本は核兵器は使わないだろう、でも、そういう兵器は使うかもしれない』と思います」

        村井さん「ですから、私はそっちの方が遥かに効果的だと思います」

        三橋さん「核兵器に対する議論すら起きないというのはそれはそれで問題だと思いますが」

        村井さん「日本では核兵器に対する議論すら見かけない、それを外国が見てどう思うかと言うと」

        村井さん「20年前になりますが中国の軍の高官と話したとき彼らがどう思っているのかというと」

        村井さん「『これは絶対に(核兵器)持ってるな』と」

        村井さん「核兵器を持ってることを隠すために(核保有に対する議論を)言わないんだと」

        村井さん「こういう印象なんです」

        村井さん「いや、日本は核兵器は持っていないんですよと説明しても向こうの人は『あのずる賢い日本人が核兵器を持たないわけがない』と」

        村井さん「それをうまく隠そうとしても私たちは騙されませんよと」

        村井さん「そういう明らかな誤解がなぜ生まれるのかと言うと(核兵器保有について)何にも言わないからなんです」

        村井さん「だから、日本で核兵器に対してこういった議論がある、持つべきだ、持たないべきだ、そういう議論を見て日本人は今何を考えているのかが分かる」

        村井さん「それは、とんでもない誤解を防ぐためには必要なことだと思います」

        三橋さん「中国側が(日本は核兵器を)持ってるはずだ。一切言わないのがその証拠だと思われてしまうと戦争のリスクが高まってしまう」

        村井さん「相手のことが分からないと最悪の事態に備えなければならなくなる」

        村井さん「なんにも言わないということは、日本は核兵器を持ってるかもしれないという前提で行動することが中国としては合理的ということに」

        三橋さん「万が一、持っていた場合の被害がでかすぎるから」

        村井さん「そういうことです」

        三橋さん「日米と中国の軍事バランスでは、東アジアにおいてかなり中国側に傾いてしまっていますが、戦争を起こさないためには軍事バランスを維持することが重要だと思いますが」

        村井さん「中国共産党の指導者、彼らの頭にあるのは共産主義理論ではなく孫氏の兵法なんです」

        村井さん「孫氏の兵法が何と言っているのかと言うと」

        村井さん「戦争をする時の原則で、相手よりも自分が弱いと思ったら絶対に戦争をするなと」

        村井さん「なんでもいいから逃げまくれと」

        村井さん「(戦力が)相手の2倍あったら相手を分裂させろと」

        村井さん「5倍あったら勝つのは確実だから躊躇なく攻めろと」

        村井さん「10倍あったら戦争しなくても相手は屈服する」

        村井さん「だから、5倍の戦力差があったら攻めてくるかもしれないんです」

        村井さん「今の段階で攻めてきてないんで、今何をやってるのかと言うと一生懸命に日本の世論を分裂させているんですね」

        村井さん「だから、中国の感覚では、たぶん中国は日本の2倍強い、そういう段階だと思います」

        村井さん「アメリカ軍なしで」

        村井さん「日本人はよく言う『日米同盟があるから大丈夫』、米軍を合わせたら日米の力は中国よりも多い」

        村井さん「でも、これは説得力があまりない(抑止力が無い)」

        村井さん「なぜなら、中国は同盟を信じない」

        村井さん「中国の同盟国って今、北朝鮮だけなんです」

        村井さん「で、中国は北朝鮮が攻められても絶対に助けないんですよ(苦笑い」

        村井さん「北朝鮮もそうおもってる」

        村井さん「いざとなったら同盟なんて効かないと中国は思っている」

        村井さん「だから、アメリカが『日米安保条約5条』のなんたらと言っても、中国は『そんなのアメリカのリップサービス』と思ってる」

        村井さん「ということは、アメリカが居なくても日本だけで対応できますと説得しないといけない」

        村井さん「全面戦争ということではなく、尖閣とかその辺で日本は勝てますと、千人くらいの戦闘で日本は勝てると示せれば中国は日本には手を出さない」

        三橋さん「台湾はどうなんですか?」

        村井さん「その時のポイントは中国軍の方が有利かどうかなんです」

        村井さん「東シナ海では中国側がかなり有利になってる」

        村井さん「でも、第一列島戦、日本列島を超えて西太平洋まで行ったらアメリカ軍が圧倒的に強いです」

        村井さん「ということは、台湾を責めるとき、東側から攻められない」

        村井さん「中国軍が東側から攻める、それをしようと思ったら、アメリカ軍より前にそこに居ないといけないんです」

        村井さん「米軍が居るところで中国は軍事作戦できないんです」

        村井さん「だから、米軍が今考えてるのは何かが起きそうになったら、それ分かるから、中国軍より先にそこに行く」

        村井さん「そうすると、中国軍はもう来れないんです」

        村井さん「そうすると、中国の軍事作戦が成り立たない」

        村井さん「だから、実際に戦闘が起こるかと言うと可能性はそんなに高くない」

        村井さん「中国にとってはそんなコストがかかることよりも、台湾の中に居る親中派の人を説得して、、、これの方が絶対確実です」

        三橋さん「中国はロシアとは違ってまず人を送り込むことで侵略を始めますが」

        村井さん「中国がやってることを日本人は知る」

        村井さん「ある意味、中国は世論戦に弱い。なぜなら、海外の情報が制限されているから」

        ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

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  2. 利根川 より

     忘れっぽい日本人ですが、増税眼鏡こと岸田首相のこと、まだ覚えている方はどのくらいいますでしょうか。
     

    増税眼鏡
    「消費税減税は事業者がレジシステムの改修を行わねばならず、時間がかかるからダメ」

    当時、このような話が岸田政権であったわけですね。で、それに対してTVではスーパーのマネージャーに「そこんところどうなの?」とインタビューしたところ、、、

    スーパーのマネージャー
    「いうほど時間かかるものじゃないですよ」

    ということで、やらない理由を探しているだけじゃないかと国民から大いに批判を受け「増税眼鏡」のあだ名が定着してしまったわけだ。
     現在、代表質問が行われていますが、立憲の野田代表や参政党の神谷代表に「消費税減税やりましょう」と呼びかけられたのに対し、高市総理は

    高市総理「事業者のレジシステムの改修に一定の期間がかかるとの課題にも留意が必要だと考えます」

    と回答しています。岸田政権と言っていることが一緒なんですよね。財務官僚は、せめて新しいレトリックくらい考えなよ、馬鹿にしすぎでしょ。
     保守を自称する人たちは高市総理は「積極財政派だ」と言いますが、そうであるならどうして使い古された財務省のレトリックを持ち出すのでしょうか。
     

    自称保守
    「保守である高市総理を批判するとは、きさま左翼だな!」

    自称保守
    「発言を切り取りするな!消費税は食料品のみ2年間減税も選択肢として排除するものではないって言ってるだろうが!」

    これね、さらに絶望するセリフなんですよ。食料品のみと言っているということは消費税についての知識が無いと言っているようなものなんですよ、気が付いてますか?
    コチラの動画をご覧ください⇓

    トヨタが消費税で6,102億円還付を受けた理由[三橋TV第1034回] 湖東京至・三橋貴明・菅沢こゆき

    積極財政派という触れ込みはいったい何だったのか…。くわえて、以下の流れを今後も維持したいのであろうことも透けて見える。

    増税することで出世ができる財務官僚によるご説明

    消費税還付金がほしい経団連加盟企業が自民に献金

    自民党が消費税増税

    経団連がご褒美に自民党に献金

    労働者の給与が上がらない大きな要因は、3つ。

    「赤字でも取られる消費税が増税されること」

    「しらないうちにあがっている社会保険料負担」

    「さがり続ける法人税(給与を上げる必要性がなくなった)」

    この3つなので、消費税はもう下げるしかないんですよ。
     自民党内の積極財政派の皆さんは何をしているのでしょうか。高市総理は消費税について全く知識が無いご様子。であれば、お宅らが高市総理にレクチャーしなくてどうするの!三橋さんや森永康平さんにさんざんレクチャーしてもらったことをそのまま言うだけの簡単なお仕事だよ、今やらないでいつやるの!
     

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    三橋さん

    予想はしていましたが、所信表明演説で、

    「農業については、5年間の『農業構造転換集中対策期間』において別枠予算を確保します。」

     と語っておきながら、今のところ具体策がゼロ。「世界トップレベルの植物工場」「陸上養殖」「衛星情報」「AI解析」「センサーなどの先端技術も活用し、輸出を促進し、稼げる農林水産業」とかは、食料安全保障の強化には何の役にもたたないので。

     いや、もちろん、やりたい人はやれば良いのですよ。

     とはいえ、現実に求められているのは、

    「廃業する農家に、いかに生産を継続してもらうか?」

     という話であり、農家個別所得補償以外の政策があるとは思えません。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    鈴木宣弘さんをはじめとする農水関係者の受け売りですが、1995年にWTOができたとき、自国の農業が海外産の安い農作物にやられて全滅しないようにヨーロッパでは既に90年代中に、

    ”農家の所得が減った分は直接農家に補填する”

    「戸別所得補償・直接払い」がはじまっていました。
     日本も遅ればせながら(不十分ながら)2010年に取り入れたわけですが、2018年からコメの直接支払い交付金(戸別所得補償)は廃止されています。財務官僚が農業支出の増加を嫌っていますのでね。興味のある方は、コチラ⇓をご覧ください。

    財務官僚の仕事力 最強官庁の知られざる出世事情(SB新書)

    で、2024年には農業の憲法と言われる食料・農業・農村基本法改正法案が改正されたわけだ。改正前は、国が食料の自給率に関する目標を定めることとされていたのだけど、この「自給」という言葉を外した。

    農水省(のバックに居る財務官僚)
    「食料は輸入すればいい。アメリカやオーストラリアといった同盟国からの輸入なら、同盟国なのだから食糧安全保障の問題はクリアしている。何も問題はない」

    これまで水田農業に予算を投じる根拠は食料”自給”率の確保だった。予算を投じる根拠を財務官僚の意向で削ったわけですね。

     くわえて、こちらもご覧ください。⇓

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    文芸春秋4月号寄稿 鈴木宣弘・東京大学大学院農学生命科学研究所教授

    筆者は1982年に農水省の国際部に入省し、貿易自由化などの国際交渉に近い部署で仕事をしてきたので、アメリカとのせめぎあいをまじかで見てきた。
    農水省に15年ほど勤め、研究者に転じてからも貿易政策に関する研究を行い、自由貿易協定(FTA、日韓、日中韓、日モンゴル、日チリ)の事前交渉にあたる産官学共同研究会には学会の代表として参画している。
    また、2011年以降は東大教授としての立場でTPP交渉にも深くかかわっている。貿易自由化や食の安全基準をめぐって数多くの要求を突きつけるアメリカの強引なふるまいは実際に経験してきたことだ。
     日本政府関係者は、私が国内農家への「援助」という言葉を口にするだけで震え上がり「その話はやめてくれ」と懇願する。そんな場面は何度かあった。
     「アメリカの市場を奪う」と受け止められ、万が一、アメリカ政府の逆燐に触れれば”自分の地位が”危うくなるとの恐れを抱くからだ
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

     令和のマリーアントワネットが頓珍漢なことを言って顰蹙を買っているそうですが、どうして三橋さんが求める「農家個別所得補償」の話をしないのかと言えば、財務省とアメリカが怖いから、ということでね。
     トランプ大統領が来日した時に農水大臣には、

    「アメリカは覇権を取り戻すんじゃないんかい!味方を兵糧攻めにしてどうする!」

    という話をしてもらいたかったわけですが、こんな様子では期待はできませんね。
     もうね、「ザイム真理教徒」とか「緊縮派」って言われるのが嫌で「積極財政派」のふりをしているだけにしか見えないんですけど、大丈夫?
     どうもね、今の高市政権は小泉政権を思い起こさせるんですよね。若者に人気があるところもそっくりです。違いがあるとすれば小泉さんが「保守」っぽいパフォーマンスで受けていたのに対し、高市さんは「積極財政派」という触れ込みでうけているというところでしょうか。不安で仕方がない。
     ところで、小泉政権が何をしたのかと言うと、バブル崩壊で需要が著しく減っている中、構造改革(緊縮・増税)で更に需要を減らしたことで失われた30年の中核を形作った政権でした。当時、それを支持していた若者たちは下の世代に対して何か思うことはないのでしょうか。

    追伸:

    岸田文雄(総裁選時の発言より抜粋)
    「新自由主義からの決別しる!」

    総裁選の際にこのように言っていた岸田文雄議員でしたが、内閣発足直後に新自由主義の権化である竹中平蔵氏と、スーパーグローバル企業ヴェオリア・ジャパン社長野田由美子氏を、首相直属委員会のメンバーに任命。なんという出オチ。

    〇「全然、決別できてないじゃないか!新自由主義と決別するなら竹中さんを起用したらダメだろ!」

    自称保守
    「要注意人物は、あえて自分の傍において監視するものなんだよ」

    じゃあ、監視ができていたのかと言うとコロナ禍で持続カ゚給付金を中抜きしたり五輪ボランティアから中抜きしたりとやりたい放題だったようで…
     これ、岸田さんに限った話じゃなくて第二次安倍政権の時も竹中さんとの関係が続いていることについて同じようなやり取りがありましたが、その時も

    自称保守
    「要注意人物は、あえて自分の傍において監視するものなんだよ」

    同じレトリックが使われていましたね。まさか高市政権でも同じレトリックを目にすることになるとは思いませんでした。何度も言うけれど、せめて新しいレトリック考えなよ…

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  3. utaka より

    日本の名目GDPは長期のデフレ期間では
    本当に蓋をしたみたいに伸びていないんだよな
    そして世界経済のネタ帳で名目GDPと一般会計以外も含めたトータルの歳出はそっくりなグラフである
    この点だけで緊縮財政は間違っていると言える

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  4. 利根川 より

     TBSの番組「ニュースキャスター」で、労働規制の緩和に賛成の者は全体の6割にものぼるというニュースが流れていました。

    「わかる」

    皆、生活苦しいのだからどうにかして少しでも稼がないといけない、わかる。
     25年9月の毎月勤労統計調査では実質賃金は9ヶ月連続で減少。きまって支給する給与でみると44ヶ月連続で対前年比マイナスという…
     厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査の概況 」によると、日本人の月の賃金の中央値は約28万円で年間の賃金にすると約336万円、これに賞与の平均額71万円を足して407万円が現在の日本人の所得中央値となっています。
    30年前、バブル崩壊後の1995年、1世帯当たりの所得の中央値が545万円だったので、多くの日本国民がこの30年で年間100万円以上も収入が減っているのが分かります。

    労働者「残業しないと生活できないのにどうしろっていうんだ!」

    あのね、そもそも、ちゃんと働いてるのに(正規の労働時間で)生活が成り立たつだけの報酬が支払われていないことに疑問を持とうよ(苦笑い
     念のために言っておくと、経営者も意地悪で賃金を抑制しているわけじゃないんです。
     日本商工会議所によると2025年度に賃上げを実施した企業(予定含む)は66・9%、このうち業績が改善していない中での”防衛的賃上げ比率”は65・0%ということでね、もっと賃上げしてあげたくてもできないのが現状なんです。
     好きで仕事をやっている人はどうか知りませんが、ビジネスとしてみた場合、当然、ちゃんと働いても生活が成り立つだけの報酬が得られない職業は、いくら社会のためになると言われても多くが選択肢から外します。

    だから、エッセンシャルワーカーが足りなくなっちまうんでしょ

    その穴を埋めるために外国人労働者を引っ張ってきて低賃金で働かせているわけだ。

    新自由主義者
    「人手不足を補う外国人労働者がいなければ日本は経済成長できないんだぞ!」

    まず、他国から国民を奪っちまうとか、そういう近隣窮乏化政策はやめろって話ですが、それ以上に、、、

    三橋さん
    「日本の経済成長の『実績』の中身を見ると、労働投入量は91年以降に減り続けた。それにも関わらず、全要素生産性のプラス化により、曲がりなりにも日本の実質GDP成長率はプラスが続いた。(実質GDPの成長率が名目GDPを上回る、名実逆転が起きて居ていましたが)

    『経済成長のためには移民(労働人口)受入が必要』

     と、主張する者は、上記のグラフをいかに説明するのでしょうか。」
    (新世紀のビッグブラザーへ 2025 11 8より抜粋)

    普通、労働力不足問題に対しては、機械や設備、ソフトウェアに投資し、生産性を向上させることが有効な対策になります。資本装備率の上昇というやつですね。

    三橋さん
    「カイジみたいにツルハシ持った100人でトンネル掘るより、シールドマシン1台とオペレーター数人の方が仕事はかどるでしょ」

    で、日本の産業の資本装備指数(内閣府「国民経済計算」)をみると、製造業はここ10年ほど横ばい、飲食サービス業は10年前よりも低い水準で、情報産業も資本装備率は低下傾向。

    ”資本装備率が下がっているから労働力不足になっている可能性がある”

    人手不足を「人」で埋めてしまうと資本装備率が上がらず生産性が向上しない。

    三橋さん「外国人労働者の受け入れがどうしてダメなのかと言うと『経済成長率を引き下げる』だからダメなんです」

    経営者
    「いい道具使った方が仕事が楽になるなんて門前の小僧に言われるまでもねえんだよ!」

    経営者
    「だが、いい道具ってのは買うにしてもサブスクにしても金がかかるんだよ!」

    経営者
    「そんな余裕あるんだったら賃金上げるわ!」

    どうしてこんなに経営者に余裕がないのかと言うと、、、こちら↓

     

    森井じゅん先生登場!日本の給料を引き上げる処方箋は何なのか? [三橋TV第362回] 三橋貴明・森井じゅん・高家望愛

    もうね、消費税は廃止するしかないんです。こいつのせいで経営者は設備投資もできないし賃上げもできないんです。
     でも、輸出補助金で甘やかされている日本の輸出企業からいきなり輸出税払い戻し還付金(消費税還付金)を取り上げてしまうのは酷だと思うから、とりあえず5%への減税でもいいって言ってるんです。そのくらいやりましょうよ。
     ということで、

    1,設備投資して残業しなくても仕事が楽に終わるようにしましょう

    2,正規の労働時間で十分生活が成り立つように賃上げをしましょう

    3、そのために消費税を廃止(減税)社会保障費減免、法人税増税をしましょう

    自民党の積極財政派が今何をしてるのか知りませんが、今まさに権力を握ったわけだし、しっかりやってもらいたいところです。

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