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2026年1月20日

高市総理は何を宣言したのか――「緊縮国家」からの歴史的離脱と、進退をかけた解散

2026年1月19日、高市早苗総理大臣の記者会見(文末に全文掲載)は、日本の政治史における決定的に重要な分岐点を示すものとなりました。

高市総理は、戦後政治において類例を見ない、自らの「進退」をかけた「巨大な転換」を宣言したのです。

そして、その巨大な政策転換を、本当に「この高市」に託すのか否かを国民に問うために解散する、この選挙に敗れれば総理の職を辞す――そう宣言したのです。

しかしネット上を拝見していると、多くのメディアや国民は、その「政策転換」の巨大さを十分に理解しておらず、それ故に「なぜ今解散なのか?」といった声が散見される状況にあるように思われます。

例えば、「なぜ今解散なのか?」について言うなら、これだけ巨大な転換を果たす以上、「速やかな解散・選挙」が求められるのは当然です。ただし、当面の物価高対策などについて年末までの時間が必要であったため、解散の時期がこの年始となったのです。

ついてはここでは、その政策転換の巨大さを一つ一つ解説して参りたいと思います。

■■国民に信を問う。だから、負ければ総理を辞する。

まず、高市総理は冒頭にて、自身の政治的決断を次のように述べています。

「高市早苗が内閣総理大臣でよいのかどうか。今、主権者たる国民の皆様に決めていただく。」

この一文は、総理自らの進退を、国民の判断に委ねるという強い構えを示しています。

現職首相がこうした表現を用いるのは異例です。歴代総理の中でここまで宣言した例は筆者の知る限り、全くいないのです。

もちろん、選挙で敗北したことの責任をとって辞職した総理は多くいます。しかし、歴代総理は選挙目標を宣言するものの、その目標が達成されなければ「辞職する」とまで言及することはありませんでした。

まずはこの一点においてだけでも、この解散は、これまでの解散と大きな差が存在すると言えるでしょう。

■■政策を大転換する。その是非を国民に問う。

 ではなぜ、高市総理は、この選挙に自らの進退をかけるとまで宣言したのでしょうか。その理由を考えるにあたり、まず、以下の一文に着目してみましょう。

「高市内閣が取り組み始めたのは、全く新しい経済財政政策をはじめ、国の根幹に関わる重要政策の大転換です。」

つまり、「国の根幹に関わる重要政策の大転換」が高市内閣によって始められたわけですが、高市総理はこの大転換について、

「国民の皆様に正面からお示しし、その是非について堂々と審判を仰ぐことが民主主義国家のリーダーの責務」

だと考えたのであり、それ故に「解散」という重い決断をしたのです。

■■「緊縮」から「責任ある積極財政」へ――大転換の中核はここにある

では、解散が求められる程の「積極財政への転換」とは一体何なのでしょうか―――この点について高市総理は明確に

「本丸は責任ある積極財政」

であると述べています。

つまり、高市氏は、責任ある積極財政という、重大な政策大転換を目指しているが、そうした転換についての国民の「信」を問うために解散に打って出る事にしたと、述べているわけです。

では、その転換は「解散」することが求められる程に抜本的なものなのでしょうか?

■■積極財政の展開に向けた、「5つの大転換」
この点について、この会見では次の5つの大転換が示されました。その中でもとりわけ重要な意味を持つ宣言が、以下の一文です。

「成長率の範囲内に、債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を引き下げていきます。」

ここに言うところの、『成長率の範囲内に、債務残高の伸び率を抑える」ということは、言い換えるなら、「成長率の範囲内なら、債務残高=借金が増えても良い」ということであり、これは要するに、一定程度の「借金」=「財政赤字」=「国債発行」を許容するということを主張するものです。

これまで我が国は、長年の因習・制度として「プライマリーバランスの黒字化目標」、すなわち「財政赤字=国債発行を禁ずる」規律を採用していたのですが、この宣言は、「財政赤字=国債発行を禁ずる」規律から「許容する」規律への「大転換」を意味しています。この「国債発行是認」主義への転換が「第一の大転換」です。

この第一の転換があれば、様々な対策が実現できる事になります。例えば、国民の悲願、そして、高市総理の悲願でもある「消費税減税」も実現可能となります。

「現在、軽減税率が適用されている飲食料品については、2年間に限り、消費税の対象としないこと、これは…私自身の悲願でもありました。」

これまで消費税は増税されることこそあれ、減税されたことは一度もありませんでした。消費税の「減税」への大転換、これが「第二番目」の大転換です。

さらに、国債発行についての「禁」を解けば、予算編成上の悪しき因習を抜本的に変えていくことも可能となります。

「高市内閣は、国の予算の作り方を根本から改めます。毎年度、補正予算が組まれることを前提とした予算編成手法と決別し、必要な予算は、当初予算で措置します。また、成果管理を徹底することを前提に、複数年度の財政出動をコミットする仕組みを構築します。」

すなわち、「当初予算を絞りに絞り、どれだけ必要性があろうとも、増加することを徹底的に禁ずる」という過去の「必要性を無視した予算抑制」主義から、必要ならば当初予算の増加を認めるという、「必要性に基づく予算決定」主義という当たり前の転換を宣言しています(第三の大転換)。

しかも、これまでどれだけ長期的な投資であっても、その投資内容を毎年毎年査定し続ける「単年度主義」が、柔軟な長期投資を抑圧し続けてきました。これが長期投資を阻み続けてきたのですが、この軛(くびき)を解き放ち、複数年度の予算を決定することも是認するという「複数年度主義」に変えるとも宣言しているのです(第四の大転換)。

そして、以上の大転換の下、これまでの、必要な投資であっても、様々な軛を理由として遅々として進めないと言う態度を改め、必要性があるのなら徹底的、かつ速やかに進めるという「迅速投資主義」への転換も宣言されています。

「これまでの経済財政政策を大きく転換する…行き過ぎた緊縮志向、未来への投資不足、この流れを高市内閣で終わらせます…今そこにある危機に対して、行き過ぎた緊縮財政の呪縛を乗り越え、すぐにでも着手する」

■■国債是認・消費税減税・必要予算・複数年度・迅速投資(5本柱)

以上まとめると、「責任ある積極財政」とは、以下の五つの柱で構成される、国家の財政運営上の巨大な転換を図ろうとするものなのです。これらは一般には聞き慣れない言葉かもしれませんが、これは単なる財政テクニックの変更ではありません。国家の運営思想そのものの転換なのです。

転換1 「国債発行是認」主義 (PB規律から債務対GDP比規律への転換)
転換2 「消費税減税」 (非可逆的な消費増税主義からの転換)
転換3 「必要性に基づく予算決定」主義 (「必要性を無視した予算抑制」主義からの転換)
転換4 「予算複数年度」主義 (予算単年度主義からの転換)
転換5 「迅速投資」主義 (投資抑制主義からの転換)

一般の方には専門的過ぎて伝わりづらいのかもしれませんが、長年財政の実務や言論に携わってきた当方にしてみれば、この五つの大転換はどれをとっても、驚愕する程に途轍もなく巨大な転換です。これら五つは、高市総理の言葉を借りるならいずれも、当方の長年の「悲願」だったものばかりです。

何と言っても、ここまでの大胆な政権運営上の「大転換」を試みた総理は過去には全くいなかったのです。高市総理はそれくらいに、巨大な財政政策上の大転換を果たそうとしているのです。

■■この「大転換」を選ぶのか、退けるのか――全ては国民の選択に委ねられた

ところが、高市総理のこの「大転換」は、国民に全くその「信」を問うていない状況にあります。曰く、

「政策転換…の多くが前回の衆議院選挙では自民党の政権公約には書かれていなかった政策で…(しかも)前回の衆議院選挙のときには、私、高市早苗が日本の国家経営を担う可能性すら想定されていませんでした」

つまり、高市総理は、途轍もない大転換を果たそうとしているわけですが、そんな大転換を果たす事について、全く国民に直接問うてはいない状況にあるわけです。だからこそ、高市総理は、先にも触れた様に「重要な政策転換について、国民の皆様に正面からお示しし、その是非について堂々と審判を仰ぐことが民主主義国家のリーダーの責務」だと考え、この度解散総選挙に打って出ることにしたのです。

すなわち高市総理は、「与党過半数」という目標を掲げ、これを下回れば、この大転換を自らの職を辞すことで取り止める、しかし一方で、国民から是認されるなら、こうした大転換を一気呵成に進めると「宣言」したのです。

その事を高市総理は、「政策実現のためのギアをもう一段上げていきたい」という言葉で改めて表現しています。

果たして、我々日本国民は、高市政権を支持し、我々を拘束し続けてきた「緊縮財政」という軛を取っ払い、「強い経済」を積極的に実現する道を選ぶのか、それとも、これまで通りの緊縮財政の下、無為無策のまま日本が貧困化、弱体化していく道を選ぶのか――全ては、2月8日の衆議院選挙・投開票日に決まります。

この選挙は、これまでの選挙ではあり得ぬほどの、巨大な方針選択を行うものなのです。それはまさに、「自分たちで未来を創る選挙」です。

日本国民が賢明であることを、心から祈念したいと思います。

 

 

【以下、2026年1月19日 高市総理記者会見全文】

 国民の皆様、私は本日、内閣総理大臣として、1月23日に衆議院を解散する決断をいたしました。なぜ今なのか。高市早苗が内閣総理大臣でよいのかどうか。今、主権者たる国民の皆様に決めていただく。それしかない。そのように考えたからでございます。

 日本列島を強く豊かに、今着手しなければ間に合いません。そのために高市内閣が取り組み始めたのは、全く新しい経済財政政策をはじめ、国の根幹に関わる重要政策の大転換です。私が自民党総裁選挙や、そして日本維新の会との連立政権合意書に書かれた政策など大きな政策転換は、今年の国会で審議される令和8年度予算や政府提出法案の形で本格化します。その多くが前回の衆議院選挙では自民党の政権公約には書かれていなかった政策です。

 また、前回の衆議院選挙のときには、私、高市早苗が日本の国家経営を担う可能性すら想定されていませんでした。解散というのは重い重い決断です。逃げないため、先送りしないため、そして国民の皆様とご一緒に、日本の針路を決めるための決断です。私自身も、内閣総理大臣としての進退をかけます。高市早苗に国家経営を託していただけるのか。国民の皆様に直接ご判断をいただきたい。

洗礼を受けていない
 日本は議院内閣制の国ですから、国民の皆様が直接、内閣総理大臣を選ぶことはできません。しかし、衆議院選挙は政権選択選挙と呼ばれます。自民党と日本維新の会で過半数の議席を賜れましたら高市総理。そうでなければ、野田総理か、斉藤総理か、別の方か。間接的ですが、国民の皆様に、内閣総理大臣を選んでいただくことにもなります。今、衆議院でも参議院でも過半数の議席を持たない自民党の総裁が内閣総理大臣を務めている。また、前回の衆議院選挙では、自民党公明党の連立政権を前提に、国民の皆様の審判を仰ぎました。

今や連立政権の枠組みも変わりました。だからこそ、政治の側の都合ではなく、国民の皆様の意思に正面から問いかける道を選びました。私は3回目の挑戦で、昨年10月4日に自民党総裁に就任しました。その直後に26年間も連立パートナーだった公明党との突然の別れ、自民党総裁にはなったものの、衆議院でも参議院でも自民党が過半数の議席を得られていない中での国会での首班指名選挙に臨むことになりました。内閣総理大臣に就任するための道は険しいものでした。
 新たに連立パートナーとなった日本維新の会の皆様をはじめ、衆参両院で他の会派の皆様のお力添えもいただいて、薄氷を踏む思いで、何とか首班指名選挙では勝利し、昨年10月21日に内閣総理大臣に就任しました。この日から、高市内閣が政権選択選挙の洗礼を受けていないということをずっと気にかけてまいりました。
 しかしながら、特に国民の皆様が直面する物価高対策については、これはもう待ったなしの課題でございました。高市内閣として、速やかに対策を打つ必要がありました。高市内閣が編成した令和7年度補正予算で措置したガソリン・軽油の値下げ、電気代ガス代支援、重点支援地方交付金、物価高対応子育て応援手当により、1世帯当たり標準的には年間8万円を超える支援額となることが見込まれます。ガソリンと軽油の価格については、補助金も活用したことで既に値下がりしています。電気代とガス代の支援もまさに今月から始まっています。
 高市内閣の発足時、私達の命を守る医療機関の多くが赤字で、介護事業者の倒産件数は過去最高でした。必要な医療が受けられなくなる。ご高齢の方や障害をお持ちの方が居場所がなくなってしまう。大きな危機感を抱き続けてまいりました。赤字の医療機関、介護事業者を中心に、報酬改定を待たずに、前倒しで医療、介護等支援パッケージを補正予算に盛り込みました。また、介護従事者や介護職員の皆様に対し、幅広く月1万円から最大1・9万円の賃上げ支援を実施することとしました。各省庁や地方自治体には7年度補正予算の早期執行を要請しました。

 物価高対策を含む生活の安全保障については、順次、必要な対策が進んでいる最中です。経済運営に空白を作らない、万全の体制を整えた上での解散であることをここに明確に申し上げます。
 当面の対策を打つことができたこのタイミングで、政策実現のためのギアをもう一段上げていきたい。拉致問題の解決に向けて、首脳同士で正面から向き合い、具体的な成果に結び付けたい。また、国論を二分するような大胆な政策、改革にも果敢に挑戦していきたい。昨年末までに衆議院と参議院で本会議で質疑を受け、二巡の予算委員会審議に対応する中で、その思いはますます募りました。不安定な日本政治の現状、永田町の厳しい現実を痛いほど実感したこの3ヶ月間でもありました。
本丸は責任ある積極財政
 信なくば立たずであります。重要な政策転換について、国民の皆様に正面からお示しし、その是非について堂々と審判を仰ぐことが民主主義国家のリーダーの責務だと考えました。その本丸は責任ある積極財政です。これまでの経済財政政策を大きく転換するものです。行き過ぎた緊縮志向、未来への投資不足、この流れを高市内閣で終わらせます。
 様々なリスクを最小化し、先端技術を花開かせるための戦略的な財政出動は、私達の暮らしの安全安心を確保するとともに、雇用と所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益が上がり、税率を上げずとも税収が自然増に向かう、強い経済を実現する取り組みです。
 第1の柱は、リスクを最小化する危機管理投資です。例えば、食料安全保障の確立により、何があっても食べ物に困らない日本をつくる。全ての農地をフル活用できる環境を整え、農業にも林業にも、漁業にも最新の技術を活用し、日本の食品を広く世界市場に展開することによって、国内外で需要を増やしながら、供給力も強くします。
 日本のスタートアップが世界トップレベルの技術を誇る完全閉鎖型植物工場や陸上養殖施設の海外展開でも日本は大いに稼げます。また、エネルギー資源安全保障の強化も重要です。電力を安定的に安価に供給できる対策を講ずることは、私達の暮らしと日本の産業を守るために必要な道です。日本で発明されたペロブスカイト太陽電池の普及、小型モジュール炉など次世代革新炉や日本企業の技術が優位性を持つフュージョンエネルギーの早期社会実装、冷媒適用技術や光電融合技術などによる省エネ型データセンターの普及、酸化物型全固体電池の社会実装など、日本の強みを生かさなければもったいない。経済安全保障も重要です。重要鉱物やお薬の原料など一部の国に供給のほとんどを頼るということは、大きなリスクを伴います。高市内閣は日本の自立性を高めるべく、資源や原料の国産化や調達先の多角化に向けた取り組みに既に着手しています。日本の技術や製品がなければ、世界中が困る。日本の不可欠性は我が国の平和を守る手段にもなります。このほか、災害から現在と未来の命を守る国土強靱化、医療健康安全保障、サイバーセキュリティーの強化など危機管理投資を着実に進めます。世界共通の課題を解決する製品、サービス、インフラをいち早く国内で社会実装し、海外市場に展開することにより、私達の安心の確保のみならず、経済成長にも繋げていきます。欧米においても、政府が一歩前に出て、官民が手を取り合って、重要な社会課題の解決を目指す、新たな産業政策が大きな潮流となっています。しかし、私達は長年、そうした投資を十分には行ってきませんでした。
国民の皆様の命と暮らしを守る。これは国の究極の使命です。不安を安心と希望へと変えていくために、大胆な危機管理投資が必要です。今そこにある危機に対して、行き過ぎた緊縮財政の呪縛を乗り越え、すぐにでも着手する責任があります。
予算の作り方を根本から改める
 第2の柱は成長投資です。既に高市内閣の日本成長戦略本部で定めた戦略17分野をはじめ、日本が優位性を有する技術を生かしたビジネス展開の促進、基礎研究分野を含めた人材力や研究開発力の強化、スタートアップ支援の強化など新技術立国を実現します。また、地域発のアイデア創出を募り、大胆な投資促進策やインフラ整備を一体的に講ずることで、産業クラスターを全国各地に戦略的に形成します。47都道府県のどこに住んでいても安全に生活することができて、必要な医療や福祉や高度な教育を受けることができて、働く場所がある。日本列島を強く豊かに。高市内閣が目指す日本の姿です。
 そのためにも強い経済が必要です。高市内閣は、国の予算の作り方を根本から改めます。毎年度、補正予算が組まれることを前提とした予算編成手法と決別し、必要な予算は、当初予算で措置します。また、成果管理を徹底することを前提に、複数年度の財政出動をコミットする仕組みを構築します。これは財政支出の予見可能性を高め、危機管理投資や成長投資に関して、民間事業者の方々に安心して設備投資や研究開発をしていただくためです。令和8年度当初予算はその第一歩です。頭出しをしました。しかしながら、8年度予算の概算要求は私の就任前に終わっていました。
 シーリングを含めた予算編成の方針の見直しは、今年の夏の概算要求の段階から取り組み、翌年度に予算を成立させるまでに2年の時間を要する大改革です。でも、必ずや、やり抜いてまいります。高市内閣がこれまでに講じた物価高対策により、今年は実質賃金の伸びのプラス化が見込まれます。しかしながら、食料品の物価上昇率は高止まりする見通しです。強い経済実現のためには、国民の皆様の手取りを増やし、実質賃金上昇を確実なものとし、改善された消費マインドが経済の好循環を牽引する姿が必要です。
食料品、2年間は消費税の対象外に
 物価高に苦しんでおられる中所得、低所得の皆様の負担を減らす上でも、現在、軽減税率が適用されている飲食料品については、2年間に限り、消費税の対象としないこと、これは昨年10月20日に私が署名した自民党と日本維新の会の連立政権合意書に書いた政策でもあり、私自身の悲願でもありました。今後設置される国民会議において、財源やスケジュールのあり方など、実現に向けた検討を加速します。
 私の内閣総理大臣就任以来、株価は上昇しています。国民の皆様の大切な年金は、株式によっても運用されています。強い経済の実現は、将来への不安を安心へとかえるものでもあります。こうした大胆な経済財政政策の転換により経済の好循環を実現します。
 過去最大規模となった令和8年度予算については、「やりすぎだ」といった批判もございます。しかし、8年度予算では、財政の持続可能性にしっかり配慮した結果、プライマリーバランスが28年ぶりに黒字化しました。8年度の政策のために必要な予算は、借金でなく、まかなうことができた。借金で新しい政策を実施するわけではありません。8年度予算では、新規の国債発行額も29・6兆円に抑えました。リーマン・ショック後、2番目に低い水準です。税収が増える中で、予算全体の公債への依存度も、金融危機収束以降、最も低い水準に抑えることができました。これこそが私が目指す責任ある積極財政のもとでの強い経済の実現です。今後も成長率の範囲内に、債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を引き下げていきます。それにより財政の持続可能性を実現します。具体的で客観的な指標を明示しながら、マーケットからの信認を確保していきます。
 そして、国民の皆様の支持なくして、力強い外交安全保障を展開していくこともできません。国際情勢はさらに厳しさを増しています。中国軍が台湾周辺で軍事演習を行いました。世界が依存し、民生用にも広く用いられるサプライチェーン上流の物資を管理下に置くことで、自国の主張に他国を屈服させようとする経済的威圧の動きもみられます。我が国が自由で開かれたインド太平洋を提唱してから10年。その進化を目指します。
これまで、ASEAN関連首脳会議、AZEC首脳会合、トランプ大統領との首脳会談、APEC首脳会議、G20サミット、中央アジアプラス日本首脳会談。李在明大統領やメローニ首相との会談をはじめ、国際会議の機会を利用した数多くの各国首脳との2国間会談など数々の貴重な外交機会に恵まれました。
 日米同盟を基軸に、日米韓、日米フィリピン、日米オーストラリア、日本イタリアイギリス、グローバルサウスなどとの連携をさらに強化してまいります。
給付付き税額控除、取り組むべき急務
 そして、安全保障政策を抜本的に強化します。国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画、いわゆる戦略3文書を前倒しで改定します。ロシアのウクライナ侵略を教訓に、各国は無人機の大量運用を含む新しい戦い方、さらに一旦そういった事態が起きた場合に長期化する可能性が高いという想定のもと、長期戦への備えを急いでいます。これは前回戦略3文書を改定した2022年と比べて大きな変化です。その改定は急務であります。かつ、旧来の議論の延長ではない、抜本的な改定が必要です。抑止力の更なる強化、サイバー、宇宙、電磁波など新領域への着実な対応。防衛産業技術基盤の更なる強化、自衛官の処遇の改善、自らの国を自らの手で守る。その覚悟のない国を誰も助けてはくれません。日本の平和と独立、国民の皆様の命を守り抜くために、現実的で強靭な安全保障政策へと踏み出してまいります。
 インテリジェンス機能の強化も国民の皆様の支持なくしては実現できない大きな課題です。十分な情報を集め、分析し、正確な判断を行う能力。つまり情報力が強くなければ外交力も防衛力も経済力も技術力も強くはなりません。国家としての情報分析能力を高め、危機を未然に防ぎ、国益を戦略的に守る体制を整えます。具体的には、国家としての情報力を強化する国家情報局の設置。外国から日本への投資の安全保障上の審査体制を強化する対日外国投資委員会の設置。インテリジェンス、スパイ防止関連法の制定です。これら全てが急がれます。
また、私が自民党総裁選挙で訴えていた給付付き税額控除は、特に社会保険料の逆進性に苦しむ中所得低所得層の手取りを増やせる政策です。その制度設計を含む持続可能な社会保障制度の構築は、党派を超えて日本のえい英知を結集して取り組むべき急務でございます。
 そして、皇室典範と日本国憲法の改正。長年にわたり、手がつけられてこなかった課題に正面から取り組みます。こうした重要政策は、安定した政治基盤と国民の皆様の明確な信任がなければ実現できません。曖昧な政治ではなく、進むべき方向を明確に示し、国民の皆様に堂々と信を問いたい。その覚悟で解散を決断しました。
働いて働いて働いて働いて働いてまいりました
 自民党自身も変わらなければなりません。責任ある積極財政にも、安全保障政策の抜本強化にも様々な批判があります。それでもなお、全ては国民の皆様のため、一糸乱れぬ、乱れることなく、政策の実行に打ち込んでいく。それなくして、国民の皆様の信頼を得ることはできません。昨年10月の自民党総裁選挙は熾烈な戦いでした。闊達な政策論争を経て私が総裁に選ばれましたが、これはあくまで自民党員の皆様による審判を受けたにすぎません。
 今日は特に大きく変わる一部の政策だけをご紹介しましたが、これらを含めて自民党が政権公約として掲げ、国民の皆様の審判を受ける。そして選挙が終われば、その公約の実現に向けて党一丸となって突き進んでいく。それは自民党が国民政党の原点に立ち戻るための戦いでもあります。
 私は内閣総理大臣に就任して以来、国会の会期中であっても閉会中であっても日本にいても海外にいても、働いて働いて働いて働いて働いてまいりました。選挙期間中も、高市内閣は各府省庁の職員とともに働き続けます。
投開票は2月8日
 解散総選挙によって、令和8年度予算の年度内成立は極めて困難になるのではないかともいわれています。その影響を最小限にとどめるため、1月23日に衆議院を解散した後、1月27日に公示、2月8日の投開票のスケジュールとすることで、速やかに総選挙を実施する考えです。
その上で、責任ある積極財政に賛同してくださる各党の皆様と力を合わせて、8年度予算の成立を可能な限り早く実現したい。それでも暫定予算の編成が必要になるかもしれません。その場合にも、高市内閣として、4月からの実施を決定している、いわゆる高校の無償化、給食費無償化の予算については、関連法案の年度内成立や暫定予算の計上など、あらゆる努力をして実現してまいります。むしろ選挙で国民の皆様の信任を賜ることができたら、その後の政策実現のスピードを加速することができると考えています。
公明党に「少し寂しい気持ち」
 これまで26年間にわたり、公明党の支持者の皆様には、選挙のたびに自民党に多大なるご支援をいただいてきました。暑い真夏の選挙戦も、寒風吹きすさぶ真冬の選挙も街頭で集会所で、あぜ道でともに汗をかき、ともに声を枯らして選挙を戦ってきました。今回の選挙では袂を分かつ結果となりましたが、改めて4半世紀の長きにわたるご支援に感謝を申し上げます。
 同時に、自民党にとっては厳しい選挙戦になることを覚悟しなければならない。自民党の同志たちは、公明党の支援を受けることができない。それだけではありません。わずか半年前の参議院選挙でともに戦った相手である立憲民主党に所属しておられた方々を、かつての友党が支援する。少し寂しい気持ちもいたしますが、これが現実です。国民不在。選挙目当ての政治、永田町の論理に終止符を打たねばなりません。
 新しい国作りへと踏み出します。10年前の安倍晋三元総理大臣の言葉が思い出されます。「困難はもとより覚悟の上です。しかし、未来は他人から与えられるものではありません。私達が自らの手で切り開いていくものであります」。今の日本に、まさに必要な言葉です。挑戦しない国に未来はありません。守るだけの政治に希望は生まれません。希望ある未来は待っていてもやってこない。誰かが作ってくれるものでもない。私達自身が決断し、行動し、作り上げていくものです。
「自分たちで未来を創る選挙」
 だから私は今回の選挙、「自分たちで未来を創る選挙」と名付け、日本の未来は明るい。日本にはチャンスがある。皆が自信を持ってそう言える。そう実感できる社会を作りたい。挑戦する人が評価され、頑張る人が報われ、困ったときには助け合い、安心して家庭を持ち、夢を持って働ける国へ。私はその先頭に立ちたい。だから私は逃げません。ぶれません。決断します。未来に責任を持つ政治を貫いてまいります。
 今日生まれた赤ちゃんも、今年初めて投票する18歳の若者も、その多くは22世紀の日本を見ることができるでしょう。そのときに、日本という国が安全で豊かであるように、インド太平洋の輝く灯台となって、自由と民主主義の国として仰ぎ見られる日本であるように、私は日本と日本人の底力を信じてやみません。
 日本の成長のスイッチを押しまくり、その可能性を解き放ちます。世界の真ん中で咲き誇る日本外交を実現します。私、高市早苗は内閣総理大臣として、様々な改革に取り組み、大きな政策転換を進めていきます。その道をご一緒に前に進んでいただけるのか、それとも不安定な政治のもとで立ち止まってしまうのか。その選択を主権者である国民の皆様に委ねたいんです。私は前に進みたい。国民の皆様とともに、日本はもっと強くなれる。日本はもっと豊かになれる。日本はもっと希望に満ちた国になれる。その未来をともに作りましょう。
 改めて申し上げます。日本列島を強く豊かに、ともに新しい時代を切り開いてまいりましょう。
 結びに申し上げます。選挙は民主主義の根幹とはいえ、真冬の選挙戦です。特に雪国の皆様には足元の悪い中、投票所まで大変なご足労をいただきますことを、恐縮に存じます。また、年度末が近づくご多用の時期に、選挙業務に携わっていただく自治体の皆様に心から感謝を申し上げます。私からは以上です。ありがとうございました。

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