From 三橋貴明
【今週のNewsピックアップ】
●スコットランド独立問題
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11925627869.html
●続 スコットランド独立問題
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11926595585.html
●揺れるヨーロッパ
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11927517216.html
ユーロの根本的な問題は、政府と金融政策が分離された結果、ケインズ的な「金融政策+財政政策」が景気対策として活用できず、かつ各国の国民意識(ナショナリズム)が衝突し、全体に目配りした政策が実施できない点です。
本来、現在のユーロ圏は、
「ドイツからギリシャなどの負け組国に所得を移転する」
いわばユーロ交付税的な政策を実施しなければならないのです。さもなければ、ユーロ加盟国はひたすら「勝ち組」と「負け組」に分かれていきます。
とはいえ、ドイツ国民がギリシャ国民に自らの所得の一部を移転するなど、認めるはずがありません。理由は、ドイツ国民とギリシャ国民はナショナリズムを共有していないためです。
日本では、主に東京都などから地方交付税として各地方に所得が移転されています。とはいえ、安全保障面を考えた場合、我が国は「東京」のみが栄え、地方が衰退してしまってはまずいのです。首都直下型地震が起きた際、三橋ら東京都民は、地方の日本国民の皆様に助けて頂かなければなりません(当然、逆のケースもあります)。困ったときは、お互い様。という意味を持つ、真の意味におけるナショナリズムが健全に我が国で維持されているならば、
「豊かな東京のみが独立してしまえばいい」
「地方交付税で地方経済を成長させるなど、無駄だ」
といった発想にはならないはずです。
さて、ユーロの場合は各国国民がナショナリズムを共有しておらず、「困ったときは、お互い様」は通用しません。ドイツ国民は、ギリシャ国民の苦境に対し、
「それは、ギリシャ国民の自己責任」
と、切って捨てるでしょう。
上記の通り、ナショナリズムは「国境のない世界(Imagine there’s no countries)」を目指すグローバリストの方々にとって、極めて厄介な存在です。グローバリズムの実験場であるユーロやEU(欧州連合)は、このままでは各国のナショナリズムにより終焉のときを迎えることになるでしょう。
が、ここで一つ更なる実験をしてみます。
各国の各地方を国家から独立させ、一地方(もしくは新たな国)としてユーロやEUに加盟させるのです。国民が一つにまとまり、ナショナリズムを共有されると厄介であるため、各国のナショナリズムを壊し、バラバラの地方と化してユーロやEUに編入していけば、どうなるでしょうか?
面倒な固有のナショナリズムのパワーを弱めた上で、より小さな地域、地方の集合体としてヨーロッパ合衆国を目指せば、もしかしたら巧くいくかもしれません。
上記はあくまで、三橋の「想像」に過ぎません。
とはいえ、今回のスコットランド独立騒動において、独立派が、
「スコットランドは連合王国(イギリス)から独立し、独自でEUに加盟する」
と主張していたため、妙な連想をしてしまったわけでございます。
一応、書いておきますが、日本で推進されている「道州制」は、日本国民から日本国民としてのナショナリズムを奪う(あるいは弱体化させる)政策であることは間違いありません。ナショナリズムを喪失した日本国民が、どのような姿になったのか。さかき漣:著「顔のない独裁者」をご一読下さいませ。
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中国のこうした実態が国民に伝わらないことも、
ある意味で「ナショナリズムの喪失」なのかもしれません。
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_CN_mag_china.php
【三橋貴明】スコットランド独立問題への3件のコメント
2014年9月23日 3:50 PM
ユーロという通貨は、本当はどこの、誰の持ち物なんでしょうね。
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2014年9月25日 1:14 AM
三橋先生へ1.「地域」の分割統合によるEUの進化形に興味深いものがあります。この「地域」は、領土、地域民、そして通貨(ユーロ)を持っています。残るはこの「地域」の主権、そしてその裏付けである安全保障の形態ですが、これは難問だと思います(私の頭でぱっとひらめきません)。また、スコットランドやカタルーニャの人はこの「主権」をどう考えているのでしょうか、聞いてみたいです。2.さて、裕福な地域だけが独立し、EUに加盟したとして、では貧困な地域はどうなるのでしょうか。勝ち組の地域は、「よその地域のことは知りません。けどEUから脱退はしないでね」ですよね。もし貧困な地域をEUから追い出したら、為替変動のスタビライザーが働き、今のドイツのようにいい思いをできなくなるからです。などなど、今回のスコットランドやカタルーニャの独立問題が、さらなる問題提起となったようで、今後のEUの動きに注目しています。三橋先生のメールやブログをナビに考えていきたいです。よろしくお願いします。
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2014年9月26日 3:49 PM
>地方の集合体としてヨーロッパ合衆国を目指せば、もしかしたら巧くいくかもしれません。アメリカ大陸と欧州が覇権となれば、その他は子分として安定するのでしょうか。理想主義の徹底でしょうか。日本はせめて、都市の中の神社みたいになりたいものです。
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