日本経済

2022年9月12日

【三橋貴明】総力戦の考え方を学ぼう

【今週のNewsピックアップ】
プロは兵站を語り、素人は戦略を語る
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12762804398.html

ノルドストリーム停止の衝撃
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12763197857.html

いや、大げさでも何でもなく、
現代の日本国民
(日本国民だけではないですが)は、
今こそルーデンドルフの「総力戦」の
考え方を学ばなければならない。

「軍の中には、太古の時代から
技術と並んで自らの力を備えた
戦士としての人間がいる。

剣、盾、弓矢、戦闘車両、投石器、
石からなる防護壁は、
結局は「技術的な補助手段」である。

それは変わることなく、
戦争手段、攻撃・防御手段は
ますます完成度を高め、
兵士やその戦闘兵器の移動のために
また鉄道、自動車、軍艦、航空機が
必要とされている。

他のものもまだ連ねる、
これらの「技術的」な補助手段なくしては、
軍とその運用は全く考えられない。

そのために、
世界大戦でも軍には兵士のほかに、
戦闘・移動手段として
極めて大きな口径および数多くの弾薬を備え、
何キロメートルにもわたる射程を持つ砲から、
兵士が至近距離から投げつける
手榴弾にいたるありとあらゆる種類の
軍用品の形で技術的な補助手段が存在した。

鉄道に加えて、自動車が登場した。
装甲艦が海を航行し、潜水艦が水中を移動し、
航空機が空を飛んだ。
(ルーデンドルフ「総力戦」より)」

中世欧州(イタリア戦争の頃から)、
軍事の主力が「騎士」から
「銃で武装した歩兵」に変わりました。
いわゆる、軍事革命です。

そして、二十世紀に入り、
今度は「機関銃」が誕生。
歩兵をなぎ倒す、凄まじい威力を発揮。

結果、1914年に勃発した
第一次世界大戦では(特に西部戦線で)、
塹壕を掘り、睨みあいを
続けることになります。
何しろ、歩兵を突入させると
機関銃の餌食になる。

となれば、
機関銃の脅威を乗り越える兵器が
必要とのことで、戦車や航空戦力が誕生。

つまりは、戦車や戦闘機、
爆撃機の生産能力が勝敗を決する。

兵器の生産が滞ると、戦えない。
もちろん、兵器だけではなく、
糧食や弾薬など、前線の兵士の需要を
「大量生産」により満たし、
それを届けなければならない。

生産とロジスティクス(兵站)が
勝敗を決する。
さらに、生産のためには、資源が必要。

結果的に、ルーデンドルフが
「総力戦」という考え方を
提唱することになります。

エーリヒ・ルーデンドルフ
(1865年-1937年)は
プロイセン生まれ。
ドイツの軍人、政治家で、
第一次世界大戦後半に参謀本部次長。

陸軍における最終階級は歩兵大将。
第一次世界大戦中の軍部独裁体制の
事実上トップを務めます。
また『総力戦』の著者であり、
総力戦理論の提唱者として知られます。

第一次世界大戦初期の
タンネンベルクの戦いにおいて、
ルーデンドルフは第8軍司令官
パウル・フォン・ヒンデンブルクを補佐し、
ドイツ軍を勝利に導きます。

大戦中期から後期には、
参謀総長となったヒンデンブルクの下で
参謀本部次長を務め、
ルーデンドルフ独裁とも呼ばれる
巨大な実権を握ることになります。

総力戦とは、国家が国力の全て、
すなわち軍事力のみならず経済力や
技術力、科学力、政治力、思想面の力を
平時の体制とは異なる戦時の体制で
運用して争う戦争の形態を言います。

戦争のみならず、
国家存亡の戦いは常に総力戦です。

9月5日、ロシアのペスコフ大統領報道官が、
西側諸国(あえて、こう書きます)の
経済制裁が解除されるまで、
ノルドストリームによるガス供給の
停止を継続する可能性を示しました。

「資源(あるいは一次産品)」が、
完全に兵器として使われる時代が
到来したのです。

ドイツは急遽、ガスの備蓄に走っていますが、
その分、オーストリアなどが
ガス不足になりつつあります。
何しろ、欧州全域に提供されるガスの量が
増えたわけではないのです。

ドイツは現在、LNG基地の建設を
急ピッチで進めていますが、
今冬には間に合わないでしょう。

それにしても、
総力戦のルーデンドルフを生んだドイツが、
この有様とは。

結局のところ、日本や欧州など「資源小国」は、
アメリカの「覇権」の下で、
資源・食料は必ず、
間違いなく適切に交易されるという
「幻想」に依存し、
かりそめの繁栄を謳歌していたに
すぎないのです。

「資源や食料、工業用原料は、
輸入不可能になる可能性が常にある
(確率はともかく)」という現実を、
我々はこれを機に徹底的に
理解する必要があると思うのです。

◆9月16日(金) 20:00~ saya×杉田二郎 配信ライブ
https://in.saya-ohgi.jp/sayalive220916?cap=yt38

◆「財政破綻論の嘘 
99%の日本人を貧乏にした
国家的詐欺のカラクリ(経営科学出版)」
が刊行になりました。
https://in.38news.jp/38zase_blog

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闇に葬られた日本人のルーツを解き明かす!
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https://in.38news.jp/38NIKE1_980_BLOG

◆週刊実話 連載
「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」 
第481 まずは自衛官の処遇改善から

◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol697 
輸入額増大によるオフセット
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
輸入物価上昇による
コストプッシュ型インフレは、
消費拡大を輸入増がオフセットする。
と、言っていたら、その通りになりました。

◆メディア出演

三橋TV、続々公開中です。

どうなる日本のガス安定供給?
競争と安全保障は両立しない
[三橋TV第595回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/vrjZBVvX9aQ

米国の侵略は表皮を剥ぎ、ロシアは肉を喰らい、
支那は骨の髄に喰い込む
[三橋TV第596回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/307p-fKUh84

国家を護る公務員は尊敬されるべきだ
自衛官の処遇から改善しろ
[三橋TV第597回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/o6Q_Zjx_pPk

特別コンテンツ配信中。

シンガーsayaの3分間エコノミクス
【第52回 高圧経済】
https://youtu.be/akQLFOp2Fmo

三橋貴明×大石久和氏 特別対談
【災害死史観の日本は生き残れるのか?】
https://youtu.be/pUdWs5nWkXo

経済用語・経済指標について3分間で解説する
「シンガーsayaの3分間エコノミクス」
第一巻がリリースになりました。

特別コンテンツとして「三橋貴明&saya
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9月17日(土) 三橋経済塾第十一期
第九回対面講義のお申込受付を開始致しました。
https://members11.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=1923
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◆チャンネルAJER 
「公共交通インフラの建設計画が必要だ!」
(前半)三橋貴明 AJER2022.8.30
https://youtu.be/rQ5T_sAqlxo

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