日本経済

2025年10月20日

【三橋貴明】懐かしい議論

【今週のNewsピックアップ】
権力とカネ
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12939070084.html
国会議員一人当たりの権力
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12939238886.html

また、懐かしい議論が
始まったものです。

日本維新の会は、
自民党との連立交渉において、
「企業・団体献金の禁止」を主張しています。

政治には、カネがかかります。
無論、選挙によっては
カネがかからないケースもある。
例えば、
参院全国比例の超有名人であれば、
大してカネをかけずに選挙に勝て、
政治活動を続けられると思う。

それに対し、地方の小選挙区の場合、
とりあえず地元に事務所を置き、
事務員を確保し、
自動車やファシリティを維持しなければならない。
この時点で、もの凄いコスト負担です。

だからと言って、
事務所は東京の議員事務所のみ、
となると、
選挙に勝てなくなるだけです。
何しろ、地元の有権者から
「自分たちを軽視している」
と思われること確実。
地元の有権者の声の出し先が
無くなるわけですから、
それは落選するでしょう。

つまりは「地元の声を聴く」という、
普通のことをやろうとするだけで、
コストはかかるのです。

現在の日本の個人献金は、
一人一年150万円
(一政治団体あたり)
と決められています。
制限がかかっている。

これは当然なのですよ。
個人献金の可能額を
無制限にしてしまうと、
「カネを持っている個人が、
自分好みの政治を推進できる」
ことになってしまいます。
150万円が適切かどうかは別にして、
個人献金の制限は必須です。

企業献金の一年間の上限額は、
資本金や団体の規模に応じて
750万~1億円とされています。

「え? 
企業献金は
禁止になったのではなかったの?
代わりに政党助成金制度が
できたのでしょ?」
と、思いたくなったかもしれませんが、
政治団体に対しては禁止ですが、
「政党支部」に対しては
認められているのです。

そして、
自民党の国会議員(及び候補)は、
何らかの政党支部長です。
というわけで、
政党支部に
企業が献金することは認められている。
それって、政治家個人に寄付するのと、
何が違うのか? 
何も違いません。

この政党支部に対する献金を、
公明党・国民民主党は
「党本部及び都道府県の政党本部のみに
限定するべき」と主張していた。
それを「政党支部(=政治家個人)」
への寄付に依存していた自民党は呑めない、
という話だったのですよ。

さて、ドロドロとした話ですが、
例えば、維新の言う
「企業・団体献金の禁止」
とやってしまった場合、何が起きるのか。
確実に「裏のカネのルート」が
生まれることになります。

現実、政治にカネがかかる
(次の選挙で当選するため)。
カネが足りないとなると
「権力」を持つ政治家に、
裏ルートでカネを渡す流れができてしまう。
つまりは、賄賂社会化です。

あるいは、
徹底的に政治家が献金を受ける道を閉ざすと、
金持ちしか政治家になれなくなる。

ならばどうすればいいのか
と言われそうですが、
結局は「献金制限と透明化」を基本路線に、
妥協点を探るしかないのですよ。

さらに、日本維新の会の吉村共同代表は、
「国会議員の数が多すぎる」
として、
議員定数を一割削減することを
連立の「絶対条件」であると発言しました。

【2025年 国会議員1人当たり人口(人)】

http://mtdata.jp/data_96.html#giin

上図は国会議員一人当たりの人口数です。
主要国では、アメリカと中国が、
国会議員一人当たり人口数が多い。
つまりは、人口当たりの国会議員数が少ない。

他の国々は、
国会議員一人当たりの人口が
日本よりも少ないのです。
つまりは、
人口当たりの国会議員数が
「多い」ということになります。

そもそも
「他の国と比べる必要があるのか?」
といった正論は置いておいて、
人口大国であるアメリカが
日本並みの「人口当たり国会議員数」に
してしまうと、
議員数がとんでもなく増えてしまう。

となると、
意思決定は時間がかかり、
面倒くさくなること確実です。
これは感覚ですが、
まともに「議会」を
成り立たせるためには、
数百人規模が限界なのではないでしょうか。

となれば、
アメリカの国会議員数が
人口比で少なくなるのは
当然という話になります。
つまりは、
アメリカは人口比云々ではなく、
「適正な議員規模」という点から、
国会議員数が
相対的に少ないのでしょう。

そして、多くの国々は、
日本と比較すると
国会議員辺り人口が少ない。
つまりは、
人口当たりの国会議員数が多い。

国会議員一人当たりの権力は、
議員数が人口比で少なければ少ないほど、
大きくなってしまいます。

つまりは、
主要国で国会議員一人当たり権力が
最も大きいのはアメリカ。
国会議員一人当たりの権力を
大きくする
(国会議員数を減らす)
のは、リスクを高める。

せめて、上記事実をベースに
議員数について
議論して欲しいのです。

【Mitsuhashism 
【第八巻】
経済を解き明かす資金循環統計】
がリリースになりました。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/mitsuhashism/
【第一章】おカネが生まれ、動く
【第二章】国債保有者別内訳
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是非、資金循環統計の「使い方」を
学んでください。

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「2025年10月26日(日)13時から
大阪市内にて」
石田和靖氏×三橋貴明氏コラボ 
覚悟の「緊急提言」常識を覆す!
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◆メルマガのFoomii配信を始めました。
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https://foomii.com/00305/20251018090000144352

◆メルマガ週刊三橋貴明Vol859
「アメリカの産業革命」
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
実は、三橋は
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の事例を一つしか知りません。
19世紀のアメリカ合衆国です。

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三橋TV、続々公開中です。

「消費税が社会保障の財源」は嘘。
決定的証拠を見つけました。
[三橋TV第1079回]三橋貴明・菅沢こゆき
https://youtu.be/reZF5-wcsZ4

高市総裁の選択肢は2つ。
玉木総理誕生なるか?
[三橋TV第1080回]三橋貴明・菅沢こゆき
https://youtu.be/TLhY0DfzvrI

外国人観光客を増やす必要はある?
データで検証しました。
[三橋TV第1081回]三橋貴明・菅沢こゆき
https://youtu.be/eDIAUEgDzkE

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自民党が
なぜこれまで連立してきたのか解説します
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三橋経済塾第十四期第十回対面講義を
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https://members14.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=2483
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https://members14.mitsuhashi-keizaijuku.jp/
 第十一回 11月15日 大場一央先生
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 第十二回 12月20日 堀茂樹先生
(慶應義塾大学名誉教授・仏文学者)<New!

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