日本経済

2024年7月29日

【三橋貴明】カネは天下のまわりもの

【今週のNewsピックアップ】
人口と経済成長
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12861199768.html
緊縮財政のための男女平等主義
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12861305641.html

「日本人」の減少が止まりません。
23年の一年間で日本人が86万人、
減少しました。
まともな少子化対策を行っていない以上、
当たり前です。

この人口減少「現象」は、
なかなか厄介で、
例により日本国内においては、
「人口が減っているのだから、
経済成長しない」
「人口が減っているのだから、
公共投資をしない
(結果、経済成長しない)」
といった、
投資と経済成長を否定する論調に
必ず結びつく。

いや、経済成長は生産性で決まります。
そして、生産性向上のためには
投資が必須。
その投資を
「人口減少国は経済成長しない」論が
妨害するのです。

現実を知って下さい。

【人口減少国の経済成長率】

http://mtdata.jp/data_92.html#population

はい、日本よりもはるかに速いペースで
人口が減っているにもかかわらず、
経済成長している国が
十カ国以上ありますね(網掛け部分)

例えば、
人口が1%ずつ減っていったとしても、
生産性が1%超で伸びていけば、
普通に経済成長します。
そして、まともに投資がなされれば、
生産性の伸びは1%どころではすみません。
高度成長期の日本の生産性向上率は、
平均7%でした。

さらには、
人口が減っているから公共投資は不要、
なのではない。
働き手が少なくなっているからこそ、
生産性を向上しなければならない。
そのためには、
公共投資で交通インフラを
整備しなければならないのです。

ところが、日本の場合は
「人口減少を理由に投資しない
→少子化が止まらない」
というループに入っておりまして、
このままではわたくしが存命中に
「日本人消滅」のカウントダウンが
始まるでしょう。

しかも、財務省は
「貧困化により非婚化となり、
少子化で人口が
減っている日本国」において、
さらなる貧困化を推進しようとしてくる。

政府は遺族厚生年金の改悪を
検討している
という報道が流れました。

遺族厚生年金は、
厚生年金に加入している
給与所得者などが
亡くなった場合に、
配偶者らに年金が
支給される制度になります。

遺族年金の内、
遺族基礎年金については、
お子さん(18歳未満)がいる場合は、
母子家庭にも父子家庭にも
支給されます。
遺族厚生年金も、
お子さんがいる場合、
お子さんに支給されるため、
事実上、男女差はありません。

逆に、お子さんがいない夫婦の場合、
確かに遺族厚生年金について
男女に差がありました。

・男性:妻が亡くなった際に
55歳以下だった場合は受け取れない

・女性:夫が亡くなった際に
30歳未満だった方は5年間、
30歳以上だった場合は生涯受け取れる

確かに男女差があるため、
その是正に反対する気はありません。

もちろん、

・男性:妻が亡くなった際に
30歳未満だった方は5年間、
30歳以上だった場合は生涯受け取れる

と、すればいいだけです。

もっとも、現在の日本政府が、
そんな国民に有利な改定を
やるはずがないのです。

日本政府は、
配偶者が亡くなった際に60歳未満で、
お子さんがいない人について、
性別にかかわらず
受給できるようにするものの、
期間を五年間に短縮しようとしています。

最も損をするのが、
お子さんがいない30歳以上の女性です。
これまでは、
生涯受け取れた遺族厚生年金が、
五年間限定になってしまう。

つまりは、
「専業主婦も働け」という話です。

日本政府のことですから、
上記の改悪をやれば
全体の支出額が減らせる
と試算しているのでしょう。

「それって専業主婦の話で、
俺は関係ないよね」
などと思ってはなりません。
遺族厚生年金改悪により、
夫を亡くした
専業主婦の方の「消費」が減る。

その時、減る消費は、
貴方の財やサービスの
購入なのかもしれませんよ。

国民経済は繋がっている。

誰かの所得を引き下げたところで、
まわりまわって自分の消費も
減るのですよ。

カネは、天下のまわりもの。

◆メルマガのFoomii配信を始めました。
「輸出戻し税の真相」
https://foomii.com/00305/20240727090000127182

◆経営科学出版から
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輸出戻し税の真相
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実は、輸出企業は
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輸出戻し税について
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◆メディア出演

三橋TV、続々公開中です。

【徹底解説】
財務省はどうやってメディア・世論を
操っているのか?
[三橋TV第889回]三橋貴明・菅沢こゆき
https://youtu.be/V3k4lRZYhw0

日本が成長しないたった一つの理由!
ほとんどの人が間違えている
「デフレ」の定義を
改めて解説してみた
[三橋TV第890回]三橋貴明・菅沢こゆき
https://youtu.be/Ay5rmzkeyaY

電気代の爆上がり、原因は政府?!
今日本で起きている物価上昇の正体を暴露
[三橋TV第891回]三橋貴明・菅沢こゆき
https://youtu.be/2Jhq1V6JSnM

特別コンテンツ配信中。

【第一弾】三橋貴明からの緊急予告
https://youtu.be/Z5TZMV7IwNg
【緊急予告第二弾】
日本を滅ぼした〇〇とは一体誰なのか?
https://youtu.be/XWxXyGuBAKQ

日本は経済成長していない。
確かにその通りです。
ならば、日本経済を成長させるためには
どうしたら良いのでしょうか。
日本経済の成長に
本当に必要な指標、考え方、
そして政策を、
わたし、シンガーsayaと共に
学んでいただくのが
「シンガーsayaの3分間エコノミクス
第二巻」です。
さあ、私と共に経済成長について
「ゼロ」から学んで下さい。
特別コンテンツとして、
三橋貴明&saya
「シンガーsayaが
三橋先生にひたすら聞いてみた第一回」
の全編もご視聴いただけます。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/economics/

◆三橋経済塾
7月20日(土)、
三橋経済塾第十三期第七回対面講義が
配信されました。
https://members13.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=2163
ゲスト講師は藤井聡先生でした。
インターネット受講の皆様、
お待たせいたしました。

◆チャンネルAJER 
今週の更新はありません。

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【三橋貴明】カネは天下のまわりものへの3件のコメント

  1. 利根川 より

     日銀の金利引き上げでえらいことになっていますが…

    日銀「金利引き上げは経済にマイナスの影響を与える面もあるけれど、今後は実質賃金も上がって消費も活発になり景気は浮上するはずだから利上げしても大丈夫。きっと、たぶん…」

    実質賃金26ヶ月連続低下、実質消費指数(物価調整した後の消費指数)前年同月比の変化率12ヶ月連続マイナス、この状況で何を言っているのやら…
     国内の物価高に対しては消費税の廃止、ないし減税や社会保障費の減免、ガソリン税の廃止などで対応すればいいのに、それらは一切やらず、無理やり利上げして爆死とか勘弁していただきたい。
     政府の要請で無理やり賃上げをさせられた企業はさぞ苦しいことでしょうね。賃上げをしてほしいのなら、企業のケツを叩くのではなく、企業が賃上げをしたくなる状況をつくればいい。すなわち、先ほども言ったように消費税の廃止や社会保障費の減免、ガソリン税の廃止や法人税の増税など。企業が誰に言われるでもなく自ら賃上げしたくなるような環境を作ることこそが政治家官僚の仕事なんじゃないでしょうか。経営者の首を絞めることが君らの仕事じゃないんじゃないかい?
     
    エドモンドバーク「『人間は食べ物を得る権利がある!』とか『人間は医療を受ける権利がある』とか、抽象的に論じて何になる!重要なのは、食糧や医療を実際に提供することなのだ」

    闇米(盗品含む闇マーケットで流通していた米)を食ったら逮捕します、なんて法律をつくったところで、闇米を食わないと餓死するような状況下ではみんな闇米食いますよ(笑
     賃上げできないような状況を放置しておいて賃上げをしろって言われたって、みんながみんなできるわけではないし、実際、実質賃金は低下し続けてきたわけでね。
     こんなことを言うと必ずこんな奴⇓がでてくるんですよね。

    こんな奴「企業は価格転嫁すべき!良いものはお金を出して買わなければいけない!デフレに慣れすぎた国民のマインドを変えなければいけない!」

    こんな奴「客は実質賃金下がって苦しくても買え!」

    こんな奴「苦しくても金出して買えば買えるんだ!マインドを変えろ!」

    シンプルに金がないんだから買えんわ!って話なんですけども、そこになんかメンタリティーの話を入れ込んでくる(笑
     

    中野剛志さん「(なんで根性論になっちゃうのかは)簡単で、実質賃金をどうやって上げたらいいのか分からないからで」

    中野さん「(実質賃金を上げるためには)色々なことをやらないといけないのは事実で、例えば最低限やらないといけないのが財政出動(政府による需要創出)なんですけど」

    中野さん「(財務省が)『財政破綻するからそれ(財政出動)はやっちゃいけない』と」

    中野さん「その議論(財政出動の議論)は他に置いておいて、他の方法はないかなってやると、他の方法はあとは精神論しかなくなると(笑」

    えらい人たちが根性論を振り回しはじめたら要注意ですね。付き合うと命を失いますよ(回天)
     ちなみに、わたしは需要不足が放置された状況下でシャカリキになって働くことには反対していますが、しっかり政府が積極財政で需要を作って、働けば豊かになれるという状況下になれば、かくいう私が真っ先にシャカリキになるでしょうね(笑
     まあ、

    「他人のせいにせず(環境のせいにせず)豊かになるべく努力を続けよ」

    という方もいますが、そんなこと言われるまでもなく多くの人がやっていますよ。すなわち、社会保険料をカットするために派遣に切り替えたり、消費税をカットするために外注化したり、外国人を騙して連れてきて格安で使い倒したり…いわゆるコストカットというやつですね。いや、環境が需要不足なんだから他の奴の取り分を減らすことでしか豊かになれないんですよ。10年前の実質GDPが529兆8127億0000万円、今の実質GDPが563兆6978億2500万円、ほとんどGDPは増えていないわけで、我々日本人はこの550兆円の砂山(需要)を奪い合うバトルロワイアルをやらされているわけだ。高みの見物を決め込むお偉い方々にエンターテインメントを提供して差し上げる気はさらさらないので、状況が改善されるまで私は参戦する意思はありませんよと。
     先ほども言ったようにケツを叩くよりも自ら喜んでそれをやるように環境を整えるのが政府の仕事です。労働大好きな方々はきっと消費税廃止や社会保険料減免に賛成してくれることと思います。消費税やあがり続ける社会保険料が労働の妨げになっているわけですからね(三橋TV第362回参照)
     ああ、それから、「お前のようなダメな奴でもせめて感謝くらいはしろ」とアドバイスを頂いたので、早速実践しようかと。

    日銀さん、利上げの見切り発車あざっした!

    ネットでまことしやかに言われている「日本をボロボロにしたい勢力」なんてのが本当に居るのならさぞかし感謝していることと思いまっす!これでよろしいでしょうか?

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  2. 利根川 より

     室伏謙一さんがとある番組に出演していたので見てみました。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    日本国憲法第83条

    国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて、これを行使しなければならない
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    令和5年に発行するはずだった公債の内9兆5000億円を財務省は発行しなかった。
    令和5年度予算として国会で可決したものを、国会の審議及び議決を経ずに、勝手に発行しないこととした。

    発行しないのであれば国会で議決しなければならないのに、勝手に財務省はこれをやった。財政民主主義という観点から由々しき事態だ。どうしてこんなことをやったのか?

    財務省
    「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律(平成24年法律第101号)第3条第4項を根拠として行った。我々は違法なことなどしていない」

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    <平成24年法律第101号)第3条第4項>

    令和3年度から令和7年度までの間の各年度における特例公債の発行など

    第三条
    政府は、財政法(昭和22年法律第34号)第4条第1項ただし書きの規定により発行する公債の他、令和3年度から令和7年度までの間の各年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、当該各年度の予算をもって国会の議決を得た金額の範囲内で、公債を発行することができる。

    2略

    3略

    4 政府は、第一項のきていにより発行した交際については、その速やかな減債に努めるものとする
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    この法律は、いわゆる努力規定であって、政府に減債に係る権限を与えたものでも財務大臣に与えたものでもない。勝手に国債の一部を発行しないこととする根拠とはなり得ない。
     財政民主主義の観点から国債を発行しないのであればこれを国会で審議にかけねばならないはずだが、財務省はそれを根拠なくやらなかったこととなる。
     
    室伏さん「憲法違反を堂々と財務省はやっているわけで、こう言う時こそ普段から『憲法を守れ!』と言っている人達の出番だと思うわけですが、それをフリーハンドで言えるのは令和新選組とか参政党といった小さな政党しかないというお寒い状況」

    本当に右左で政治を判断する時代は終わりましたね。なにせ、どっちも国民生活なんて興味ないみたいですし(苦笑い
     財務省はもうやりたい放題ですね~。まあ、自殺した近畿理財局の赤城さんの裁判でも、

    「官僚は業務上行ったことについては罪を問われない」

    なんてぶっ飛んだ判決が出ていますし、そりゃあ、やりたい放題にもなるでしょうね。
     

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  3. 利根川 より

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
     文部科学省は29日、今年4月に実施した2024年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。中学校の国語は平均正答率が前年度から11・7ポイント下がった58・4%で、19年度に現在の出題形式に切り替わって以降、過去最低となった。特に「読む」技能の正答率が低く、必要な情報を読み取る力に課題がみられた。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    まあ、同じ内容のテストで比較しているわけではないとのことで、実際に読解力が低下しているのかどうかはわからないそうですが、青山学院大学の永井忠孝さんが言うように、シンガポールのようにセミリンガルばかりが増えるという事態にならないことを祈ります。

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