政治

日本経済

2021年4月2日

【藤井聡】「コロナ騒動」にいい加減ウンザリしてきた日本国民~とりあえず今度は「まん防」でいっとくか、っていう世間に乗っかる吉村知事~

From 藤井聡@京都大学大学院教授

今、コロナ第四波が鮮明になってきたと言われています。

特に大阪での感染者数の拡大は顕著で、その増加率も一週間で2倍近くに膨れ上がる速度で感染者数が増加しています。しかも、「変異種」なるものの割合が高まってきているとも報道されています。

一年前の「第一波」時なら言わずもがなですが、先日の「第三波」時においても、これくらいの感染拡大スピードが確認されれば、世論は即座に

「これは緊急事態だ! 政府は緊急事態宣言を発令すべきだ!」

という空気になり、その風を読んだ小池知事や吉村知事は、

皆様の安全を守る為に、緊急事態宣言の発令を政府に要請します!」

と叫びだしていたに違いありません。そして、そうした知事達の声に引き摺られて、菅総理も「緊急事態であります」と宣言する羽目に陥っていたこともまた確実です。

何と言っても大阪で、第三波時に緊急事態宣言の発令が発表された時(1月6日)の新規感染者数は560人であった一方、既に昨日時点でそれを上回る616人に達しています。実行再生産数について言うなら、かつては1.6程度だったのに、今は1.8程度にまで上昇しており、はっきり言って、第一波、第二波は言うに及ばず、緊急事態宣言が発令された過去最大の第三波の時よりも今の方が、より「緊急度」が高いのです!

しかし、今回は、どういうわけか、誰も「緊急事態」だなんて言っていません。

こうなっている最大の理由が、今は、緊急事態よりもやや軽い「まん延防止重点措置」というものが法的に用意されたから。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6389490

この措置、いわゆる「まん防措置」と、いわゆる緊急事態宣言との違いは、緊急事態では「休業要請」ができるがまん防では出来ない(時短はどちらも出来る)、範囲が緊急事態宣言では都道府県だが、「まん防」は市町村だ、という程度のもので、さして大きな違いはありません。

しかし重要な違いは、その「言葉の圧力」です。

緊急事態宣言はもちろん、その言葉通りに「緊急事態」を意味しています。

緊急事態は平時状況ではなく有事状況だという含みを持ちますから、自ずと自粛等の行動制限をしなければならないという心理的圧力が高まってしまいます。一方で、「まん延防止」には、有事状況というニュアンスはありません。したがって、自ずと、自粛等をしなければならないという心理的圧力はさして高まりません。

さらに言いますと今、3月に入ってから徐々に緊急事態が解除されていった流れを受けて、人々の活動レベルは拡大基調にあります。例えば、Google Mobility Dataによれば、「交通・移動行動」の一週間平均は、以下の通り変遷しています。

3月第1週(3/1-3/7) 27.3%
3月第2週(3/8-3/14) 24.9%
3月第3週(3/15-3/21) 23.9%
3月第4週(3/22-3/28) 19.7%
(グラフはコチラ↓

https://twitter.com/SF_SatoshiFujii/status/1377759597125980162

つまり今、人々は、2ヶ月半にもわたった「緊急事態宣言」で鬱屈していた心理状態の中、ようやく宣言が解除され、再び活動し始めている状況にあるのです。

つまり人々は、コロナ騒動にたいがい疲れてしまい、「ウンザリ」した心持ちになってきているわけです。

そんな中で、感染者数が広がってきたからといって、「再び緊急事態宣言であります!」なんて言われても、「もういい加減にして頂戴よ。ホント、勘弁して」という心持ちにあるわけです。

もちろん、自粛や時短や休業することで、ホントに感染が抑止できるのならまぁ仕方ないとも言える訳ですが、その効果だって怪しいわけです。

データを見ても全く効果無かったっていう検証結果がいくつも出されてるくらいですし、
https://www.jcomm.or.jp/covid19/seminar210309/
直感的にいって、夜のお店がちょっと早く閉まるようになっただけの話で、8時まではいつも通りドンチャンやってるのに、感染が抑止できるなんて常識的に考えて殆ど理解できないという気分をお持ちの方も多かろうと思います。

だから、緊急事態宣言に対するウンザリ感は、かつて無いほどに今、高まっているわけです。

そんな中で、今世論が、丁度良いあんばいの「落としどころ」として目を付けたのが、「まん防」措置だったわけです。

感染が広がってきてるから、これまでとのツジツマをあわせるために、一応なんかやっとかなきゃいけないけど、あまりシンドイ事はしたくない…だったら、緊急事態宣言より少々ヌルくて、あんまり有事な感じのしない「まん防」くらいやっとけば、一応、格好はつくから、まぁ、これでいいか、という気分に今、世論はなってきているのです。

で、知事連中については、コチラのメルマガでも詳しく解説した様に
https://foomii.com/00178/2021032707440278215
彼等は真剣に人々の健康や生命を守りたいと思っているのではなく、ただ単に国民の人気をつなぎ止めておき、あわよくばこれに便乗して人気を獲得したいと思っているだけの人々。

だから、彼等のコロナ対策は全て、「有権者にモテたいがための単なるポーズ」に過ぎないわけです。

なので、今、世論が「緊急事態はウンザリだけど、まぁ、「まん防」くらいならいいんじゃね?」な気分にあるので、その気分を読んだ吉村知事らが、まん防、まん防と口走り始めた訳です。

しかも、まん防は、できたてホヤホヤの法的措置ですから、一番最初にやれば話題にもなるから、一石二鳥だという次第です。

…ホントにおぞましい話ですが、これが、日本のコロナ対策の実情、です。

つまり、国民も政治家も官僚も皆、本気の本気でコロナによる生命や健康の被害を最小化しようとしている訳ではないのであって、空気と忖度と気分だけで、ダラダラと対策らしきものが進められてきているのです。

日本国民の中には、こういうグダグダの構図を明確に理解していないかも知れませんが、何となく理解している方も大量におられると思います。そういう方々はまさに、こういうグダグダに心底ウンザリしているところなのです。

今まで、あらゆる政策をいい加減に決めて、空気と忖度と気分だけで政治をやってきた政治家、そしてそれを許してきた国民が変わらない限り、このグダグダなコロナ対策はいつまで立っても終わらないでしょう。そして、その帰結として世界の中で日本だけがコロナ禍による被害を、超絶に膨張させてしまうこともまた、間違いないのでしょう。

本当に残念ですね……。

とは言え、今回、被害だけ確実にあり効果の極めて怪しい緊急事態宣言が発令されなかったことだけは、不幸中の幸いと呼ぶべき事象と思われます。

ついてはウンザリめげず、これからも日々、言論活動を続けて参りたいと思います。

また引き続き、よろしくお願い致します!

追伸:このグダグダコロナ対策の実態を、小池・吉村知事らの生態を分析することで、詳しく解説しました。是非、ご一読下さい!
『【小池=クロちゃん説】小池知事のコロナ対策は単なるポーズ。クズ男(例えばクロちゃん)が口説く女性にだけ優しくするのと全く同じ。』
https://foomii.com/00178/2021032707440278215

関連記事

政治

日本経済

【藤井聡】ワクチンが出来た今、コロナの指定感染症法の分類を「1・2類」から「5類」相当に引き下げるべし

【藤井聡】「コロナ騒動」にいい加減ウンザリしてきた日本国民~とりあえず今度は「まん防」でいっとくか、っていう世間に乗っかる吉村知事~への3件のコメント

  1. まん防等と田分け言ってる関西人、日本人て心底アホですね より

    関西人ていつから関東人以下になったんですかね?
    元凶は吉本ですよ、
    教授、
    8年間
    糞維新の上に糞安倍菅のアホ征倭会が君臨してたのを
    見て見ぬ振りしてましたよね
    知らぬ存ぜぬは通りませんよ!

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  2. 大和魂 より

    藤井先生の胸の内はごもっともで、財務省を始めとした権力者たちの二十年にも渡る愚策が現状を、明示しているわけで恐らくはこの先も、西洋の猿真似をして二枚三枚舌を繰り返すに過ぎない感じですね!

    ところで軽薄な日本政治を突出して象徴しているのが【アゴ叩きのパフォーマンス集団】で、お馴染みの維新の会で、しかも先頃も名古屋でバカ騒ぎを起こしていましたが結果、自爆していましたね。

    しかし彼らは大阪の吉村洋文や松井一郎、そして子分の弁護士に続き北海道の鈴木直道と伝染しながら、島根の平井伸治とアゴ集団は拡大中なので皆さんで、歯止めを掛けて、寝ぼけた属国集団の存在を是が非でも否定して参りましょう。

    そして上方のおっしゃる通り、なにせ吉本が絡んでいてしかも彼らの平素は悪どい所業をやりながら政治の舞台まで選挙を後押しせするから断じて許せないわけで、いつまでも国民をコケにすんなよな!!

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  3. この世は既にあの世 より

    東京都の飲食店への時短要請の協力金は、申請件数の20%弱しか振り込まれてないらしいですね。業務を請け負っている博報堂は100万円配るのに10万円のコストをかけてるみたいですが本当でしょうか。博報堂に業務委託するのに200億円かかるみたいですがどうなんでしょう。

    私は飲食店経営者ではありませんけど。

    先生、もう政治家になって国会議員に喝を入れて来て下さい。今の政治家は天麩羅にされても真っ黒なブラックタイガーみたいなもので、アリバイでチャンネル桜に出る程度が精一杯のダメ人間ばかりです。

    このままだとイライラしますが、ところでマスクしてる女性をどの様に判断したらいいのでしょう。やっぱ日本文化の粋を感じながら、お尻で判断するしかないのでしょうか。

    「恐るべき変幻自在の小池チキン南蛮のお尻力!」「苦い、苦いぞ」「いや、でも何なんだ?これは…..苦旨い!」ってなるかいアホ!

    蔓延防止策、間違いない、ピリ辛指数、ジャップにジャスト!……..そう来ましたか。汗を流して飯が旨い、男の基本だ。

    下戸よ、尻込みするなかれ、敵陣にご馳走ありだ。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

最新記事

  1. 日本経済

    【室伏謙一】「金融緩和悪玉論」を信じると自分達の首を絞...

  2. 日本経済

    【三橋貴明】聖徳太子の英雄物語

  3. 日本経済

    【三橋貴明】政府債務対GDP比率と財政破綻は関係がない

  4. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】『2023年度 国土強靱化定量的脆弱性評価・...

  5. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】【3月14日に土木学会で記者会見】首都直下地...

  6. 日本経済

    【三橋貴明】無知で間違っている働き者は度し難い

  7. 日本経済

    【三橋貴明】PBと財政破綻は何の関係もない

  8. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】【岸田総裁の政倫審出席はむしろ有害】岸田氏の...

  9. 未分類

    【竹村公太郎】流域共同体の誕生、崩壊そして再生 ―新...

  10. 日本経済

    【室伏謙一】財務省が金融引締め、そして緊縮増税へ向けた...

MORE

タグクラウド