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日本経済

2023年5月25日

【藤井聡】原爆死没者の誇りを守るために

こんにちは。表現者クライテリオン、編集長の藤井聡です。

岸田氏が座長を務めるG7広島サミットに、国内世論は高い評価を与えています。事実、岸田内閣の支持率は、このサミットを契機に10ポイント近くも跳ね上がるという結果が報告されています。

しかし、世間の岸田氏の高い評価とは裏腹に、その「内実」を観れば、今回のG7広島サミットは、極めて深刻な国益毀損を、日本にいくつも与えるものでした。当方はその問題を、『表現者クライテリオン編集長日記』(https://foomii.com/00178にて、サミット期間中、連日配信しましたが、今日はその中でも、最も深刻な問題である、「謝罪」不在の米国バイデン大統領の広島慰霊について、慰霊訪問の数時間後に公表した当方の見解を、下記にご紹介差し上げます。

是非、ご一読いただき、読者お一人お一人に、この問題の深刻さについてご理解頂きたいと思います。

『原爆死没者の誇りを守るために、「謝罪」不在の原爆死没者慰霊を行った米国バイデン大統領、そしてそれを実現させた岸田総理大臣を、日本人は許してはならないのではないか。』
https://foomii.com/00178/20230519144211109250

 本日、米国バイデン大統領を肇としたG7首脳が、広島の平和記念館を訪れ、原爆戦没者の慰霊碑に献花・黙祷を捧げました。

 当方にとって最大の焦点は、バイデン大統領が「謝罪」するか否か、という一点でしたが、誠に遺憾ながら、バイデン大統領からの謝罪の表明はありませんでした。
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/99216.html

 その件について記者から「謝罪するのか」と質問されたのに対し、「大統領のコメントは予定されていない。訪問は歴史に敬意を表するためだ」などと述べたとのこと。

「コメントは予定されていない」と言いつつ「訪問は歴史に敬意を表するためだ」と述べた以上、謝罪の趣旨は一切含まれていないと解釈せざるを得ません。歴史への経緯と謝罪は全く異なるものだからです。

しかしながら当方はもちろん、原爆を落とす政治判断を行った米国の大統領は、謝罪せぬのなら原爆死没者を慰霊訪問すべきではなかったのではないかと考えます。

したがって、謝罪無き慰霊訪問に対して、当方は一日本人として、大きな遺憾の念を表明する他ありません。

それは、例えば自分の両親を明確な意図に基づいて殺害した殺人者が、数十年の時を隔てて当方の両親の墓標に訪れるか否かを判断するにあたり、「一切の謝罪を行わない」という事があらかじめ分かっていたのなら、墓標への「慰霊」を、一人の息子として許すことなど到底できない、ということと同じです。

万一、その慰霊が、何らかの政治的な力学によって実現し、それにもかかわらず謝罪がなかったとすれば、当方は一人の息子として、そうした「慰霊」を行った加害者が「謝罪」しなかったことを「許さない」と表明すると同時に、その「謝罪」無き慰霊を決定した政治権力者を「許さない」と表明せざるを得ない立場に追い込まれることと同じです。

なぜならもしも、そういう謝罪無き慰霊を許したとすれば、我が両親は、この加害者に殺されてしかるべきだったのだ、という事に論理の上でなってしまうからです。これは、我が両親が殺されるべき罪深き者、ないしは犯罪者であると認識しているのだということを宣言するに等しいこととなってしまいます。

ましてや、その加害者が普段「人殺しは人類に対する敵対行為だ。断じて人殺しは許されない」とうそぶき続けているとすればなおさらです。

それと同様に、バイデン大統領は、核の使用は人類に対する敵対行為だと主張し続けています。

だからこそ我々は、原爆によって死没してしまった方々の誇りを守るために、バイデン大統領の謝罪無き慰霊を、許してはならないのです。

この「断罪」は断じて「寛容の徳の不足」ではありません。

この「断罪」は、「日本人としての誇りを守るために道徳的に求められる倫理的要請」と言わざるを得ないものと考えます。

かくして少なくとも当方は、広島で原爆を落とされた事で亡くなった方々の誇りを守るために、謝罪無き慰霊を行ったバイデン大統領、ならびに、それを実現させた岸田文雄総理大臣を到底許すことはできないのです。

この件について、一人一人の日本人に、一体何が正しき振る舞いなのか、しっかりと考えていただきたいと、心から祈念いたします。

追伸:
なお、G7の岸田氏の差配は、世間の評判と裏腹に、その実態は最低最悪のものです。

まず第一に、G7の広島慰霊イベントが最低最悪のイベントだったというのは、上述した通りですが、上述の様な深刻な国益毀損をやってまで行った「核廃絶」や「ロシア核抑止」のアピールですが、全く有効性が無かったのです。

『岸田氏によるG7広島平和祈念イベントは、「核廃絶の機運醸成」「ロシアの核使用抑止」にとって何の役にも立たない。』
https://foomii.com/00178/20230522071136109338

それどころかむしろ、ロシアの戦争の被害と核使用リスクを「拡大する」という逆効果をもたらす帰結を生んでいるのです。

『広島G7でウクライナ支援を鮮明にした岸田総理は、戦争被害と核使用リスクの双方をいたずらに拡大させた。』
https://foomii.com/00178/20230523081434109390

さらに言うなら、今回、G7で日本にとって最も大切だった対中安全保障問題について、空念仏を唱えるばかりで何の実質的成果も得られなかったのです。というかむしろ、相対的に台湾有事のリスクを拡大する事にすらなってしまったのです。

『「平和・反核」アピールを通して、(対中国圧力の増強を通した)日本の安全保障増強のチャンスを自ら潰した岸田総理によるG7運営』
https://foomii.com/00178/20230520153702109290

本当に、最低最悪の帰結であり、最低最悪の宰相だと言わねばなりません。誠に残念です。

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【藤井聡】原爆死没者の誇りを守るためにへの2件のコメント

  1. 嘘の種類 より

    世には 三種類の嘘が存在する とか

    ただの嘘

    真っ赤な嘘:NHKによる コロナワクチン死亡歪曲報道 とか

    そして 統計:たとえば日本の内閣支持率 

    トップが総理と会食なさって
    悦に入ってる マスコミの報道する
    内閣支持率なんぞ 嘘に決まってるでせうに、、

    そういえば 貴殿も 元総理と 会食なさって、、、
    失礼 ♪

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  2. あほ、かと より

    その前に。
    外国軍部隊の駐留になぜ黙り続けているのかしら。
    話はそれからでは。

    大統領に広島の地を踏ませてはいけなかった、
    などという上っ面のお話を読んでも、
    スナクがちゃっかり三兆円の商談を成立させていた
    話題の足もとにも刺さらない感じです。

    先日も、
    駐留を希うぼけ政党に成り下がった
    自民なんかを支持している人々が、
    バイデンの降り立った場所がいかんと
    まじめにいきり立っていた。

    あほ、かと。

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