アジア

2017年2月27日

【三橋貴明】移民政策のトリレンマ

From 三橋貴明
【今週のNewsピックアップ】
移民政策のトリレンマ
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12249515222.html
続 移民政策のトリレンマ
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12249796298.html

グローバリズムは、よく言えば、
「誰もが仲良く、平等に、幸せに暮らしましょう」
という、一種のユートピア論ととらえることができます。

グローバリズムが完成した世界では、人々はフェアに扱われ、
適正な競争が行われ、努力すれば誰でも幸せになれる。

人種、国籍、宗教、言語、文化、ライフスタイルによって
差別されることはなく、誰もが公正に扱われる世界。

すなわち、性善説に基づくフラット化した世界。

上記のユートピアの実現のためには、二つ、
大きなハードルが立ちふさがっています。

一つ目は、現実の世界では性善説は成り立たず、
人々が話す言語も異なり、人種、国籍、宗教等が理由で、
互いに違和感を感じざるを得ないという点です。

「違和感」とは柔らかく表現したわけで、露骨に書くと「恐怖」になります。

我々は大変、残念なことに、各種の「違い」により、他者に対し
違和感を飛び越え恐怖を覚えざるを得ない生き物なのです。

特に、日本人の場合、言語が重要です。

我々は「日本語を話す外国人」に対しては、やたら親近感を覚えます。
日本語を解さない外国人に対しては、まるで異星人に接するような気持になりませんか。
差別云々ではなく、現実の話です。

日本人は他国の人々よりも外国人に寛容
(とにかく、日本語を喋ってもらえばいいのです)
だと思うのですが、それは我々が島国の住民であり、
歴史的に「移民問題」に悩まされることが少なかったためでしょう。

二つ目。グローバリズムのユートピアと書けば聞こえはいいですが、
実際にはこの種の思想が「自分の利益を最大化したい誰か」に利用されているという点になります。

グローバリズムのバックボーンとなっている思想は、もちろん「経済学」です。
経済学とは、経済合理性以外の価値観を持たない経済人が、
情報を均等に与えられ、市場で自由に競争することで
効用が達成されるという物語が基盤となっています。

経済学の理想郷において、政府は市場を歪める異物でしかありません。
政府が余計なことをしなければ・・・。というわけで、
経済学は政府のレギュレーションの緩和、すなわち規制緩和を常に善とします。

防衛安全保障? 食料安全保障? 防災安全保障?
防犯安全保障? エネルギー安全保障?

心配いりません。グローバリズムのユートピアでは、戦争など起きないのです。
食料は国内で生産できなくても、必ず適正価格で外国から輸入できます。
輸出制限など野蛮な行為に手を染める国は、
いずれ市場原理により排除されることになります。
食料安全保障など、別に考える必要はありません。

防災安全保障?

そんなに自然災害が怖いならば、保険に入れば済む話です。

エネルギー安全保障。

大丈夫ですよ、原油も石炭もLNGも、外国から無尽蔵に輸入できるのです。

といった、バカバカしい前提が全て成り立つのであれば、
グローバリズムのユートピアは実現するのかも知れません。
後は、通貨と言語と宗教を統一するだけです。

とはいえ、現実の世界では通貨、言語、宗教が異なる国々が乱立しています。
これはまさに「歴史的」な話なので、そう簡単には条件を変更できません。

さらに言えば、この世には資源制約があり、
他国の安全保障を善意で実現してくれる国など、存在しないのです。

ついでに書いておくと、災害を恐れて保険をかけていたとしても、
震災や水害、土砂災害で「死ぬ」という現実に対しては、何の慰めにもなりません。

要するに、荒唐無稽なグローバリズムのユートピアを唱えることで、
得をする「誰か」がいるのです。もちろん、グローバル投資家のことです。

政治力が大きいグローバル投資家が経済学を利用し、
自分たちの利益を最大化するためにグローバリズムを
推進してきたというのが、過去の歴史なのでございます。

結局、様々な理由からグローバリズムのユートピアは実現しません。
国民がその国で安全に、自由に暮らしたいならば、政府という存在が
様々な規制をかけるしかないのです。あるいは、政府が市場とは無関係に、
モノやサービスの生産活動をする必要があるかも知れません。

そして、国民が安全に、自由に暮らしたいならば、最低限、
異邦人(外国人)の流入を制限するという政策を採らざるを得ません。
繰り返しますが、外国人差別云々ではなく、これが現実なのです。

外国移民受入、安全な国家、そして国民の自由。
この三つを同時に成立させることはできません。
すなわち、移民政策のトリレンマです。

●外国移民を受け入れ、治安を維持しようとすると、自由を失う。
●外国移民を受け入れ、自由を保とうとすると、治安が悪化する。
●自由を保ちつつ、治安を維持したいならば、外国移民を受け入れることはできない。

シンガポールは、国民の自由を制限する代わりに、安全な移民国家を実現しました。
欧州は国民の自由を維持したまま、移民を受け入れ、安全な国家ではなくなっています。

さあ、日本国はどうするべきでしょうか?

 

 

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【三橋貴明】移民政策のトリレンマへの2件のコメント

  1. 赤城 より

    ユートピア的な話にはほとんど欺瞞や詐欺的意図が隠されていると見ていいでしょう。現実的な話にユートピアを取り入れるような輩をまともな頭の持ち主と考えてはいけない。日本にはそうした頭の中に腐臭漂うお花畑を持っている人たちがあふれかえっております。それも政権を担う政治家を含めて権力者にも非常に多いので日本はずっと今のような状況になっているのでしょう。そんなお花畑は宗教やファンタジーの中だけでお願いしたいものです。

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  2. ろんどなー より

    鎖国は不可能だが、大量移民を受け入れるのも反対。特に同じ出身地から大人数が来ると必ず同胞で固まり、日本国内で治外法権エリアができる危険性が高い。島国日本には古来から渡来人が海を渡ってきた歴史がある。少人数の彼らは住み心地の良い日本に安住し日本人に同化した。これが一番穏健な移民政策ではないかと思う。

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