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2014年12月7日

[三橋実況中継]残念な選挙

From 三橋貴明

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●日本はなぜ、負ける戦いへと突き進むのか?
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突然ですが、中長期的な視点で見ると、日本にとって最大の問題は「東京一極集中」だと思います。経済的な「合理性」から見ると、東京圏に人口が集中すればするほど、「所得」を稼ぐことは容易になるわけです。

とはいえ、東京一極集中は「安全保障」という点で、問題があり過ぎるのです。このまま東京圏に人口の集中を進め、首都直下型地震が発生した日には、「日本国家存亡の危機」となってしまいます。

無論、地方は東京を救おうとするでしょうが、経済力がなければどうにもなりません。この場合の経済力とは「お金」の話ではなく、モノやサービスを供給する力のことです。経済学的用語でいえば、潜在GDPです。

中長期的に、我が国は「いかに地方の潜在GDPを引き上げるか」が課題になるわけですが、直近は「デフレ」「不況」に苦しむ地方の潜在GDP(供給能力)を、いかに「維持するか」が問題になるのです。

安倍政権がテーマとして掲げていた「地方創生」は、「地方の仕事を増やし、人口や企業といった供給能力を(最も問題な)東京圏から地方に移す」形で実現される必要があります。

間違っても、「道州制で、地方同士を競争させ、潜在GDPを伸ばす」などと、サプライサイドの視点に立った「構造改革」を推進してはなりません。まずは「需要」「仕事」「所得」がなければ、結局は「勝ち組が負け組を淘汰する」形で、地方の「選別」が進んでしまいます。

負け組の企業や住民は、東京圏など大都市部に向かうことになり、話が「元の木阿弥」になってしまうわけです。

例えば、地方に公共投資や医療、介護といった「政府の支出」で需要を創り出し、同時に地方と大都市部間のインフラを整備し、地方に本社を移した企業の法人税を優遇(いっそ「免税」に)することで、はじめて「安全保障を強化する」形の地方分散が実現できるわけです。

この手の中長期的なビジョンを掲げれば、国民の支持を得ることができる。つまりは選挙で勝てると思うのですが、少なくとも「明確に」打ち出している政党がないことを、残念に思うわけです。

◆徳間書店から年末恒例(?)の「2015年 暴走する世界経済と日本の命運 」が刊行になりました。
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◆KADOKAWA/中経出版「原発再稼働で日本は大復活する!」が発売開始になりました。
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◆「WiLL (ウィル) 2015年 01月号」に、連載「反撃の経済学 消費税増税は有害だ」が掲載されました。
同書には、「移民大論争 移民が経済成長を妨げる」も寄稿しております。
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◆夕刊フジで「斬り捨て御免 日中韓経済」が連載されていました。

【斬り捨て御免 日中韓経済】衆院選、各党は実質賃金高める政策論争を
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20141201/dms1412011729006-n1.htm

【斬り捨て御免 日中韓経済】完全に冷めた外資系企業の中国熱 巨大都市でも住宅価格下落が止まらず
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20141203/dms1412031140006-n1.htm

【斬り捨て御免 日中韓経済】韓国経済むしばむ疾患 膨れ上がる家計債務と返済金額
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20141205/dms1412051140003-n2.htm

◆週刊実話 連載「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」 第104回「日経平均と実質賃金」
なお、週刊実話の連載は、以下で(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
http://wjn.jp/article/category/4/

◆Klug連載 三橋貴明の「経済ニュースにはもうだまされない」 第283回 ユーロ国債「金利」暴落
http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/2014/12/02/022822.php

◆有料メルマガ 週刊三橋貴明 〜新世紀のビッグブラザーへ〜 週刊三橋貴明 Vol289 自然失業率
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
非現実的かつ非合理な「経済学」の「考え方」の一つ、「自然失業率」について取り上げました。

◆メディア出演

12月8日(月) TOKYO MX「モーニングCROSS」に出演します。
http://s.mxtv.jp/morning_cross/

12月10日(水) 文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」に出演します。
http://www.joqr.co.jp/tera/

12月14日(日) チャンネル桜「ニコニコチャンネル」「ネット生放送」総選挙特番出演します。

12月5日(土) チャンネル桜「報道ワイド日本ウィークエンド」に出演しました。
【経済】国民貧困化の兆候、如何にして実質賃金を上げるかが課題[桜H26/12/5]http://youtu.be/Qy6LyXePhM8

【明るい経済教室】自然失業率、新古典派経済学の建前と現実[桜H26/12/5]http://youtu.be/dMj4wSv7-bQ

【未来への備え】インフラの維持整備には、中長期的展望が不可欠[桜H26/12/5]http://youtu.be/rGBdzXHWwAs

◆三橋経済塾
三橋経済塾第三期「第十二回講義(最終回) 「経済学と民主主義」の講義が、12月21日に開催されます。
http://members.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=888
今回はケーススタディを実施するため、ゲスト講義はありません。

◆チャンネルAJER 今週の更新はありません。

PS
この選挙で日本は残念な国になってしまうのか?
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[三橋実況中継]残念な選挙への3件のコメント

  1. 藤田昭仁 より

    『間違っても、「道州制で、地方同士を競争させ、潜在GDPを伸ばす」などと、サプライサイドの視点に立った「構造改革」を推進してはなりません。まずは「需要」「仕事」「所得」がなければ、結局は「勝ち組が負け組を淘汰する」形で、地方の「選別」が進んでしまいます。』地方同士という地理的な経済主体間の競争も、企業間の競争も負け組みがすぐにそれまでになかった産業にシフトできるような経済でなければ、競争して勝ち抜いていくことが勝者にとっても結局は自分の首を絞めることになります。 どんな物財およびサ−ビスの市場でも個別には成長の限界があります。負け組が新天地で復活できなければ、負け組の需要分だけなくなりますから供給過剰になり、行き着く先はデフレです。

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  2. 神奈川県skatou より

    東京一極集中、中央集権、集約により大きな力を産む国家体制はそれはそれで大事だと思うのですが、それはひとつの前提が必要だったと思います。「地方の活力を集めて都会で昇華させる」でも、いま地方は疲弊どころか集落の消滅まで危惧されているわけで、「強い日本は一極集中」というならばこそ、地方の力に留意すべきという話になりそうです。でもそもそも地方の力ってなんだろうと思うのですが、自分の狭い知見だと、ある種のワイルドさ、都会的ひ弱さでない、という傾向、それはつまりなにかといえば、都会という狭苦しい、人口物、つまり人の作ったルールだけ見て育つ都会人とちがい、非人工物に囲まれた「人のルール以外のルールの経験」という点はないか、ということです。乱暴にいえば、どこかの巨大テーマパークで”サービスを受けて”育って子供と、プレーパークや夢パークでチャレンジして育ったきた子供と、どちらが遊びを自ら作る力があるか、ということです。”無いものが強み”。地方を活性化するにしても、単なるミニ東京を作るではつまらないかなと、ふと思いました。(そもそも東京は地方じゃなく世界の力を集約、なんてのはアメリカと競合するわけで、分不相応、ほどほどに、でしょうか。)

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  3. 佐藤 嘉明 より

    本日の、青木先生の日本国債の格付けに関する解説に関し、米ドル換算にて評価すると、金融緩和を大幅に継続する方針の円が、目減りするのは当然なので、円ベースでの信頼度しか考えていない日本人とは結果が異なるのは当然なのでは。

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