政治

日本経済

2022年12月20日

【室伏謙一】増税に向けた準備が着々と進められています

 防衛費の増額を大義名分とした増税、防衛増税という方向性が、15日に決められてしまいましたね。方向性と書いたのは、まだ増税することが決まったわけではないからです。ちょっと違和感があるかもしれませんが、防衛増税のメニューは一応案は決まりましたが、実施時期は令和6年以降の適切な時期とされ、それを通じて令和9年度において1兆円強の財源を確保するとされただけ。加えて、これらを実施するためには、財源確保法案(仮称)を来年の通常国会に提出して可決しなければいけません。実施時期は改めて議論することとされていますから、まだまだ止めるなり先延ばしにするなりすることは不可能ではありません。

 今回は、なぜか党内税調を舞台に議論が、ある種拙速かつ強引に進められましたが、法案の党内議論ということであれば舞台は政調になります。萩生田政調会長は当初から増税による防衛費増額分確保に反対の立場を明確にしていましたし、台湾での講演の際にもそのことを強調していました。したがって、政調の場では拙速な法制化を阻止することも可能でしょう。

 よって、今後も防衛増税反対、税は財源ではなく政策調整の手段であり、防衛増税は国民経済から貨幣を消すことにしかならず、我が国の防衛力を強化するどころか、貧国弱兵化を進めることにしかならないということを声高に叫んで、防衛増税を阻止していきましょう。

 ところで、このところ大手メディアは、盛んに「国債という国の借金が」とか「国債の発行残高が増えて財政は一層悪化する」とかいった、財務省の意向を忖度したような記事を乱発していますが、これはそうした増税阻止の動きを牽制するために、無辜の一般国民には受け入れやすい「国債は借金」というイメージをより深く刷り込み、国債発行による財源確保を是が非でも阻止しようという、まさに財務省の意向を踏まえたものであると言えるでしょう。

 なぜそんなことをするのかと言えば、防衛費のみならず、何か大義名分が、口実が見つかれば、財務省はなりふり構わず増税したくてしたくて仕方がないからです。事実、子供政策関連予算の増額についても、担当大臣の口から増税を意味する「安定財源の確保」という表現が出ていますし、増税が当然の前提のような論調の記事が、防衛増税と同様に乱発されています。

 防衛増税の方は、防衛力の強化という論点と相まって、「戦争反対」や「軍拡反対」を唱える(なんでそういう話になるのか意味不明ですが)左翼リベラルからも反対の声が上がり、注目されていますが、子供関連政策増税についてはあまり注目されていないように思います。これではシラっと増税を進めたい財務省の思う壺です。あるメディアの記者によれば、財務省は常に増税ができるところを探しているとのことであり、今後どこで増税話を始めるか分かりません。

 今回の防衛増税で、最終的に決まったわけではないとは言え、増税への道筋をつけられたわけですから、財務省は勢いに乗って更なる増税を来年、再来年と仕掛けてくる危険性があります。

 繰り返しますが、税は財源ではありません。あくまでも国民経済に流通する貨幣を調節するためのもの。それ自体の役割は重要ですが、使い方を間違えてはいけません。使い方を間違えている財務省、それに操られる岸田政権の暴走を止めるためにも、是非こうした事実をより多くの国民に広めていきましょう。

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【室伏謙一】増税に向けた準備が着々と進められていますへの4件のコメント

  1. 増税 期違い より

    今 この時期に 増税という手は
    ない でせう、、、

    そんなに増税を望むなら
    パチンコ産業に 気の済むまで
    課税なされば よろしいかと、、

    税収は増え パチンコ中毒患者は減少
    まさに一石二鳥

    何故なさらないか は 推して知るべし。。。

    己の財布が 重くなることにしか興味がない

    議員や官僚が この国の行政や財政を
    牛耳っている から なのだ(たぶん)

    ちなみに 防衛費

    通常兵器に 予算をつぎ込むなど
    愚の骨頂

    有事の際には 必ず人が死ぬ

    戦争を望まないのなら
    核武装以外に 術はなし ♪

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  2. 利根川 より

    「税は財源ではない」

    来年の流行語大賞にノミネートされるように今から頑張っていきましょうか(苦笑い
     ちょっと与太話を…

     昔は、

    カトリック「神はこの世界を宇宙の中心として創ったので、地球を中心に太陽の方が回っているのだ」

    といっていたそうです。これが有名な「天動説」というやつですね。これに対してイタリアのガリレオ・ガリレイが

    ガリレオ「天体観測してみると、どうも太陽を中心に地球の方が回ってるっぽいんだけど」

    という「地動説」に繋がる学術的証拠を発表していきました。で、このガリレオさんがどうなったのかというと、異端だとか邪教徒だとか呼ばれて監視付きの家に軟禁されたまま生涯を終えたそうです。
     ガリレオさんと時を同じくしてドイツのケプラーさんも「地動説」に繋がる学術的証拠を数多く発表していますが、彼も日の目を見ない人生を歩んだようです。
     
    「多くの一般人にとって太陽と地球、どっちが中心かなどどうでもよかった」

    という方も居ますが、そうでもなくって、実生活レベルでは「天動説」を基に作られた星図では航海中の座標がズレるし、「天動説」を基に作られた暦では春の種まきの時期もズレるということで、実は正確な星図や歴を作るためには天体の動きを宗教的価値観によらない学術的視点で見ると言うことは一般人にとっても重要なことでした。
     で、カトリック教会がこの天動説を廃止し地動説を認めたのが1992年。ガリレオさんが生きた時代から350年以上経ってはじめて認めたわけです。この間、天体観測の技術も進歩して、更なる学術的証拠も示されてきたし、相対性理論が発表されて

    「飛ぶ鳥がなぜ取り残されないのか」

    という屁理屈も潰されてきました。人類はロケットに乗って地球外に進出したりと一大イベントもあったわけです。でも、1992年になるまで正式には認められなかったわけですよ。まあ、カトリックの方も

    「自分達が天動説を唱えていたこと自体忘れてたんじゃないか」

    という話もありますが(苦笑い
     なにが言いたいのかというと、どれだけ学術的証拠や事実を積み重ねようと「常識」が変化するのには膨大な時間がかかるのだということ。三橋さんや中野剛志さん、藤井教授らが10年以上かけて活動してきたおかげで昔に比べれば「貨幣」について理解している人が増えてきましたが、未だに

    「財源はどうするんだ!」

    これですからね。
     急ぎでなければ300年かけて「貨幣」について教育していくのもいいし、相手が意固地にならないように森永康平さんのように相手のメンツを潰さずに優し~く指摘するのが正道だと思うわけですが、

    岸田総理「世界情勢が不安定さを増す中、防衛力強化を急がなくてはならない」

    急ぎなんですよね~。
     急ぎなので、いつまでも「出す出さない」の財源論で揉めてもらってちゃ困るので、ここの所かなり厳しめに批判してきましたが、
     
    優しく言ってもダメ、厳しく言ってもダメ、デモをやっても講義をしてもダメ、そして時間はない

    「打つ手なし!」(苦笑い

    シュペングラー「我々はこの時代に生まれたのであり、そして我々に定められているこの終局への道を勇敢に歩まなければならない。これ以外に道はない。希望がなくても、救いがなくても、絶望的な持ち場で頑張りとおすのが義務なのだ」

    手厳しい

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  3. 利根川 より

     お金についてですが、世界には色々なお金があります。円、ポンド、ドル、ユーロ、実に多彩。これらのお金ですが、

    貨幣とは誰かが作ったからこの世に存在している

    わけですよ。「何を当たり前の事を」と思っている方も居るかもしれませんが、そんなことすら分かっていない専門家が多いのだそうで念のため。

    貨幣ってどこからか勝手に湧いてくるようなものじゃないんですよ

    で、「誰が貨幣を作っているのか」と問うと

    「造幣局でしょ」

    という答えが返ってくるわけです。たしかに現金紙幣を作っているのは造幣局ですが、お金ってなにも現金紙幣だけを指しているわけではないんですよ。銀行預金だってお金でしょ。

    お金には種類がある

    <日本円の種類>

    国債(国庫債券)

    日銀当座預金

    銀行預金
     
    現金紙幣(日本銀行券)

    これらは名前も形も使われ方も違いますが全て日本円、お金です。
     国債という名のお金を発行しているのは日本政府だし、日銀当座預金という名のお金を発行しているのは中央銀行である日銀だし、銀行預金を発行しているのは市井の一般銀行です。お金って誰かが作ったからこの世に存在しているんですよ。
     さて、我らが岸田総理

    岸田総理「防衛力強化のため財源確保が急務である」

    と供述しております。政府や銀行以外の一般国民であれば「お金を発行することはできないので」どこからかお金を調達してきてそれを財源にするしかないわけですが、

    お金を発行することができる日本政府がなぜ他所からお金をかき集めてくる必要があるのか

    小一時間問い詰めたい。
     こんなことを言うと

    「国債は借金なんだからいずれは返済しなければいけないじゃないか」

    という方が出てくるわけですが、先ほども言いましたが

    「国債の発行とは貨幣の発行のことです」

    自国通貨建て国債を税金で償還(返済)などということをやっているのは世界で日本だけです。
    くわしくは

    森永康平のビズアップチャンネル第103回

    をご覧ください。どこの国も国債の返済などやってないのですよ。

    日米中の政府支出の状況と負債増加額(IMF World Economic Outlook Datebase2022より池戸万作が作成

    21世紀の日米中の政府総負債額の推移

    2001年→2021年

    米国:5.62兆ドル→29.46兆ドル

    日本:6.34兆ドル→12.94兆ドル

    中国:0.32兆ドル→12.68兆ドル

    これを見てもらえば分かるように、経済の発展と共に政府負債(=貨幣の発行額)は増え続けるものなのです。

    「畑を広げたら使う水の量も増やす。経済が発展したら発行する貨幣の量も増やす。当たり前」
     
     因みに、貨幣発行から消滅までのプロセスは

    目から鱗が落ちる奇跡の経済教室 基礎知識編

    東大生が日本を100人の島に例えたら面白いほど経済が分かった!

    をお読みください。以前、森永康平さんの番組で「東大生が日本を100人の島に例えたら面白いほど経済が分かった!」が紹介されていましたが、かわいいイラストまで載っている大変分かりやすいものでした。

    「ネコネコ、カワイイ、ヤッター!」

    内容も知らずに批判ばかりしていないで是非とも一読した上で批判していただきたいところです。特に財務省と組んで益税論をふりまわしていた自称保守とかね。

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  4. 利根川 より

     最近、読売新聞の編集手帳に偽の国会議員バッジで官公庁に侵入して捕まった若者のことが取り上げられていました。若者曰く

    「警備員に敬礼してもらい、承認欲求を満たしていた」

    ということで、これに対し編集者は

    編集者「まじめに一生懸命働いている人は自己顕示欲など持っていない」

    と切り捨てていました。確かに国民に選ばれたわけでもない人物が議員バッジをつけて官公庁に侵入するなど政治システム的にもセキュリティー的にもマズいことだとは思いますが、正直、目立ちたがりの若者が一人くらいバカやった所で大勢に影響はないわけですよ。それよりも、

    選挙にすら出ていない人間が議員(民間議員)を名乗り霞が関をウロついている

    ことの方がマズいでしょ。なのに、これについては何も言わないという(苦笑い
     2021年12月1日 参議院・予算委員会の山本太郎議員の質疑を見てもらえば分かるように彼ら民間議員のせいでバブル崩壊後の日本はハゲタカファンドの餌食になってしまったわけです。多くの労働者がリストラをされ、その後長らく就職氷河期が続き、多くの若者が自殺に追い込まれることになりました。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    出典:2002年9月11日読売新聞 2002年2月28日朝日新聞

    ブッシュ大統領 小泉首相への親書

    「銀行の不良債権や企業の不稼働資産が、早期に市場に売却されていないことに強い懸念を感じる。

    私は、日本が不良債権を処分し(塩漬になっている)資金や企業の不稼働資産を解き放ち、最も効果的に資金を活用できる人達の手にゆだねて、機能を回復させることが必要だと信じている」
    (2002年2月28日 朝日新聞)
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~

    不良債権問題など公的資金投入でカタがついてしまう程度の問題だったわけですが、

    「銀行が潰れるのは彼らの自己責任だ。甘やかしてはいけない」

    と、どこぞの外国人に煽られて手をこまねいている内に

    「あそこの企業も経営がヤバいんじゃないか?」

    と疑心暗鬼も広まって健全経営をしていた企業すら経営が傾いていってしまうという非常事態になっていきました。
     そして、ブッシュ大統領のこの親書です。

    ブッシュ大統領「最も効果的に資金を活用できる人達の手にゆだねて」

    最も効果的に資金を活用できる人達って誰のことかというとハゲタカファンドのことですよね。当時の政治家達は

    わざと日本企業や銀行の経営を一時的に傾かせて、お安くなった日本企業をハゲタカファンドに提供することで彼らを儲けさせて差し上げていた

    わけですね。これを構造改革と称していたわけですが、構造改革って誰のための改革だったんでしょうね?

    山本太郎議員「ハゲタカの餌やり、やめてほしいんですよね」

    そして、今また再びかつての手口でハゲタカへの餌やりが行われているという。
     農業国防研究所の方によると酪農家の組合の方が農林水産省の前でデモを行ったそうですが、なぜ日本の酪農家を潰そうとするのかというと、酪農家だけがターゲットというわけではないものの

    日本の中小企業をわざと傾かせてハゲタカファンドを儲けさせて差し上げたい

    という思惑があるのではないかということです。というか、実際、2021年のM&A型の投資額は跳ね上がっていますし、菅前総理や菅前総理に近いデービット・アトキンソン氏の

    「日本の中小企業は多すぎる」

    という発言からも嫌な予感はしていました。
     
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    出典:日本銀行国際局「2021年の国際収支統計および本邦対外資産負債残高」(2022年7月) れいわ新選組 12月1日参議院予算委員会 質疑より

    M&A型の投資(対内直接投資)

    2012年 2773億円

    2013年 1658億円

    2014年 6569億円

    2015年 5771億円

    2016年 4038億円

    2017年 7364億円

    2018年 9362億円

    2019年 8213億円

    2020年 3270億円

    2021年 1兆9001億円

    2021年は外国投資家による買収を目的とした投資(M&A型の投資)のウエイトが大きく伸長した
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~

     M&Aというと聞こえはいいですが、要は企業の転売なんですよね。日本人は転売ヤーに対し非常に厳しい視線を向けることで知られていますが、M&Aに対しては何も思わないらしい(苦笑い
     ハゲタカへの餌やりのことを日本では構造改革と呼ぶそうですが、その構造改革の犠牲になってきたのは日本の若者たちです。

    <過去30年の実質賃金国際比較>(一人当たり実質賃金の推移)

    出典:令和四年度年次経済報告 れいわ新選組 12月1日参議院予算委員会 質疑より

    1991年の実質賃金を100とした2020年までの数値

    アメリカ:146.7

    イギリス:144.4

    ドイツ:133.7

    フランス:129.6

    日本:103.1

    <2019年 国民生活基礎調査 「生活が苦しいと感じている世帯の割合」>

    出典:厚生労働省 令和元年国民生活基礎調査 れいわ新選組 12月1日参議院予算委員会 質疑より

    全世帯:54.4%

    母子世帯:86.7%

    <1世帯当たりの所得の中央値推移>

    出典:内閣府・令和四年度 年次経済財政報告書 2-1-9図 全世帯の所得分布 れいわ新選組 12月1日参議院予算委員会 質疑より

    1994年 505万円

    2019年 374万円

    25年で所得の中央値が131万円も低下 一部の勝ち組以外は多くが貧しくなった

    で、これら一連の構造改革を

    「財政破綻しないように構造改革を急ぐ必要がある」

    とせっせと煽ってきたのがTVや新聞なんですよ。若者たちがまじめに働けないような環境にしたのは自分達であるという自覚をまずは持とうか。それから、承認欲求がどうたらという話は

    財政破綻系の本を実名と顔写真付きでバンバン出している連中

    に言ってやれ。

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