From 藤井聡@京都大学大学院教授
佐藤健志さんから,内容についてのご解説も含めた大変丁寧なお手紙と一緒に,「震災ゴジラ」献本いただきました(サブタイトルは「戦後は破局へと回帰する」です).
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周りの方からも「面白いよ!」っていう話を伺っておりましたので,とても気になっていた本でありましたが,なんやかやとバタバタしており,なかなか読めなかったところ,ようやく読み始めたのですが....
これはマジで,超絶に面白い本です!!
まだ半分程度しか読んでませんが,もう次のページをめくるのが楽しくって楽しくって仕方が無くなってしまいました(笑).
この本の何が面白いかっていうと,「他に類例の無い,独自性」です.
赤ちゃんの頃って,何でも面白くって,ボールが転がったり,鈴が鳴ったりするだけで喜んでましたよね.なぜかっていうと,生まれたばかりですから,彼等にとっては,ホールや鈴は「他に類例のない独自性」があったからです.
でも,それもしばらくすると慣れてきて「退屈」になります.が,その後,電車やクルマを見るだけでもものすごくおもしろがったりするようになります.これもなぜかってと,彼等にとってみれば「他に類例の無い独自性」があるからです.
・・・・なんてことを繰り返しながら大人になる訳ですが,もうそうなっちゃうと,なかなか「他に類例の無い,独自性」になんて巡り会う事が無くなってきます.
が!
久方ぶりに,「こりゃ,他に類例のない独自性だわさ!」と思ったのが,この「震災ゴジラ」でありました.
・・・
じゃぁ,何が独自なのかというと,この「戦後日本」というものを,いろんな(いわゆるジャンクなB級なのを中心とした)映画を通して,「解釈」していくんですが,その解釈が,ホント,凄く新鮮な解釈論なわけであります.
しかも,その新しい解釈ってのは,当方にとっては,ほんっっっとに,ものすっごく「しっくり」と来る,どっからどう見てもオーソドックスなものじゃ無いか...?なんて思えてくるものなのであります.
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●韓国経済の悲惨すぎる現実とは?
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ちなみに「解釈」ってなんなのか・・・っていうのは,あっさり言うと「物語りを作る」ってことなんですね.
で,今回,この本で,主な得解釈の対象としているのは,
「あの,昭和20年8月15日に本土決戦を断行しないままに迎えた敗戦以降の日本」
です.つまり,この本では,
「本土決戦をしないままに終戦を迎えた戦後日本物語」
が書かれているわけであります(まったく物語的,小説的には書かれていない,社会科学的解釈論の本でありますが,その内容は,新しい物語,が紡がれているわけです).
で,その,戦後日本についての物語,当方もこれまで「強靭化の思想」の「村上春樹を巡る戦後日本のクロニクル」なんかで論じたりしてきましたが....
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それはあくまでも,「こちら側」(戦いを挑む側=「死せる餓狼の自由を求める側」=まぁ,エレン側ってことですね 笑)から見た「戦後史」であって(だから,強靭化の思想なわけですが),
「あちら側」(つまり,戦わない側=「進む意志を嗤う豚」側ってことですね 笑)の分析ではなかったのですが....
(#すみません,上記台詞は,「進撃の巨人ネタ」です.
分からない方は,その台詞はスルー頂いても,大丈夫です)
実際には,ウジ虫がふんだんに湧きまくったおぞましき腐臭を放ち続ける腐りきった深層心理で,私たち戦後日本人の精神はタップンタップンに満たされてているのです.
(#なんつったって,進む意志を嗤う豚なんですから←済みません,これも進撃ネタです 笑)
...で,それはあまりにも「腐臭」を放っているので,誰もそのまま取り出して,
「ほら,俺たち,こんな風に腐ってるでしょ,へへへ(笑」
なんて,あまり誰もやってなかったのですが,この震災ゴジラ,そんなことやっっちゃってるんですねぇ(笑).
こりゃ,ホントに痛快.ホントにあっぱれです.
文字通りホンットの「他に類例のない独自性」なわけで,こんな面白い本,ほとんど見たないんじゃないか!?.....なんて思ってしまうくらい,楽しいです.
#小三の頃にはじめて,マカロニほうれん荘の第三巻を手にとって読んだ時のような感じですね(笑
....
という当方の私的な感想はさておき,中身に少しだけ触れておきますと,
この本の重要なモチーフは,
「兎に角,日本人は,敗戦に伴う戦前から戦後にかけての『変節』に関して,全く落とし前を付けてない」
ってところだと思います.
で,この問題に何とかけりを付けて,筋を通そうとしたい願望が我々日本人にはあるわけですが,その願望に対して,戦後日本人は,ホント真面目じゃ無い....だから結局,時間が経てば経つほど,その精神にはウジ虫が一杯わいてくることになる....ってことが,この震災ゴジラには,「これでもか,これでもか!」って書かれてるんですね.
まぁ,一番最近の例で言うと,NHKの「八重の桜」です.
会津が滅ぼされる前の話と,滅ぼされた後の明治維新の話では,「えっ?これ,おんなじ話か?あん時の屈辱,どうやって落とし前つけんだ?」って程に「変節」してしまって,その後がグズグズになってくる....ってのと同じ構造ですよね.
(#会津が滅ぼされるまで必死で見ていた我が家族は,なんだか負けた後,ドラマの中の台詞がなんだか皆メチャクチャになってきたので,だんだん見る気が失せてしまって,結局,誰も見なくなってしまったのでありました...が,そんな事ばっかやってたら,「震災ゴジラ」な本なんて,書けないっすよね 笑)
(#さらにちなみに,当方が一番好きな物語は,「太平記」ですが,これもまた,同じような話ですよね.どうやら当方の精神は,10歳くらいから兎に角,歴史の中にある変節を見いだしては,それにどうやって筋を通せるか........ってのを考え続けてきたんだなぁ....と改めて思いました.
が,それって,昔の日本人は皆やってて,だから,楠木正成も,西郷隆盛も,白虎隊も,英雄になってるんですよね.だからそれって,ものすごーくふつーーーーの話なわけです.まぁ,今となっては,ほとんどそんなの,見聞きしなくなりましたがね....ったくもう...)
なんて,余談が増えてしまいましたが,まずは是非,皆さんもお手にとって,お読みになって下さい!
マンガみたいに,はまる人はメチャはまると思いますよ.
で,読めば読むほど,「進む意志を嗤う豚よりは,死せる餓狼の自由を!」と思うようになって,精神も一身も「強靭化」され,これがベストセラーになれば,ニッポン一国が「強靭化」される!.....かどうかは皆様のご判断にお任せしますが(笑),兎に角,「震災ゴジラ」是非,よろしく御願いします!!
PS
この本,いろんな側面がつまってますから,必ずしも最初から読まなくても,気になった章からお読み頂いても,大丈夫だと思います.例えば,以前「正論」で公表された「1章」あたりから読まれると,分かりやすいかも.
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【藤井聡】「震災ゴジラ」をよろしく!への2件のコメント
2013年11月27日 4:22 PM
『昔の日本人は皆やってて,だから,楠木正成も,西郷隆盛も,白虎隊も,英雄になってるんですよね.だからそれって,ものすごーくふつーーーーの話なわけです.』先生の仰る通りです。先生の今の状況と重なるのでしょうか、これ等の歴史上の方は周りの優柔不断、先を見据えた危機管理の無さに命を奪われましたが、志に自身と一族の生涯を懸けられた方々です。その名は永遠に日本の歴史に残ります。残さなければならない方々です。命を懸け一族郎党が悉く己の活きる生まれ来る(何が為にこの世に生まれて来たのかを真剣に悩み生まれて来た役割に生涯を御掛けに成られた方々ばかりです。)そして驚くべきは楠正行公、白虎隊は十代前半で今の中学生の年代です。正成公、西郷公は周辺取り巻きの欲望と頑迷な愚かさの無責任、無能に殺されたようなものです。先生も無責任な周りには十分気を付けられて天命に邁進なされて下さい。(少し仰々しいですが)(私の経験上、威勢の良かった廻りが蜘蛛の子を散らすように居なくなります)生きる哲学より処世術だそうです。道徳心は損得に勝てないらしいです。公でさえ損得です(私が若い頃は公のテレビ放送で違法な私設博打パチンコの宣伝やサラ金のコマーシャル等は道徳心から自粛して絶対に禁止でした)神戸の地震より地震災害、土砂水害の度に安全の為の強度増強、消防、インフラ設備、心構え、首都分散、が騒がれるのに何時の間にかに消極的になる。首都直下地震も数年単位の予測が有るのに今も首都圏は人口増加が続いているし、政府の政策も無い。 観念する事も出来ないのに一番大事な心構えや最悪への備え。危機管理が真っ先に無くなるのは戦後の悪癖か人間の愚かさでしょうか。 それとも我が身だけを案じる為政者、公人が多すぎるのでしょうか。12月2日を楽しみにしております。
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2013年11月28日 12:58 PM
>会津が滅ぼされるまで必死で見ていた我が家族は,なんだか負けた後,ドラマの中の台詞がなんだか皆メチャクチャになってきたので,だんだん見る気が失せてしまって,結局,誰も見なくなってしまったのでありました実は八重の桜に関しては全く同じように感じました。どうも最近の大河ドラマには非常にステレオタイプのプロパガンダを感じずにはいられないのですが・・・。なんだか会津を、ふるさとを守るために戦う前半は後半で否定するためにわざわざこしらえた装置のようにすら見えてしまいました。まあこちらも穿った見方をし過ぎてるのかもしれないですが。震災ゴジラも含め読んでみたい本はたくさん有るのですがなかなか追いつきません。
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