From 三橋貴明
【今週のNewsピックアップ】
日本国の脆弱化を阻止せよ!
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11709962244.html
国土強靭化を阻む三つの壁(前編)
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11710498759.html
現在、自民党・公明党の「国土強靭化のための防災減災基本法案」が審議されており、今国会で通過する予定になっています。(26日に衆議院で採決されます)
ちなみに、どうでもいい話ですが、本法案の「名称」に民主党が反対し、独自に「国民生活強靭化基本法」を出してきました(中身は自公案とほぼ同じ)。民主党はとにかく「国土強靭化」という文言が嫌だったようで(理由は分かりません)、執拗に「国土強靭化」という文言を削除するように求めてきました。当たり前ですが、自公両党は意味不明な民主の要求を拒否し、衆院災害対策特別委員会では自公案が賛成多数で可決されました。
さて、現在の日本では土建産業の弱体化という問題が顕在化しています。加えて、土建産業は人件費の急騰、資材価格の上昇という内部的な問題を抱えており、コストが上昇しています。
しかも、例により財務省が財政均衡主義を貫いているため、公共事業の調達価格がなかなか引き上げられません(一応、上がってはいるのですが、追い付いていません)。結果的に、行政側が、例えば復興の公共調達を実施した際に、業者側の応札価格と調達価格が大きく開いてしまい、応札不調(誰も落札しない)の事例が相次いでいます。わたくしが仙台で確認したところ、
「人件費と資材価格が上昇した結果、7000万円で受注しなければ黒字化しない案件の調達価格が5000万円」
といった感じだそうでございます。
というわけで、現在の土建産業の問題を解決するためには、とにもかくにも財務省の財政均衡主義を打破し、公共事業に十分な予算を講じる必要があるのです。財源はもちろん、建設国債発行と日銀の通貨発行(国債買取)で構いません。
加えて、十分に利益が出る公共調達を実施すると同時に、政府は土建産業に「供給能力強化」を求める必要があります。すなわち、土建産業に設備投資や人材投資を実施し、自らの供給能力を拡大してもらうわけです。
そのためには、長期予算のコミットメントが必要になります。政府が長期の需要をコミットすることで、土建産業の投資意欲を喚起しなければならないのです。
さもなければ、我が国の土建産業の供給能力は毀損する一方で(現在も続いています)、いずれは公共調達どころか、民間需要すら満たせない状況にまで落ち込んでしまうでしょう。
先日、自民党の有力者たちが安倍総理大臣や麻生財務大臣に、
「国民の安全・安心確保や地域経済の持続的発展を図るために、今後5〜10年を対象とした公共事業の中期計画を立案し、国民に示すこと」
等を求めたことが報道されました。まさに5〜10年(できれば10年)の中期計画により、政府は土建産業に「投資に対する安心感」を持たせる必要があるのです。さもなければ、繰り返しになりますが、日本の土建産業の供給能力はひたすら削られていき、いずれは民需にも応えられない状況に陥るでしょう。すなわち、日本の発展途上国化です。
日本の発展途上国化を食い止めるには、当たり前のことを淡々とやるしかないのです。ところが、世の中には、それが面倒なのか、
「土建産業の供給能力が足りないなら、公共事業はできない」
「土建産業の供給能力が足りないなら、外国に供給してもらえばいい」
などと、三橋から見ると「思考停止」としか思えない「シンプルな案」を主張する人が後を絶ちません。彼らは、要するに「考えるのが面倒くせ〜」という話なのでしょうが、面倒くさいならばせめて黙っていて欲しいと思うわけです。
世の中は「面倒だから、ルール化」「面倒だから、自由化」「面倒だから、やらない」といった単純な発想で渡っていけるほど、甘いものではないのです。
PS
財政均衡主義を“利用”した新しい利権ビジネスの正体とは?
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index.php
PPS
月刊三橋最新号では、安倍政権の成長戦略と新自由主義を徹底検証しています。
【三橋貴明】日本再建を阻む3つの壁への1件のコメント
2013年11月26日 12:43 PM
今、三橋さんや藤井さんを批判しているのは、要するに「1)長期的に多くの国民が幅広く生活上での有形無形の恩恵を受け、そのために働いた人がまっとうな報酬を受け取れる投資」を否定して「2)ごく一部の国民と外国人が制度を操作しただけで、短期的に労せずして巨益を得る投資」を推進したい勢力、という図式が明らかになりつつあります。すでに規制緩和とグローバル化実験を経験した国家が複数あり、それらを検証すれば後者の実例が山ほどありますから、今さら説明する必要もないほどなのに、なぜか日本のマスメディアではまったく扱われないテーマ。この2)勢力はなにしろ、今現在の世界で最後に残された「無垢の美味しい巨大市場」である日本で、目の前にある利益を確保しようとやっきになっているのでしょう。それを防止しようと頑張っている人達の人気を下げるべく、誹謗中傷するレッテル張りコメント(英国ではSmear Campaignと呼ばれるリッパな政治手法)を活発化していることはYoutubeのコメント欄を見れば顕著です。彼らは自己利益のために三橋さんたちを疲弊させようとして活動している確信犯ですから、彼らに理を説いて説得しようとしても無駄でしょう。けれども、今はまだ大きな声を上げるにはいたらなくとも、災害や外交問題など日本が直面している様々な問題を目の当たりにして、多くの日本人は長〜い平和ボケ状態から覚醒しつつあります。今まで当たり前のこととして刷り込まれてきた固定概念に疑問を覚え、新しい答えを探している国民は増え続けているのではないでしょうか。私もその一人。こういう私たちにとって、既存の権威、硬直したイデオロギー、保身に捕らわれず、真直ぐな愛国心、軽やかな知性、客観的なデータに基づいた三橋さんの提言は、以前は手に入れたくてもなかなか見つからなかった「ありがたい地図」のようなもの、あるいは、曇ってよく見えなかったメガネをきれいに拭き取ってくれる「高性能メガネ拭き」とも言えましょう。新しい地図を持ち、きれいに見えるメガネを手に入れてどこを目指すかは、私たち一人ひとりが真剣に考えるべきテーマ、です。
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