政治

日本経済

2022年3月16日

【藤井聡】最新統計で明らかになった日本経済の激しい疲弊――これは岸田総理による「人災」である。

From 藤井聡@京都大学大学院教授

3月9日に、内閣府から、最新のGDP統計が公表されました。
公表されたのは、昨年の10月から12月の2021年第4四半期。

この期間は、比較的コロナ感染症の感染者数が抑制されており、全国の新規感染者数がほぼ「ゼロ」の状況が続いていたため、時短も自粛もなく、人々は比較的自由な暮らしを取り戻し始めていた時期でした。

実際、Googleのモビリティデータによると、昨年の1月から9月までは、平常時に比べて人々の活動はおおよそ「30%」縮小していたのですが、10月~12月においては、その縮小率は15%程度。つまり、昨年の10月~12月においては、人々の「自粛」の水準が「半分」程度にまで縮小していたのです。

したがって、GDPは幾分回復しているかも、と淡い期待を寄せていたのですが……公表データによれば、以下のグラフからも一目瞭然となる様に、その回復幅は僅かなもので、日本経済はコロナショックから全く立ち直っておらず、低迷し続けている様子が明らかとなりました。


https://twitter.com/SF_SatoshiFujii/status/1503016177383383040/photo/1

ご覧の様に、2019年の10%消費税増税によって経済が激しく冷え込んだ状況にあった一昨年の前半期、「未知」のウイルスであるコロナが日本に上陸し、日本中が「パニック」に陥ってしまい(今から思えばほとんど感染が広がっていない状況であったにも拘わらず)、人々は極めて激しく自粛する事態となりました。その結果、経済が強烈に冷え込み、GDPが年率50兆円も下落するという未曾有の事態となりました。

異様なパニックはその後一定収まりを見せたのですが、それでも度々コロナは感染拡大し、その度にまん防や緊急事態宣言が繰り返され、GDPが年率で20~25兆円程度冷え込んだ状況が継続してきたのです。

そんな中、上述の様にようやく昨年の後半、コロナがほぼ収束した状況が2~3ヶ月継続し、人々が移動の自由を取り戻し始めていたのですが、それにも拘わらず事態は何ら抜本的には改善せず、結局は、22兆円も冷え込んだままの状態になっているのです。

その間、菅政権、岸田政権は、「過去最大規模」だとか「世界最大級」だとか言う「大型経済対策」の予算を通したのですが、結局はコロナショックを終わらせる様なものではなかったのです。

それもこれも、管政権、岸田政権はこれだけコロナショックで不況が続くのに、「プライマリー・バランス黒字化目標」なるものを「堅持」し続け、組んだ予算を速やかに執行することを躊躇い続ける、という、一言でいって「ケチ」極まりない財政運営を続けてきたからに他なりません。

しかもその間、石油価格は高騰を続け、日本経済はますますダメージを受ける状況が生じたにも拘わらず、そのための抜本的な対策(いわゆる、ガソリン税における暫定税の停止、あるいはそのためのトリガー条項の発動)を、岸田総理はやろうとはしませんでした。

そうこうしている内に、ロシア・ウクライナ危機が勃発、エネルギー全般の輸入価格が高騰する事態となると共に、小麦を始めとした食料品の輸入価格も高騰し始めました。

まさに我が国経済は、

第一に、10%消費増税
第二に、コロナ禍による度重なる自粛・時短要請、そして
第三に、ロシア・ウクライナ危機によるエネルギー・食料品の高騰

という三重苦に苦しめられる事になったのです。

ことここに至れば、消費税の減税、あるいは、凍結をするくらいの抜本的な対策をやらなければ日本経済はますます疲弊し、国民の困窮を救い出すことなどできない状況なのですが、そんな声は、岸田政権からは一切聞こえてきません。

それどころか岸田総理は上述のように、ガソリン税の暫定税率の停止の議論すら始めてはいないのです。

補償金についても、留学生は国の宝だ、なぞと言って速やかに給付金を支出することを決定する一方で、学生以外の一般の国民への給付金の議論は全く進んでいません。

こうして菅政権、岸田政権が抜本的な経済対策の実施を躊躇し続けている間に、諸外国はアメリカ、EUを始めとして文字通りの超大型の経済対策を敢行し、各国経済は勢いよく成長し始める状況に至っています。何と言っても、金融「引き締め」が行われる事態にまで、彼等は回復しているのです。

さらにあろうことか岸田総理は、政府が国債を出し続けたり、消費減税を行ったりすれば、さらには日銀が国債を大量に買い続けるだけでも、国債の「信認」が傷付き、国債は暴落してしまう、だから、財政政策も金融政策も、緊縮的、引き締め的にやらねばならない……という持論を喧伝しまくってきた高田創氏というエコノミストを、日銀の審議委員に選定してしまいました。

金融政策よりも財政政策の方がより重要であるとしても、この人事は、財政政策をサポートするどころか邪魔立てするものであり、日本経済の未来をますます暗いものにする他無い人事です。

※詳しくはこちらを御参照下さい。https://foomii.com/00178/2022031513513892165

ここ半年間の岸田総理の差配をみて改めて感ずるのは、この方は、どこまで経済政策についてトンチンカンな判断ばかり下してしまうのだろうか……という印象です。

総裁選の折には、「所得を倍増する」だの、「危機の時にはPB等考えず、積極財政を展開する」だの、「新自由主義から転換する」だのと威勢の良い事をあれこれ口にしていたのに、いざ総理の座に就いてしまえば、財務省やその取り巻きの話に耳を傾け続けるばかりで、結局何もせず、今日を迎えてしまっているのです。

そしてその結果が、今回のGDPの激しい冷え込みなわけです。

岸田政権の各位には、しっかり国民経済の実情をご認識いただき、適切な経済政策を展開されんことを、心から祈念したいと思います。

もしそれが出来ないというのなら、緊縮思想の政治家達にご退場いただき、積極財政の政治家達、とりわけ「消費税減税・凍結」を主張する政治家達にさらに活躍いただく結果を、国民の力で本年の参議院選挙を通して実現させていかなければなりません。

そのためにもまずは、現状の日本経済の深刻な状況、とりわけ、現政権の経済政策についての「不作為」の罪の実情をしっかりとご認識いただきたいと思います。

追伸:岸田総理の経済思想のまずさが浮き彫りになった日銀新議員人事。この問題は、相当に深刻な問題です……是非、ご一読下さい。
『岸田総理が選定した新・日銀審議委員「高田創」氏は、「日本経済に悪夢」をもたらす。』

https://foomii.com/00178/2022031513513892165

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【藤井聡】最新統計で明らかになった日本経済の激しい疲弊――これは岸田総理による「人災」である。への3件のコメント

  1. 失敗国家 より

    宏池会なんぞ 所詮は

    大蔵 財務官僚の 吹き溜まり

    総裁選挙前に 岸田某の 言ってた
    戯言を 真に受ける方が

    アホ かと。。。

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  2. この世は既にあの世 より

    GDPも改竄されている恐れがあり100%信用出来ませんし、問題は政権が「わざとやっているのか?」か「実態が分からなくてやっているか?」だと思います。

    後者なら分からせる為に既得権益を破壊して貧乏にして分からせるしか方法はないでしょう。

    前者なら売国奴です。権力維持、献金してくれる利権政治をやっているから退場させないとなりません。

    どっちにしろ自民党では消費税をいじる事は無理ですね。

    消費税増税を2回したのは安倍であり、安倍を自民党が否定出来るか?というと疑問です。

    また日本国民も分かってないですからまだまだ貧乏になる必要がありそうですが、そうすると若者や女性、子供から死にます。

    コロナ自粛による女性の自殺者数は高止まりですが、コロナ脳は卑怯者の為に恐らくこの件には触れないでしょう。自分さえ良ければいいととっくに見抜かれてるのにまだコロナ、コロナ言って馬鹿そのもの。コロナ脳のテメェが勝手に自粛すればいいのに「変異種がー」「老人は死んでもいいっいうのかー」ですから。老人守って経済破壊し、女性を自殺させ、政権維持の為に老人に給付金ですからふざけんな!って感じでしょう。

    老人は老人で「金もらえるなら緊急事態宣言も自粛も悪くないなあ」という馬鹿がいて虫唾が走る思いです。コロナ脳の高齢者など気楽なもんです。

    終わってます。安倍も10年やって何か結果出してればアレですが。かと言って野党は原発反対、核武装反対ですし。でも自民党を選んでも原発はそのまま、核武装はせず、ですから同じなんですよね。何もしやしない。利権に金流すだけで政治家はただ飯食ってるだけ。

    国民はテレビ報道に影響されて「ウクライナ国民可哀想」「ウクライナに寄付を」「戦争反対!」ですから。ジャップは自分の国のことを考えろ。いい加減にしろと思います。三木谷も「ウクライナに寄付ちまちた」と偽善ぶって、

    ただの親米保守の芸人の桜井よしこが偉そうに「おほほほほ、ザマスよザマス、ウクライナを応援し戦うザマスよ、おほほ」だし有本香とかビジウヨは相変わらず馬鹿ばかり。

    結局選択肢がなくて個人主義に走るしかなくなるわけです。

    三橋さん失業率ってハローワークに登録してる人だけでしょう?実際はもっと多いはずでスタグフと言えないならデフレ脱却とも本質を見失うわけで言えないと思います。だって「デフレだったからインフレでいいんだ」と単純に考えると思います。コストって人権費も含まれますよね。コスト、つまり人件費を上げるインフレはダメなインフレでしょうか?コストが上がるからインフレになるのでは?

    恐らく自民公明が勝つと参議院議員選挙後は増税確定ですね。いくら言ってもダメなヤツはダメです。落選させないと何も反省なんかしません。支持率まだ50%ありますから。これでいいんだとなりますね。

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  3. 大和魂 より

    ここでも国際社会各地の風景と同じく、狡猾な資本家たちから指令を受けた下劣な物欲単細胞共産主義者【さまざまなスパイ】たちから覗かれてるわけだし我々各自も次の手の備えでもするべき状況じゃないですかね?

    そもそも腐敗まみれの近現代史から紐解くと、ロンドンシティのブリカスとウォール街のダメリカの二つの拠点による支配構造なんだから武漢もワクチンもウクライナもロシアも国際社会の人々を惑わす口実に過ぎないと私は現状を解釈しているところです。

    なので藤井先生も痛い目に遭遇され身に覚えのあるフランス革命だとか哲学などを持ち出しながらも、実際には【今だけ金だけ自分だけ】を体現しているメディア関係者と同じ構造とリンクしている共産党物欲関係者の下劣な欺瞞と、それに乗っかてシレーッとヨイショして保守気取りで商売してるカスの高学歴者や学術会議の面子を含めた輩たちの共演に我々は先ずは気づくべきで、それを待ち構え漁夫の利の指令を受けているリベラル勢力の奴等も存在してますから、その後から岸田政権は叩くべきなんですよ。

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