「新」経世済民新聞

From 室伏謙一＠政策コンサルタント/室伏政策研究室代表

　本日で臨時国会も閉会、年内に残る政府の重要任務は来年度予算、令和４年度予算の政府案の決定、そして、補正予算をできる限り速やかに執行して困窮する国民や事業者を救うこと、いざという時に備えて新型コロナ対策を充実強化することですね。

　その一方で、岸田政権の重要政策会議、すなわち新しい資本主義実現会議、デジタル田園都市国家構想実現会議及びデジタル臨時行政調査会は、本稿執筆段階で確認した限りでは動きが鈍いようです。無論事務方は着々と作業を進めているのでしょうけれど、これまでの重要政策会議が活発に動いていたのと比べると、少々不活発のようにも見えます。勿論、これまでの重要政策会議と言えばろくなものがなかったので、その点では活発に動かない方がいいのかもしれませんが。

　さて、こうした重要政策会議には、「新自由主義からの転換」というスローガンとは裏腹に、新自由主義者がしっかりたっぷり入っています。したがって、まだ検討は始まったばかりとはとは言え、このスローガンは既に空文と化しつつあると言っていいでしょう。それでもまだ、本当に日本のことを考えているのであればまだマシです。（勿論、新自由主義政策は日本を衰退させはしても成長・発展はさせませんからダメなものはダメですが。）

　しかし、こうした会議の新自由主義構成員らの発言や資料を読んでいて、最近思っているのは、彼ら彼女らは、日本のことなんて少しも考えていないのではないかということ。別の言い方をすれば、「日本のため」、「これからの日本」のために提言したり発言したりしているわけではないということです。（断定的に書きました、どう考えてもそうとしてか思えません。）

　では何のために彼らはそうした会議の構成員となり、活動をしているかと言えば、日本が衰退してくことを所与のこととして、更に、完全に衰退する前に、取れるものを取っておこう、自分たちに都合がいいように政策を動かして、儲けておこう、得をしておこう、そうした目的のためなのではないか、私はそう思っています。

　だからこそ、日本のことを考えて反論しても、日本のことはどうでもよく、自分たちが儲けること、得することしか考えていない彼ら彼女らとは議論が噛み合わないというか議論が成り立たないのでしょう。

　そうであれば、なんと身勝手な、不謹慎な、下劣な、まさに非国民と呼ぶにふさわしい行為ですが、そうした意識を醸成したのは、この数十年この国で平然と行われてきた構造改革であり、緊縮財政であり、子供たちを短期主義に、なんでも金銭換算するという思考に追い込んできた教育であり、それを吹聴して憚らなかったメディアです。

　是非こうした、少なくとも問題意識を皆さんには持っていただいて、広めていっていただければと思います。