政治

日本経済

2021年7月6日

【室伏謙一】都議選の結果から今後の日本の政治の行方を考える

From 室伏謙一@政策コンサルタント/室伏政策研究室代表

 一昨日、7月4日に投開票が行われた東京都議会、事前の予想に反して、小池与党である都民ファーストの会が31議席を獲得、一方圧勝が予想されていた自民党が33議席と、議会第1党に返り咲いたとは言え、全議席を守った公明党と合わせても過半数には届かず、その分立憲民主が躍進し、共産が議席を増やすという結果となりました。

 もっとも、今回の都議選の投票率はと言えば、42.39%と過去二番目に低い値となりました。

 とまあこの程度であれば報道ベースで分かる話なので、私なりに今回の選挙結果を分析してみたいと思います。

 まず、低い投票率、巷ではコロナだなんだと言われていますが、私から言わせれば、一般的に受け入れられやすい言い訳であって、本当の理由は他にあると思います。それは何かと言えば、大手メディアを中心に、都議選についてほとんど報道しなかったこと。連日連夜コロナの恐怖を煽る一方、肝腎要な情報は伝えないという、大手メディアの悪癖がここでも出て、都民の行動を誤らせたと言ってしまっていいでしょう。前回の都議選の際は、小池知事の一挙一動を毎日報道していたというのに、です。

 これは偏向報道というより、単に大手メディアがその役割を果たしていないということ。来るべき衆院選でも同じようなことをしかねないですね。この際、役割を忘れたメディアを徹底的に批判しておくべきでしょう。

 さて、その結果投票率が著しく低くなったわけですが、投票率が低くなって起こりうるのは、組織票が効く候補が当選する確率が高くなるということ。実際、組織票と言えばの公明党が全勝しています。投票率が特に低い選挙区で1位当選していたりしますから、なおのことそう言えそうです。

 では、都民ファーストが、当初一桁台まで減らすと予想されながら、蓋を開けてみたらそこまで減らなかったこともその影響と言えるかと考えると、都ファと言っても、元々他党議員からの鞍替えが多いですし、その点では元々組織票を持っている議員も少なくありませんから、組織票が効いたという点はあるでしょう。しかしそれだけで31議席も獲得するのは難しいでしょう。となると何が影響したのかと考えると、もちろんその一つには小池知事が選挙戦最終日に演説なしの激励という形でいくつかの選挙区に入ったこともあるでしょうけれど、やはり自民党に対する反対や嫌悪、特に迷走する菅政権に対する批判票が都ファに向かったと考えるのが妥当ではないかと思います。

 もっとも、なぜそれが立民や共産、国民民ではなく都ファかと考えると、やはりこれら野党が批判表の受け皿としての存在感をまだまだ示しきれていないからではないかと思います。特に、野党第一党の立民は、特に経済政策では迷走気味。菅内閣不信任案の趣旨説明では消費税減税を言ったのに、その直後にそれを否定したり、いまだに緊縮・財政再建にこだわりまくる勢力が党内で存在感を示していたりと、結局どこを向いて政治をしているのか、活動しているのか分かりませんよね。

 現在の日本の政治における焦眉の課題は新型コロナ対策と経済対策であり、特に後者においては、一刻も早い事業者に対する粗利補償、そして国民負担の大幅軽減につながる消費税の凍結か、最低でも5%への減税です。これらをセットで実施しなければいけません。粗利補償の名目は総合給付金でも持続化給付金の拡充でもなんでもいいです。

 日本に財源問題はありません。税は財源ではありません。増税は貨幣を国民経済からより多く消滅させる行為です。この基本原則を頭に叩き込んで、経済政策を打ち出さない限り、衆院選でも立民は反自民の受け皿にはなりえないでしょうね。

 もっとも、立民の中では、原口一博議員らによる日本の未来を創る勉強会や、江田憲司議員をトップに、落合貴之議員が事務局長を務める党内の経済政策部会が、反緊縮、反増税の実現に向けた活動をし、提言等も出しています。

 反自民票としての地位を確固たるものにし、反緊縮、反増税を衆院選の争点、イシューにまで高めていくためには、まずはこうした野党の良識派のグループの活動を応援し、存在感を高めてもらうようにしていくことですね。

 今回の都議選、そんな教訓を残してくれたと思いますが、ちゃんと認識されているのでしょうか・・・今回の選挙結果程度で気を良くしていると、時代遅れだが一瞬耳障りのいい、「敵」を仕立てて攻撃し、そこの予算を削ったり、売却したりして、別のところにつけるというトンデモ勢力、実はこうした点は東西同じなんですが(しかも西は黄緑色、東は緑ですし!)、そうした勢力に食われて、日本は破滅のどん底に放り込まれることになりかねませんよ・・・

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【室伏謙一】都議選の結果から今後の日本の政治の行方を考えるへの5件のコメント

  1. たかゆき より

    「耳障りのいい」

    ですか、、、

    もしかして 皮肉 ですか、、

    小生にとっては あいつらの 言すべてが
    癇に障ります 右も左も

    政権を握ったら 前言を翻す

    それが この国の 政治家

    その程度の 輩共 かと。。。

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  2. 松下幸之助翁いわく より

    「国民が政治を嘲笑しているあいだは嘲笑いに値する政治しか行なわれない」

    「民主主義国家においては、国民はその程度に応じた政府しかもちえない」

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  3. 大和魂 より

    都議会議員選挙の裏側では、高岡市長選挙が行われていたのですが私はむしろこちら側の選挙に違和感を覚えていて、私の独断と偏見になりますが近年全国各地で着々と進行されている、情弱青二才傀儡首長繁殖計画が実行されていると踏んでいるのです。

    これは昨年の千葉県知事選挙や先頃に行われた名古屋市長選挙と同じ香りがしており、昨年の都知事選挙や今回の都議会議員選挙にも、反映されている通り国を売る側とすれば非常に利に適っていることです。

    つまり昨今での政官財関係者は財務省様やメディア関係者様の言いなりの従順な僕でありながら一方では公僕というオチで、連日各地で展開されているエンターテイメントばりの虚勢を張ったパフォーマンスも、もはや三流政治を示すとおり、小池劇場も竹中平蔵座長率いる間抜け弁護士や国際政治漫談家の三浦女史の十八番を引用すれば、改革推進者こそが中身がないわけで、中身がないから改革と称して軽薄なパフォーマンスに固執しているのです。

    ちなみに下村博文のヤルヤル給付金虚勢パフォーマンスに与野党双方の関係者ともダンマリなのは、財務省関係者様とメディア関係者様とのグルを容易に示す証明ですよ!

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  4. 共産党の方がよほど国民目線で国家観がある より

    室伏氏の言う通りだ。

    投票に行かない人たちがゆるゆると自公を勝たせ、投票に行かない人たちが期待出来ない政治家と期待できない政治の安定的継続を許してきた。

    ところが今回は、組織票が即ものをいう超低投票率であったにもかかわらず、自民と全員当選の公明を足しても過半に達しなかった。思ったより基礎を深く打たないと安定基盤に届かないことがわかったのだ。これで五輪開催を強行するつもりだろうか。

    旧帝国陸海軍が復活できなかったのはGHQのせいばかりだろうか。自民党が哀惜のなかで語り継がれるだけの存在にならないと言い切れるだろうか。自分が自民関係者だったら肝炎さながら未だに吐き気が止まらないと思う。

    立民は船出以降も政治運動家気分が抜け切れず、社会運動貴族と労働貴族の両方に愛想をふりまくことに執心し続けた。

    そのため同性評からして芳しからぬ女性議員を表に立たせる無芸一辺倒で世間に旧套な印象を与え、彼女らを中心に自公に吠えてみせる以外に敢然たる行動を取らず、野田以来の足枷であり労働貴族への遠慮から消費税問題にまったく踏み込めず、口先以外で弱者の目線に立つこともなく、畢竟本来支持に回ってよいはずの層がみるみる逸走した。政党支持率にそれが表れている。

    しかも、選挙を何度も経て煮え湯を飲まなければ、あのコチコチ共産党が非常なる決断を以って差し出した手の意味が理解できなかった、というのも驚きだ。こんな戦略なき愚鈍ぶりでよくもこれまで市民目線などと言えたものだ。

    今回、野党共闘が有効に作用することが明白になり、これで立民もいよいよ国政選挙に向けて少しは賢くなったはず(と思いたいが)。産経グループあたりは節操がないと共闘を牽制するだろうが、節操を失っているのは自民党であり、メディアの矜持すらかなぐり捨て党機関紙に成り下がった産経グループだ。

    安倍の口ぶりを真似れば「こんな」ものに惑わされることなく、ご皇室を口にしながらその実蔑ろにし法治をも蔑ろにする自民党よりも万倍勇敢で確固たる国家観をもつ共産党の、国民保護の大姿勢こそ政治家の使命と思召して、堂々と連帯し共闘して来たる選挙に臨んでもらいたい。

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