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日本経済

2021年5月11日

【室伏謙一】「オフィス改革」は共同体を破壊する

From 室伏謙一@政策コンサルタント/室伏政策研究室代表

 新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、テレワークの推進が叫ばれて久しいですが、既にご承知のとおり、テレワークというものは、まあ最近ではリモートワークというおかしな言葉に変えられてしまっていることが多いですが、誰でも、どんな業種でもできるわけではなく、普及率は頭打ちの状態のようです。

 それにも関わらず、新型コロナ対応を担当する西村大臣はとにかく、半ば強制的にでもテレワークを推進したいようで、特に大企業には実施状況の開示まで求めていくようです。ここまで来ると何のためのテレワークなのか訳が分からなくなりますね。

 さて、テレワークと並んでというか、それ以前から進められてきたのが、「オフィス改革」。まあ「改革」と言ってもオフィスに関する制度を改めるといった類の話ではなく、オフィスの在り方を、従来型の一人一席の固定席で、部署ごとに「島」を作り、席順は役職によるといったものから、新しい形式に変えていこうというもの。具体的には、フリーアドレスで自由席、紙資料等は皆同じ大きさのロッカーに入る分だけ、PCもそこにしまう、常に全員がオフィスに来るわけではないことを前提に座席は社員全員分は用意しない、といったもので、IT企業や外資系、コンサルティング会社を皮切りに導入が進み、総務省でも大臣官房企画課での実証実験を経て、既に導入された部局もあります。

 とは言っても役所の場合は、企画官や調査官等の課長級分掌職以下がフリーアドレス自由席で、課長級以上は固定席ということのようで、加えて、結局同じ部署の人間は固まって仕事をしているようです。ちなみに、総務省行政評価局の場合、担当する評価業務、評価監視業務によって班の構成人員が変わるため、頻繁に席替えをしていました。確かかく言う私も、調査立上げ→班員増員→班長と2度ほど席替えをしました。

 コンサルティング会社の場合も同様で、私の経験で言えば、フリーアドレスで固定席なし、固定的なのはロッカーのみですが、プロジェクトごとに固まるので、結局各セクター(部門)は同じところに集まり、事実上固定席のような状態。一方で各セクターを率いる経営層であるパートナーは個室といった運用でした。

 なぜこうした話を、しかも「新経世済民新聞」で書いてきたのかと言えば、固定席をなくして自由席にし、しかも社員全員分座席を設けない「オフィス改革」と言うものがもたらすものは何なのか、冷静に検証する必要があると考えたからです。

 先ほど従来型のオフィスでは部署ごとに「島」を作ると書きました。これはほとんどの読者の方が経験されているのではないかと思います。この「島」という物理的な空間に身を置き、一定の期間そこで仕事をし、同僚や上司達と議論し、交流することで、仲間意識や一体感、そして組織への帰属意識が生まれていっていると思います。「うちの課」とか、「うちの◯◯」と自然に口から出てくるのがその一つの表れでしょうし、その部署から異動した後も、元部課員で集まって飲み会をしたなんて経験をされた方も多いのではないでしょうか。(勿論嫌な上司や嫌な部下がいることもあり得ますから、必ずしも全員でとはならないかもしれませんが・・・)

 しかしこれが完全に自由席となったらどうでしょう。一人で集中して仕事をするには効率がいいのかもしれませんが、急に集まって議論したり、仕事の合間に無駄話をして息抜きをしたり、そうした会話の中から着想を得たり、そうしたことは難しくなります。そうして日常的に経験や時間、物理的な空間を共有することがなくなっていけば、同じ部署だ、同じ会社だという意識も希薄になっていくでしょう。

 しかし同じような話をどこかで聞いたことがありませんか?そう、David Goodhartの ‘The Road to Somewhere’ に出てくるAnywheresとSomewheresの対立の話です。前者がフリーアドレス自由席の世界でそれを謳歌する人たち、後者が従来型の「島」で同じ部署の同僚達と一緒に仕事をする人たち、と言えば分かるでしょう。

 少々長くなってきたので、結論を急ぎますが、「新しい働き方だ!」、「フリーアドレス自由席で仕事の効率も上がる!生産性も上がる!」と素晴らしいことのように喧伝される「オフィス改革」は、実は中長期的な人間関係を築き、それに基づいて安定的に仕事をしていく、研究開発や検討をしていくということを難しくし、ひいては日本全体としての発展や成長を阻害することにつながるのではないかということなのです。

 そして、会社(あえて企業とは呼びません)はこれまで日本における重要な社会的な共同体の一つでした。それが90年代後半から本格的に始まった構造改革により徐々に破壊され、金融投機の対象、投機家のオモチャに作り替えられていったわけですが、「オフィス改革」を進めることによって、大企業でさえもそのような地位に貶めようとしている、そのようにしか私には思えないのです。

 極端に聞こえるかもしれませんが、テレワークの推進の裏には残業代削減という意図があり、副業推進の裏には給与削減という意図があり、ジョブ型雇用推進の裏には社会保障費等も含めた人件費の大幅削減という意図があり、それらは株主配当の増大に繋がっているということを理解すれば、比較的腑に落ちやすいのではないでしょうか。

 しかも菅政権、別名スガキンソン竹中内閣は、金融重視であり、M&A推進を掲げていますから。

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【室伏謙一】「オフィス改革」は共同体を破壊するへの6件のコメント

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  2. たかゆき より

    一匹狼

    もとい 野良犬の小生

    会社にも 社会にも 組織にも嫌悪
    を 催す性格

    所詮 メダカは群れたがる かと、、

    己の 労働環境を 己で 決められないモノ
    それを 飼いならされた奴隷と いう 

    のだ(たぶん)。。。

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  3. この世は既にあの世 より

    ワーケーション、テレワーク、いいじゃないですか。

    それがワクワクしてナウいんでしょうし、隣に誰が住んでいるのか?さえ知らない時代です。

    便所を名誉会長にして便所から経営を学ぶ、平和ボケの馬鹿達は死ななきゃ治らないのです。

    若いボンクラ東大出身の女性でもそういう輩が多いです。金があるのか無いのか、合理的であるのかないのか、要するに美しい湖を見ても水位が高いか低いか、その様な0か1か?程度の印象しか持たない輩が増えましたね。

    ところでまた三橋氏は財務省ですか。

    自民党と大企業を守っても結果は同じこと。

    財務省じゃありません。違いますねぇ。

    自民党です。

    経済界が政治に圧力をかけてるのは丸わかりで、自民党の責任を日本政府と言い換えても一切通用しません。

    財務省が菅をガードしているのではありません。菅は誰がどう見てもアホでしょう。

    自民党や菅を守るそういうのはB層戦略です。

    我々は財務省を直接どうにも出来んのです。

    共同体破壊は誰がしたんですか?日本解体法案に賛成する勉強議員や西田もそうですよね?

    何が口先だけ財政出動がー、と勉強議員が言ってみてもお前ら安倍や菅の改革に賛成して来たやんけ。ちゅう話しなんですよ。

    日本政府じゃありません、自民党です。初歩の初歩でつまづくと、何を言ってみてもそいつの評価は「コイツ馬鹿や」で終わりです。

    そんな奴らは便宜上同胞だとしても、ただそれだけでどうでも良いんですよ。

    一般の人は政府の借金なんか気にしてませんのでね。一応ビジネス上の建前でテレビ新聞の情報を挨拶程度にしてるだけです。

    財政破綻を気にしたって仕方ないじゃないですか。そんなの本気で気にしてる人間に会ったことがありません。

    一般的な人々に主体性は無いし、民主主義は合わないので政治のことは考えて来なかったので、経団連や政治がマスメディアを使い勝手に言って勝手にやってるだけです。

    我々は結果の出ない政治家を落選させ、政権交代させるだけですね。

    極左政党でしかない自民党が与党でないと何か困るんですか?

    困るなら困るで大人としてその理由をハッキリ言った方が良いと思いますよ。子供達がそういう大人達の態度見てますよ。

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  4. 通りすがり より

    マトリックス組織のことですね
    その会社にとって既存の大、中プロジェクトはプロマネを中心に、
    たて系列は、既存の部署、伝承
    横系列で人選しプロジェクトを遂行し、終わったら解散です。
    既存小プロも、同じかな?
    その会社にとっての新分野は、島に集まるかな。

    ところで、[研究開発]が唐突に出てきた感があります。

    いったい、どの層に向けて発信しているのかな?

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  6. 通りすがり より

    4min2021.5.12
    そもそも毎日入浴する必要はあったのか
    そういえば1週間風呂入ってない…パンデミックで人々の「手指だけ」が清潔になっていた

    そうだね。
    全文よめるかな。
    手指と脇の下、洗っています。
    頭はボリボリ掻いています。
    足は2,3日かな。夏は毎日じゃないとな。
    会社ではサンダル推奨。
    髭剃るの忘れて、マスクで隠した。

    宮本武蔵は風呂嫌いだったそうで、臭かったらしいな。

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