政治

日本経済

2021年3月2日

【室伏謙一】粗利補償をしない政権・政府のせいで倒産、破産、廃業が止まらない

From 室伏謙一@政策コンサルタント/室伏政策研究室代表

 私の地元、静岡市でクラフトビール、地ビールの先駆けとなった「アオイビール」を製造し、店舗で提供していたアオイブリューイングが破産手続を開始する方向であるとのニュースが入ってきました。
https://aoibrewing.com/index.html

 地元に帰れば必ずと言っていいほど立ち寄って1杯2杯と飲んでいたお店だけに、地元で人気のお店だっただけに、非常にショックでした。

 破産手続に入る理由は、報道によれば、新型コロナの感染拡大を受けた大幅減収とのこと。ちょうど1年ほど前から、日本の未来を考える勉強会が強く求めていた「失われた粗利の補償」が実現していればこのようなことになっていなかったと思うと、非常に残念であるとともに、補償をしようとせずに、微々たる「協力金」でお茶を濁そうとしていることに憤りを感じます。

 これは一つの事例ですが、東京商工リサーチの最新の情報によると、今年2月の準備中等を含む倒産件数は、負債1000万円以上で122件と、コロナ関連の倒産の月別では最も多くなっており、これまでの累計で1058件となっているとのこと。これには破産や廃業は含まれていないようですので、それらを含めた、倒産、破産、廃業の件数は、かなりの数に上っていると考えられます。それほどまでに日本経済は、地域の社会経済は危機的状況に陥っているのです。

 ところが、「小さい個人店の場合はもらいすぎのところもある!」などと煽る人まで出てきている始末。補償したくない連中には、攻撃・批判をそらせることも手伝って、好都合なのかもしれません。しかも、そうした倒産、破産、廃業するお店についても、「いい店だったのに残念」で終わってしまっている人の方が多いようです。

 確かに負債を肩代わりできるわけでもなく、お客さん、一般市民には、出来ることと言えば、頻繁にそのお店を訪れることぐらいしかないでしょうから、「残念」で終わってしまうのも無理もないこと。

 しかし、実は他にもできることがあります。それは、一般市民のみなさんが「失われた粗利の補償」を求める声を上げて、高めていくこと。それを実現させない政権・政府は「棄民政権・政府」であると断言し、来るべき衆院選挙では「棄民政権党」には一切票は入れないと声を大にして訴えることです。

 もちろん投票の更なる判断基準として、政党を問わず「これまで現実的に粗利補償」を提言し、併せて消費税の廃止や凍結等も求めて来たか否かといったこともありますが、まずは第一の基準、すなわち「失われた粗利の補償の早期実現を求める。それを実現させない、やる気もない政権・政府は棄民政権・政府である。」これを声を大にして主張し、拡散・浸透させていくことです。

 加えて「国の借金が〜」とか「家計に例えると〜」とか、「出口戦略を〜」とか「支出した分をコロナ増税で回収を〜」とかとか、そんなマクロ経済も解しない、貨幣観も間違っており、税金は財源ではなく税収と予算は別物ということも知らない、理解していない主張をしたり顔でしている「言論人」や「主流派経済学者」らが出演している番組等は見ないこと、名前が上がっただけで批判することですね。

 いい加減、黙っているのはやめにしましょう。黙っていたら「奴らは」舐め腐って、本当にこの国を、この国の社会経済をズタズタにしてしまいますよ。

 それと、3月1日に公開された拙稿です。菅政権の中小企業潰し法案について、何が問題なのか解説しました。こちらも併せてお読みいただいて、問題意識を新たにしてください。
https://diamond.jp/articles/-/264052

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【室伏謙一】粗利補償をしない政権・政府のせいで倒産、破産、廃業が止まらないへの3件のコメント

  1. 大和魂 より

    やっぱり私の目論見通りに、醜い野郎たちが社会の動向を利用して、動乱を起こしに掛かり混乱させて何事も無かった、かのように携わった責任の所在を有耶無耶すると明言していたような展開になって参りましたね。

    そしてその内の国内での中小企業潰しも含めたコロナ禍やオリパラなどの背景全ても、国際社会全体が同調しグルになって推移している証左であり、さらには尖閣ヤラセのチャイナに財務省と法務省による合作の森友工作の後出し劇場やゴーン事件の米国人関与等々は【卑劣な腐敗臭】がプンプンし、これマジで人間を食い物した非道の限りで人を貶めるから激怒してのです。

    ちなみに今朝ほども相変わらずメディア王に君臨する、日テレとズブズブの関係にある小林慶一郎が懸命にチャッカリと出ていて印象操作を池上彰の代わりで行っていましたし、先週も朝生で三浦大先生や柴山昌彦やモナ男らが、これからの増税に関係する議論をしていましたね。

    恐らくは総選挙後の政治の展望でしたから結構ヤバイ状況になりつつあるようですよ!

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  2. この世は既にあの世 より

    「粗利補償」という言葉が冷えてた言葉の様に虚しく響くのは何故でしょう。

    お茶を濁して来たのはずっと前からで、コロナ禍以前には、既に共同体が相当に破壊され「粗利補償」は自分には関係の無い分断の言葉か、その場しのぎの不愉快な言葉の様にも思えるからでしょう。

    また例えば、危機にある企業の今時の社員の中には、これといった愛社精神もなくて「出来ればこのまま潰れてくれないかな?そうすれば女房子供に言い訳が立つのに」「安月給」「長時間労働」「会社敷地内全面禁煙」「セクハラ、パワハラ目安箱」「感染対策」…….「建前ばかりはご立派だがもう疲れたよ、何処に転職しても給与は大差無いし、この会社は潰れるなら潰れていい」「このまま死に場所を探すしかないかな」…..その一言が言えたら楽になるのにと感じてる人も多いことでしょう。

    この様な思いが現実に私事であったとしても、次へ行けばいいやと何となく思う自分や社会にまた嫌気がさす。

    現在の共同体は形骸化してます。家族、家庭、終身雇用、故郷、皇国思想、様々ございましたが、相当な破壊の後に残ったのは滅びへの道の行きずりの様な残骸ばかりで、また一つ国内から何かが消えようと、サヨナラがほんのちょっと心にしみるだけ。

    中小零細企業を延命させることは、正しいことなのでしょうが、砂粒の様にされたそれぞれの個にとっては、その正しささえ、いっときの作り笑いが傷口に染みる様にしか見えないに過ぎず、根本的な悲しみが自分や社会から消えることはないのだろうと、心の何処かで感じているのだと思います。

    そんな風に情緒に流され、刹那的に酒をあおり、壊された共同体の中で、死ぬまで自分の道を今日明日と繰り返し生きるという日常を考えた時、粗利補償という様な言葉は私には浮かんでは来ません。

    なので直接的な当事者でない私は、粗利補償を政府に求めることはありません。

    給付や賠償という言葉に違和感はなくても、補償という言葉がやっぱり嫌いでもあります。補償、保障、保証、何故でしょう、嫌いです。

    馬鹿が何年にも渡って活動的に動いて、年がら年中、余計なことをしないでくれれば補償などしてもらわなくて結構!

    とどのつまり、補償じゃなくて賠償しろ!と叫びたい。

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  3. とすくん より

    最近、商業手形を無くす方向で議論が進んでいるというニュースが流れましたが…はっきり言って無茶苦茶困るんですが。資金繰りに窮することは間違いなくなる。これも中小企業淘汰の一環なんでしょうか?

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