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政治

2021年1月8日

【小浜逸郎】米大統領選は民主主義の死をもたらした?

From 小浜逸郎@評論家/国士舘大学客員教授

これを書いているのは、2021年1月7日深夜12時です。
この間、米日主流メディアのひどいフェイクと隠蔽によって、次期米大統領はとっくにバイデンに決まったものと信じて、それをさしたる危機感もなく受け入れてきた人がたくさんいるようですが、事態はまったく違います。

2020年11月3日の大統領選挙から今日にいたるまで、列挙するのも億劫なほどのおびただしい選挙詐欺の証拠と、証言者や連邦政府高官・各州の選挙関係者に対する脅迫の事実が明らかになってきました。
これらの経緯については、信頼のおける情報筋からの情報を頻繁にフェイスブックにアップしてきましたので、ご関心のある方は、それを追尾してください。
https://www.facebook.com/i.kohama

2021年1月5日には、全世界が注目する中で、ジョージア州で2名を選出する上院議員選挙が行なわれました。民主党陣営は、これだけ不正を行なってきたにもかかわらず、反省の色すら見せず、開き直った形で、堂々と同じパターンで選挙詐欺を実行し、議席を独占しました。驚くべき厚顔無恥です。

そして帰趨を決する決定的な日と思われた6日の連邦両院合同会議では、ペンス上院議長並びに副大統領は、自分には選挙結果を決定する権限はないとしてトランプ支持者の期待に応えることはせず、複数の共和党上下両院議員から提出された異議申し立てによる両院各々の議論にゆだねることにしました。下院では民主党が優勢なため、これがトランプ有利に通るとは思えず、せいぜい最大限の時間稼ぎが行なわれる程度だろうと踏んでいましたが、その期待も空しく、連邦議会ではあっさりボケ・バイデンに決めてしまったようです。
またテッド・クルーズ上院議員が提出した、激戦州について調査委員会を立ち上げよとの公正を重んじた提案は、残念ながら93対6の圧倒的大差で否決されました。

さらにひどいことに、ツイッター社は、トランプ大統領の発信権を平気で剥奪しました。世界最大の国家アメリカ合衆国を代表する最高位にある人の言論の自由を封殺するとは、信じられない暴挙です。

しかしトランプ大統領の闘いはまだ終わっていません。いくつかの手が残されています。

前々回のメルマガで、現在は世界戦争のさなかにあるのだと強調しました。
武力行使だけが戦争なのではなく、情報戦こそが現代の戦争の最もヴィヴィッドな形なのだとも。
https://38news.jp/america/17189
この様相は、「自由」を国是に掲げる最先進国・アメリカが中共全体主義によって中枢まで侵蝕され、民主主義体制が崩壊の危機に瀕している形として言い括ることができます。
また、グローバリズムとナショナリズムの対立の極限の事態と形容することもできるでしょう。

ひとこと断っておきたいのですが、民主主義が正常に機能するためには、国家体制、国家秩序がしっかりしていること、つまりナショナリズム感覚が民衆の間に根付いていることが不可欠です。なぜなら、公共体としてのまとまり意識が崩壊しているところで、そこに属する人々の生をよりよくしていくために何が優先順位を占めるかという議論を対等な立場で交わすことは不可能だからです。ちなみに「人権」を保障するのも民主主義国家だということも忘れてはなりません。
グローバリズムは、この国民国家としてのまとまりを根底から破壊します。グローバリストにとっては、自分の属する国籍やその国固有の文化、公共精神などはどうでもよく、自分たちが最大利益を上げさえすればいいからです。彼らにとっては、戦争さえ利益追求の手段にすぎません。
こうして貧富の格差が進み、共同体的な紐帯が破壊されたとき、バラバラに分断された個人を上から掌握する体制は何でしょうか。言うまでもなく、各個人に政治参加も言論の自由も宗教の自由も認めない強大な独裁権力による全体主義体制です。現在の中国がまさにその典型です。

アメリカは、かつて、もちろん反共精神のしみついた国でした。戦前・戦中・冷戦時代を通してイデオロギーとしての「共産主義」には大いに警戒を示してきました。しかし冷戦崩壊後は、その開かれた国柄と覇権国家としての自信がかえって仇となって今日の中共侵略を招き寄せたとも言えます。この国の対中戦略は、経済的な自由を尊重するあまり、中国に対して甘い顔をし過ぎたのです。
つまり、独裁体制は発展途上国としての必然からきているので、経済的に豊かになりさえすれば、徐々に民主主義や自由の精神を理解するだろうというリクツと期待に自ら騙されたのです。ですから今回のような事態はアメリカ自身が招いた面が大きいのです。

日本も、すでに中共のサイレント・インベージョンに政官財、教育界、メディア界、国土など、すべての社会基盤をなす領域において蝕まれています。
それほどでもない、とあなたは感じられるでしょうか。
しかし私は、エラそうに書いていますが、今度の米大統領選問題がなければ、不覚にして、アメリカがこれほど中共勢力に侵略されていることに気づきませんでした。おそらく大方のアメリカ人も日本人も、私の認識と大して違っていなかったのではないかと思います。その意味で、今度のことは、コロナ流行という壮大なインチキ*と合わせて、とてもいい教訓になりました。
*コロナ流行が壮大なインチキであることについては、以下の拙稿をご覧ください。
https://blog.goo.ne.jp/kohamaitsuo/e/effcc9c591be4f8689a563b585ae5639
https://blog.goo.ne.jp/kohamaitsuo/e/a9a480d0a5a23d4e3cc49838e3566463
https://blog.goo.ne.jp/kohamaitsuo/e/c3f0af074bf98a10a0e4428d535ec56e

全体主義というと、誰でも思い浮かべるのが、ナチス・ドイツとスターリン統治下のソビエト連邦でしょう。これらはユダヤ人大虐殺や反対者の大量粛清によってあまりにも有名です。もちろんこれに、ウィグル人、チベット人、内モンゴル人、法輪功信者や香港市民に対してひどい弾圧を行なっている現在進行形の中共政府を加えるべきです。
しかし、全体主義体制の恐ろしさは、こうした外からの目に見える、そして後になってわかる残虐な面にだけ存在するのではありません。その内部にいる者にとっては、権力中枢が何を企み、どんな方向に人民を連れていこうとしているかが見えないような仕組みになっている、そのことが最も恐ろしいのです。なぜなら、人民の多くがその進行中の全体主義化のプロセスに対して自覚的であれば、全体主義体制そのものが成立しないからです。
自分たちは、社会体制に対する懐疑を抱きさえしなければ、特段の不運に遭うこともなく、なんとか日々を過ごすことができる。複雑な社会構成の中で、目玉をカッと大きくして、全体を見ようとすることは難しく、またそんなにいつも目玉を大きくしている暇などないからです。しかし気付いてみると、いつの間にか生活は貧困化し、それに対する不満を自由に口に出すことができなくなっており、与えられる情報を否応なく信じ込まされ、かつて共有されていた記憶はおぼろげとなり、日常の中にあったはずの文化の香りは消え失せており、お互いがお互いを探り合うような監視社会が実現している。こうした土壌が培養されてこそ、私たちが知っているような残虐な歴史的事実も実現可能となるのです。

陳腐かもしれませんが、この仕組みを描いているのが、ジョージ・オーウェルの『一九八四年』です。
この作品の中では、世界はオセアニア、ユーラシア、イースタシアの三国に分割されており、それぞれの国は常に国境付近で戦争を繰り返していることになっています。オセアニアはビッグブラザーという絶対君主の支配下にあり、政体は真理省、平和省、愛情省、潤沢省(その実態は名称と真逆)などに分かれ、人々は少数の党中枢、知的仕事に就く党外郭、圧倒的多数のプロールに分けられます。プロールは体制に対する疑問など一切もたず、あるがままの日々を過ごしています。家の内外の至る所にビッグブラザーを大写しにするテレスクリーンが据えられており、情報もここからしか与えられません。ほぼ全員がビッグブラザーを崇拝しています。恋愛は許されておらず、結婚は子孫を存続させるために党が決めます。子どもは親を絶えず監視して小さな違法でも見つければ密告できます。
真理省に勤める党外郭のウィンストンは記録の改竄を仕事にしており、この仕事によって、人々の間からかつての記憶の共有がしだいに消えていきます。かつてが豊かだったのかどうか、ほとんどの人がもう覚えていません。戦争が絶えず行われていることを人々に知らせるために、時々市街地にロケット弾がぶち込まれたり、捕虜を載せたトラックが市街地を通り抜けます。
何よりも真理省の仕事で大きなものは、言葉を「オールドスピーク」から、語彙をより貧困化した「ニュースピーク」へと編纂する事業です。これによって言葉は豊かなニュアンスや比喩的転用の可能性をなくし、直截な一義的表現に限定されていきます。
ウィンストンは、こんな社会はおかしいという口に出せない疑いを持っていて、これを転覆させようとする秘密組織の噂を気にかけていますが、思慮深そうな雰囲気を持ったオブライエンという党中枢に属する男がもしかしたらその秘密組織の一員であるかもしれないと感じて、ひそかに敬服の念を抱いています。
これ以上書くと未読の人にとってネタバレになってしまうので、ここらでやめますが、一つだけ言っておくと、オブライエンはウィンストンが考えていたような男ではありませんでした。
この作品には印象的な場面がいくつもありますが、なかでもオブライエンがウィンストンに「権力に執着する理由は何だと思う?」と質問し、ウィンストンが「支配者は、民衆が弱い存在で自由に耐えられないから彼らを瞞着してその代わりに幸福を与えてやろうと考えている」と答えようとすると、オブライエンはそれをにべもなく否定し、「党が権力を求めるのはひたすら権力のために他ならない。他人のことなど知ったことではない」と回答する場面が強く印象に残ります。
これはその通りというほかありません。

ところでいまの日本人はお人好し(いい意味でも)で、そんな権力欲に取りつかれた組織は存在しないようです(個人ならときどき見かけますが)。しかし中国人や欧米人ならありそうですね。
日本人はすでに外側からやってきたこうした全体主義思想の中に取り込まれてしまっていて、上から下までほぼ全員が「プロール」つまり精神的な奴隷になっているのではありませんか?
というのも、現状を見る限り、救いようのないアホばかりが政府やマスメディアの中枢に集まって、信じられない国民いじめの政治とその正当化に精を出しているからです。中小企業潰し、補償なしのコロナ緊急事態宣言、営業自粛「要請」を「命令」に切り替えて従わない業者に50万円の科料、持続化給付金の締め切り延長取りやめ!
私たちは、せめてウィンストンのような運命に陥らないように、ダークエイジがすでにここに来ている状況に対して覚醒し続けましょう。闘いはこれからです。

【小浜逸郎からのお知らせ】

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●長編小説の連載が完成しました。
社会批判小説ですがロマンスもありますよ。
https://ameblo.jp/comikot/

●ブログ「小浜逸郎・ことばの闘い」
https://blog.goo.ne.jp/kohamaitsuo

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