From 藤井聡@京都大学大学院教授
最新の景気動向指数が発表となりました。
今回は、増税三ヶ月後の12月の数値が公表されました。
12月までの「小売り」「卸売り」の水準は、凄まじく冷え込んでいる様子が報告されていましたが、今回のこの値は、そうした指標を全て含んだ総合的な指標です。
例によって改めて確認したのですが・・・経済が悪化したままの状況が12月も継続している様子が示されました。
こちらのグラフは、景気動向指数CIの「一致指数」の推移です。増税直前の月の水準を「1」として規準化したグラフですが、ご覧の様に、増税によって激しく下落している様子が見て取れます。
12月にようやく、「横ばい」にはなっていますが、それは決して楽観できる様なものではありません。そもそも、12月に至るまで大幅に下落しているのであり、そこから回復することなく、ただただ横ばいになっているということは、酷い状況が継続していることを意味しているからです。
しかも、このグラフには、過去二回の増税時の同指標の推移を示していますが、それらと比較してみると、過去二回の増税ケースの中で今回のケースが最も大きく凹んでいることが良く分かります。
14年増税は、デフレ脱却の機運を完全に粉砕したわけで、当時の安倍内閣の面々に消費増税の破壊力をまざまざと見せつける結果をもたらしました。そして言うまでも無く、97年増税は日本経済をデフレにたたき落とす程の凄まじい被害をもたらしました。つまり双方とも恐るべき経済的破壊をもたらしたわけですが、今回の増税はそれら二つを上回る激しい被害を経済にもたらしているのです。
文字通り、最悪、の悪影響です。
一方、景気動向指数DIを確認した所、
10月 0
11月 0
と二回連続続いていた最悪状況からは幾分回復し、
12月 7.1
となっていました。
これは要するに、様々な経済指標の内、10月11月は、100%全「悪化」していたが、12月はごく一部の7%程度の指標で悪化は回避できたものの、未だ93%程度の指標は悪化し続けている・・・と言うことを意味しています。
ですから、これは横ばいを意味しているというよりはむしろ、まだまだ激しく状況が悪化しているということを示すサインなわけです。
ちなみに、バブル崩壊以降、今回の増税直前までにこのDIが「10」以下となった月をカウントしたところ、25回。その内、「ゼロ」が22回でした。そして、今回の様に「一桁」の値になったのは、3回だけ。つまり、DIが一桁になるということは滅多にない状況なわけです。いわば今回の数値は「ゼロ」に準ずるものなわけですね。
・・・・
このように、景気動向指数の視点から見ても、昨年10月から12月の四半期は、日本経済は極めて酷い状況にたたき落とされていたことが明らかになったのですが・・・
しかも・・・・1月はもっと悪化することは必至です。
なんと言っても、12月までは、コロナウィルスの影響がまだ生じておらず、以上のデータは、その影響を含んでいないわけで、1月以降では、コロナウィルスの影響でいわゆる「インバウンド」が大幅に縮小し、これが国内の消費をさらに冷え込んでいる訳です。
あわせて、中国の成長率も大きく下落していますから、これが、日本からの輸出を下落させることもまた必至です。
五輪が来るまでの時期で、ここまで景気が悪くなる要素が重なっているわけですから、令和二年の日本経済は極めて厳しい状況に至ることは必至なのです。
新しいデータが出る度に、こちらでも逐一報告して参りたいと思います。こうした状況を確認しながら、政府、国会の皆様方には、可及的速やかな対応を、心から祈念したいと思います。
追伸1:
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追伸2:
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【藤井聡】10%消費増税は、過去二回の消費増税よりもより激しく経済を冷え込ませている。への2件のコメント
2020年2月13日 4:38 PM
選挙の時、投票場に足を運びましょう。
選挙は国民の意思を明確に表示するためにあるものです。
現在の選挙制度において、非投票の票は得票第一位を追認することになります。従って、有権者の25%しか支持がなくても当選です。候補者に納得できなければ否(NO)を、候補者の誰が良いのか解らない場合は不可解(?)を記入ます。これらは当然無効票になりますが、無効票が有効票と同数かそれ以上になった場合、候補者や選挙管理委員会はどう思うでしょうか。
投票総数が90%で得票数が30%は過半数の支持を得たと言えるのだろうか。その時は、選挙管理委員会に質問してみましょう。投票した人は、公的記録に残ります。後日、生活保護等の公共サービスを受ける条件になるかもしれません。
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2020年2月14日 10:49 AM
本題とは間接的に申しますと、わたくし事で恐縮ですが、京大の脇にある歴史と伝統の由緒正しい吉田神社に数年前、厄除けをして参りました。その際、歴史を感じる異様さに、ただならぬ心境でありました事を、よく覚えております。これも八百万の神のおかげさまと感ずる次第です。そして、これからも末永く我が国を見守っていただきたく存じております。本物の国家は人が全てです。
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