From 三橋貴明
7月16日のMMTを主導する経済学者
ステファニー・ケルトン教授の招聘は、
ただただ「日本を良くしたい」
「日本政府の緊縮財政を止めたい」と願う、
善意に基づく一般の日本国民の「寄付」により実現したものです。
予想以上にご寄付が集まった結果、会場、同時通訳、
機材、パブリックビューイング等、日本最高水準の
レベルでご提供できました。
その「一般国民の寄付」で開始されたシンポジウムに、
カネも出さずにやってきた日経新聞の上杉素直は、
間違いなくケルトン教授の講演を聞いたにも関わらず、
MMTについて、
「呪文」
とレッテル貼りし、「政府の借金が膨らむのに無頓着なMMT」
「湯水のごとく財政出動を膨らませる」
「国債を無限に発行できるわけはない。」
とストローマン・プロパガンダをやりたい放題。
丁寧に表現すると「不誠実」、
普通に表現すると「邪な屑」である上杉らが、
財務省の飼い犬として、事実を理解していながら、
MMTを貶める印象操作を繰り返す。
我が国の歪みは、半端ありません。
呪文というならば、「国の借金で財政破綻する~」
の方がよほど呪文です。過去四半世紀に渡り唱えられ続け、
効き目は全くありませんでしたが。
あるわけがないのです。
何しろ、自国通貨建ての国債しか発行していない
我が国にとって、「国の借金」など
「政府貨幣発行残高」に過ぎません。
別に、概念的な話をしているわけではなく、
会計的に政府債務(国の借金)は政府貨幣発行残高です。
何しろ、統合政府(日本政府+日本銀行)のBSで考えた場合、
国債発行残高とは、単に貨幣化されていない
定期預金を意味しているに過ぎないのです。
日本銀行は必要があれば、政府が過去に発行した
国債を全て「貨幣化」することができます。
ちなみに、中央銀行の国債買取は、
英語では本当に「monetization(貨幣化)」と言います。
何故か、日本では「財政ファイナンス」なる
意味不明な名でも呼ばれますが。
もちろん、金融市場に国債が無くなると、
日本銀行が貨幣(日銀当座預金)を発行することが困難になります。
何しろ、貨幣発行とは、現金紙幣の流通一つとっても、
(1) 日銀が市中銀行から国債を買い取り、日銀当座預金を発行する(書く)
(2) 市中銀行が日銀当座預金を引き出す形で、現金紙幣を入手する
(3) 我々が銀行預金を引き出す形で、現金紙幣を引き出す
というプロセスを経ます。
つまりは、国債がなければ現金紙幣を
我々に供給することができなくなります。
日本政府や日本銀行は、国債という「利付貨幣」を
貨幣発行の仕組みにおいて活用している、と、
表現することが可能です。
あるいは、日本銀行は日銀当座預金を回収し、
銀行の預金発行(貸し出し)をコントロールする際に、
「手持ちの国債を売る」オペレーションを実施します。
つまりは、国債が存在しない場合、
日銀は売りオペレーションができなくなってしまうのです。
などなど、国債は「政府の借用証書」というよりは、
実際には貨幣発行、貨幣量コントロールのツールなのです。
とはいえ、既存のマスコミは国債について
「税金から返済が必要な国民の借金」の印象で報じます。
どれほどレベルが低いか、真実を知ると愕然としてしまいませんか?
◆経世史論において、中野剛志氏との対談コンテンツ「歴史とナショナリズム」がご視聴可能です。是非、ご入会下さい。
(8月15日まで限定公開なので、間もなく終了となります)
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
経世史論の「皇統論」には、日本人としての「元祖ヒキコモリ」「元祖ダメンズ」「元祖パシリ」「元祖ネトラレ」「元祖男の娘」の皆さまが登場します。全員が全員、現在の皇室の直接的な先祖というのが凄いですね。
◆経営科学出版「知識ゼロから分かるMMT入門」が刊行になりました。
https://38news.jp/38MMT/MT_TV/
◆ビジネス社「米中覇権戦争 残酷な未来透視図」が刊行になりました。
https://amzn.to/2UEWkYK
◆週刊実話 連載「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」 第331回 財政破綻論による衰退
なお、週刊実話の連載は、以下で(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
http://wjn.jp/
◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol532 MMTとアメリカ共和党
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
アメリカの共和党の政治家は、MMT非難決議を上院に提出し、社会主義とレッテル貼りをする割に、政権を握ったときは財政を拡大します。
アメリカの二大政党は、支出「先」が違うだけで、いずれも財政拡大派なのです。
◆メディア出演
三橋TV、続々リリースされています。
三橋TV第117回【日本経済の潜在力が世界一な理由】
https://youtu.be/sklotNQwqSo
三橋TV第118回【財政拡大でハイパーインフレになった国は無い】
https://youtu.be/MC00rYCtUcs
三橋TV第119回【ケルトン教授の経済のシンク(水槽)】
https://youtu.be/7KqTf5voMzY
<字幕版>MMTと日本経済の謎+三橋・高家の感想戦
https://youtu.be/ru9Ti4WIQM0
8月2日(金) チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演しました。
【Front Japan 桜】MMTが証明した財政破綻論の出鱈目 / 「はたらくくるま」から自衛隊が消えた?![桜R1/8/2]
https://youtu.be/9r39J93WZQU
8月5日(月) チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1651
◆三橋経済塾
令和元年8月17日(土)三橋経済塾第八期、第八回対面講義申込開始致しました。
https://members8.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=643
ゲスト講師は長浜浩明先生(建築家・歴史家)でございます。
◆チャンネルAJER
今週の更新はありません。
【今週のNewsピックアップ】
データを用いて財政破綻論者と戦う
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12499668522.html
邪(よこしま)なMMT批判系の報道と戦う
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12500060890.html
【三橋貴明】国債という「利付貨幣」への1件のコメント
2019年8月6日 3:02 AM
日本の未来を考える勉強会のホームページができたそうで、自民党も多少は危機感を持ってくれたのだろうかと期待が膨らむ今日この頃です。
日本の未来を考える勉強会の中でも安藤裕先生、青山周平先生、石川昭政先生、中村裕之先生は、
「デフレの時は財政出動(デフレ対策)、インフレが過剰になってきた場合は財政引き締め(インフレ対策)」
という基本がきちんとわかってらっしゃる方だそうで、とてもたのもしい。
安藤先生は、日本の未来を考える勉強会の中では、最も熱心にデフレ期の財政出動をうったえていた方でしたので、以前から知っていましたが、他にもガチに取り組んでくださる方が居たことは大変ありがたいことだと思います。
参議院においては西田昌司参議院議員が割と古くから藤井聡教授と共にデフレ期の財政出動をうったえておられたのは知っています。
最近では、日銀副総裁の雨宮さんから
「政府が国債を発行して財政出動をすると、財政出動した金額と同額の(民間人の)銀行預金が発生する」
という事実を国会の場で引き出してくださいました。(財政金融委員会 2019 5 23)
また、民間だけではデフレ不況の克服は難しいことを説明した「牛馬問答」にも大変感銘を受けました。
おそらく、現在、経済界や政界のトップに座っている方々は死ぬまで「保守的新自由主義」「進歩的新自由主義」から逃れることはできないと思うので、世代交代がおきて安藤先生たちが組織の上の方にいけるときまで我慢の時が続くのだと思います。
世代交代が来た時に、安藤先生たちがしっかり活躍できるように、出来るだけ多くの国民が信用貨幣論を理解してくれるとありがたいです。
日本に海を越えてやってきてくださったステファニー・ケルトン教授や、その招聘に奔走してくださった方々、本当にありがとうございました。
そしてなにより、”日本で”石を投げられながら10年以上「デフレ期には財政出動が必要」とうったえ続けてくれた言論人の皆さんにお礼を言いたい。
ケルトン教授が来日したのも、そうした地道な言論活動が実を結んだのだと思います。
話は変わりますが、消費税増税、オリンピック特需の終了、米中覇権戦争等、ネガティブなイベントが目白押しで、本当にまずいことになりそうな感じです。
しかし、この話題は見事にスルーされ、国内の政治的話題は別の所で盛り上がっているようです。
表現の自由をうったえた慰安婦少女像が展示される美術展が中止されたことが話題を呼んでいるそうです。
表現の自由ををうったえるために行っているのだと主催者は言っているそうですが、たぶん、本当の目的は日本政府に対する嫌がらせなのではないでしょうか。
ゲスの勘繰りと言われればそれまでですが、
サッカーをやっては竹島の横断幕
野球をやってはマウンドに旗を立てる
あちら系の方々は、とにかくあらゆるイベントを政治利用してきた経緯があるので、そういう風にしか思えないのです。
スポーツの大会では政治的アピールはご遠慮くださいというのが一般的認識だと思っていましたが、彼らにはそういうの関係ないみたいですしね。
そうした経緯から今回のことも目的は表現の自由のためではないと、そう感じてしまったのです。
最近は、アメリカの公文書館から戦時中の公文書がみつかって、当時の米軍の調査でいわゆる従軍慰安婦と呼ばれる存在は、高給で雇われたビジネス娼婦であったという文書が見つかりました(あちらの言う強制的に従事させられた性奴隷ではなかった)
また、イギリスでは、ベトナム戦争時の韓国軍兵士によるベトナム人女性への性的暴行への賠償問題もでてきました。
色々と藪蛇になってきたので、徴用工問題にシフトしていたと思っていましたが、一周回ってもどってきたのでしょうか。
この話題、一部で大変盛り上がりを見せているそうですが、いまの日本は、正直な所それどころではないと思います。
日本の政財界の方々は、いまだに日本を先進国だと思っているようですが、誰が言ったか日本はすでに衰退途上国と化しています。
日本が失われた20年とかアホな事をやっている間に、他の国々は何のかんの言って経済成長を果たしてきました。
(詳しくは、藤井聡教授の世界国々のGDP成長率ランキングを御覧ください)
戦後、デフレ不況をこれだけこじらせている国は日本一国だけです。
このままのペースで衰退すると、日本はアジアの中でも貧しい方の国になってしまう日もくるのではないでしょうか。
「日本は少子高齢化で人手不足だからしかたがないんだ。日本はもう成長しないんだ」
そうおっしゃる方も居ます。
厚生労働省職業安定局の「人手不足の現状把握について」(平成30年6月1日)によると、
・日本の人手不足は局地的な現象
・人手不足の原因・特徴は「労働者時間が長く、給与水準が低い」(運輸分野)、「休日が少ない」(建設分野)、「賃金が安い」(介護分野・宿泊業、飲食サービス分野)とある。
・人手不足は人口減少うんぬん以前の問題で、過酷な労働条件にもかかわらず低賃金がゆえ働き手から敬遠されるという「雇用ミスマッチ」が大きな要因
・人口が右肩上がりに増えていた1960年代も、日本は「深刻な人手不足」が社会問題になっている。
・人手不足が原因で中小企業はバタバタと倒れ、1965年の中小企業白書によれば、倒産は4200件にものぼった。だが、高度経済成長を成し遂げていた。
とのことで、日本が成長できないのは少子高齢化とは関係ないそうですよ。
日本の企業は、デフレで売り上げが伸び悩む中、人件費(97年比で)マイナス7%、設備投資を同マイナス36%削減しているそうです。
資本主義とは、工場や道路といった資本へ投資をして経済成長を行うというモデルですが、投資を減らしているのだから、それは成長もしないでしょうねというお話。
奇跡の経済教室 戦略編を読んでいて思ったのですが、何か問題が起こった時、いちいち根性論に走ってきちんと原因を究明しないのやめてもらいたい。
・1974年 GNP戦後初のマイナス成長
グループ1984「原因は日本が福祉国家だからです。国民が甘ったれて社会保障を要求するのが原因です。だから国民の根性を叩きなおすために大型間接税=消費税を導入すべきです」
↑
日本は高度経済成長期でインフレ気味ではあったが、この時のマイナス成長はオイルショックによる原油高が原因であった
今日、このとき導入された消費税が格差の拡大とデフレ脱却を妨げる大きな要因となっている
・1990年代、平成不況
日本のエリートたち「労働者を甘やかす日本的な古いやりかた(雇用重視)がこの結果を招いた。これからは欧米を見習って株主重視でいくべき」
↑
平成不況の原因は、低金利を放置し続けた金融政策の失敗。それによるバブルの発生と崩壊が原因で、企業経営のありかたというミクロな問題ではなかった。
今日、この時きまった株主重視政策や派遣労働拡大が労働者から生活の安定と見通しを奪い、婚姻率の低下につながっている
・現在の少子化と人手不足
政治家「若者が草食化したせいで少子化している。若者がだらしないからだ、もっと子供作れ。少子高齢化のせいで人手不足だろうが」
↑
ベネッセ教育サイトによると子どもの誕生から大学卒業まで、学費養育費込みで2,655~4,105万円かかるそうだが、いまの日本で最も多いのが年収300万円台の世帯なので、子供一人育てるのも難しい経済状況の者が多いことが分かる。
そもそも、貨幣の価値が上がるデフレ下で住宅や教育の為のローンを組むのは大きなリスクとなっている(貨幣価値があがるので、借りた時より返す時の方が大変)
雇用が不安定化しているので子供を大学まで出すのに必要な20年の間に失業するリスクが高い
内閣府の「家族と地域における子育てに関する意識調査」(平成25年)では、未婚晩婚の理由の47.4%が経済的に余裕がないからであった
つまり、少子化は若者が草食化したせいではない
なにか問題が起こった時、「お前らがだらしねーからだ。根性が足りん」なんてことは脳味噌まで筋肉でできている奴にだって言えることなんですよ。これでいいならエリートも専門家も必要ありません。
>>イギリス『エコノミスト誌』
ポピュリズムの原因の一つは、怒りである。多くの有権者が見捨てられ、置いて行かれたと感じる一方、責めを負うべきエリートたちはいい思いをしている。
ユーロは生活をよくするとか、サダム・フセインは大量破壊兵器をもっていると言っていた自己中心的な専門家たちを軽蔑している。
西洋諸国のどこの民主政治においても、専門家の意見や権威ある機関への人々の信頼は、地に堕ちているのである>>
西洋諸国のように「専門家の意見や権威ある機関への人々の信頼は、地に堕ちているのである」などということにならないようにどうかお願いします。
日本が途上国化するのを避けるためにはデフレを脱却する事が”最低限必要な条件”です。
そのためには、緊縮増税から積極財政へ転じる必要があります。
さらに、企業利益主導型の経済成長から賃金主導型経済成長に戻す必要もあるでしょう。
これらの転換を行うにあたって政治的スタンスは関係ありません。
”本来の”保守、”本来の”リベラルであるなら国民のために、ともに手を携えることは可能なはずです。
とりあえず、政治的スタンスが関係ない部分だけでも何とかしてもらえないでしょうか。これができるのは政治家の椅子に座っている人だけなのです。
政治家の皆さん、左右問わず(問うのは親グローバルか反グローバルかだけ)どうかおねがいします。
叩き合いジャパンでは政治色関係ない所でまで協力不可能になってしまうものなんですかねえ
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