日本経済

2019年4月17日

MMT(現代貨幣理論)とは、「現代社会の実態に即した、貨幣に関する政策論」です。

From 藤井聡(京都大学大学院教授)

昨今俄に注目を集めているMMT(現代貨幣理論)

今年の年明け頃までは、
一部の学者や評論家、あるいは、
ネットユーザー達にしか知られていなかったこの理論が、
今、俄に注目を集めているのは、
その主張の「衝撃度」が極めて高いからです。

例えば、ウィキペディアを見れば、

「政府は将来の支払いに対して非制限的な支払い能力を有して・・・いる。そのため、政府の債務超過による破綻は起こりえない。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/Modern_Monetary_Theory#cite_note-MMTreply-1

という、Tymoigne and Wrayの言葉が紹介されていますし、日経新聞は、MMTを

『通貨発行権を持つ国家は債務返済に充てる貨幣を自在に創出できるため、「財政赤字で国は破綻しない」と説く。』
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43695190S9A410C1EA3000/

と紹介しています。

国内の多くの論者は今、
この「財政赤字で国は破綻しない」という一点だけをとって、
MMTを徹底的に批判・批難しています。

例えば、日本のメディア上では今、

MMTは「異端」だ

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43692690S9A410C1EA3000/
https://www.asahi.com/articles/ASM444VCTM44ULFA02C.html

と報道するのが一般的流儀、となっています。

しかし、MMTの論者達は別に、
「実際に」政府は無限に債務を拡大しても「良い」
とは言っておらず
「理論的には」政府は無限に債務を拡大「できる」
という、控えめな主張をしているに過ぎず、
そこまで批判・批難される筋合い等何もないのです。

・・・・

では、MMTの本質とは一体何かといえば、
(筆者なりの方法で説明するとするなら)

「『貨幣とは“負債”である』という「客観的事実」を前提とし、
「現代社会の様々な現実」を踏まえながら
なすべき経済政策の在り方を考える理論体系』

というもの。

そしてこの
『貨幣とは“負債”である』(あるいは、借用書である)
という一点を前提とすれば、
(主流派経済学からは)「革命的」とも言い得るような
様々な「理論的帰結」
を導き出す事が可能となります。

(MMTの論理にご関心なき方は、
下記の「帰結」だけでもご参照ください)

帰結1:「借り手がいる限り、貨幣は、原理的には、銀行によって無制限に増やすことが可能」
(現実:全ての銀行で行われている現実)
(理由:そもそも、「貨幣は負債」だから、借り主達が銀行からカネを(準備金制度やbis規制の制約、借り手の返済能力の制約の下で)「借り続けられていられる限り」においては、「負債は拡大する」=「貨幣が創造される」こととなる)

帰結2:「政府は、税収に制約されず、任意に財政支出量を調整(拡大・縮小)できる」
(現実:GDPの240%もの国債を発行している)
(理由:そもそも、「貨幣は負債」だから、政府が(自国通貨建ての)国債を発行し「カネを借りる」ことを通して、税収とは無関係に、貨幣の創造量=貨幣の供給量=国債発行額を調整できる)

帰結3:「ただし、政府が、過剰なインフレになってしまう程に大量の国債を発行すると、国民生活は苦しくなる」
(現実:幸か不幸か、デフレ日本の現状は、そうした状況からはほど遠い・・・)
(理由:「貨幣は負債」だから、国債発行は貨幣量を拡大する。そして、貨幣量が拡大すると需要が拡大する。だから、国債を発行しすぎると、国内の供給力を大幅に上回るほどの需要が発生し、過剰なインフレとなり、国民生活が苦しくなる。)

帰結4:「したがって、政府が、望ましいレベルのマイルドなインフレになる程度の国債を発行すると、経済は順調に成長することになる」
(現実:誠に不幸なことに、PB規制をかけているデフレ日本の現状は、そうした状況に達していない)
(理由:「貨幣は負債」だから、国債発行に伴う政府支出の拡大は、貨幣量を拡大する。そして、貨幣量が拡大すると需要が拡大する。だから、国債を「適切」に発行すると、国内の供給力を幾分上回るほどの需要が発生し、マイルドなレベルのインフレとなる。)

帰結5:「逆に言うと、政府が、『望ましいレベルのマイルドなインフレになる程度の国債額』を下回る水準でしか国債を発行しなければ、デフレ化し、経済は低迷する。そして、国民は貧困化する。」
(現実:誠に不幸なことに、PB規制をかけているデフレ日本の現状はまさにこうした状況にある)
(理由:「貨幣は負債」だから、国債発行は貨幣量を拡大する。そして、貨幣量が拡大すると需要が拡大する。だから、逆に言うなら、国債を「適切」に発行しなければ、総需要は、国内の供給力に比して十分でない水準となり、ゼロ成長、あるいは、デフレとなる)

帰結6:「したがって、デフレ下の政府が、『PB黒字化』のために国際発行額を抑制すると、デフレがさらに深刻化する。」
(現実:誠に不幸なことに、今の日本はこの状態)
(理由:「貨幣は負債」だから、税収が低いデフレ下で「PB黒字化」を目指すために国債発行額を縮小すれば、政府支出が縮小し、政府による貨幣供給量が下落する。結果、需要はさらに縮小し、デフレが深刻化する。)

帰結7:「政府が全ての国債を返済(償還)してしまうと、市場内の貨幣は大幅に縮小し、深刻なデフレとなるリスクが拡大する」
(現実:デフレ化の日本でPB赤字を縮小しようとして、デフレが深刻化し、日本経済は今、混乱状態になっている)
(理由:「貨幣は負債」である以上、市場におけるあらゆる貨幣は、民間および政府の負債である。そのうちの政府の負債がゼロになれば、当然、貨幣は縮小し、その結果、需要も大幅に縮小し、激しいデフレとなるリスクが拡大する。ただし、「バブル経済」状況では、そのリスクは最小化される。)

帰結8:「政府の徴税能力が崩壊すれば、貨幣が流通しなくなる」
(現実:日本では徴税能力が十分あるため日本円は十分流通している。一方、政府の徴税能力が無くなった国家では、当該国の通貨は――当該国民の信頼を無くしてしまうので――流通しなくなり、ドルなどの国際通貨が使用されはじめるようになる)
(理由:「貨幣は負債」である以上、「信用」がなければ、負債が出来なくなる。そして通貨創造における国内最大の信用は「政府の徴税能力」によって産み出される。だから(統合)政府は、その徴税能力のお陰で、「負債」を負うことが可能なのであり、その借用証書としての「貨幣」を、人々が受け入れる形で発行することが可能となっている。しかし、徴税能力が無くなれば、その政府はもう「負債」が不可能となり、(統合)政府の借用証書である「貨幣」を人々が受け入れなくなってしまう。結果、例えばアメリカ政府の徴税能力に裏打ちされた米ドルを、外国においてすら人々が使うようになってしまう)

帰結9:「政府の国債がどれだけ増えても、金利は上がらない。むしろ、下がる。」
(現実:国債はGDPの240%も発行しているが、金利は極めて低い状況にある)
(理由:「貨幣は負債」だから、国債を発行すると貨幣が市場に供給され、さらに国債を買う余地が市場において拡大する。そうなると必然的に、各銀行の準備金等も拡大し、それらを通して金利は下がる。)

・・・以上の他にも、
様々な帰結を導くことができるのですが、
これらは全て、
「貨幣は負債」だから・・・
から出発して、導かれるのです。

それはまるで、
物理学における古典力学は、
「ma=f」を出発点とし
(後は現実的な制約条件を導入していけば)
全て解けるようになる・・・
という話とそっくりです。

にも拘わらず、
今日の主流は経済学や経済財政政策は全て、
貨幣を「負債」ではなく
紙幣そのものに価値がある「商品」と捉えています。

この、「貨幣についての認識」の間違いにこそ、
今の経済学や経済政策が間違え続けている、
根本的原因があるのです。

(すなわち、皮肉な事に、
「主流派経済学が間違った貨幣観に基づいて、
間違った経済政策を演繹し続けている」
という事実からも、
MMTの正しさが証明されているわけです)

ついてはこれからは是非、
「オカネとは負債であって、借用書なのだ!」
という「真実」に基づいて
あらゆる経済政策を考えて頂きたいと思います。

そうすれば、後はじっくり時間をかければ、
誰でも必ず、「正解」にたどり着けるのです。

追伸:
私たちは今、こうしたまっとうな議論に基づいて、
「令和時代」を作らねばなりません。
ついては今、表現者クライテリオンでは、
「令和への建白書」を最新号として取りまとめました!
その根幹は、「令和八策」
令和ピボット運動の「理論的支柱」ともなり得る
この建白書、是非、ご一読ください!
https://the-criterion.jp/backnumber/84_201905/

—発行者より—
総理「政権中にこれを破棄できなければ、日本はオシマイ」

三橋貴明と総理との会談時で明かされた真実。

●総理が、三橋との会食をオープンに
(世に公開)してまで国民に伝えたかった事とは…?

●この会食で明らかになった、
私たちの邪魔をする[3つの敵の正体]とは?

●2020年に訪れるかもしれない
日本の危機的状況とは一体何なのか?

日本が発端となり、
2008年のリーマンショックが再来する?

などなどメディアが決して報道しない
「安倍総理の告白」と「日本経済2020年危機」
について解説した書籍を出版致しました。

こちらから詳しい内容をご覧ください。
https://keieikagakupub.com/38JPEC/1980/

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MMT(現代貨幣理論)とは、「現代社会の実態に即した、貨幣に関する政策論」です。への13件のコメント

  1. tamutoshi1967 より

    MMTの解説、ありがとうございます。

    帰結8に関してですが、国内的には徴税権の確保が信用の源泉ということについて理解できます。一方で海外との関係(外国為替)については円の価値の源泉はなんなのでしょうか?

    一見、貨幣の基本認識が「貨幣そのものに価値がある」という前提で外国為替相場は成り立っている様に思います。しかしma=fのところで解説頂いている様に貨幣の本質は負債である、とすると・・・?

    個人的には、その国の付加価値創出力が価値を支えている(日本のサービスを円で買いたいと思う人がどれだけいるか)のかと思いましたが違いますでしょうか?

    「円の信認が」などと言って緊縮を続け、デフレで付加価値創出力が毀損してしまえば逆に「円の信認が」なくなってしまうように思います

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  2. たかゆき より

    『貨幣とは“負債”である』

    この事実を認めると、、

    今まで築き上げた 地位と名声

    それらが 一瞬で消し飛んでしまう。。

    そのような方々は

    死にものぐるいで 潰しにくるかと、、、

    しかし

    いつまでたっても 財政破綻という

    「空」は落ちてきませんし

    間違っているのは 現実ではなく

    主流派経済学信者たち

    過ちては則ち改むるに憚ること勿れ とか、、、

    まあ

    彼らのような 小人に言っても

    無駄ですね。。。 

    というわけで

    野郎ども どっからでも

    掛ってこい ♪

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  3. 拓三 より

    「ど文系数学者」がMMT理論の数式を出せ !  とほざいとるぞ。
    *(ど文系数学者の表現は私個人のものです)

    あいつアカン、経済学者と同じで表面的な経済論理だけで社会を総合的本質的に理解しようともしない「ど文系数学者」。法学と同じで、有るもののパズル論理。本質を追及しようともしない数学者ってw。ポンコツと気が合うわw

    本質的前提が欠如しとるんよ。家屋で言えば地質、基礎を忘れて上モンだけの論理。地盤沈下も基礎の厚さも上物に耐えるのが当たり前が前提条件で好き勝手喋っとる。(ここで言う地盤、基礎とは人間のこと) 金融政策の論理なんか誰でも解るわ。生きてたらw 世間知らずのアホの為に数式があるんやろw。

    MMTを数式でだせ ? お前数学者やろ。お前が出せよw あっ、作る事は出来ないんやw よっ ! ど文系数学者 ! そしてこれより二度と経済論理を語る時「期待」とか「マインド」とか出すなよ。ど文系数学者の名にかけてw

    カネとは人と人との信頼です。ならば経済成長には分断、排除は必要ですか ?  もし半数の国民が必要と言うならばその国の経済力は半分です。必然的に格差は生まれます。又、信頼を伴わないアブク銭を撒いた所でどうなりますか ? 信頼がなければ使わない。つまり貯蓄。使わなければただの紙切れ。カネではありません。移民を入れればどうなりますか ? 全体的信頼が薄れるでしょ。デフレ。

    経済成長をするには大前提として国民全体の信頼関係の構築が必要不可欠。そして経済成長の「目的」は何か !  

       「子孫繁栄」です !

    何度でも言います !
    大阪は幼児虐待相談件数&DV件数ワースト 1 

    その政権を応援し、絶賛しているのが「ど文系数学者」です。

        

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  4. たかあき より

    池上彰みたいな男が番組で”国の借金問題”の大嘘を暴露すれば世の中少しは面白くなってくると思うが、毛頭言わない。
    まんまと騙されているのか(ならばジャーナリスト失格)、言うと都合悪くなり口が裂けても言えないのか、口止めされているのかは分からんが。
    世の中保身者のいかに多いことか。。。

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      1. 名も無き商人 より

        池上彰は「まんまと騙されてい」ますね。「国の借金を家計で例えると、、、」等と財務省のプロパガンダ通りの解説を繰り返してますから。正に「ジャーナリスト失格」です。

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  5. ホシュ より

    能力がなく世間で認められない奴や小心者ほど
    大口を叩き説教が大好きだ

    ついでに言うと

    肩書とその人の評価は何の関係もない

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      1. 拓三 より

        能力が無く世間に認められないヤツや小心者ほど
        大口をたたき改革が大好きだ。

        ついでに言うと

        肩書きを利用し相手を黙らせるヤツほどズルイ者はない。

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        1. ホシュ より

          お前なんか相手にしてないぜ
          うぬぼれ屋の小心者なんか眼中にない
          数学が数式? アホだな

          ついでに言うと

          現代数学は abstract だ www

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          1. 拓三 より

            仰有る通り !

            で、君のabstractとやらをお聞かせ願いたい。

            私の様なアホにも分かるように。

            お願いいたします。

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            1. ホシュ より

              Ribetの論文のURLを張り付けたら

              「あなたのコメントは承認待ちです」

              という文章が現れて 一日以上経っても

              コメントが表示されないので

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              URL

              こういうことだよ

              ここで こんな議論しても周りが迷惑だろ

              そんなことも分からないのか 閑人 wwwww

              Ribetの論文のpdfは

              Ribet, A Modular Construction of Unramified p-Extension of Q

              で検索すれば見つかり無料で読める

              Ribetの論文が理解できれば

              abstractの意味も理解できる

              残念なことに

              君が理解できる日は永遠に来ないだろう

  6. G2 より

    「オカネとは負債であって、借用書なのだ!」という「真実」に基づいて …

    とありますが『事実』ではないのでしょうか?
    小生は事実だと思います。
    最後の最後で「真実」だと言われてしまうと、梯子を外された感じですし、単なる意見を述べているに過ぎない感じが否めません。

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