FROM 三橋貴明
【今週のNewsピックアップ】
●レントシーキング内閣 前編
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11639091981.html
●レントシーキング内閣 後編
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11640371318.html
新古典派経済学の始祖たるミルトン・フリードマンは、大恐慌という「超デフレーション」を振り返り、
「大恐慌は失業が深刻になった時期のほとんどと同様に、民間経済がそもそも不安定だからではなく、政府の政策に間違いがあったために起こっている」
と論じ、「理論」からも「歴史の教訓」からも、民間企業に対する政府の束縛を無くすべきだと主張しました。すなわち、規制緩和をやれ! でございます。
フリードマンが言う「政府の政策の間違い」とは、恐慌期にFRBの金融緩和が遅れたことを意味しています。フリードマンは「インフレ率は通貨供給量(マネーサプライ)で決まる」と説き、総需要の不足がデフレの主因であることを否定しました。
インフレ率が通貨供給量で決まるとなると、デフレ対策は「金融政策のみで良い」という話になります。さらに、民間企業が「不安定にはならない」具体的には「常に設備投資をする」と仮定すると、それこそ政府のデフレ対策は金融緩和と規制緩和、民営化のみで良いという話になります。
金融政策で実質金利が低下すれば、企業は「必ず」設備投資をしてくれます。バブル崩壊後であろうとも、15年間という長期に渡りデフレーションに苦しめられていたとしても、無問題です。金利が下がれば、企業は「必ず」設備投資を増やします。わたくしが地方都市を回り、様々な方々にインタビューをした結果、
「たとえ需要が増えたとしても、まだ怖くて設備投資に乗り出せない」
と答えた方がほとんどだったのですが、実際には金融政策を拡大すれば「必ず(しつこいですが)」企業は設備投資を拡大してくれるそうです。
万が一、企業が設備投資を増やさないとなると、それは「総需要の不足」ではなく、別に何かの原因があるはずなのです。そう。政府の規制が厳しすぎ、企業が投資をする気にならないのです。
ということは、金融政策を拡大しつつ、各種の規制を緩和していけば、あら不思議。「デフレマインド」におかされ、アニマル・スピリットを失ってしまっている日本の経営者たちが、突如、投資に目覚め、国内で設備投資を拡大してくれます。
結果的に、日本国民の雇用が増え、日本経済は成長路線に戻りました。めでたし、めでたし、偉大なるミルトン・フリードマン、という話。
あれ?
何か最近の安倍政権、第二の矢の財政政策(総需要拡大策)の話が聞こえなくなってきた反対側で、規制緩和系の政策ばかりを通そうとしているように見えます。デフレは「貨幣的現象」なので、金融政策のみでOK。金融政策と財政政策「ではなく」、金融政策と「成長戦略(=規制緩和、民営化)」で経済をデフレから脱却させ、成長路線に戻す、と。しかも、経済成長と財政健全化を同時に達成する、事実上の「財政均衡主義」。
お分かりでしょう。少なくとも現在の安倍政権は、完璧に「新古典派経済学」に染まりつつあるわけです。
三橋がインタビューした相手は、各地の「中小企業」の経営者の皆様です。余裕のある大企業は「規制緩和」で既存の公共サービスなどに新規参入し、儲けるのでしょう。とはいえ、その場合は完全に地方経済、あるいは中小企業が置き去りにされてしまいます。ついでに、法人税を無条件で引き下げれば、これまた余裕のある大企業の純利益が増え、海外投資なり、配当金なりを増やせますな(実際には内部留保でしょうけれども)。
もっとも、大企業が法人税減税で利益を得て、配当金や内部留保、それに対外直接投資を増やしたところで、日本国民の雇用が生まれるわけではありません。でも、大丈夫。政府の経済政策の目標は「GNI(国民総所得)」であり、「GDP(国内総生産)」ではないから。GNIであれば、企業が対外直接投資を増やしてくれるだけで拡大します。
とまあ、そういう話なのですが、このまま手をこまねいているわけにはいきません。正直、安倍総理が上記のような「新古典派 対 ケインジアン」的な話を理解しているとは思えません。他の政治家の皆様にしても同じでしょう。
選挙がない以上、政権に政策を変えてもらう方法は、「政治家に分かってもらう」こと以外にないわけです。というわけで、以前からの予告通り、わたくしは安倍政権の「新古典派経済学」的な政策に反対すると同時に、自民党の政治家に対するインプット活動を強化していくつもりでございます。
PS
「新古典派経済学」的な政策をやりまくった結果、
韓国はこんなに悲惨は国になってしまいました。
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_video.php
【三橋貴明】レント・シーキング内閣への15件のコメント
2013年10月22日 6:41 PM
Youtubeで”ホームレスアメリカ人”って動画を見てみてくだせえ。オフショアリングがいかに馬鹿げたものであるかが分かりますよ。
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2013年10月23日 3:49 AM
自称、反省をした「自民党」こいつらに「国民は怒っているぞ」と示すにはメールや電凸もいいですが、支持率を20%にどーんと落とせば気がついてくれる可能性が増えるかなと思います。あくまで可能性が増えるだけですが・・・
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2013年10月24日 8:02 AM
> そうすると、出てきた結果には首相の意思が強く反映されると考えていいわけですよね?私の考えは最初のコメントで記しましたが次のとおり。→『「決断する!」「規制緩和する!」という安倍首相の強い意志を感じます』。というわけで、先日APECで安倍首相が表明した決意「自分がドリルの刃になって岩盤規制を打ち破る」を実行し、雇用・医療・農業・教育など「岩盤」とされる規制緩和に穴をあける、ということだと考えます。ちなみに安倍首相はロンドン(6月19日)・シンガポール(7月26日)でも同じ発言をしているので、昨日今日出てきた話ではなく織り込み済み。> 今までのように、官僚がー、アソウガー、キノシタガー、トリマキガーというのは言い訳ということになりますね。意思決定への間接的な影響として「官僚・麻生相・木下・取り巻き」が認められた場合は、「カンリョウガー・アソウガー・キノシタガー・トリマキガー」の可能性はあるでしょう。また、特区諮問会議のメンバーは「首相(議長)・官房長官・経済再生相・新設特区担当相・民間有識者」で構成される予定なので、「アマリガー・タントウソウガー・ミンカンガユウシキシャガー」の可能性もある。ちなみに、「〜ガー」は主にネット層の一部の人たちが推察しているだけで、一般社会的には「アベ○」「アベ_」「アベ△」「シラネ」でしょうね。> ここは明確にしておいてほしいですね、そうでないなら、責任の所在がないということになってしまいます。特区諮問会議の議長が安倍首相で「ドリルの刃になってガンバンマン!」と発言しているのだから、安倍首相が責任を負う・果たすことは「明確にしておいてほしい」というか「自明」です。ただし、会議全体の責任者は議長でしょうが、個別決議の直接的な要因は・・・という話も出てくるのでしょう。いずれにしても、国民に伝わる形でメッセージを発信するのが政治の責務と考えますが、国民側も「スケープゴート」を求めるあまり責任追及が過ぎると、これまた良い結果を生むとは限りません。このあたりは(受け手)個人の考え・判断でいいんじゃないでしょうか。
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2013年10月25日 2:06 AM
>「3」は本部でやりますという「首相主導」なんだと思います。そうすると、出てきた結果には首相の意思が強く反映されると考えていいわけですよね?今までのように、官僚がー、アソウガー、キノシタガー、トリマキガーというのは言い訳ということになりますね。ここは明確にしておいてほしいですね、そうでないなら、責任の所在がないということになってしまいます。
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2013年10月26日 10:27 PM
最近だと、公設民営化といって、公立学校の民営化を始めるらしいです。これの意味がさっぱり理解できないんですが。大阪の橋下市長なんかが喜んで導入するみたいで。まさにレントシーキングが始まりましたよ。
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2013年10月27日 7:36 AM
私の記憶違いでなければ確か「関係大臣を、議論(協議)には参加させる(場合もある)が、意思決定には参加させない」だったと思います(間違えていたらすみません)。であったとしても、「意思決定に参加させない」というのは「可能性の排除」と言えますね。政治の責務として、良い時も悪い時も、有利な時も不利な時も、与党でも野党でも、「議論が意思決定を左右する」を果たして欲しいものですね。
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2013年10月28日 9:02 AM
確かに安倍総理の強い意思を感じますし、彼の中では瑞穂の国の資本主義と規制緩和が一致しているのかもしれませんね。(私は非常に残念に思いますけど。。。)ただ、特区諮問会議も一応議論の場のはずですから、反対が予想されるだけで、議論の場に参加すらさせないのは、やはり政治姿勢を疑ってしまいます。
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2013年10月28日 2:07 PM
もし安倍総理がアキバで演説やったら聴衆から空き缶と生卵が投げられる可能性があるかもすね。 罵声の嵐になる事間違いないでしょうな。 ミンス党とリベラルミンス党には大きな違いがなかったという事でしょうか。 日本に限らず、アメリカを始めとした他の国でも同じ状況でしょうからね。 国民が置き去りにされるのはホント御免ですよね。
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2013年10月30日 6:14 AM
仮にですよ、この会議が「特区諮問会議」ではなくて「国土強靭化会議」だったとして、課題が「規制緩和」ではなくて「公共事業・財政出動」だったとして、意思決定に参加する民間の有識者が「藤井教授」だったとして、意思決定に参加できない関係大臣が「公共事業反対・財政出動反対」であったとしたら、この人事決定に対して「お見事!」と讃える人も多いのではないでしょうか。(もちろん反対勢力は「独裁!」と批判するでしょう)このあたりに民主主義における「ご都合主義」があらわれているような気がします。民主主義の建前として「投票→選出→議論→意思決定」というプロセスの保障があると思います。ポイントは「1.公正に代表者を選ぶ」と「2.政官民で議論を尽くす」と「3.議論が意思決定を左右する」だと思うのですが、今回の安倍首相の決定は「3」から抵抗可能性(規制緩和反対)を除外するというものですね。「2」で「多様な意見に寛容でありその上で議論をし尽くす」を担保するが、「3」は本部でやりますという「首相主導」なんだと思います。というわけで、意思決定において規制緩和反対の声が反映されにくくなりますね。「決断する!」「規制緩和する!」という安倍首相の強い意志を感じます。安倍首相にとって「瑞穂の国の資本主義」と「規制緩和する」は矛盾しないんだと思います(憶測)。だから嘘もついていない。こんなところだと思っています。
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2013年10月30日 4:50 PM
というか、未だにこんな話が出てくることに愕然とします。こんなことは政治家、とくに自民党の政治家は当然知っているはずであり、政策については大筋で合意しているものだと思っていました。(特に第一の矢、第二の矢については)第二の矢、つまり財政出動をやらないかもしれないとは????こんなことでは第一の矢もすぐにポシャるでしょう。日銀は量的緩和に反する方向にどうしても引っ張られる傾向があるし、第二の矢がないのなら銀行は国債を日銀に売らないと思います。自民党代議士というのは政権を民主党に奪われてから何を勉強して来たのでしょうか。というか、こんなあやふやな経済政策しかないにも関わらず、民主党の何を批判して来たのでしょうか?それとも三橋さんの本をよんでも、講義を受けても、内容が理解できないのでしょうか?冗談じゃないですよ。勉強する気がない、または勉強してもその内容を理解することができない、というような人間は代議士になどなってはならない。また周囲の人間もこんな人間を立候補させては行けない。当選させてもいけない。ましてや総理大臣になるなど絶対にあってはならないことだ。こんなことでは、次の選挙では本当に共産党政権が出来てしまいますよ。消去法で行けば次は共産党しか選択肢がなくなるかもしれない。それこそ失われた100年になってしまう。いや、滅亡か。いやいや、案外日本を取り戻してくれるのは共産党かもしれない。期待していた人にはほとんど裏切られてきたから。期待していなかった人こそが本当のことをやってくれるかもしれない。
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2013年10月31日 1:33 AM
今日のニュース、「衆院予算委 安倍首相、特区諮問会議などから「抵抗大臣」外し」らしいですよ。国家戦略特区の規制緩和分野では、雇用や医療、農業などが焦点となっており、抵抗する可能性のある厚生労働大臣や農林水産大臣を意思決定から外すつもりみたいです。しかも大臣を外しておいて、民間の有識者はちゃんと入れているとか。。。安倍総理は「大切なのは、意思決定でありまして」と言っていますが、自由民主主義政治で大切なのは多様な意見に寛容であり、その上で議論をし尽くすことです。これでは、独裁と同じです。。。ここまで来ると、やはり確信犯です。瑞穂の国の資本主義なんて、支持を得るためにあえてついた嘘ですね。
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2013年10月31日 2:13 PM
[2013年10月21日 ロイター]安倍晋三首相は21日午後の衆議院予算委員会で(中略)「デフレは貨幣現象でもあるが、三本の矢があって初めてデフレマインドは払しょくできる」との見方を示した。[2013年02月07日 ロイター]安倍晋三首相は7日午前の衆議院予算委員会で(中略)「人口減少とデフレを結びつける考え方を私はとらない。デフレは貨幣現象であり、金融政策で変えられる」と答えた。
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2013年11月1日 5:11 PM
「知識人」を名乗る人のうち、経済が専門ではない人ほどに【教科書】を本当によく勉強されていまして、その結果として新自由主義に染まっているようにしか見えません。「借金しようが何をしようが、国民が安心して豊かに過ごせる事」こそが国のミッションなのに、それよりも「国民が苦しもうとも財政健全化だ!」が先行している考え方はどう考えてもおかしいです。国民の意識自体が国のミッションを「財政健全化が先だ」みたいに感じているのが重症な病巣だと思います。あるいは世界中の人のマゾさをうまく引き出すのが自由主義なのか?とすら思えてしまいます。ソンさんのところ、次は遠隔医療を通常診療報酬で実施できるように規制緩和セヨ!みたいな仕掛けでレントシーキングを狙っているようですが、彼の会社に限らず、随所で虎視眈々とレントシーキングを狙う企業が蠢いている感じが気持ち悪いです。それって結局経営者を含む従業員に跳ね返るだけだろ?みたいな感じなのに。
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2013年11月2日 10:33 PM
営利の追求の意識の総態の一面、片面から見れば、連徒私意金偶もプラグマティック(実用的)なんですかね。(「誰がぁっ、そんな疑似プラグマティックにさせたぁーっ」「○○○ぉっ。撃っちゃえーっ」)となればデフレを維持する罠を仕掛けるしかない。となれば小さな政府民民信仰を浸透振興して侵攻。となれば大政翼賛怪の裏返し?。となれば自滅願望回帰?。 米追従小判鮫カバン持ちをしても‥‥今だに来る台風を追い風に利用して、民民蝉を追い払い七年(?)の眠りに尽かせていただきたい心境です。翻訳不可能意味不明な支離滅裂ドタバタ手記m(_ _)m。
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2013年11月3日 2:05 PM
女型の巨人に変身しデフレ促進のやつらや利権で日本を身動きできなくさせているやつらをふんずけたい。
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