From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家
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おはようございます。
前回も話題にしたように、先月、チャンネル桜の討論番組に初めて出演しました。
今回はその際に改めて実感した、「長期的なビジョンを持つことの重要性」について述べてみたいと思います。
番組第3部の冒頭で、私が拙著『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』207ページのグラフを示しながら、国内の雇用環境が長期にわたる緊縮財政によっていかに悪化してきたか、すなわち、
「長期にわたる緊縮財政によって経済成長がストップし、そのことが非正規雇用者や、就職をあきらめて失業者にカウントされなくなってしまった『非労働力人口』の拡大をもたらしている」
「ゆえに、必要にも関わらず大幅に予算が削減されてきた公共事業を中心として、財政支出を長期的、継続的に拡大し、雇用環境や社会の歪みを改善していくべきである」
という議論を展開している場面があります。
https://www.youtube.com/watch?v=QKSTkxOV-FM
http://amzn.to/1HF6UyO
(放送中で示した拙著のグラフの内容については、レイアウトが若干異なりますが、例えば下記〜上段はツイッター、下段はフェイスブックページ〜をご参照ください)
https://twitter.com/sima9ra/status/725346322765611008
http://bit.ly/1rDpSUK
ところが、こうした問題提起に対し、他の出演者の方々から返って来たのは、
「経済政策も大事かもしれないが、若者が働く意欲をなくしているのは基本的には教育の問題(財政支出を増やしても雇用の拡大に必ずしも結び付かない)」
「公共事業を行っても人手が集まらない。財政支出も他の使い方(例えば所得給付)を考えた方が良い」
という反応でした。
上記の反応の問題点は、目の前の環境自体が(上記のグラフでも示されているように)長期にわたる緊縮財政という失政によって徐々に作り上げられてきた事実を忘れ、「変えることのできない当然の前提」と捉えてしまっているところにあります。
番組内にも登場した、公共事業と建設業を巡るありがちな議論はまさしくその典型でしょう。
「人手が集まらないから(供給能力が追いつかないから)公共事業を増やしても意味がない」という議論は、
「1997年以降公共投資額(GDP統計上の公的固定資本形成)が半分近くに削減される中で、産業全体では4%程度の減少にとどまっている就業者数が、建設業に限れば25%も減少している(2014年時点)」
という長期的な現実を見過ごしたものと言わざるを得ません。
まさしく、一昨日に藤井聡さんが、
「建設能力がネックとなる――という議論もしばしば指摘されますが、新幹線整備は、長期プロジェクト。したがって、それだけの長期投資を政府が示すことができれば、建設業界の能力は数年のうちに今よりも大きく増強されていくことは間違いありません」
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2016/06/14/fujii-200/
と述べておられるとおりなのです。
時間をかけてもたらされた弊害は、直すのにも時間がかかって当たり前。
短期的に目覚しい効果が発揮されなくとも、長期的に見て正しい政策の着実な遂行こそがむしろ、目先の利益に囚われる必要のない政府の本分であると考えるべきでしょう。
にもかかわらず、短期的な状況だけ見て問題の解決をあきらめてしまったら、『スラムダンク』のセリフではありませんが、本当にそこで終わってしまいます。
こうした近視眼的なモノの見方の弊害は、青木泰樹さんが以前解説しておられた「2つの潜在GDP」(「最大概念の潜在GDP」と「平均概念の潜在GDP」)の構図にも当てはまるように思います。
すなわち、「最大概念の潜在GDP」が長期的な視点、「平均概念の潜在GDP」が短期的な視点、という構図です。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/07/12/aoki-4/
そして、「短期的な状況だけ見て問題の解決をあきらめない」というのはこうした言論活動についても同じこと。
長期的に積極財政を行うことの重要性について、短期的な結果に一喜一憂せず、根気良く繰り返して行くしかないのかなあ、と改めて思う今日この頃です。
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http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-175.html
〈島倉原からのお知らせ〉
↓本文中でもご紹介しましたが、「日本経済にとって、なぜ長期的な積極財政が重要なのか」を理解されたい方は、こちらをご参照ください。
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日経平均が16,000円を割り込み、為替が1ドル105円台をつけるなど、今週に入って不安定な動きをしている金融市場。
イギリスのEU離脱懸念などを要因に挙げる報道が大半のようですが、週初日曜日に発行したこちらの記事は、株式、為替、商品など、金融市場を幅広く見渡すことで、結果的には全く異なる原因分析を先取りして提示しています。
↓「金融市場不安定化の芽は消えたのか」
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シャープが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下となるなど、凋落する一方の日本の液晶産業。
その背後にある日本の電機産業固有の構造的な問題と、グローバルに生じている電機産業内の構造変化の両面について考察しています。
↓「日本の電機産業の行方」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-173.html
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【島倉原】長期ビジョンの重要性への6件のコメント
2016年6月17日 1:39 PM
正に仰る通りです。馬鹿なメディアや緊縮論言う人達は短期的な物事で財政が悪くなるからとか経済効果が無いとかですぐ批判しますが中長期的に考えれば着実に効果はあるし名目GDPの成長率引き上げるでしょう潜在GDPの概念もそうです、あれは直近数年の平均GDP表しただけに過ぎない物です、デフレ脱却して名目成長率が上がれば必然的に潜在GDPもあがっていくものです。なので潜在GDPが低いから財政出動は利かない論もまったく倒錯した考えです。
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2016年6月18日 2:21 AM
あまき さん お赦しあれ タイプ間違い してしまったのだ。。。
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2016年6月18日 7:55 AM
あませ さん仰せの とおりです。余計なことを 申せば、、憲法改正、、、改正など 泥水のような現憲法を認める左翼と 根っこは一緒現憲法を破棄して 明治憲法に戻ししかるのちに 改定するのが 筋と小生は 確信しております。
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2016年6月18日 7:35 PM
近視眼的な財政政策が現在までの緊縮財政を生んできたのでしょう。しかも間違った情報を鵜呑みにする人たちは緊縮財政こそが長期的ビジョンに立った正解であると思い込んでしまっているのです。実際は緊縮財政は未来世代への重要な投資を無くして実現しているという事実にさえ気づけば、真逆の結果を生む政策だとすぐに分かるのに。それこそ余裕がなくなって目の前のお金のことしか見えなくなるというデフレ地獄の罠にはまっている。
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2016年6月19日 4:16 PM
たかゆきさん大茶番劇かと存じます。中西輝政名誉教授の緊急降板は欣快に堪えません。
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2016年6月21日 6:42 AM
喜劇か悲劇か ♪左翼は財政出動を目の敵にしますねなぜか??自由主義社会に繁栄されては困るから。。。そして 現政権緊縮財政 構造改革 財政均衡主義左翼に洗脳されたのか根っからの左翼なのか、、ぼくには 知る由もありませんがこの国が豊になっては 困るとでもお思いなのか しら んちなみに保守と称する方々が 現政権を 擁護する構図はたして これは 喜劇でしょうか悲劇でしょうか ♪
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