日本経済

2016年6月17日

【三橋貴明】資本主義の死

From 三橋貴明@ブログ

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少子高齢化に伴う生産年齢人口比率の低下。
深刻化する人手不足の中、鈍化する日本の成長。

しかし、この人手不足こそ次なる成長への鍵だった。
これから起ころうとしている第4次産業革命とは一体?

『月刊三橋』最新号
「第四次産業革命〜日本発の産業革命が世界をこう変える!」
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv.php

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「資本主義の死」
From 三橋貴明@ブログ

 岡山に向かう新幹線の中で書いています。何か、毎日、新幹線に乗っている気がしますが、実際に乗っておりました。
 技術評論社から、少し毛色が変わった一冊「プロのグラフ仕事 ~伝えるためのExcelエッセンス~ 」が刊行になりました。

わたくしは、恐らく日本で最も「グラフ」を多用する人間であると自負しています。書籍はもちろんのこと、毎日の講演、ブログ、メルマガでもグラフを使いまくりますので、少なくとも過去五年間で見れば「最も、グラフを作った日本人」であると確信しているのでございます。

 ちなみに、ブログ等で使うために作った膨大なグラフの数々は、以下にアーカイブされています。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/contents_top.html#Data
 というわけで、このたび、三橋のグラフ作成法、作成したグラフの管理、更新、情報へのアクセス確保等についてまとめた一冊を刊行したわけでございます。
 グラフによる情報の「見える化」は、汎用的なテクニックでございますので、皆様も是非、参考にして下さいませ。

 舛添東京都知事が辞任しました。東京都民として、色々と言いたいこと、書きたいことはあるのですが、やめておきます。
 ともあれ、今度こそ「知名度コンテスト」「露出コンテスト」ではない、真っ当な都知事選になるよう、一東京都民として心から願っています。

 さて、相変わらず、長期金利が下がり続けています。

『長期金利、一時マイナス0.195% 過去最低また更新
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGF15H0B_V10C16A6000000/
 15日午後の債券市場で長期金利の低下が一段と進んだ。新発10年物国債利回りは一時、前日に比べ0.025%低いマイナス0.195%に低下し過去最低を更新した。5、20年債も午前中に付けていた過去最低水準を下回った。
 英国の欧州連合(EU)離脱への懸念を背景に、「安全資産」とされる国債に資金が集まる流れが続き、長期金利は4営業日連続で過去最低を更新している。(後略)』

 「ザイセイハターン」する国の国債が「安全資産」とは、これいかに。という皮肉は置いておいて、現在の日本やスイス、ドイツで発生している「長期金利のマイナス化」は、ある意味で資本主義の死を意味しています。

 資本主義とは、
「モノ(資本)、技術に投資し、ヒト(労働)が動くことで付加価値(モノ・サービス)を生産する。生産される付加価値には、資本が含まれる」
 という経済構造です。(詳しくは「第4次産業革命:  」で解説しました)

 生産活動に投じられる資本が拡大することで、ヒト一人当たりの生産量は増えていきます。つまりは、生産性が向上します。

 GDP三面等価の原則により、生産=需要=所得となります。すなわち、資本や技術におカネが投じられる「投資」により生産性が向上し、国民が継続的に豊かになっていく社会を実現するのが「資本主義」なのです。

 資本や技術への投資は、もちろん貯蓄からやっても構いませんが、基本的には「多数の国民の貯蓄(=預金)を企業が借り入れる」、すなわち銀行融資により資金調達されます。

 ところで、未来は「不確実」です。今、投資をしたとしても、将来的に所得を得られるかどうかは、確定はしていません。

 より露骨な書き方をすると、今、1億円を十年満期で貸し付け、十年後に(借り手が稼いだ所得から)1億円返済されるかどうかは不明なのです。政府はともかく、民間企業にはデフォルト(債務不履行)のリスクがあります。

 というわけで、現在の1億円と、未確定な将来の1億円を「交換する」代償として、借り手は貸し手に金利を支払うわけでございます。

 将来の所得を稼ぐため、金利を支払い、今、おカネを借りて投資することこそが、資本主義の基本なのです。その金利が、長期金利でマイナスになってしまっている・・・・。

 もちろん、銀行がマイナス金利で国債を買うのは、日本銀行が量的緩和で「より高い価格」で国債を買い取るためです。すでにして、十年債は長期金利の指標でも何でもなく、単なる「投機商品」と化しています。(というわけで、我々がマイナス金利で銀行から融資を受けることはできません)

 我が国では、資本主義が死に至ろうとしています。そして、今や世界の多くの国々が、同じ道を辿ろうとしているわけです。

 資本主義の死とは、国民が豊かになれない社会を意味します。実際、日本の実質賃金は下がり続けているわけです。実質賃金の低下=生産性の低下になります。

 無論、我々が「投資」しないのは、デフレが継続し、需要が拡大していないためです。儲からない状況で、わざわざカネを借りて投資するモノ好きはいません。我々が借り入れを増やさないのは、合理的なのです。

 だからこそ、通貨発行権や徴税権という強権を持つが故に、非合理的に行動できる「政府」が存在するわけです。

 この政府の存在意義を各国の政治家、国民が思い出し、国債発行と財政出動という「当たり前の政策」を推進していかない限り、日本を含めた世界各国は続々と「資本主義の死」に向け、ひた走っていくことになるでしょう。

ーーー発行者よりーーー

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しかし、この人手不足こそ次なる成長への鍵だった。
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【三橋貴明】資本主義の死への2件のコメント

  1. たかゆき より

    「資本主義社会の 死」始まりがあれば終わりは 必ず訪れる。。。この永遠不変の真理(たぶん)から資本主義社会も 逃れられないのかもしれません死に至る原因が 資本主義社会の「DNA」に組み込まれていた主流派経済学、、、統制のとれない 無限増殖が始まったのでしょうね「次世代に負担をかけるな」なんて言ってたら次世代も同じ 台詞を言うことになります(きっと)「自分たちが まず豊かになって その豊かさを 次世代に 引き継いでいこう」という発想にならないのは 何故だ??豊かになれる 道があるのにわざわざ死への 道を選択するとは、、、「この世を創造したのは 三流の神だ!」そんな 台詞が 脳裏をよぎる今日この頃 なのだ ♪

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  2. 神奈川県skatou より

    三橋先生のご活躍をいつも熱く応援しております。>だからこそ、通貨発行権や徴税権という強権を持つが故に、非合理的に行動できる「政府」が存在するわけです。まさしく、まさしくこの一文に尽きるのかと思われます。この非合理の理解に至らないかぎり、もしかすると行政なり政治というものの過半が見えないことになりかねないと思いました。今朝読んだ、とある大学の委員会の広報誌にこんな話がありました。文系大学に自然科学を教える講座を開設することに関して、「さらに、現状と課題として、『本学が人文・社会科学系の大学であるが故に、学生たちの多くが、入学試験に必要とされない理数系教科の勉強を高等学校の時点で半ば放棄していることにある。(中略)自然科学に興味を持たせることから始め、自然科学的な思考力の習得に加え、その知見を実際の社会との関わりにも十分に配慮した授業展開にすること』を提示している」本気で自然科学をやればやるほど、その適応範囲の限度が本当は見えるはずで、なんでも自然科学チック、なんでも単純数式による世界の模倣では「捕まえられない、見えない何がが生まれてしまう」という警戒心のセンスこそ、ほんとうの自然科学スピリッツであり、次の時代の教育なのではと自分は思います。その最たる領域が政治の非合理性、軍事の非合理性もですが(合理化された軍隊ほど、やられ担当はないでしょうに)、そういった感性が見えてこないと、常に企画は失敗すると思われてなりません。

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