From 三橋貴明@ブログ
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「ブリテン・ファースト」
From 三橋貴明@ブログ
イギリスでEU残留派の女性下院議員ジョー・コックス氏が路上で銃撃され、死亡する事件が発生。
地元警察は、52歳の男の身柄を拘束しました。
男は、
「ブリテン・ファースト(英国を第一に)」
と、二回叫び、コックス議員を殺害したと報じられています。
イギリスのEUからの「離脱派」が優位になってきた時点での、この事件。色々と考えさせられます。
『英議員銃撃、国民投票に影響か EU離脱めぐり世論過熱
http://www.asahi.com/articles/ASJ6H5J90J6HUHBI01M.html
EUからの離脱を問う英国の国民投票は、離脱派と残留派の運動が過熱している。勢いを増す離脱派の中核は、経済のグローバル化による恩恵を感じられず、「移民に職を奪われる」と感じる人々だ。EUを「官僚主義で、足かせになっている」と嫌う保守層も加わり、大きなうねりとなっている。
残留派議員に対する銃撃事件が今後のキャンペーンに何らかの影響を与えるのは必至とみられるが、これまでの各種世論調査では、離脱派の伸長ぶりは明らかだ。イブニング・スタンダード紙電子版は16日、態度未定の人を除くと離脱派は53%で残留派の47%を6ポイント上回るとの最新の数字を報じた。 大きな争点の一つが移民問題だ。離脱派のジョンソン前ロンドン市長は14日、EU域内からの移民が賃金減少をもたらしていると主張した。EUの「人の移動の自由」によって東欧・南欧から流入する安い労働力との競争にさらされている層へのアピールだ。(後略)』
現在のイギリスは、EU残留派とEU離脱派で、国民が完全に二分されてしまっている状況にあります。
CNNなどを見ていると、離脱派が、
「移民流入により、賃金が抑制され、仕事が奪われている」
と、経済的なデメリットを主張しているのに対し、残留派は、
「可哀想な難民を受け入れる必要がある。移民問題はEU離脱の理由にならない」
と、経済面「以外」の価値観を主張しており、議論がかみ合っていないように見えました。
英国にしても、ドイツなどと同じく、「安い外国人労働者」で経済界(企業・投資家)は恩恵を被っているわけですが、さすがに、
「安い外国人労働者を受け入れ、企業の利益を最大化するためにも、EUから離脱してはならない」
との主張は見かけませんでした。当たり前といえば、当たり前なのですが、ここに「移民問題」の究極的な歪みがあると確信しています。
外国移民を受け入れ、直接的な「利益」を得るのは企業や投資家です。国民の実質賃金を抑制し、企業の利益を膨らませることで、配当金や自社株買いにより「グローバルな投資家」に利益が分配されます。
とはいえ、そんなことを表立って言えないため、「移民受入で多様性のある社会に!」といった、抽象的な価値観論争が繰り広げられるわけです。
朝日新聞の記事の末尾には、
『「主権を我が手に取り戻せ」という自国中心的な主張や、グローバル化の現状に批判的で内向きな志向を強めるという点は、米大統領選で排外的な言動を繰り出す共和党のトランプ氏の支持層と重なる。』
とあります。まさに、上記の文章が典型的で、「グローバル化」「内向き志向」「排外的」といった抽象用語で批判し、「主権を取り戻す」という国民国家の主権者として当たり前の行動を「自己中心的」と断じるわけです
本来は「経済問題(あるいは「ビジネス」の問題)」の色が濃い移民問題が、価値観論争にすり替えられてしまい、主権者の声が圧迫される、一種の全体主義が進むことになります。
それにしても、「このタイミング」で、「優位に立っている」離脱派が、よりにもよって投票日の一週間前に「不利になっている」残留派の女性議員を射殺するなど、繰り返しますが「色々と考えさせられます」。
いずれにせよ、現在の英国で起きている国民の分裂は、将来の日本の姿かもしれません。日本が「日本国民の国」であり続けるためにも、我が国はTPPを批准してはなりませんし、同時に外国人労働者を受け入れてはならないのです。
ーーー発行者よりーーー
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【三橋貴明】ブリテン・ファーストへの1件のコメント
2016年6月19日 9:07 PM
ブリテンファーストと聞いてプロムスのラストナイト定番歌「ルールブリタニア Rule Britannia」を思い浮かべた人は私だけではないと思います。この歌の一番最初に When Britainfirst, at heaven's command,と出て来ます。サッチャーの時代にものづくりをやめてしまったイギリスはEUと半ば心中せざるを得ない面もある。しかしその心中に易々と甘んじてなるものかと決する敢闘精神も残っている。ブリテンファーストの名にその魂を見る気がする。陰謀の存在を私も信じ用心しつつ、陰謀論と親しくつき合う気がしないのは、陰謀論を傾ける熱意がこの敢闘精神を萎えさせているように思われるからだ。怯える者を増やすことは結局謀者を利することになる。残留派の背後を教わると離脱派の優勢は夕映えに見える。それでも勝つ気でいるのが興味深い。グローバリズムの本拠地といわれる米、英国で抵抗し闘う姿を見ていると、本当の健康というものを深く考えさせられます。
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