日本経済

2019年1月27日

【三橋貴明】「現金を銀行に預ける」の意味

From 三橋貴明

【近況】

三橋経済塾第八期第一回講義が開催されました。
ゲスト講師は河添恵子先生でした。
http://members8.mitsuhashi-keizaijuku.jp/

インターネット受講の皆さまは、
しばらくお待ちください。
(一週間ほどでWEBにアップされます)

ブログの方でも取り上げましたが、
一つ、思考実験をしてみましょう。

事実A:我々が使用している
一万円札などの現金紙幣は、
日本銀行の借用証書である

事実B:銀行は貸し出しの際に、
銀行預金というおカネを発行している

上記を理解した上で、

事実C:我々が現金を銀行に預ける際、実は
「日本銀行の借り入れ=借用証書を銀行が受け取り、
銀行預金というおカネを発行している」という事実を導き出せるか?

普通の人には、まず無理なのです。

理由は、三つあり、
まずは普通の国民は現金紙幣について

「それ自体が純資産的に
一方的に価値を持つおカネ」
であると認識してしまっていること。

二つ目は、
現金紙幣を銀行に「預ける」ことが、
実は借用証書を差し入れるのと
イコールであると認識できないこと。

三つ目は、
我々は「銀行の貸し出し」について、
借り入れる本人「のみ」が
借用証書を提出すると認識してしまうこと。
になります。

というわけで、
「確かに三橋の言う通り、
銀行は貸し出しの際に
銀行預金を発行できるのかも知れない。

だが、例外もある。
我々が現金紙幣を預けたときも、
銀行は預金を発行しているではないか」

といった反論が成立してしまうのです。

実際には、
現金紙幣が「日銀の借用証書」である以上、
反論になっていないのですが、

真実を理解するためには、
様々な「ハードル」があることが理解できます。

ところで、「日本国債の発行が、
民間(家計・企業)の預金を生成している」ことは事実です。

97年のデフレ化以降の日本で、
政府が国債発行を増やさなかった場合、
(不十分ですが、一応、増やしていた)
家計や企業の預金は拡大しようがありませんでした。

何しろ、預金とは
「誰かが銀行からおカネを借りる」こと無しでは、
この世に生まれようがないおカネなのです。

もっとも、
政府が国債発行で借りるおカネは
日銀当座預金であり、
銀行預金ではありません。

それにも関わらず、
なぜ国債発行で「銀行預金」が増えるのか。

政府がおカネを借り、
借りた日銀当座預金を担保に
政府小切手で支出し、

支払いを受けた企業が
政府小切手という「政府の借用証書」を
銀行に持ち込むためです。

銀行は政府小切手を受け取り、
「政府の借り入れ」の際に
預金というおカネを発行します。

銀行が発行した預金というおカネは、
企業経由で家計の預金口座に移り、
そこで「貯まっていく」わけでございます。

おカネは債務と債権の記録である。

各々のプロセス、
「いかなるおカネ」が「いかに動き」
「いかに創出され、消滅するのか」を理解して初めて、

「政府が国債を発行すればするほど、
家計(あるいは企業)の預金が増える」
プロセスについて
「完璧」に理解することが可能になるのです。

この手のややこしく、
かつ固い話は、主に
「メルマガ 週刊三橋貴明」
http://www.mag2.com/m/P0007991.html

で展開しておりますので、
ご興味がおありの方は、是非、ご登録下さいませ。

◆村田雅志のトークルーム
https://www.jikiden.co.jp/schedule/20190129-3
財務省が日本を亡ぼす~統計の嘘の本質を探る~
2019年1月29日 20:00~21:00
講師:村田 雅志氏(元外資系・通貨ストラテジスト/個人投資家、CFA)
ゲスト:三橋 貴明氏(経世論研究所 所長)

◆週刊実話 連載「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」
第30回 統計の嘘は国家の揺らぎ
なお、週刊実話の連載は、以下で(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
http://wjn.jp/article/category/4/

◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol505 家計の預金はなぜ増えた
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
97年のデフレ化以降、家計の預金は200兆円以上も増えました。
それでは、この200兆円の預金は「誰が借りた」ことにより創出されたのでしょうか。

◆メディア出演

三橋TV、続々リリースされています。

三橋TV第42回【TVが言わない消費増税が日本を滅ぼすワケ】
https://youtu.be/8yRQokVZRI8
三橋TV第43回 【元内閣官房参与から見た財務省の闇】
https://youtu.be/8OXObV55imQ
三橋TV第44回 【評論家の9割がデマを流す理由】
https://youtu.be/fe9Wz5ryVow

1月26日(土)
チャンネル桜「日本よ、今…「闘論!倒論!討論!」 」に出演しました。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1655

2月1日(金)
チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1651

◆三橋経済塾

1月19日(土) 三橋経済塾第八期第一回講義が開催となりました。
https://members8.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?page_id=75
第一回のゲスト講師は河添恵子先生。
インターネット受講の皆さまは、一週間ほどお待ちください。WEBに掲載されます。

◆チャンネルAJER

『緊縮財政派と規制緩和派の不毛な争い①』三橋貴明 AJER2019.1.22
https://youtu.be/sFsWKNYNuIA

—発行者より—
総理「政権中にこれを破棄できなければ、日本はオシマイ」

三橋貴明と総理との会談時で明かされた真実。

●総理が、三橋との会食をオープンに
(世に公開)してまで国民に伝えたかった事とは…?

●この会食で明らかになった、
私たちの邪魔をする”3つの敵の正体”とは?

●2020年に訪れるかもしれない
日本の危機的状況とは一体何なのか?

日本が発端となり、
2008年のリーマンショックが再来する?

などなどメディアが決して報道しない
「安倍総理の告白」と「日本経済2020年危機」
について解説した書籍を出版致しました。

こちらから詳しい内容をご覧ください。
https://keieikagakupub.com/38JPEC/1980/
※メルマガのバックナンバーを以下で
ご覧いただけます。
https://38news.jp/

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