日本経済

2018年9月17日

【三橋貴明】ストローマン・プロパガンダ(後編)

From 三橋貴明

【近況】

【今週のNewsピックアップ】
賃金統計に関する安倍政権の嘘
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12404563781.html
続 賃金統計に関する安倍政権の嘘
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12404732239.html

三橋は

「サンプリングが異なるデータ同士で
「対前年比」の数値を出すのは、
問題がある」

と批判しました。

特に、相変わらず何も考えていない
マスコミは、厚生労働省のデータを受け、

『実質賃金、21年5カ月ぶりの伸びに=6月の毎月勤労統計
https://jp.reuters.com/article/real-wages-idJPKBN1KS01K 』

『6月の名目賃金確報値3.3%増、速報値から縮小 毎月勤労統計
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL22H74_S8A820C1000000/ 』
『7月の実質賃金0.4%増=賃上げ広がる
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018090700353&g=eco 』
『7月給与総額、前年比1.5%増 12カ月連続プラス
https://mainichi.jp/articles/20180907/dde/007/020/045000c 』

とかやっているわけですよ。

それはまあ、100メートルの走者を
三橋からボルトに変えれば、
数字は一気に改善するでしょう。

とはいえ、異なるサンプルの比較には、
何の意味もありません。

というわけで、
三橋が批判のエントリーを書いたところ、

『超時空総裁アベ@第百巻行きそうだべw
@Fu_tujin · 9月12日
返信先: @TK_Mitsuhashiさん

総量調査を毎月行うのは
現実的に不可能であるために、
2,3年毎にサンプリング会社を見直し、
見直し度に階段状に値が上下するので
創設以来非難も多かった毎月勤労統計だが、
会社自体もころころ変わるので
見直さざるをえないわけだが
それを知らなかった経済評論家も
かなり情けないと思うぞw』

といった批判が来るわけです
(↑実際に来たツイート)。

一体いつ、三橋が「サンプリング」
について批判をしました?

上記は、三橋が
「異なるサンプリングの対前年比の比較」
ではなく、「サンプリング変更」を
問題視していると「設定」し、
批判を展開する
ストローマン・プロパガンダなのです。

ストローマン・プロパガンダとは、
言ってもいないことを言ったこととし、
つまりは「架空の三橋」をでっち上げ、
それを批判することで
言論の信用性を貶めようとする
手法です。

ストローマン・プロパガンダには、
大きく二つの効果があります。

一つ目は、もちろん発言者
(この場合は三橋)の信用を貶め、
言論のパワーを弱体化させる効果です。

「こんなバカなことを言っている奴
(実際には言っていませんが)
の言うことを信用するのかよwww」

と、個人の信用を
引きずりおろすことで、
発言の影響力の最小化を図るのです。

そして、二つ目。

肝心要の「議論」から、
話を逸らすこと。

今回の件でいえば、
安倍政権が実際には実質賃金が
対前年比で下落しているにも関わらず、
サンプリング変更により、

「実質賃金、21年5カ月ぶりの伸びに」
「7月の実質賃金0.4%増=賃上げ広がる」

などと報じさせているのが
問題なのです。

つまりは、議論すべきは
安倍政権の情報発信
(というか捏造発信)なのです。

ところが、
「三橋がサンプリングを批判している」
と論点をすり替えることで、
安倍政権の捏造発信については
議論されなくなってしまう。

別に、日本に限りませんが、
言論の世界はこの手の悪質な
プロパガンダだらけです。

無論、慣れている三橋は対処できますが、
普通の人は巻き込まれ、
間違った情報をインプット
されることになるでしょう。

というわけで、今回は典型的な
ストローマン・プロパガンダとして、
安倍政権の賃金統計に
関する嘘について取り上げました。

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【三橋貴明】ストローマン・プロパガンダ(後編)への5件のコメント

  1. たかゆき より

    straw man

    以下 ウィキペディア より引用

    語源は不明である。 比喩的な用法は、容易に倒せそうな藁人形、ダミー、かかしなどを示唆する

    論法としては論点のすり替えにあたる誤謬であり、無意識でおこなっていれば論証上の誤り(非形式的誤謬)となるが、意図的におこなっていればそれは詭弁である。

    引用おわり

    どうして person ではなく  man なのか⁇
    それは さておき

    そのような 論法を お好みの方は、、

    ご自分の 首から上が ワラ もとい
    ワヤ なんだ べ ♪

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  2. ヒロ より

    安倍政権支持者に多い論点すり替えで自身すら欺いていそうなんだよね。それでさらに論点ずらすために野党たたきなど始める。不都合な事実から逃げてでも安倍政権批判したくない理由はなぜかよくわからないが、おそらく政治への参加が嫌いなんだろうと推測する。政治は政治家や官僚がやるもので一市民の俺たちは関係ない。かかわって面倒なことに巻き込まれるのは冗談じゃない。だから見た目よさそうな政治家に全部お任せ。多少社会が窮屈でも我慢すれば自身の明日の生活の事だけ考えていればいい。文句言うやつは叩いてつぶすぞという人が批判者に文句言ってくるんだろうね

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  3. メイ より

     三橋さんの、敵対的な態度を取りやすい所、どうなのかなあ、と思っています。
     時々、トラブルや争いの種を蒔く結果にならないか、危機感を感じる事があるし、三橋さんのイメージが、大人げない人、になってしまうのでは?そしたら、三橋さんだって損だし、仕事しにくいでしょう?
     世の中、色んな意見があるんです。
     
     特に経済については、どの政策が効を奏したか、失敗だったか、現実には因果関係が特定しづらい面があって、だからこそ、たくさんの人が自由に発言している、様々な意見が生ずる分野だと思うから、異なる意見に対して「狂ってる」とか「頭がおかしい」とか「バカ」とか表現するのは、ちょっと行き過ぎているんじゃないかな。
     奇をてらったような理論や、自分に都合の良い意見を言う人が出てきやすいとも、言えるのでは。

     三橋さんの最近のブログで「自然災害との戦争」というエントリーがありましたが、地方の事、気遣ってくれて、ありがたいな・・と思いました。
     でも、少しだけ意見の違う所があって、それを書かせて頂きたいのです・・・。 
     私個人は、この国の主役は日本人ですら無くて、自然なんじゃないかな・・と思っているんです。
     (抽象的になってしまうかもしれませんが、意外と大切な事のように思ったので書かせて下さい)。
     だって、何か建物を建てる時、地鎮祭ってしますよね。
     それは、その土地の自然神に「この場所をお借りして良いでしょうか。どうか使わせて下さい。怒らないで下さい」と祈り、お願いする、という事なので。
     自然が荒れている時に、科学的に原因を把握する事が重要であるのと同時に、自然の言い分に耳を傾けるのは、場所をお借りしている以上、必要なんじゃないでしょうか。
     もしかすると、人為的に、人工的に自然の調和をねじ曲げすぎて、限界を超えてる所があるのではないか?とか。
     自然を科学技術の力でねじ伏せ支配する方へ振れ過ぎるのは、欧米的合理主義、みたいな印象があって、日本人にとってはどこか、落ち着かない考えのように思います。
     そして科学技をに極端に信望し過ぎると、人間は傲慢になってしまう気がします。

     ミヒャエル・エンデという人の言葉なのですが・・「つくる事ができる、という考えが頭の中に叩き込まれてしまうと、僕らとしてはどんなものでも科学的につくる事ができ、つくらなくてはならないと信じて疑わなくなる。社会も、計画都市も、人間の行動様式も、みんなの幸福とか世界平和だって、そう考えられてしまう」。
     私はこの言葉に共感します。
     こういうのが、保守を自称する先生方が問題視していた「理性の過信」「設計主義」だったのではないのでしょうか?
     科学技術の素晴らしさも理解した上での事ですが、バランスが大切に思います。
     
     

     

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      1. 拓三 より

        メイさんは優しい女性でしょう。
        メイさんの思考は尊重するべきです。

        ただ、自然災害において備えは必要です。
        もし仮に、活断層を動かない様にする。とか、プレイトの動きを止めるとか、あるいは台風が出来無い様に気候を変えるとか、そうなればメイさんの言う様に行き過ぎた、いや、間違えた科学的進歩でしょう。
         またメイさんが懸念される様に過去には自然との調和を間違え、開発を進めた事例が在るも事実です。
        例えば戦後、あらゆる山林を伐採し、針葉樹を植えたことにより山の栄養分が減少しそこから流れる川、そして海の生態系も変わった事により川、海の幸が減少。また山が痩せ細り土砂崩れが起こりやすくなったのも事実。

        でもそれも皆、経験じゃネ ?  受け入れて未来を作れば良いんじゃネ ?
        植林もどんな土地にするべきか ? 針葉樹だけでなく広葉樹の植林も必要ではないか ?  また堤防もコンクリートむき出しの可愛く無いものではなく土や木を取り入れ動物や昆虫が住める様な防波堤をつくるとか。あるいは田舎の高速道路でありがちな山を分断し動物の行動を遮断する様な道路ではなく、橋脚式にするとか、様々なやり方があるはずです。

        いわば、ファッションと同じ ! 
        メイさんの仰る通り日本国土は変えれません。でも人間が動きやすく、安全性があり、それでいて可愛いファッションに衣替えする事は可能です。これまでの日本は堅苦しいスーツ姿。だから公共事業が人気が無いのですw
        動きやすさ、安全性、優しさ、そして可愛らしさ ! これを考えていけばメチャクチャ楽しいくない ? 日本の未来がw

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  4. 拓三 より

    メイさんは優しい女性でしょう
    メイさんの思考は尊重すべきです。

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