日本経済

2018年6月16日

【三橋貴明】凋落する科学技術力を食い止める

From 三橋貴明@ブログ

資本主義とは、モノ、ヒト、技術
という経済の三要素を強化し、
生産性を高め、国民の実質賃金を
引き上げることで成長するモデルです。

モノ(=資本)を強化するのが
設備投資、公共投資。

ヒト(=労働)を強化するのが
人材投資。

そして、技術を強化するのが
言うまでもなく技術投資になります。

以前、チャンネル桜の財務省討論で、

「技術投資が増えていないのが、
決定的にまずい」

と、発言しましたが、
何しろ技術がなければ
設備投資も公共投資もできません。

おカネは発行できますが、
道路、トンネル、橋梁、鉄道網、
空港、港湾、発電所、送電線網、
電波塔、通信ネットワーク、
ガスパイプライン、上下水道網、
建築物、工場、機械・設備、運搬車両
といった生産資産は、
技術無しでは生産不可能なのです。

生産資産がない状況では、
どれだけ人材がいたとしても、
モノやサービスの生産はできません。

「不毛の砂漠で所得を稼いでみなさい」

という話になってしまいます。

技術は経済の
(少なくとも「資本主義経済」の)
基盤なのです。

『日本の科学技術「力が急激に弱まった」 白書を閣議決定
https://www.asahi.com/articles/ASL66539WL66ULBJ005.html

政府は12日、科学技術について
日本の基盤的な力が急激に
弱まってきているとする、
2018年版の科学技術白書を
閣議決定した。

引用数が多く影響力の大きい
学術論文数の減少などを指摘している。

白書によると、
日本の研究者による論文数は、
04年の6万8千本をピークに減り、
15年は6万2千本になった。

主要国で減少しているのは
日本だけだという。

同期間に中国は約5倍に増えて
24万7千本に、
米国も23%増の
27万2千本になった。

また、研究の影響力を示す論文の
引用回数で見ると、
上位1割に入る論文数で、
日本は03~05年の
5・5%(世界4位)から、
13~15年は
3・1%(9位)に下がった。(後略)』

2000年度を100とした場合の各国の科学技術関係予算の推移 】

2000年度を100とし、
直近の科学技術関係予算を比較すると、
中国が11倍、韓国が4.7倍、
アメリカ、ドイツ、イギリス
といった先進国ですら1.5倍強。

それに対し、我が国は1.06倍。

予算を全く増やしていない。

この状況で科学技術力が
凋落しなければ奇跡ですが、
残念なことに奇跡は起きていません。

さらに、大学を法人化し、
「短期の成果主義」
という狂った発想を導入。

国立大学が法人化された
2004年には1兆2415億円
だった国立大学法人運営等交付金は、
2017年には
1兆0970億円にまで削減されました。

文部科学省は、法人化の際に、
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/03052702/002.htm

「今回の法人化は、
財政支出の削減を目的とした
「民営化」とは全く異なるものです」

と説明していたくせに、大嘘。

予算削減の緊縮と、
短期の成果主義が蔓延し、
長期的な研究開発がほぼ不可能。

繰り返しますが、この状況で
科学技術力が凋落しなければ奇跡です。

白書では、大学に対し、

「会議を減らして教員らが
研究に割ける時間を確保すること」

などと眠たいことを提言していますが、
まずは国立大学法人化が
「間違っていた」ことを
認めなければなりません。

そして、せめて米英独並に
科学技術関係予算を増やし、
かつ「長期」に予算をコミットすることで、
研究者の雇用を安定化させ、
長期的研究に取り組める
ようにするのです。

04年以降の緊縮、短期路線が続く限り、
我が国の科学技術力の凋落を
食い止めることは不可能です。

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【三橋貴明】凋落する科学技術力を食い止めるへの3件のコメント

  1. たかゆき より

    人材は居る 能力も有る

    無いのは カネという 紙。。。

    日本人の有する 高いポテンシャルを
    思う存分発揮する 機会すら与えられない、、

    ばかり か
    そのポテンシャルすら毀損しようとする
    愚かさ

    賢しらな緊縮頭で 考えることは 己の財布の重さのみ
    人類の繁栄やら 幸福に 少しでも
    貢献させて いただこう なんて
    これっぽっちも 思わない のか
    しら ん。。。

    返信

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  2. 北海の山 より

    全くその通り。日本という小国が科学技術を捨ててしまえば
    現代において列強と表向きでも対等な振る舞いすら期待できない
    国力となってしまうではないか。

    つい先日、三橋氏が起死回生の妙案として戦争というキーワード
    言っておられたが、私も10年くらい前はそうも思っておりましたが、現在のサイバー戦争ではそれもいささか難しいかと。
    それでここ最近は、日本国内に賢者たちのイリーガル組織をつくって まあ、資産や技術の温存をはかるみたいな。
    イリーガルは、あくまで内々という意味ですけど、表だって
    やれば潰されかねないので。民主主義は万能ではないですから。
    つまり、志ある人間を選別し、守り、リーダーに据える。
    国益に反するリーダーが例え経団連の偉い人でも考えを改めさせる力のある賢者組織を垣根を取り払い作るのは無理だろうか。
    私は、心ある官僚や学者がその気になればと思ってますが。

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  3. 毎日父さん より

    財務省を滅ぼすか日本が滅ぶかと言う状態ですね、今の日本は。
    私は財務省が滅ぶ事を望みます。

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