日本経済

2018年2月14日

【三橋貴明】日本国の縮図

From 三橋貴明@ブログ

またもや、北陸地方が
大雪に見舞われています。

本日午前5時時点の積雪量は、

大野市九頭竜281センチ、
大野176センチ、
南越前町今庄134センチ、
越前市武生124センチ、
福井106センチ、
大野市九頭竜281センチ、
越前市武生124センチ。

大野市と越前市は、観測史上
最大の積雪量になります。

嶺北地方の
ガソリンスタンドは6割が休業。

営業している店でも、給油制限。

サンダーバードも、しらさぎも運休。

普通列車は、福井と敦賀間で
やはり終日運休。

道路は回復しつつあるものの、
完全に復旧したわけではない
タイミングで、またもや大雪。

わたくしたちの「生活」は、
本当に「もろい」ものです。

大震災が発生しなくても、
大雪が降るだけで、いきなり
維持不可能になります。

東京圏にしても、数年に一度、
大雪に見舞われ、積雪になりますが、
途端に物流はストップです。

東京圏は、もちろん北陸地方よりも
豪雪災害に対しては弱いです。

東京圏と比べれば豪雪に
強いはずの北陸地方が、
今回の事態に至っているわけです。

昨日、悲しいニュースが流れました。

『除雪作業中、重機オペレーター死亡 疲労ピーク、心肺停止で見つかる
http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/293168

記録的な大雪の除雪に当たっている
福井県内の建設業者の疲労が
ピークに達している。

10日夜には福井市内で除雪作業を
行っていた重機の男性オペレーター(66)が、
重機内で心肺停止の状態で見つかった。

長時間の作業が続く市内の
建設業者の1人は

「業者はみんな懸命にやっている。
市民の皆さんは車での不要不急の外出は控えて、
スムーズな除雪に協力してほしい」

と呼び掛けている。

男性が亡くなったのは、
福井県護国神社南西の市道交差点付近。

福井市などによると、男性は
市の依頼を受けて現場付近の
除雪の担当をしていた。(後略)』

除雪作業中に亡くなった
オペレーターさんの遺族によると、
この方は6日未明から「連日」
「1日3~4時間の仮眠だけ」で、
昼夜を問わず除雪作業を
されていたそうです。

家族が、

「少し休んだら」

と、声をかけても、

「やらないといけない」

と、除雪に出たとのことでございます。

福井西部の除雪担当業者
エス・イ・コンサルの森國茂治社長は、

「ある程度の従業員が
いるうちでもこの状況。

小規模な事業者は、少人数が
仮眠を取りながら重機に
乗りっぱなしだろう。

亡くなった方もきっと疲労が
蓄積していたのではないか」

と、語っています。

エス・イ・コンサルは、重機五台を
フル稼働させ、14人のオペレータが
一日平均10時間作業をしているものの、
それでも追い付かないそうです。

自然災害に対して「余裕」を
失わしめる緊縮財政は、
負担を「現場」に押し付けます。

介護サービスと同じですね。

介護サービスにおいても、
介護報酬を引き下げ、介護業者の
「余裕」を削り、その負担は
「現場」に押し付ける。

除雪や介護の現場では、
責任感が強い「日本人」が懸命に働き、
何とかしようとするものの、
誰もが次第、次第に「壊れて」いってしまう。

現在の福井で起きていることは、
日本国全体の緊縮路線により
壊れていく現場、そして
日本国の縮図なのだと思います。

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【三橋貴明】日本国の縮図への4件のコメント

  1. たかゆき より

    こんな 日本に誰がした?

    答え: 福田派

    角福戦争に敗れた 福田赳夫
    あの 悔しそうな面 
    映像で拝見したことあり、、

    時は流れ 角栄の一門は 自民党から
    馬糞の川流れ

    出自が大蔵省の 福田赳夫
    その一門
    小泉某 安倍某が
    素敵な 素敵な日本を造り出す(たぶん)

    もっとも 栄枯盛衰 世の流れ 
    いつまでも あると思うな 財務省♪ 

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      1. たかゆき より

        そういえば、、
        百姓の子倅 無学歴の
        角栄さまが 大蔵大臣を なさっていらした
        神代の 時代が羨ましい。。。

        返信

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  2. 天鳥船 より

    以前は国土交通省(当時は建設省)にしろ、自治体にしろ、道路管理者は大抵除雪車を持っていました。除雪車だけではありません。道路を清掃する清掃車(ロードスイーパー)もありました。これら特殊車両の運転は現業職と呼ばれる職員が行い、道路の維持管理を行っていました。
    おそらくここを閲覧している方々も、子供の頃に「建設省」とか「○○県」とか車体に書かれた道路清掃車が、早朝に道路を清掃しているのは見たことがあるのでは無いでしょうか。
    その後、「行政のスリム化」の名の下に人員整理が行われ、現業職の人たちは真っ先にその対象となりました。道路の維持管理の為の特殊な重機は払い下げ対象となりました。小泉政権で、「民間でてきることは民間で」のかけ声のもと、その動きはさらに加速していきました。
    今では、除雪や道路清掃を直営で行っている道路管理者はほとんどありません。しかし、委託を受けた民間の土建会社も、小泉政権下での大幅な公共事業削減により、企業体力を失っています。それに長年の公共事業悪玉論によるイメージダウンの影響で、若い人が土建屋に就職しません。このニュースのオペレーターも66歳ですね。
    業界の少子高齢化、人手不足は深刻です。また、収益の悪化している業者は、高価な除雪車を買う資金も維持する能力失いつつあります。
    来年、再来年も今年同様の大雪が降れば、今年以上に深刻な事態になるでしょう。

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  3. ヨシケイ より

    最後の砦

    近年、自衛隊、特に陸上自衛隊の災害派遣の機会が増加している。
    そして、吉田茂元首相の言葉を思い出す。

    公共投資で物理的な自然災害への対処を諦めた日本は、自然の脅威に対しても専守防衛で一撃甘受を貫いている。
    そして、自然の脅威と他国の脅威で最悪の状態でなった後に、最後の砦である陸上自衛隊にバトンが渡される。失敗は許されず、事態を必ず好転させる事を強要される彼等は、非常に厳しい立場にあると思う。

    その割には、結構安易に、最後の砦まで到達してしまう日本の安全保障態勢に疑問を感じる。

    現在の日本は、幾重にも防御網を張り巡らさず、最後の砦の一重で勝負しているに等しい。真に狂っていると思わざるを得ない。

    この新聞で発信している情報を少しでも広めるべく微力ながら頑張っていきたい。

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