日本経済

2016年4月16日

【三橋貴明】熊本地震と国土強靭化

From 三橋貴明@ブログ

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なぜ日本の実質賃金は1997年を絶頂に下降を続けているのか?
なぜ20年前の日本人よりも買えるものの量が減っているのか?
なぜ日本人の貧困化が進んでいるのか、その実態を明らかにする、、、

『月刊三橋』最新号
「日本経済格差拡大のカラクリ–実質賃金の軽視が招いた大災害」
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 本日は三橋経済塾第五期第四回講義開催日です。ゲスト講師は、京都大学大学院教授の藤井聡先生です。

 14日午後9時26分頃、熊本県を震源とする最大震度7の地震が発生し、その後も大きな余震が続いていたわけですが、本日午前1時25分頃、マグニチュード7.3の地震が発生し、大きな被害が出ています。さらに、午前4時前には阿蘇地方を震源とする地震で震度6強を再び観測。
 阿蘇村の阿蘇大橋が崩れ落ちた光景をTVで視聴し、ショックを受けました。阿蘇山に向かう際に、普通に通っていたあの橋が、土砂崩れにより崩落してしまった・・・・。

 さらに、南阿蘇村では複数の家屋が倒壊し、生き埋めになられた方も出ています。皆さん、無事に救出されますように・・・。

『気象庁「熊本地震は『前震』 今回が本震か」

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160416/k10010482591000.html?utm_int=news_contents_news-main_005

 気象庁は、記者会見で、16日午前1時25分ごろに起きたマグニチュード7.3の地震が「本震」で、それより前のおとといの夜に発生した熊本地震が「前震」にあたるという見解を示しました。
 地震活動が拡大していることから身の安全を確保するよう呼びかけています。気象庁の青木元地震津波監視課長は午前3時半すぎに記者会見し、16日午前1時25分ごろに起起きたマグニチュード7.3の地震は、14日の夜に起きた熊本地震のマグニチュード6.5に比べ規模がはるかに大きいことなどから「熊本地震がいわゆる「前震」で、今回の地震が本震だとみられる」と述べました。
 そのうえで、「今回の地震で揺れが強かった地域は14日の地震よりも広がっている。揺れの強かった地域では危険なところから離れ、身の安全を確保して欲しい。余震も多くなっていて今後1週間程度は最大で震度6弱程度の余震が起きるおそれがあり、十分注意して欲しい」と呼びかけました。
 また、マグニチュード7.3の地震のあと、震源の北東側の阿蘇地方や大分県でも地震活動が活発になっていて、午前4時前には熊本県阿蘇地方で震度6強の揺れを観測する地震も起きています。(後略)』

 一昨日の地震から、次第に震源地が東北方面に移動していっているのが、気になります。

 さらに気になったのが、熊本市民病院や宇土市役所、大津町役場など、公共建築物で倒壊の恐れが出ていることです。熊本県によると、熊本市民病院には多数の負傷佐賀運び込まれ、治療を受けているのですが、1階の天井が約2m四方に渡り崩れ落ち、更に建物が傾いているとの情報があります。

 宇土市役所は、倒壊の恐れがあるとして現地の警察が入っています。職員さんたちは、全員、避難しているとのことです。

 大津町役場も、建物の一部が崩れ落ち、職員が避難したそうです。敷地内にある別の建物に、災害対策本部が置かれ、救援活動が行われています。

 昨日、わたくしは長崎を訪れたのですが、現地の方が、
「九州で、こんな大きな地震が起きるとは思っていなかった」
 と、仰ったのが、大変印象的でした。

 結局のところ、日本国に住んでいる以上、大地震の脅威からは逃れられません。

 特に、病院や市庁舎など、実際に大地震が発生した際には治療や救援の「拠点」となる建造物は、全国的に早急な耐震化工事が必要です。何しろ、震災発生時に病院や行政機関までもが倒壊してしまうと、救援活動が大きく滞ることになってしまいます。救援の遅れは、人の命にかかわるのです。

 思えば、五年前の東日本大震災発生後、藤井聡先生が「国土強靭化」の原案を書きあげ、自民党政権下で「国土強靭化基本法」が成立しました。とはいえ、現実には予算がふんだんに使われているというわけではなく、日本国の強靭化が着実に進んでいるとは言えない状況です。

 そして、日本国民や日本の政治が対応しようが、対応しまいが、我が国では容赦なく大地震という自然災害が到来します。我が国で、国土強靭化に背を向ける政治家は、不要な存在です。
 などと書くと、またもや想像力が欠如した思考停止勢力から、
「熊本で大地震が発生したからと言って、我田引水するな!」
 と言われてしまう(2011年は実際に言われました。誰からとは言いませんが)わけですが、わたくしは別に政治家でも土木・建設業者でもないんです。

 日本国が国土強靭化を推進したとして、
「ああ、日本国が安全になっていく」
 と思い、安心する以外に、直接的に恩恵があるわけではありません。

 そして、国土強靭化のフロー創出(所得創出)効果は、確かに疲弊した土木・建設業の雇用や所得を生み出しますが、工事の結果として残されたインフラは、ストック効果として「日本国民」を救うのです。それの何が問題なのでしょう。

 何と言いますか、自分たちの心がさもしく、「利益」なしでは人間が動かないと思っているような腐った連中が、
「三橋は土建屋の手先だ!」
「三橋は電力会社の犬だ!」
「三橋は農協からカネをもらっている!」
 などと、卑しいレッテル貼りをすることで、発言を抑え込もうとするわけです。絶対に、やめませんから、言い続けることを。

 といいますか、土建屋の手先で、電力会社の犬で、農協からカネをもらっているって、わたくしはどんだけ八方美人なんですか。本当にそうだったとしたら、むしろ「人づきあいが巧い人だなあ」と、尊敬してもらいたいくらいですよ。

 現実には、わたくしは、
「国土強靭化が必要である」
「日本のインフラ投資が必要である」
「電力自由化や農協改革は、日本国のエネルギー安全保障や食料安全保障を壊す」
 と確信しているからこそ、国土強靭化を支持し、インフラ投資を提言し、電力自由化や農協改革に反対しているのです。日本のインフラが十分で、国民の防災的安全保障が確立されているならば、発言を変えますよ、当たり前でしょ。

 いずれにせよ、日本国の亡国を阻止するためにも、国土強靭化を「真剣」に推進する必要があります。我が国は、国民が常日頃から「防災安全保障」について考え、具体的な行動を続けなければ、生き延びられない国なのです。

ーーー発行者よりーーー

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かつて日本は「一億総中流」などと言われ、比較的、経済格差の少ない国だとされていた。その「一億総中流」の経済力によって、大きな経済成長を遂げてきた国だった。

しかし、それも「今は昔」。デフレが深刻化するとともに、経済格差の拡大が問題視されるようになっている。

三橋貴明はその原因を政府が「デフレを甘く見ていること」と「実質賃金を軽視していること」と指摘する。特に「実質賃金」は重要なキーワードであるという。

実質賃金とは物価変動の影響を除いた賃金のことだが、要するにモノやサービスを「買う力」を表している。

この実質賃金が、日本では1997年をピークに下がり続けているという。株価が上昇していたアベノミクス初期ですら、実質賃金(=買う力)は下がり続けていたのだ。

なぜ、日本国民の「買う力」は低下し続けているのか。また、この事実はデフレや格差拡大とどのように関係しているのか。

三橋貴明が、デフレの正体やその脱出法とともに詳しく解説する。

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【三橋貴明】熊本地震と国土強靭化への1件のコメント

  1. 通りすがり より

    いつも拝見させて頂いております。中野剛志さんと佐藤健二さんの保守対談を聞いたところ、興味深い内容がありました。「国は庭に、資本の流れは水の流れに、そして政府は庭師に例えられる。政府(庭師)は、水路を需要に適したように作り、水を必要な場所に流してやることが重要だ(コールリッジ)」三橋さんを◯◯の手先だと言う人は、まさに我田引水をもくろむ人なのだろうと思えます。またこうも仰っていました。「自由主義とは、庭師は不要とし、庭がどんな形に成り果てようとも、それが自己責任なのだからと放置するという考え方。社会主義は、庭師は完璧で全てを把握しているため、庭師に任せていればいつでも完璧で文句のつけようがない庭が仕上がっているはずだという考え方。」おそらく三橋さんならばどちらも「おかしい」とツッコミを入れたくなることと思いますが、三橋さんのような立場の方は、自由主義と社会主義、両方から叩かれるのです。現在の状況はそういうことなのだろうと思います。今後ともよろしくお願い致します。

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