日本経済

2017年7月14日

【三橋貴明】続 デフレ型経済成長

From 三橋貴明@ブログ

デフレ型経済成長:総需要(名目GDP)が縮小するデフレ期に、
物価下落率が総需要の縮小率を上回り、
実質GDPがプラスで計算されてしまう経済現象。

財務省は、とにもかくにも「あらゆるレトリック」を
緊縮財政のために利用してきます。

代表が、浜田宏一教授や岩田規久男教授らの
「いわゆるリフレ派」理論、すなわち、
「デフレは貨幣現象です」
という間違った認識が、緊縮財政のために活用されてしまったことです。

「デフレは貨幣現象なのでしょ? ならば、
日銀がおカネを発行すれば、
政府が緊縮財政をしてもデフレ脱却はできるよね」

というレトリックで、消費税が増税され、
介護報酬、診療報酬、公共投資が削減されました。
結果、2016年から我が国は再デフレ化しました。

デフレとは、需要=仕事不足という現象です。

仕事不足であるならば、普通はヒトが余るのですが、
日本ではそうはなりません。
理由は、少子高齢化に端を発する生産年齢人口比率の低下により、
強制的に人手不足が進むためです。

本来、人手不足である以上、
我々経営者は物価を引き上げなければなりません。
安倍政権の緊縮財政という「失政」があったとしても、人手不足ならば物価は上がるはずです。

ところが、長年のデフレマインドに染められた我々は、
人手不足であるにも関わらず、
モノやサービスの価格を上げられない
(多少、上がり始めてはいますが)。

インフレと、デフレの隙間で今も日本経済は喘ぎ続けています。

それはともかく、人手不足は
「生産年齢人口比率の低下によるもの」と強調しているのは、財務省が、

「人手不足なんでしょ? ならば、もうデフレ脱却で、
財政出動は不要ですよね」

と、緊縮財政を推進するレトリックを使ってくるに
決まっているためです。(使ってきています)

さらに、現在の日本は名目GDPという需要が
縮小する中(もろにデフレです)、
物価下落率が名目GDP縮小率を上回っているため、
実質GDPがプラスで計算されてしまいます。

というわけで、計算された実質GDPがプラス化した
「デフレ型経済成長」になっていることを受け、
「五期連続の経済成長でしょ?
ならば、もうデフレ脱却で、財政出動は不要ですよね」
とのレトリックを、財務省は使ってきます。。

『安倍政権の支持率低迷で積極財政求める声-財政再建とのジレンマも
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-07-12/OSYMMQ6KLVR501
安倍晋三政権の内閣支持率が低迷する中、
今年度補正予算を視野に積極財政を求める声が
早くも政府・与党の一部から上がり始めている。
ただプラス成長下での追加歳出の効果を疑問視する指摘もある。

税収落ち込みにより財源確保も困難で、
財政再建とのジレンマも見え隠れする。

内閣官房参与の藤井聡京都大学大学院教授は
10日の取材で
「財政拡大は必ず国民の評価を得る。
景気の回復を通して結果的に支持率回復にもつながっていく」
と主張した。

10兆円超の大型経済対策が「効果的だ」とし、
補正予算の必要性を指摘。
財源は国債発行で補うとの考えを示した。(後略)』

後略部で、「日本の未来を考える勉強会」の呼び掛け人
代表である安藤裕衆院議員が、
「まだデフレから抜けきっていない。今は積極財政の時期だ」
と語り、国債を財源に10兆円規模の補正予算を
編成する必要性を訴えたことが書かれています。

問題は、その後です。

『(前略)景気は好調

足元の景気状況は悪くはない。

1-3月期の実質国内総生産(GDP)は、
輸出が堅調な中で消費が持ち直し、
5期連続のプラス成長となった。

5期連続はリーマンショック前の
06年4-6月期以来約11年ぶりだ。

3日発表の日銀短観(6月調査)の大企業・製造業の
業況判断指数(DI)も3期連続で改善した。

第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは6日の取材で、
「景気も良い状況。財政出動の理由付けが難しい」と述べ、
補正予算を編成しても前年の経済対策の剥落による影響を
抑える程度のインパクトにとどまるとの見通しを示した。

人手不足の状況で、公共投資の上積みはしずらいこともあり、
「大規模にするにしてもやることがない。効果が見込みにくい」と指摘した。(後略)』

ほらきた・・・・。

デフレ型経済成長を受け、
「エコノミスト」と称する経済(経済「学」ではない)のど素人たちが、
財務省の意向を受け、
「五期連続のプラス成長だ。財政出動は理由がない」
という、緊縮財政のレトリックを使ってきました。

現実の日本は、実質消費が21カ月連続(うるう年効果を除く)で
対前年比マイナス。
GDPデフレータは対前期比で▲0.5%、コアコアCPIは対前年比▲0.1%と、
完全なデフレ状態にあります。

それにも関わらず、

「少子化による生産年齢人口比率の低下を受けた有効求人倍率の上昇」
「需要の縮小率を物価下落率が上回ることによる、実質GDPのプラス化」

といったレトリックを用い、財政出動を妨害しようとしてくるわけです。

日本国民がこの種の虚偽のレトリックに対抗するためには、
それぞれの「指標の意味」「指標の定義」「指標の関係」を
正しく知る必要があります。

現在の日本は(厳密には16年から)デフレ化し、
財政出動が必要な局面なのです。

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【三橋貴明】続 デフレ型経済成長への2件のコメント

  1. robin より

    指標の意味定義関係について詳しく分かり易く解説してくれるなら報道も有難いのだが実際は私的利益を追求する一営利企業としてのマスコミの手段はプロパガンダしか出来ないのだから見ていても意味不明になるだけ、説明するつもりが無いのだと思われる。「需要の縮小率を物価下落率が上回ることによる、実質GDPのプラス化」なら腑に落ちるが、「5期連続のプラス成長」の「成長」とか「(大企業の)足元の景気は悪くない」の「足元」とか主語や背景や前提が説明無しにコロコロ入れ替わるので読むのに苦労する、いちいち省いた主語や背景を補完するのに手間がかかる。やはり本業は印象操作で報道機関の癖に説明するつもりは無いのだろう。情報は秘匿されて初めて価値がある。

    返信

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  2. takosuke より

    そもそも名目GDP前年対比+2%がインフレ(目標?)だなどとは、だれが言い始めたんだろう。インフレにしろデフレにしろ、少なくとも数ケ年間その趨勢が続いた時のことで、物価上昇率2~3%がインフレだなどどいったら、俺のおやじの世代はおったまげるだろうよ。
    思うに+3パーセント辺りを水準として、それから+-3%以上の隔たりが数年間以上続いたときに、初めてインフレだのデフレだのいえるんじゃないの。そういう意味ではいくらかの凸凹はあったにしろ過去20年間デフレが続いているというのが真実でしょう。
    正しい指標としては生産年齢人口比率ではなく、生産年齢人口比率/非生産年齢人口比率を取るべきではないだろうか?この方が劣化程度は急角なりますよ。

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