From 三橋貴明@ブログ
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政府は8月2日、「事業規模」28.1兆円の経済対策、正しくは「未来への投資を実現する経済対策」を閣議決定しました。
『政府が経済対策を決定、事業規模28.1兆円 第2次安倍政権で最大
http://jp.reuters.com/article/economic-policy-idJPKCN10D0LD
政府は2日、新たな経済対策を閣議決定した。国の実質的な追加歳出となる「真水」に、地方自治体の財政支出や民間事業への融資も積み上げ、事業規模は28.1兆円とした。2012年の第2次安倍政権発足後で最大の対策規模とし、民需主導の経済成長を目指す。
政府は今回の対策で「未来への投資の実現」を掲げ、1)1億総活躍社会の実現加速、2)21世紀型のインフラ整備、3)英国の欧州連合離脱に伴うリスク対応、4)熊本地震や東日本大震災からの復興、5)好循環強化のための構造改革――を列挙。同日夕の臨時閣議に先立つ政策懇談会で、首相は「民需主導の持続的な経済成長と1億総活躍社会の確実な実現を進めたい」と述べた。
総活躍社会の実現では、雇用保険料や国庫負担の時限的な引き下げを柱とする制度見直しに着手することを新たに明記。簡素な給付措置について、19年9月までの2年半分を一括して措置する方針も盛り込んだ。
一方、対策の柱となるインフラ整備では、財投債を原資とする財政投融資の手法を活用し、リニア中央新幹線の全線開業を最大8年前倒しする。国際協力銀行(JBIC)などが日本企業の海外展開を支援するインフラ輸出の拡大に向けた対策も明記した。
対策の事業規模は28.1兆円、このうちの財政措置は13.5兆円とした。(後略)』
経済対策の詳細は以下で確認可能です。
【未来への投資を実現する経済対策(平成28年8月2日閣議決定)】
http://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/keizaitaisaku.html
本ブログ的に最も気になる「? 21世紀型のインフラ整備」ですが、
『21世紀型のインフラを整備する。具体的には、観光振興のためのインフラ整備、農林水産物の輸出促進や農林水産業の競争力強化に向けたインフラ整備を図る。また、リニア中央新幹線の計画を前倒し、整備新幹線の建設を加速化する。成長への投資となるものは思い切って行い、中長期的に成長していく基盤を構築する。』
となっており、「インフラ整備」という普通の政策ですら「観光振興」や「農林水産物の輸出促進」といった「それっぽい政策」とセットでなければ推進できないところに、我が国の悲哀を感じます。
我が国の港湾設備は、長年の公共投資削減により、先進国としては異例なまでに「惨めな状態」になっています。何しろ、世界の海運の主流である1万TEUコンテナ船が入れる港が、横浜と名古屋しかないのです(二年前まではゼロでした)。
というわけで、海運の生産性を高めるためにも、港湾整備は必須なのですが、外国人「様」に観光にお越し頂くために、
『大型クルーズ船受け入れのための港湾整備』
との理由を持ち出し、政策化しなければならないわけです。
新幹線関連では、
『(3)リニア中央新幹線や整備新幹線等の整備加速
大都市がハブとなって、地方と地方をつなぐ地方創生回廊をつくり上げることで、全国を一つの経済圏に統合し、成長の果実が全国津々浦々にいきわたる環境の整備を図る。』
と、これだけはまともな(現在の日本の問題を解決するという意味で)政策になっています。
とはいえ、財政投融資でJR東海にリニア新幹線の名古屋−大阪間の建設資金を融通したとしても、実際に建設(の前の環境アセスメント)が始まるのは2025年頃でしょう。
一応、「21世紀型のインフラ整備」には財政措置が6.2兆円、講じられることになっていますが、財政投融資では支出のタイミングが「民間企業の経営判断」に依存することになってしまい、即効性があるかどうか疑問です。
今回の経済対策では、建設国債について3兆円(わずか!)発行することになっていますが、結局、我が国が未だに「プライマリーバランス黒字化」という呪縛にとらわれていることは明らかなのです。もちろん、財政投融資で必要なインフラを建設することを否定するつもりはありませんが、「デフレ脱却のための十分な脱出速度」が得られるか否かは、疑問視せざるを得ません。
全体の話に戻りますが、今回の経済対策における財政措置は今年度、来年度以降を合わせて13.5兆円。政府の歳出分は7.5兆円で、残りの6兆円が財政投融資になります。
今年度予算には6.2兆円の国費が投じられ、内閣府は短期的なGDP押し上げ効果を1.3%と見込んでいます。政府が6.2兆円の支出をし、GDPが約6.5兆円増加するというわけで、相変わらず極端に小さな乗数効果で計算されてます。
それはともかく、今回の経済対策を見ると、本当に我が国の政策は「縛られている」と、つくづく感じ入りました。縛っているのは、もちろん「プライマリーバランス黒字化目標」であり、嘘っぱちの財政破綻論であり、公共投資否定論です。何しろ、先進国として必須の港湾整備すら、「大型クルーズ船受け入れのため」と理由づけをしなければならないわけですから、情けないの一言に尽きます。
もっとも、希望がないわけではなく、
『二階氏 財政収支黒字化見直しにも言及
http://mainichi.jp/articles/20160804/k00/00m/010/108000c 』
と、ようやくプライマリーバランスについて「疑問視」する声が政治家から出始めています。
とはいえ、日本銀行の金融政策の限界が明らかになった状況で、財政支出について「不十分な政策」を実施するのが、我が国の限界というわけです。(もちろん、やらないよりはやった方が、はるかにマシですが)
現状の日本が「十分な政策」を実施するためには、国民が上記の「縛っているもの」を打破していくしかありません。そのためには、今回の経済対策の「効果」をウォッチし、評価するべきところは評価し、間違っていたところは教訓とするとう、冷徹な視点を持つ必要があるのです。
とりあえず、プライマリーバランス目標の早期破棄を訴える必要があると思います。
ーーー発行者よりーーー
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【三橋貴明】「事業規模」28.1兆円の経済対策(後編)への3件のコメント
2016年8月7日 10:53 PM
>今回の経済対策の「効果」をウォッチし、評価するべきところは評価し、間違っていたところは教訓とするとう、冷徹な視点を持つ必要があるのです。それが、日本国民には出来ないのです。だから最後は組織の問題に帰結する訳です。保守だとか言っちゃってる人の大半の思考法が帰納でも演繹でもない、只の妄想レベル。保守だというならせめて、憲法議論について憲法の目的である人権保障を達成するという観点から、憲法の問題を明らかにして頂きたい。推定無罪なんですよ。中国や韓国の言う事に嘘だとケチをつけておいて、自分らは憲法に対して、ナチスみたくいったもんがちなんて同じ穴の狢のファシストの尻尾が出てますよと。保守だと言うなら慣習法やベーコン、バークもそうですが帰納的で実証的な思考をしましょう。帰納は現象を演繹した物であり、演繹の傍流だと私は捉えてますが、今の日本の保守とかいう連中はもはや帰納でなく、デカルト界隈の演繹かというと一応、演繹も事実をベースに推論をする訳で、その根底には帰納的な物がある。輪の様な関係ですね。これが回転という話し合いでアウフヘーベンしていく、ヘーゲルの弁証法だ。だから、連中はどちらでもない只の野蛮人の土人ですよ。保守ではなくデマゴーグ=嘘つきのファシストです。桜の討論もそうですが論客たちが言う様に日本は昔から民主的だったと私も思いますよ。そう言う意味では方向性は違うが北朝鮮だって中国だってとても民主的ですよ。人民が革命せず体制を容認してるのだからそれはきっと民主的な体制だ。民衆の意向と言う意味では近世までも民衆を無視した統治は成り立たず、だから明治維新後も専制は士族反乱と民権運動で長続きせず国家有機体説で帝国憲法を運用したんでしょう。でも出来なかった何故か?日本は昔から上層と下層の差が激しすぎたんですよ。下層の人間は民主主義までは理解できても法の支配=つまり自由が未だに理解できないんです。自由がなければ自発的な自治が無い。中世までの惣村などの中世自治と言われる物はあくまで自発ではない。あれは周囲の環境的にやってる事です。外の混乱や村社会の上からの抑圧ですよ。今で言えば全体主義ですね。だから日本人はお天道様とかいってる訳です。日が沈むと太陽はいなくなる。太陽がいない時に自らを律するのが神の下の自由で自治でしょう。屁理屈かもしれないが実際そうでしょう?自発的な自治が無いのではこれでは国家規模の大きな組織は回らない。本来、それは市民革命などを通じて流血の代替に民衆は理解する事でしょう。でも日本にはそれがない。上層の皇室や公家や武士といった上層がしっかりしていたからですね。だから、私は苦肉の策ですが憲法に刻まれた人類の歴史の記憶に学ぶ憲法議論を通じて、国民に社会契約をさせて法の支配と自治のある近代国家にしないといけないといっとる訳で、その過程を重視しないで改正をやれば破滅しかないと言ってるわけです。何度も言うが最後は人間の問題です。暗黙知である不文の法に服す、道理がなければ核爆弾でなくても原発が吹き飛ぶし、包丁で人を切り刻めます。国家も知恵も技術であり道具だ。使う人間が駄目なら破滅するだけ。ここはイギリスではない。日本です。イギリスの様に帝国をなしたでしょうか?有機体としての在り方にも優劣がある。イギリスの様に一神教を通じて、いわゆる聖書を自発的に解釈するプロテスタント的な側面から民衆が法の支配を理解している状態ではないんですね。上層はプロテストでも下層は念仏踊りの他力本願、境界だのみの中世カトリックなんですよ。残念ですが、みてればわかるでしょう。水島社長にはっきりいわなきゃいけないのはね、社長の日本と言う国の現状の捉え方は正しいと思いますよ。けどね、自由民主主義は科学的な組織論の帰結でイデオロギーじゃないんです。これはあくまで帰納法的で実証的な優れた組織の在り方なんです。戦いは実態としての組織の質で決する。もう自由民主主義の国なんて珍しくないし、このまま有機体などとなんだのと言って法の支配に服さない下層国民を放置すれば、他国に四半世紀後には追い越され引き離されるでしょう。この地球上で限られた食料や資源を巡って生存競争をやってるんです。その辺の冷徹な事実と現実を見ないと。本格的な総力戦体制を確立しないと、今度負けるのはアメリカや中国でもなくベトナムやミャンマーかもしれません。憲法改正が目的化しても形だけのセレモニーでやる意味がない。それならAIなどが当たり前になって、パラダイムシフトで勝負して自由自律できない下層国民を徹底的にサポートするまで下手に動かさない方がいいと考えますね。法と言う事実が見えない目隠しした人が全力疾走するのはキチガイじみている。以上。
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2016年8月8日 10:04 AM
安倍晋三は国民負担だけ押し付けて、口だけデフレ脱却のヤルヤル詐欺師、自分の政権存続だけの為に財務省と経団連とアメリカの顔色だけを伺う独善欺瞞首相。もう政府自民党に期待しても無駄 諦めた。
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2016年8月9日 7:46 AM
三橋さんが提唱されるような、長期計画に基づく「重厚長大」なインフラ投資は旧大蔵省時代はバンバン進めていたはずでした。また、それが無ければ日本の高度成長は有り得なかったはず。財務省になって何が変わったのでしょう?金融、サービス促進?でも、日本はまだ高度な技術を有する工業国でもあります。資金も豊富です。財政投融資を誰がどんな目的で決めたり蹴ったりするのか、議論の過程を「ブラックボックス」から出して少しでも可視化する方法はないものでしょうか。ところで、三橋さんの長い沈黙の時期はファンとして心配すると共に三橋ロスを発症しました。戻ってくださって一安心。でも、何があったのかのご説明は無いのでしょうか?
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