日本経済

2016年6月2日

【島倉原】第二のデフレ不況論

From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家

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【耳寄り情報】

東京は世界一安全なのに世界一危険な都市だった?
世界の中でも特異な場所に住む日本人が、いま知っておくべきこととは・・・
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php

※9日までの特別なお知らせ※

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おはようございます。
前回ご案内したとおり、5月21日(土)放送のチャンネル桜討論番組「闘論!倒論!討論!2016」(テーマは「サミット後の世界経済の行方」)にパネリストとして出演しました。
延べ3時間に及ぶ3部構成の番組で、下記のユーチューブサイトでもご覧いただけます。
(とりあえず島倉が映っているのを確認しよう…ということであれば、冒頭で発言している第3部をおススメします)
https://www.youtube.com/watch?v=kj8xZWIJLpQ
https://www.youtube.com/watch?v=Fb9LXv4krPw
https://www.youtube.com/watch?v=QKSTkxOV-FM

番組用に用意したフリップ(実際使う機会がなかったものも含みます)や、番組内で私自身が言わんとしたことをまとめた記事もそれぞれアップしておきましたので、こちらも参考にして下さい。
http://twitdoc.com/5TDB
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-170.html

さて昨日、安倍首相が記者会見で消費税増税の延期を表明しました。
延期自体はマスコミ各社がサミット前から報道していたので、読者の皆さんも格別の驚きはないでしょうが、私自身は「延期の理由をどのように説明するか」に注目していました。

1997年にも、消費税の増税と共に、財政赤字の抑制や公共事業の削減を謳った「財政構造改革の推進に関する特別措置法」(いわゆる財政構造改革法)が施行されました。
その年の後半から山一證券や北海道拓殖銀行をはじめとして大型の金融破たんが相次ぎ、翌年小渕内閣の下で財政構造改革法は凍結、20兆円を超える大型緊急経済対策が打ち出されましたが、日本経済はその年から長期デフレ不況に突入していきます。

上記フリップの1枚目を踏まえれば、当時を起点とした緊縮財政が経済成長の停止や長期デフレの原因であると解釈するのが、どう見ても筋が通っています。
にもかかわらず当時から、政府や多くの経済学者によって「不況はアジア通貨危機に端を発する世界経済の影響によるもので、消費税増税をはじめとした緊縮財政が原因ではない」という説明がなされ、現在に至るまで緊縮財政路線が続いてきました。
https://twitter.com/sima9ra/status/700718824329318401
http://on.fb.me/1oPwhdQ

そして今、当時と似たような状況が再び生じています。
2014年4月の消費税増税後、「景気は緩やかに回復している」という政府見解とは相反し、日本経済が民間消費を中心として不振に陥っているのは、これまでも繰り返し述べてきた通りです。
https://twitter.com/sima9ra/status/738074804880707584
http://bit.ly/1VwWlaZ

2014年のロシア株式や通貨の暴落、2015年の中国株式の暴落や人民元切り下げに代表されるように、新興国からの資金流出が続いているのも、1997年から1998年の状況に類似しています。
偶然か必然か、増税の数年前に大震災が発生している(阪神大震災は2年前、東日本大震災は3年前)ことも共通しています。

そもそもこうした新興国経済の不振自体、グローバル化した経済に内在する循環メカニズムによる周期的な現象であることは従前から述べている通りですし、上記フリップの3枚目でも示した通りです。
そして、消費税増税もまた、景気循環に連動して拡大する財政赤字に近視眼的に反応した結果であることは、上記フリップの4枚目、あるいは拙著『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』第5章で論じた通りです。
http://amzn.to/1HF6UyO

以上の循環メカニズムを踏まえれば、「世界経済が悪化している(あるいは悪化するリスクがある)ため、消費税増税は延期する」といった説明が政府からなされるようであれば、実は極めて危険な兆候と言えるでしょう。
なぜなら、緊縮財政が日本経済長期低迷の真因であることがまたもや否定され、経済対策も短期的なものにとどまり、(皮肉なことに消費税増税によって一旦途切れた)長期デフレ不況に再び陥る可能性すらあるからです。
https://twitter.com/sima9ra/status/732929601559662592
http://bit.ly/1V98e6D

逆に、2014年の消費税増税は昨今の日本経済悪化をもたらした失政であることが宣言されれば、こうした悪循環が断ち切られることを意味します。
そうなれば、「増税の延期」ではなく「増税の廃止もしくは減税」こそ適切な政策であることはおのずと明らかになり、長期低迷からの脱却の道筋も見えてきます。

つまり、今回の安倍首相の増税延期表明は、後から振り返れば日本の長期的な針路にとって重大な分岐点であった、ということになる可能性も十分考えられるのです。
にもかかわらず、案の定と言いますか、

「私は来年4月からの消費税率引上げに向けて必要な経済状況を創り上げるとお約束しました。そして、アベノミクスを強力に推し進めてまいりました。(中略)雇用を創り、そして所得を増やす。まだまだ道半ばではありますが、アベノミクスは順調にその結果を出しています。
しかし、世界経済は、この1年余りの間に想像を超えるスピードで変化し、不透明感を増しています。(中略)今般のG7による合意、共通のリスク認識の下に、日本として構造改革の加速や財政出動など、あらゆる政策を総動員してまいります。そうした中で、内需を腰折れさせかねない消費税率の引上げは延期すべきである。そう判断いたしました。」
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2016/0601kaiken.html

ああ、やはり世界経済の先行き不安に責任転嫁してしまいました。
しかも、TPPの早期発効を含めた構造改革の断行こそがアベノミクスの最重要テーマであり、その加速の是非が参議院選挙の最大の争点なのだそうです。

こうした構造改革への傾斜は、積極財政の意義を認めず、他方で頼みにしていた金融緩和が手詰まりであることの必然的な帰結であり、失われた20年において繰り返されてきたお決まりのパターンでもあります。
財政出動とはいっても、このままでは例によって「機動的」の範疇で、短期的なものにとどまることが懸念されます。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-108.html

以前、佐藤健志さんの著書『僕たちは戦後史を知らない』で述べられている「第二の敗戦論のループ」が、実は景気循環に基づく先進国を中心とした世界的な不動産バブル崩壊と結び付いていることを、本メルマガでも指摘したことがあります。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/08/14/shimakura-3/
今回はその裏メニューと言いますか、周期的な新興国危機と結び付いた、文字通り第二のデフレ不況のループの瀬戸際とも言うべき状況です。
こうしたアベノミクスをこれ以上加速することに、果たして日本国民は支持を与えるべきなのでしょうか。

↓今回の記事が「参考になった」と思われた方は、下記サイトにアクセスの上、ブログランキングボタンのクリック、ツイッターやフェイスブックでの共有など、より多くの方への拡散にご協力いただければ幸いです。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-172.html

〈島倉原からのお知らせ〉
以前、「グーグルの人工知能と株式市場」という記事を執筆し、人工知能発達の背後にあるIT業界の変化の潮流や、その技術基盤の中核たり得ると考えられる企業について取り上げました。
今回はそれとは別の、好調な株価パフォーマンスを続けるとある人工知能関連企業に関する考察です。
↓「株価上昇を続けるAI(人工知能)関連銘柄」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-169.html
↓(参考)「グーグルの人工知能と株式市場」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-154.html

私自身も情報発信に活用しているツイッター。日本ではLINEに次いで活発に使われているSNSですが、未だに赤字決算を続け、株価も上場来安値水準、ピーク時の2割程度に落ち込んでいます。
そんなツイッターの業績の実態や将来性を考察したのがこちらです。
↓「ツイッターの企業価値と将来性」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-171.html

↓ツイッター/フェイスブックページ/ブログでも情報発信しています。こちらも是非ご活用ください。
https://twitter.com/sima9ra
https://www.facebook.com/shimakurahajime
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/

ーーー発行者よりーーー

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日本が途上国支援を続けられる訳
消費増税、高齢化、千兆円の政府債務
借金大国の日本が世界貢献できる訳とは・・・
http://www.keieikagakupub.com/sp/38DEBT/index_mag2.php

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【島倉原】第二のデフレ不況論への9件のコメント

  1. kanata より

    ヘアピンさんのおっしゃる通りだと思います。「確信犯」ですよね。日本を成長させたくないわけです。増税延期で、今度は財政出動を徹底的に叩いてくるでしょう。思い切った財政出動をすれば、日本が成長軌道に乗ってしまいますからね。

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  2. 稲美弥彦 より

    実際、経済政策の間違いを認める事は非常に大事であるし、自分で何かを考える力がインターネット普及で落ちていると某イランのメディアで取り上げられていたように思えます。多分、安倍政権は近い内に終わり、次の首相である小沢一郎がなるのは殆ど規定路線になっているようです。EU加盟国は、崩壊しなければ多分、経済回復は出来ないだろうと思います。何故ならEU自体がアメリカやドイツの都合で動かされているからです。つまり、左翼がゴリ押ししているメルケルの緊縮財政でEU加盟国はドイツに搾り取られるのです。安倍政権を倒閣しなければならないけど、左翼はメルケルを称賛するから安倍政権の支持率が下がらないのもそこだと思います。

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  3. robin より

    世界経済秩序?のために貿易自由化、国債の信認、経済移民受入れを積極的に推進して日本社会経済秩序を破壊して政策の失敗を世界経済に責任転嫁するのか。このまま自由市場原理主義と構造改革路線では今までと変わらず真綿で首を絞められる如く底辺へ底辺へとソフトランディングを狙ってるのか?8%増税の誤りを認めること無しに正しいデフレ脱却の議論すら始められないと思うのだが。個人的に「非正規という言葉を一掃する」にゾッとした。言葉を変えずに中身や定義を変えた(最大概念の潜在GDP→平均概念の潜在GDP)前例があるからだ。まさかとは思うが完全非正規雇用で実質賃金を1/4にするつもりではないかと。デフレという言葉すら無くしたいのが必至に椅子取りゲームとババ抜きを演ずる権力者(統治者?)の本音だろうか。

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  4. ニャンパmarkII より

    上の方のコメントで書かれている方のいう通りで、そもそもの目的が経世済民ではないのだと確信しています。所詮現総理は小泉の再来でしかない。靖国だの憲法改正だのの餌で保守を巧く手玉にとってその実やっていることは売国行為そのもの。これも小泉同様。新自由主義で日本を更地にして最終的に米国か中国に主権を売り渡して終了といったところだと思います。小泉旋風当時、その欺瞞性を徹底批判して表舞台から降ろされた森田実氏は三橋氏や島倉氏と同様の経済政策を提言なされていましたがあれから10年経って、結局状況は何ら変わらず更に売国プロセスは進行しているわけです。残念ながら今後10年も同様に進行することでしょう。そのことが今回の間の抜けた総理発言に見て取れます。

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  6. 學天測 より

    EUを政治統合して知恵をぼってですwすいませんwもうやだこんな世界w

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  7. 學天測 より

    EUの推進者のジャックアタリさんなんかも顕著ですけど、ああ言う方たちは聖書の根本的解釈がおかしいんだと思います。EUを政治統合すて最終的に超国家にしようと言う発想は悪くはないが、その手段として思想的にハルマゲドンをやればキリストが降臨し神の国が来ると言う考え方なんではないかとw。そもそも聖書を記した人はそういう破局を避けてほしいから態々、手間暇かけてああいうのを記述した訳で、首くくるのに聖書はいらんでしょう。天井からつるせるロープさえあればw我が国の歴史の様に自ら破局せず、知恵をぼって、調整するとこはして、地道に継続していく事が大事ではないかとw聖書の考えをきっちりやっている正統性は我が国にあると私は思いますねw

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  8. 學天測 より

    総理の会見みましたが内閣総理大臣どころか一般人としての常識や道徳や倫理観すら有していない方だと思いました。これで憲法を改正しようというのは正直、乾いた笑いすら出そうです。あれではこの政権がどうかかではなく政治そのものが駄目になってしまう。とんでもだ。政治は遠い過去から引き継いでいた事業でありますから、その前提をこの方は理解していない。政治は常に実務であり実験なのです。結果報告がまともでなければ意味がない。会見まで開き、事実に基づかないあからさまな嘘を有権者に行って、有権者を騙して、選挙を行っても意味はありません。有権者の判断はきちんとした情報開示があって成り立つのが憲法の基本ですから、政治家はそこをきちんとする道徳や倫理に基づいていなければ成り立ちませんし、あくまで、それが政治という職業の過去から引き継いだ前提です。安部晋三と言う方は自分が何をやってるかすら理解できてない人だと思います。嘘をつくと言う事は実証事実に基づく認識をしないと言う事であり、実証事実が見えなければ永遠に的確な対処も出来ない。嘘をつく事を良しとするサイコパス風な方は政治には向いてない事を誰か諭してあげるべきでしょうね。現実をきちんととらえて、それに対処する為に知恵を絞るのが政治です。もはや一国の総理と言うより、哀れな初老の人と言う感じでした。今後も事実認識が駄目なので結果はでないし、認識をすれば精神が耐えられないのでしょう。人間の小さい人です。誤りは素直に認めて、現状を反省した次のプランを示し、選挙で勝てばいい。負ければ去る。それだけの覚悟すらないのです。政治家の器じゃないですね。小粒さに所詮、世襲の哀しさを感じました。話は変わりますが、明治の初め、伊藤博文達が行政をきっちり固めたのは議会が機能しなくても最低限の仕事をする為だからと言う認識ですが今の景気経済をきちんとして財政を立て直すという最低限が出来ないのは行政のバランスが崩れていると言う事に尽きると考えています。故に財務省を分割解体し、経済優先になる様に行政を再構築する必要があると考えます。これだけの大失敗を齎したのだから、それぐらい当たり前でしょう。それとも不景気で財源が減る分を増税に賛成した方が実費で負担してくれるんでしょうかね。ともかく政権があきらかに盲目で、もはや駄目な以上、参与として関わっている藤井先生ののような方には切りのいいところで見切りをつけてほしい。国民を騙し続けたツケはでかい物になる。そのツケを押し付ける誰がスケープゴートにされるかわからないし、本人も会見で言っていたように最初は税収が増え上手くいっていたアベノミクスを増税で潰したのは安倍晋三ですから、今回、積極財政派にすり寄るような事を言っても信用は出来ないでしょう。そうやって中途半端にやらせて最終的にスケープゴートに仕立て上げる気かもしれません。強く構造改革とかいってましたしね。あらゆる事を嘘や虚偽で潰して、追い込んで構造改革に繋げるのは彼らの常套手段ですからね。会見では見苦しく、野党を批判してたけど関係ないでしょう。貴方が貴方の枠組みを理解し実行する能力が無いのだからそれが実証事実でしょう。

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  9. へあぴん より

    間違いを認めないのではなく目的が違うのでは?(仮定)彼ら(消費増税推進派)は経済成長(三橋氏がよく言われる「経世済民」)を目指しておらず、多くの国民はあくまでも家畜として死なない程度の労働力であれば良く、一部の者が支配する世界を目指している。そのための消費増税(や株式制度による回収)であって、それが国民の真の幸福に繋がらない(絶望しない程度には享楽を与える)のは百も承知である。島倉さんの主張も十分理解しているが、目的が異なる為、(国民に真実が伝わらなければ)どうでもよい。(つまり)事実を整理すればこんなにわかり易い事象が、彼らにわからないはずはなく、それでも正さない理由は「間違いを認めたくない」などではなく真の理由を知られたくない「確信犯」だと理解するのが腑に落ちます。売国奴ですな。(ただ)現総理は、安全保障政策が待ったなし(中共と国内在日問題)の中で、彼らまで敵に廻して対処する余裕がなく、前者に目処が立つまでは経済政策はクリンチ(最低限として消費増税再延期は実行)しているのではと愚推するところです。本ブログのように事実を元に現象を解説いただける情報がもっともっと拡散されて、多くの人の意見を構成する”元”になれば、我々も「売国奴」に戦えるのでは思い、心から応援申し上げる次第です。

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