日本経済

2016年5月9日

【三橋貴明】情報制約

From 三橋貴明

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なぜ日本の実質賃金は1997年を絶頂に下降を続けているのか?
なぜ20年前の日本人よりも買えるものの量が減っているのか?
なぜ日本人の貧困化が進んでいるのか、その実態を明らかにする、、、

『月刊三橋』最新号
「日本経済格差拡大のカラクリ–実質賃金の軽視が招いた大災害」
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php
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【今週のNewsピックアップ】
正しい話 前編
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12157080825.html
正しい話 後編
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12157453972.html

遅ればせながら、青木泰樹先生の「経済学者はなぜ嘘をつくのか」を拝読いたしました。
http://www.amazon.co.jp/dp/4757224257
これは、凄い本です。面白いというよりは「凄い」のです。

なぜ、現在の主流派経済学が問題を解決できないのか。それどころか、一部の投資家や企業家に「利用」されてしまう理由は何なのか、明確に説明されています。
特に、フリードマンの「新自由主義」と、新古典派経済学の違いなど、青木先生以外には解説できないと思います。

ちなみに、双方ともに「市場原理」を重視する点は同じですが、新自由主義には「自由が善」というイデオロギー、価値観があります。善なる自由を実現するためには、市場原理に従い、政府を小さくしなければならないという話です。

新古典派経済学が市場を重視するのは、資源を最適に配分し、効用の最大化を目指しているためです。「効用」とは、ワルラスの限界革命以降は、限界効用を意味するようになりました。市場が正しく機能していれば、誰かの効用を引き下げない限り、誰かの効用を高められないパレート最適の状態に到達できるはず。これが、主流派経済学の考え方です。

上記のロジックは、例えば公共財の「効用」を含めない(価値換算できないため)、あるいは政府までもが予算制約式(詳しくは有料メルマガ http://www.mag2.com/m/P0007991.html の方で解説しました)の適用を受けてしまうなど、突っ込みどころが満載です。

この手の「経済学の誤り」をここまで総括的に、しかも「現在の日本経済」と絡めて刊行された本は、青木先生の「経済学者はなぜ嘘をつくのか」が初めてだと思います。

さて、経済学者は学会で「教授」の下について勉強し、いずれは自らも教授となることを目指します。自分の上に立つ教授の学説を全否定してしまうと、学者は出世できません。そもそも、論文を受け付けてもらえないでしょう。

というわけで、間違った学説というか「現実離れした学説」が延々と伝承され、歪みを拡大してきたというのが「経済学」という学問の真実なのではないかと思います。

特に、主流派経済学は論理の「緻密性」「厳密性」にこだわった結果、現実には存在しない「経済人」をベースに、政府の役割を無視し、この世のありとあらゆる存在が、

「一生に稼ぐ所得の分しか、支出をできない」

という前提(予算制約式)で進化したわけでございます。というわけで、なぜか政府までもが「国債は税金で償還するしかない!」と、中央銀行の役割を完全無視した扱いをされてしまっています。

「自国通貨建て」の国債を税金で償還する必要などありません。もちろん、してもいいのですが、インフレ率が許すならば、中央銀行の通貨発行で処理してしまって構いません。あるいは、地球滅亡の日まで借り換えを繰り返しても構いません。

なぜならば、政府は「永続」する存在であり、さらに通貨発行権を持っているためです。
と言いますか、すでにして安倍政権は量的緩和政策を拡大し、2015年末までに130兆円もの国債を「通貨発行で返済」してしまっています。

現実に存在する「政府」は、有権者というまことに曖昧な群体により制御されます(民主主義国家では)。有権者の票次第で揺れ動く「政府」の役割を、いかにして経済学に取り込めばいいのか。

少なくとも、経済学が「厳密性」「緻密性」にこだわる限り、絶対に不可能です。
というわけで、経済学は「政府の役割」を排除してしまいます。そうしなければ、美しい数式モデルを書くことは不可能なのです。

このバカげた学問に政治が振り回され、我が国では「財政破綻する」「人口減少で衰退する」といった言説が広まり、しかも「バカげた学問」を自らのビジネスのために利用しようとするレント・シーカーたちが暗躍し、どうにもこうにも出口がない状況に追い込まれつつあります。

もっとも、出口がなかったとしても、出口を作るのは簡単です。経済学という「学問」から、政治が離れれば済む話なのです。学問ではなく、現実に根差した政治を政治家が心がければ、出口はすぐに出現します。

「それが難しいのではないか」

と、言われそうで、確かにそうなのですが、少なくとも現在の日本は「間違った情報」という経済成長のボトルネック、すなわち「情報制約」を抱えるに過ぎないのです。情報制約を打ち破るためには、結局、国民が「正しい情報」を身に着け、政治家に対する影響力を発揮するしかありません。

我が国の経済成長を妨害する、情報制約を取り除きましょう。

ーーー発行者よりーーー

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実質賃金を説明できますか?
名目賃金との違いとは?
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【三橋貴明】情報制約への2件のコメント

  1. 學天測 より

    私が言いたいのは実証事実の無い、或は極めて乏しい、只の推定で有る数式をさも本当のように言う奴は嘘つきであり、クズであって、まともな方は出世できないからという理由であってもそいう事はできません。何故、そこまで嘘つきかと言えば生まれ持っての人間のごみ屑だからです。世の中には不正が出来なくて自死を選ぶ方もいます。もっともらしく、声が大きくさも本当の様にわからない嘘をつく矢追純一がいたらどう思います?それが竹〇平蔵大先生をはじめとした経済学者とかいう連中で、東京湾に埋め立てたほうがまだ役に立つ人間のごみ屑でしょう。矢追純一の素晴らしい処は明らかに事実が乏しい話だときちんとそこはしてる処です。経済学者は矢追純一より下の存在です。こんなものに研究費などを渡す方がどうかしていると考えます。

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  2. ピンフ より

    経済学の「現実離れした学説」が文系と言われる所以かは分かりません。また、美しい数式モデルに人間は惹かれる事も現実だと思います。全ての国民が「正しい情報」に基づいて、ビジョンを共有できれば素晴らしいです。夢を諦めない国民の足を引っ張る社会システムは、世界情勢を考慮しても壊変する方が日本にとって得だと思います。第二次世界大戦で日本は中立国になる事ができなかったのでしょうか?

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