From 佐藤健志
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【耳寄り情報】
「日本が国債破綻しない24の理由 ~国の借金問題という<嘘>はなぜ生まれたか?」
http://www.keieikagakupub.com/sp/38DEBT/index_mag2.php
『三橋さんは過激な発言をする人だと思っていましたが…』
By 服部
“私は今年退職をして、世間から離れて行く様に感じていました。
そんな時、月刊三橋をインターネットで見つけ、三橋先生の
ご意見を聞くようになり、世の流れに戻る感じがしました。
月刊三橋を聞き始めて3か月になります。
最初は過激な発言をする人だなあと思って聞いていましたが、
今回の国債破綻しない24の理由を聞いて、
今まで何回も聞いていた内容が、私のように頭の悪い者でも
やっと理解出来るようになりました。有り難うございます。
これからの日本の為にも益々頑張って頂きたいと思います。”
服部さんが、国の借金問題について
理解できた秘密とは・・・▼▼
http://www.keieikagakupub.com/sp/38DEBT/index_mag2.php
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TPP大筋合意の立役者(良くも悪くも)として知られる甘利明・経済再生担当大臣に、金銭疑惑が浮上しました。
千葉県の建設業者に口利きを依頼され、見返りに現金を受け取ったと報じられています。
事と次第によっては進退問題にまで発展しかねない勢いで、大臣自身、「安倍内閣の重要閣僚の一人として、総理に迷惑をかけているのは、本当に忸怩(じくじ)たる思いがある」と語ったとのこと。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20160124-00000447-fnn-pol
今回の疑惑、TPP関連法案の審議はもとより、予算案の年度内成立にも影響する恐れがあるのですから、当然の話と言わねばなりません。
http://www.sankei.com/politics/news/160122/plt1601220005-n1.html
逆に野党は、国会運営の主導権を握れるとばかり盛り上がっています。
ある民主党幹部など、「これで潮目が変わってきた」とまで語ったとか。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160120-00000099-mai-pol
金銭疑惑は、むろん褒められた話ではありません。
ついでに私はTPPに反対ですので、批准にたいする逆風が吹くのは、とりあえず良いことだと思っています。
ただし引っかかるのは、当の逆風が、肝心のTPPとは無関係な形で吹いていること。
本来、問題とされるべきはTPPそのものなのです。
それが国民生活や、日本の国益にたいして、どのような(悪)影響を及ぼすか。
こちらの問題の大きさに比べたら、建設業者からの口利き疑惑など、スキャンダルではあるにしても、小さなことと言わねばなりません。
しかも今までの国会論戦において、野党は安倍内閣の経済政策を批判しつつも、効果的な追及ができず、攻めあぐねていました。
本質的な問題を突くことができないまま、金銭疑惑という二次的、かつ(相対的に)矮小な問題が浮上したのを良いことに、これで攻勢に立てる!! と躍り上がるのは、いかんせん情けない話ではないでしょうか?
ここでご紹介したいのが、平松禎史さんが先頃、ツイッターで発信したコメント。
いわく。
与野党が「オール自民党」な状況で、あたかも党による理念対立があるように見せかけるのは、建設的な政治を阻害するんじゃないかしら。違いがほとんどないから権力の潰し合いにしかならない。
違いがほとんどないというのは、財政均衡主義とグローバリズムに「否!」(懐疑的・抑制的・慎重であるべき)と主張している党があるだろうか? ということですな。
(表記を一部変更)
平松さんのコメントの的確さは、甘利大臣の金銭疑惑騒動によって、いかんなく証明されています。
財政均衡主義(ないし、新自由主義に基づく「小さな政府」志向)とグローバリズムにたいし、ハッキリ「否!」と言えないまま、TPPの問題点を効果的に追及できるわけがない。
だから金銭疑惑をテコにした「権力の潰し合い」に走るほかないのです。
だとしても、なぜ野党は財政均衡主義やグローバリズムを否定する姿勢を取れないのか?
ここには面白くも厄介な歴史的経緯があります。
わが国の野党は、なんと戦前、それも明治時代から「小さな政府」志向が強かったのです!
ご存じの通り、当時の政府は「富国強兵」をめざして、産業化・近代化を積極的に主導する姿勢を取りました。
これはむろん、財政出動を伴います。
そこで野党(そのころは「民党」と呼ばれました)は、「民力休養・政費節減」のスローガンのもと、緊縮財政を主張する。
政費の拡大は増税に結びつき、国民生活を圧迫するのでよろしくないという理屈です。
歴史学者の坂野潤治さんによれば、この主張が支持を集めたせいで、「小さな政府」志向が野党(および、野党を支持する左翼・リベラル)の基本的なスタンスになったとのこと。
つまりは「政府の出費を抑えること=国民生活を守ること」の図式が出来上がったというんですね。
となれば、経済政策をめぐる主張はこうなるでしょう。
まず増税はダメ。
つづいて、赤字国債発行もダメ。
ついでに「(目先の)国民生活を守る」ことにこだわれば、物価上昇もダメとなります。
すなわち野党、ないし左翼・リベラルは、じつはデフレ志向でもある!
デフレにおいては物価が下落するんですから。
そのかわり経済も縮小、やがては国民が貧困化しますが、それはどうでもいいらしい。
同様、インフレにおいては、物価が上昇するかわりに経済も拡大、やがて国民は豊かになるものの(いわゆる「悪性インフレ」については脇に置きます)、こちらもどうでもいいらしいんですね。
坂野さんと山口二郎さんの対談本『歴史を繰り返すな』(岩波書店、2014年)から、関連した発言をご紹介しましょう。
(政費節減論が支持されたせいで)一貫してリベラルから左翼は小さな政府論になったんじゃないかと。民政党の井上準之助(大正時代、および昭和初期の蔵相)が超デフレ政策を打つと支持されるし、逆に、高橋是清(同。首相や農相などの経験もあるが、蔵相就任は五回に及ぶ。世界恐慌発生後の1931年、井上準之助の後を継いだ)以後のインフレ政策を左翼はあまり支持しない。
(116ページ。カッコは引用者、以下同じ)
戦後の社会主義者は、社会党も共産党も赤字国債は駄目、インフレも駄目。高校生の頃によく聞かされていたのは、「物価と月給の駆けっこじゃ、国民はいつもスッカンピン。金がザクザクうなっているのは、売国吉田(当時、首相だった吉田茂のこと)の腹の中」という歌です。これが(一九)五〇年代からの、みんなの信念になっているんだ。
(117ページ。表記を一部変更)
この国の左翼・リベラルは、もしかして豊かになるのがイヤなのか? という感じですが・・・
増税も赤字国債もダメなら、財政均衡主義を否定できるはずがない。
財政赤字を補填する手段を放棄しているんですから。
しかも「小さな政府」志向が強ければ、規制緩和や自由化も望ましいことになってしまう。
となれば、国境を越えた自由な経済活動の徹底をめざすグローバリズムも否定できるはずがないのです。
とはいえ、これが行き着く先は金銭疑惑をテコにした権力の潰し合い。
野党のみなさん、甘利大臣の腹の中で金がザクザクうなっているように思っているのかも知れませんが、TPPがもたらす影響についての議論がなおざりにされるようでは、国民生活や国益が守られているとは言えません。
まあ、「小さな政府」志向に固執したり、とにかくインフレを否定したがったりする時点で、すでに守られているとは評しがたいのですけど。
裏を返せば、財政均衡主義やグローバリズムに対抗するためには、経済をめぐる議論に加えて、歴史を振り返る必要もあるのです。
なお2/3と2/10は、都合によりお休みします。
2/17にまたお会いしましょう。
ではでは♪
<佐藤健志からのお知らせ>
1)日本における「保守(主義)」のあり方にも、明治以後の歴史的経緯に起因する特殊性があります。詳細はこちらを。
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4)「私の考えるところ、真の自由は英知と正義を伴うだけでなく、繁栄へと導いてくれるはずのものなのである」(161ページ)
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5)トマス・ペインによれば、安全保障を他国に依存したうえ、立法においてもさまざまな制約を課せられている国が、真に繁栄するはずはないとか。どこの国のことでしょう?
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